俺にも一つ、話させてくだされ。

これは、俺が学生の頃の話。
俺の故郷って糞が付くほど田舎なんだ。冗談抜きで今の時代にコンビニも無い様な所でな。
で、実家は糞が付くほど田舎の、更に廃れたきったねー神社なんだよ。

俺、学校に行くのにバス使ってたんだ。
田舎だからバス停の目印になるような物がうち位しか無くてな。
俺にとっては結構便利なんだが、何せ田舎の山奥でバス使う人間も限られててな。
乗る時も降りる時も俺一人だし、バスに乗ってる人も知ってる人ばっかりなんだよ。

だけどその日は少し違った。

学校の帰りにバスに乗るとさ、いつもは俺の貸切なんだ。
だけど珍しく人が居る。
いつも乗り降りに便利な先頭にさっさと座るから、あんまり良くは見てなかったんだが女の人みたいでな。

「珍しいなぁ」なんて思ったけど、部活の疲れもあってそれ程気にしないでイヤホンの音に意識を預けた。
車窓に流れる景色を眺めながら、もうすぐ家だって所まで来たから降車ボタンを押した。