一人暮らし兄は30匹のピラニアを飼っていた。
ある日俺が兄の家に遊びに行くと部屋で死んでいる兄と引っ繰り返った水槽が。
兄の腐敗臭なのかピラニアの魚臭さなのかは分からないが部屋の中は物凄い異臭が立ち込めていた。

俺は呆然と立ち尽くすが息苦しさと気持ち悪さで慌てて窓を全開にする。
警察に電話するべきか親に連絡するべきか今後のことを考えるとピチャピチャと水の音が聞こえてきた。
水槽の破片・・・その中にちょっとした水溜りが残っていてそこに一匹のピラニアが生存していたのだ。
おそらく、兄が倒れた時に水槽が割れ、他のピラニアが全滅する中運よくこの水溜りに放り込まれた一匹だけが奇跡的に今の今まで死なずにすんだのだろう。

弱ったピラニアはスレスレの少ない水の中、横になりながらパクパクしていた。
「よく死ななかったな・・・しぶとい奴だ・・・」
そのピラニアを見ると他のピラニアとは違う珍しい色をしたピラニアだった。


珍しいピラニア・・・そういう事か・・・
俺は警察に連絡した。