しかし、うまくいかないものです。
会おうと思っても彼女は現れず、見覚えのある見たくない顔があちらこちらで僕に視線を送る。
はぁ〜。何食わぬ顔で残酷なことをする輩がうじゃうじゃといたなぁ。
あのころの行為は無邪気ないたずらで済まされるのだろうか?
机に花瓶が置かれてたこともあったっけ。
朝学校に到着して、自分の机の上ではなかったときのあの安堵感・・・。

でも、彼女はちがってたな。
いつもそういうことの蚊帳の外にいて、何か希望のようなものを与えてくれていた。
あの日は僕にとっては安息の日で、だれだかの机の上に花瓶が置かれていた。
そこへ彼女が登校してきて「え〜、なぁに、これ?」と聞いた。
主犯格のB子が、「昨日交通事故で・・・」と、いかにも神妙に答える。
すると、彼女の目からぼろぼろ大粒の涙がながれだす。
「はっ?なんでぇ?嘘に決まってるじゃん!何であんたが泣くんだよ!」予想外の反応にB子がなんとか平静を保ちながら言う。
「あ〜。びっくりしたぁ〜。」まるで驚いたから涙が出たとでも言うように繰り返し言いながら、彼女は何度も涙をぬぐう。
そして花瓶を教卓に置き換えながら「でも本当に死んじゃったら、ごめんなさいって言いたいときも聞いてもらえないよ。何にも聞いてくれないんだからね。」とつぶやいた。
その日から花瓶の儀式はなくなりました。
彼女はともすると、標的になるタイプのようにも思えましたが、決してそうはならなかった。
今思えば彼女は恐れられていたのかもしれないぁ。
そんなことを思い出しながら、2日間は過ぎた。