これは,どう考えてもおかしな話だ。『そのご自身の役割や皇室の将来』をどの
ように考えるかについては,皇太子妃殿下の問題であり,医師団の問題ではない。
そういう意味では,医師団の見解に対するこの噛みつき方は,的外れである。
いや,岩井氏は,医師団に対して噛みつこうという意図など,おそらくもともと
ないのである。
飽くまでもターゲットは,皇太子妃殿下であり,妃殿下を批判するとっかかりと
して,医師団の見解を利用しているというのが,本当のところだろう。

今回の岩井氏の記事においては,このようなねじれがあちこちに見られる。
医師団そのものを批判しつつ,巧妙に皇太子妃殿下への批判を織り交ぜているのである。
また,このようなねじれということのほか,医師団の見解の引用の仕方そのもの
についても,公平さを欠いている。

上記において,『冒頭で印象的なのが・・・「宣言」のような一文だ』という
箇所を引用したが,一見すると,「妃殿下は,皇族としてのご自身の役割や皇室
の将来を真剣に考えていらっしゃいます」という一文につき,あたかも妃殿下に
都合のいい主張として全面的に打ち出されているかのように見えなくもない。
しかし,この一文が出て来る前段としては,医師団による病名と治療方針の説明
と現在の病状の説明がそれなりの分量で述べられているのである。
特に,現在の病状の説明においては,皇太子妃殿下に対する周囲のサポートにつ
いても触れられている。
例えば,「また,こうした治療では,ご家族など周囲の方々のサポートが非常に
重要ですが,皇太子殿下が常にあたたかく,そして力強く支えて下さっているこ
とが最も大きい要素になっているものと拝見しております。内親王殿下との間に
しっかりとした心の交流がおありのことや,天皇皇后両陛下に温かく見守り支え
ていただいていることも,治療の大きな助けになっております」と述べられてい
るのである。

岩井氏の記事においては,こういう内容について一切触れず,単に『その治療法
としては「環境に働きかけてストレス因子を軽減することが最も重要」とし,
これを踏まえて』とのみ記載し,冒頭に宣言的な一文があると,強調して書かれ
ているのである。これはフェアではなかろう。