昼食のチャーハンを眺めながら、積年の疑問を考えていた。
それは「なぜチャーハンは美味いのだろうか」という問いである。
簡単に見えて、奥の深い問題だ。
「美味いから美味いのだ」などとトートロジーを並べて悦に入る浅薄な人間もいるが、
それは思考停止に他ならず、知性の敗北以外なにものでもない。
「フライパンの中のものは美味そうに見える現象」という現象がある。
フライパンの中で、高速で揺さぶられている料理ほどドップラー効果により、
その料理が美味そうに見えるという現象である。
つまり、本来のチャーハンがどんな味であろうとも、チャーハンがフライパンの中で
高速で揺さぶられているとすれば、とても美味そうに見えるはずなのだ。
目の前のチャーハンは「フライパンの中のものは美味そうに見える現象」の影響を受けているか否か?
それは床に落ちたチャーハンを食べてみることでわかる。
チャーハンは床に落ちることで、「フライパンの中のものは美味そうに見える現象」の影響は無くなり、
真の味が分かるはずなのだ。
実際に食べてみたところ、チャーハンは美味かった。
よってこのチャーハンはとても美味いと言える。