細川忠興が隠居した頃のお話。

新たに当主となった忠利に小倉城をゆずった忠興は、中津城を隠居場にした。
さて、いざ隠居してみると、家臣たちがぱったりと挨拶に来ない。確かに静かに余生を過ごしたいといった。
だがこれはどういうことだ!

「忠利!まさかお前が、わしのところに家臣が挨拶行かないようにと、言っているのではないだろうな!?」

こんな書状をもらった忠利、当惑し、家臣に「とにかく大殿様にご機嫌伺いするように!」と大慌てで要請
次の日から中津城には、ひっきりなしに家臣達が尋ねてきた。その、あまりの多さに忠興も閉口。

「誰がこんなに尋ねて来いと言った!?用のある人間だけ来ればいいのだ!」

と、やっぱり立腹。困った爺様である。
しかし、そのしばらく後に

「この間はわがままを言ってすまなかった。後悔している。」と、反省文を送ってきたりもした。
案外可愛げもある爺様であった。