家計の実感として、「物価が上がるのは好ましくない」と感じることは、極めて自然なことです。日本銀行が
家計を対象に実施している生活意識アンケート調査をみると、「物価が上昇している」と感じている回答者の
うち8割程度の方が、「物価上昇は望ましくない」と答えています。これは当然の結果です。物価だけを取り
出して聞けば、回答者は、賃金を含むそれ以外の条件は変わらないものと想定して答えるのが普通でしょう。
もし賃金が変わらないのであれば、物価は下がる方が望ましいに決まっています。

しかし、賃金が上昇せずに、物価だけが上昇するということは、普通には起こらないことです。そうでなけれ
ば、物価の上昇に伴って、労働者の取り分である労働分配率が下がり続けることになってしまいます。

【講演】黒田総裁 2014年3月20日 : 日本銀行 Bank of Japan
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/ko140320a.htm/#p04