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の続き

その旅館の元経営者は、下り坂になり始めた時、旅館と土地を開発会社に高値で売り、
今でも悠々自適の生活をしているし、開発会社は、倒産したらしいが、
社長がそこで自殺したなどという事実はない。
殺人事件も、もちろんなかった。

まあ、地元の廃墟と化した経緯を知っている人間が見ても、不気味さを感じるのだから、
そういう事情を知らない、外の人が見れば、そんな作り話もできるのかもしれない。

ただ、その廃墟と化した旅館の窓に、「青白い光を見た。」、「人影を見た。」という地元の人もいたのは事実である。
かく言う私も、実は、旅館の窓に、「青白い光」、「人影」を見て、ドキッとしたことが、二三度あった。

ただ、私や、地元の人たちが「青白い光」、「人影」を見はじめたのは、「幽霊が出る」という噂が立ち、
その旅館が、肝試しスポットとなりつつあった時である。
人影や、青白い光の正体も、幽霊等では勿論無く、大方、肝試しに訪れた人や、
その人の持つ懐中電灯とかであろうと思ったし、地元の人も大半は、そう信じていた。

事実、廃墟と化した旅館は、道路から見えること等とあいまって、

「幽霊が出る旅館の廃墟」

として、肝試しスポットとして有名になっていった。