戦国期の火縄銃についての疑問⑤の④

①中国（明）は、1405年から1433年までの28年間に7次の大航海を行い（東南アジア、インドからアラビア半島、アフリカまでの航海）、キリン・ライオン・シマウマ・サイなどの珍しい動物を連れて帰った。
②その後、明はマラッカ王国（マレー半島南岸のイスラム港市国家、1402年～1511年）のスマトラとマラッカに官廠（貿易中継施設）を開設していた。
③中国は、マレー半島の西側を「西洋」と呼び、東側を「南海」と呼んでいた。
④ポルトガルは、インドのゴアに基地を設営（1479 年）した後、そこから18隻、1400人の船隊でマラッカ王国を攻撃したので、マラッカ王国は滅亡（1511年）してしまった。
⑤そこで、ポルトガルは日本を含む東アジアの情報を得て、正徳12年（1517年）明国へ朝貢したが、明はポルトガルについては知らなく、国名（後に佛郎機・フランキ）も無かった。
⑥しかし、明は「佛郎機最凶狡，兵械較蕃獨精」として、1520年にポルトガルを追い払い、鎖国を行った。
⑦1522年、ポルトガルは5隻の軍艦で広東を攻撃してきたが、明軍は岸炮・艦炮で反攻したのでポルトガル軍艦２隻が分捕られ、3隻がマラッカに戻った。このとき、２隻の艦炮の大砲（佛狼機）を20門手に入れた。
⑧1523年、明は分捕った艦炮から佛狼機を試作し、1528年には4000門を配備した。（小型火器については、不明）
⑨当時、東アジアにおいて倭寇が活躍していたので、ポルトガル（佛狼機夷）は中国東南部の沿海貿易に倭寇を利用した。
⑩1548年、明は、鎖国の一部を解禁（10隻か？）した。
⑪ポルトガルが征服から貿易に転向したことが了解されたので、明は1557年にマカオでの居留権を与えた。
⑫1604年、明軍とオランダ（紅毛夷）の船と戦闘になり明軍が負けた。その後、佛郎機炮から紅毛炮に切り替えていった。

以上が当時の大まかな東アジア情勢である。
ポルトガルは日本については知っていたが、1522年以降1548年頃（？）までの間は、直接日本に行けない事情があった。
そのため、鉄砲伝来倭寇説も考えられるが、黒潮による漂流、中国からの伝来もありえる。
しかし、今までのところ中国でポルトガル（佛狼機夷）の小銃記録が見られなく、仮に神器譜（しんきふ）の西洋銃がそれだとしたら、倭銃とはまったく異なった銃である。
日本に伝来した銃すべてがポルトガル製とは考えられなく、マラッカ銃についても中国に記録が無いので（私だけか？）、日本の火縄銃について再考が求められる。