野営地。

為重「殿…。」
む?…ははっ。石もやっと重い腰をあげよったか。
為親「では久慈家と?」
さぁなぁ?ただ集合はかかった。それに草の者の知らせによると「庭師を呼んで花を刈らねば…。」と言ったらしい。
大音「は?」
主等にはまだわかるまい、この匂いが。
一同「匂い?」
なにかが動かんとしている。鉄臭くそれでいて心踊る芳香じゃ。
苦みの中に甘露を含んだようなこの空気…。
ふふ…楽しいのう。ニヤ
為重「して…?いかがいたします…?」
全軍小笠原邸に向かうぞ。
馬揃えはまだ当分先になりそうじゃて、我等だけ先にやってしまおうじゃないか。
歩調を乱すな息子達。
主等は人ではない、狸の軍勢じゃ。
この薄狸の愛する子等じゃ。
胸を張れい!!
槍を掲げ旗をひらめかせよ!!
小笠原邸に向かうぞ!!
わしに恥をかかせたくなくば一騎当千の強者となれ!!

薄勢千小笠原邸に向け更新始め。

この日京は天気雨が降っていた、道で狸の軍勢に出くわした庶民により狸が行進していたことを人々は聞き、後々天気雨のことを「狸の行進」と呼んだとか呼ばないとか。