面頬は、実際に使われていたんだろうか。ヨーロッパの場合、16,7世紀ごろになると、バイザーのついた兜はあまり使われなくなる。鉄砲の弾は防ぎきれないから、顔面をオープンにして視界を良くし、物音を聞きやすくする方を選んだ。
日本の場合、面頬はひもで固定するので容易に着脱できない。顔面を保護されているという安心感はあるにせよマイナス面も多い。
鎧を道具として飾る時に、面頬があった方が様になるという理由で付いているだけではないか。
ちなみに武闘派で知られる黒田長政は、国内や朝鮮半島でも敵と直接刃を交えることも多かったが、面頬を用いないのが流儀だった。今日残される具足にも面頬は含まれず、有名な肖像画でも喉輪すら着用していない。