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武功夜話は偽書?

レス数が900を超えています。1000を超えると表示できなくなるよ。
0001名無し議論スレにて投票方法審議中2007/01/20(土) 12:21:27ID:618CGoao
一時『武功夜話』は贋作だって話題になってたけど、
昭和30年代成立だとか、江戸時代に一部が完成とか、
結局史料的価値はどうなんだ?
0945人間七七四年2013/11/21(木) 15:54:27.55ID:SOI4h1Rl
>>944
図書館で中身を確認して来たが、別に(1),(2),(4),(5)は現代語訳では無かった
(1), (2)は一部読み下し文に変えたものだが、後半は漢文をそのまま活字化してたりするし、
専門家が活字化したものではない
(3)の中身は確認してないが、多分(1),(2)から秀吉・信長関連を現代語訳したもの
(4), (5)は松浦武氏が極力原文を活字化したもの

それぞれの中身をまとめると:

(1)『武功夜話:前野家文書』(2)『千代女書留:前野家文書』
第一巻:二十一巻本「武功夜話」(A本、B本)の内1〜7巻を収録
第二巻:二十一巻本「武功夜話」(B本)の内8〜14巻を収録
第三巻:二十一巻本「武功夜話」(B本)の内15〜21巻を収録
第四巻:前野家文書の内「永禄州俣記」「尾州丹羽郡前野村御検地帳」「家伝記」等々を収録
補巻:前野家文書の内八巻本「先祖武功夜話拾遺」(C本)を収録
(4) 『『武功夜話』研究と三巻本 翻刻』 :三巻本「武功夜話」(I本)を収録
(5) 『武功夜話 : 研究と二十一巻本翻刻』
一:二十一巻本「武功夜話」(B本)の内、1〜2巻を収録
二:二十一巻本「武功夜話」(B本)の内、3〜4巻を収録
三:二十一巻本「武功夜話」(B本)の内、4〜5巻を収録

松浦武によると、(1)で出版された『武功夜話』は二十一巻本そのままではなく、
最初の六巻を昭和7年以降に成立した別の六巻(A本)に差し替えて出版していた

そこで本来の二十一巻本の中身である1巻〜6巻(B本)を改めて出版したというのが(5)の中身

なお(5)三の編集後記によると、論文中で「昭和7年以降に成立した」と書いてしまったことが、
第三者によって告げ口的に吉田氏に伝わったため、今は吉田氏との関係が良好ではないらしい
0946人間七七四年2013/11/21(木) 16:01:50.88ID:SOI4h1Rl
松浦武によると、最も古いのが(4)で翻刻した三巻本(I本)で、18世紀頃成立、
20代目前野(吉田)半平次雄行(1782年死)の筆と推定

次に古いのが二十一巻本(B本)と八巻本(C本、(2)の『先祖武功夜話拾遺』)で、
19世紀中頃の成立で、23代目前野(吉田)文左衛門正勝(1851年死)の筆と推定

三巻五冊本(C本)はもっと新しく、
(1)の冒頭に使われた六巻本(A本)と下書武功夜話ともいうべき写本(H本)は昭和の成立

なお松浦武氏は(4)を出版した頃は『武功夜話』のことを「文学的に優れている」と絶賛していた過去がある
(5)では「わたしはこの写本(A本)に、今深い関心を持たない」としか書いてないし、
偽書ではないと一生懸命繰り返しているけど、何か責任逃れというか、
文献を貸してもらった吉田家に角が立たないのような言い回しが目立つ

松浦武氏のスタンスとしては、二十一巻B本、八巻本C本、三巻本I本がある信用のできる内容となるけど、
時系列を見ると先祖の業績をまとめたという三巻本I本の中身を、
幕末にさらに肉付けして二十一巻本B本、八巻本C本を造り上げ、
さらに昭和に入って子孫が面白い逸話をいくつも盛り込んだ、
文学的に優れている冒頭六巻本A本を作ったという感じにみえる

とりあえず、成立期の最も古い、(4)に収録されている三巻本(I本)以外は信用しない方がいい
というか、別に江戸時代以前の古文書といっても写本が大部分で、幕末に成立したからといって偽書と呼ぶのは
間違っているという建て前は正しいんだけど、基本この前田・吉田家自体が先祖代々胡散臭いんで、
I本だって中身を信用しない方がいいかも知れない

>>931の『愛知県史 資料編13』も、収録されている逸話の内、
「慶長」等の年号は後から入れられていると指摘されているし、
(1)に収録されている検地帳も、江戸時代中頃か幕末の頃のものに、
後から先祖代々を強調するために慶長の年号を入れただけのように見える
I本の場合、やたらと寛永10年に拘った執筆が目立つと松浦武氏に指摘されていて、
これは前野家が先祖の転機として寛永10年を重視したからだろうと推定している
0947人間七七四年2013/11/21(木) 16:14:25.08ID:SOI4h1Rl
>>932
とりあえず黒田日出男氏は、

<吉田蒼生雄訳注『武功夜話』四巻+補巻(新人物往来社、一九八七〜八八年)
の第一巻・第二巻には、幸いにも口絵として『武功夜話』本文の写真が数葉
載せられている。それらを拡大コピーすれば読めるし、書体・書風も判る。
江戸時代後期ないし末期のものであると判断出来たのである。 >

と書いているけど、実際には一巻に載っている写真はA本で昭和期成立、
二巻に載っている写真はB本で、江戸時代後期・幕末成立、と推定される

また三巻本I本は文芸的に劣り、かなり誤りも多く杜撰だけど、生々しい描写があるんで
信用できるみたいな評価を松浦武氏は書いているんだけど((4)を出版した1995年の段階)、
(5)の出版の段階(2008年)では「単に歴史書としてだけ読んではならない」と一歩引き、
やたらB本・C本の作者の秀逸ばかりを強調するようになっている
レス数が900を超えています。1000を超えると表示できなくなるよ。