独立スレッドを建てようかと思った提案が、ひとつある。というか、今まで
関連の提案が無いこととも思えないので、誘導を期待したうえでの提案である。
これは加害者への憤りより、被害者への哀悼ゆえの発案である。オフに参加でき
ずに切歯扼腕する者かもしれないが、一度、参加者にご検討いただければ幸甚である。

わたしの提案は、或る意味で平凡なものだ。コンクリート事件の犠牲者への、
「公的な性格を持つ慰霊碑の建立」をすべきではないか？　ということだ。

わたしの知るかぎり、本事件の哀悼なり記録なりを意図した碑文と、それを
拠点とした公的な慰霊セレモニーは、実現していないように思われる。
考えてみればおかしな話だ。少年法の罪と罰をどう考えるもいい、更生させたい
ならさせればいい。だが、被害者はどうなるのか？　うろ覚えだが、本事件にかんし
「気の毒だが死んだ被害者より、生きた加害者が大事」なるニュアンスの暴言
を吐いた新聞記者がいるとさえ聞き及ぶ。事実なら、詭弁というには残酷過ぎる。

ならば問おう。死んだ被害者を、悼むことさえもが許されないというのか？
「罪を憎んで人を憎まず」という観点からみてさえ、この詭弁は異常ではあるまいか。
これでは人を憎むことばかりか、罪を憎むことさえ忌避され、ゆえに被害者は、
世間によって二度殺された、という思いがぬぐえないのだ。

わたしは広島の生まれ育ちで、広島の原爆の惨劇については、それなりに知って
いるつもりだし、被爆者の子孫に苦悩を打ち明けられたこともある。
かれらが味わった苦痛はもとより悲惨だが、原爆被害者は慰霊碑があり、慰霊祭
がある。
わたしが今より若いころ、御巣鷹山で日航機の墜落事故があった。広島で軍医を
して被爆地に乗り込んだ医者でさえ、墜落遺体の凄絶な状態とその絶望的な死に、
息を呑んだという。だがこの地の死者たちにも慰霊碑があり、遺族は世間の同情
を集めている。
わたしにいわせれば、女子高生コンクリート事件は「広島・長崎」「御巣鷹山」
にならぶ、「昭和日本三大惨劇」だ。死者の人数こそ一人だが、理不尽で悲惨な
死に方の「質」において、前二者に劣るものではないと感じている。
しかも、慰霊の碑文もセレモニーもなく、被害者が放置されているという点に
おいて、さらに死者が気の毒な位置に置かれている（それにしても先の暴言が
事実なら、発言者には広島や御巣鷹山で、同じことを言ってほしいものだ）。

これまで公的な碑文建立や慰霊祭の動きが見られなかった（？）理由として、
想像ではあるが、そういった運動の主体となるべき運動組織の多くが、本事件
では加害者への関心がより深かったためではないか？と危惧している。
だとすれば、本提案のごときは、或る意味ではかれらにたいする「断罪」「あて
つけ」という曲解もされかねず、その部分は注意を要すべき案件かもしれない。
とはいえ、東京都議会や都知事にたいして陳情し、カンパを集める、被害者遺族に
あらためてそういう活動への許しと、可能であれば参加を乞う、ということも、
必要ではないか？　慰霊碑建立ののちは、命日なり事件発覚の日に公人の参加を求めるのは
いうまでもない。

広島の出身者としてあえていおう、「あやまちは二度とくりかえしませんから」という有名な
碑文は、彼女のためにも捧げられるべきである。