軍事的には戦に勝って少しづつでも領土が拡大するなら、
従軍する者たちには実入りがあるのだし、雑兵だって略奪による臨時収入があるから、
多少税金が高くても基本的に問題はない。

信虎に対する不満が高まったのも、単純に税が重かったからでも、
軍役がきつかったからでもなく、甲斐統一以後領土の拡大が著しく停滞して、
信虎に従う豪族たちの実入りが少なくなってしまったから。
だからこそ、税も軍役も信虎時代以上だったにもかかわらず、
信玄に対しては信虎時代ほどの不満は出なかった。

ところが、長篠の戦以後領土の拡大がまた長く停滞してしまい、
一気に破綻への道を突き進むことになってしまったと。