「ミラクル」と名付けられた今回の救出作戦は今月23日午前1時、韓国空軍の輸送機3機がパキスタンのイスラマバードに向け離陸することから始まった。投入された輸送機は300人を乗せることができる空中給油機KC330が1機、120−130人を運べる戦術輸送機C130Jが2機だ。韓国軍の関係者によると、(対空砲による攻撃など)危険な状況も考えられるため、今回の輸送作戦には戦術飛行などにも対応したC130Jを投入したという。

作戦はカブール空港に集まった移送対象者の安全をまずは確保した上でイスラマバードに順次移送し、彼らを集めて仁川国際空港に連れてくるという内容だ。2機のC130Jがイスラマバードとカブールを行き来するシャトル便の役割を担当する。KC330はイスラマバードでベースキャンプとして使用される。

 最大の問題は移送対象者を空港に集めることだった。タリバンの監視や殺到する避難民により空港に近づくことさえほぼ不可能な状況だったからだ。この問題を解決するために米国が行った「バスを使った移送」が採用された。米国は現地のバス会社と契約を結び、バスを韓国などの友好国も使用できるようにしたのだ。おかげで韓国行きの意思を表明した427人のうち、後から残留あるいは第三国行きを選んだ36人を除く391人全員が24−25日に空港に到着できた。各国が激しくバスの争奪戦を行う中、バスを確保する役割はアフガニスタン駐在の韓国大使館職員4人が担当した。カブールが陥落した直後にいったんカタールに逃れていたが、それから1週間後に今回の作戦を行うため死地に戻ったのだ。

 この日の夜、アフガニスタンの協力者391人を乗せイスラマバード空港を離陸した空軍の輸送機は26日に仁川国際空港に到着する予定だ。ノンストップでの運行が可能なKC330は約11時間、途中で1回の給油が必要なC130Jは約17時間かかる。391人のうち今月生まれたばかりの新生児3人を含む5歳未満の乳幼児が100人もいるため、輸送機には粉ミルクや哺乳瓶も積まれている。

 韓国外交部は彼らを難民としてではなく「特別功労者」として入国させる考えを強調している。これについてある外交筋は「難民収容に否定的な韓国国内の世論を意識したもので、実際は難民に準ずる支援が行われるだろう」とコメントした。韓国政府はまず彼らに短期のビザを発給し、滞在を延長する方向で検討を行っているという。