戦国時代の硝石についての疑問E
硝石を輸入品としている人の根拠集

D岩堂憲人『世界銃砲史・平成7年(1995年)』
『すでに述べたように、銃砲類は彼らの対日貿易品ではなかった。しかし、このことを明確に証しうる資料は日本においても、ポルトガルにおいても、またそれ以外の所でも現在までのところ、発見されていない。
したがって、筆者としてもそれらが輸入商品としての規模で日本に持ち込まれた痕跡のない事から推測したのであった。そして、これはまた硝石についても事情は同様である。』

E生田滋『東南アジアの大航海時代・平成13年(2001年)』(原本未読)
『東南アジア史の研究者である生田滋氏が、次のように指摘されている。
なおここで注意しておきたいのは、大砲、鉄砲の導入は、それとともに火薬の原料としての木炭、硫黄、硝石、銃丸の原料としての鉛、火縄の原材料としての綿糸などを供給するシステムが確立しないかぎり不可能だということである。
例を日本にとってみると、これらの原料、原材料のうち、火薬の原料としての木炭、硫黄は豊富に産出するが、その他の原料、とくに硝石と鉛の供給は来航するポルトガル船に仰いでいたのである。
また大砲、鉄砲ともに最初は「輸入品」を使用していたに違いないが、それを「国産化」する場合には、それなりの技術水準が必要である。
日本の場合でも種子島には原材料である砂鉄、製鉄の技術、鉄製品の製造の技術はあったが、尾栓のねじ切りの技術がなく、これをポルトガル人に教わって初めて鉄砲の製造が可能になったのである。』

F井沢元彦『逆説の日本史・戦国野望編・平成13年(2001年)』
『しかし、問題は、世界有数の火山国で鉱物資源の種類は極めて豊富なこの国に、硝石はまったく産出しないという事実である。
鉄砲は火薬がなければ、ただの「鉄棒」に過ぎない。こう言い換えてもいい、鉄砲を大量に作る技術があったとしても、それだけでは鉄砲は使えない。使うためには、日本では絶対手に入らない硝石の輸入ルートを確保していなければならないのである。
ポルトガル人が種子島時尭に鉄砲を献上した(贈与した)というのも、この硝石のことを考えれば、有り得ないことではないことがわかるだろう。』