今日の大風で土ほこりが立ちて人の目の中へ入れば、世間にめくらが大ぶん出来る。
そこで三味線がよふうれる。
そうすると猫の皮がたんといるによって世界中の猫が大分へる。
そふなれば鼠があばれ出すによって、おのづから箱の類をかぢりおる。
爰(ここ)で箱屋をしたらば大分よかりそふなものじゃと思案は仕だしても、是(これ)も元手がなふては埒(らち)明(あか)ず

無跡散人『世間学者気質』より, 慣用句辞典より

大風で土ぼこりが立つ
→土ぼこりが目に入って、盲人が増える
→盲人は三味線を買う(当時の盲人が就ける職に由来)
→三味線に使う猫皮が必要になり、ネコが殺される
→ネコが減ればネズミが増える
→ネズミは桶を囓る
→桶の需要が増え桶屋が儲かる