僕は過去にカリタ製の電動ミルを中心に9台を遍歴して来ましたが、現在は「カリタ・ハイカットミル」をメインで使っています。

このミルの最大の美点は、後で詳しく述べますが鋭利な切削刃で豆を縦にも横にも切って、きれいな「さいの目切り」に出来る事です。
初めてこのミルで挽いた珈琲を飲んだ時は、珈琲の香りや味の鮮明度が信じられない位にアップし、その颯爽と整い切った端正な美味に「ミルでここまで大きく味が変わるのか」と非常に感動してしまいました。
「均一に粒度を揃える」という事が想像していた以上に味に決定的に影響する事実を激しく痛感するとともに、同時に「なぜもっと早くこのミルを買わなかったのか…」と大いに悔やんだものです。

最初、ハイカットミルで挽くとどうしてこれほど珈琲が劇的に美味しくなるのかと、ハイカットミルの回転部を分解してディスク状の歯の表面を見て、大きな衝撃を受けました。
多くのミルは「放射状」(フィン状)にギザギザの溝が付いているだけですが、このミルは向かい合う二枚のディスクのそれぞれに「放射状+同心円状」の複数の溝が付いているのです。
この素晴らしい工夫により、このミルの歯は、その向かい合う二枚のディスクを回転させると、合わさった面の歯のそれぞれの溝の複雑な凹凸が驚異的な「シンメトリック造形」の如く見事に有機的に噛み合い、
かつ、歯の高速回転による遠心力で豆が二枚のディスクの間を中心部から外周方向へ移動して行く動きを上手に利用することで、このミルは豆を「縦」にも「横」にも切る事が出来るようになっており、いわゆる「賽の目切り」を実現していたのです。

しかも、ミルの歯に触ってみて更に驚きました。何と爪をこすると爪が削れるほどに鋭利かつ高硬度であり、既に「歯」ではなく、まさに鋭い「刃」の作りなのです。
その計算され尽くした見事な美しい「二枚の刃の動き」と、まさに切削刃的な「切れ味の凄さ」を目の当たりにして、これなら珈琲が劇的に美味しくなるのも「当然の帰結」と思わず納得し、その特許レベルの創意工夫とミル刃の硬度&精度に心から感動しました。

もし仮にハイカットミルで出せる味を「80点」と仮定して比較した場合、セラミックミルC-90の味は「15点」、ナイスカットミルは「60点」、ニューカットミルは「65点」と言う印象です。