午後五時すぎ。国会から首相官邸に戻った首相を迎えたのは、安倍氏、
二橋正弘官房副長官、柴田雅人内閣総務官だった。「本当なのか」と
繰り返す首相に、安倍氏は切り出した。
 安倍氏「誠におめでたいことですが、これで皇室典範改正はよくよく
慎重にしなければならなくなりました」
 首相「なぜだ」
 安倍氏「もしお子さまが男子でしたら、皇室典範改正は、このお子さま
から継承権を奪ってしまうことになります。そもそも皇太子さま、秋篠宮
さまに次ぐ皇位継承者がいなくなることが、皇室典範改正の趣旨だった
のではないですか」
 首相はしばらく考えたあと「そうか」とだけ答えた。