東京のアパートF

10年程前,アパートが新築して1年半経った時に,若い夫婦が引っ越してきたそうだ。ほどなくして
その夫婦に子供が生まれた。だがしばらくして旦那が事故で亡くなり,奥さんが一人で育てていたんだが
育児ノイローゼか,旦那の死がショックだったのかわからないが,1才にも満たない赤ん坊と共に餓死して
死んだそうだ。旦那の保険金も入ってて家賃も滞納してないのに餓死で死ぬなんてありえないんだけど・・・と

俺は頭にきた!『なんでそんないわく付きの部屋を貸すんだ!!説明も無しに酷いだろうが!!』
『・・・2年程前に御祓いをしてそれ以降,現れなかったんです』と社長は,言い訳にもならない事を言う。
あきれて言葉が言えなかった。だが落ち着いて考えてみれば,俺は今日地元に帰るんだし二度と部屋には
行かない。あの部屋に帰るのは・・・そう,あの憎い上司だけ・・・
(ざまぁみろ,呪い殺されてしまえ)その時は,本気でそう思った。
俺は社長に,この事は誰にも,上司にも話さないでくれと念を押し,部屋の鍵を渡した。
『鍵がかかってないんで,オタク達でかけてください。鍵は俺の上司に連絡して俺から受け取ったと報告
しといてください』と伝えて不動産屋を出ようとした。扉を開ける時に社長が独り言の様に呟いた。

『・・・でも・・・おかしんですよね〜 ・・・出るのは3階じゃなくて4階なんですけどね〜・・・』

『・・・じゃあ・・・アパート全体に御祓いをした方がいいですよ・・・』
俺は,そう言って外へ出た。

地元に帰った次の日,会社に出勤して課長に事の顛末を話し(恐怖体験は言ってない)
10万は後日,返してもらった。
・・・ちなみにその後の上司は・・・会社で俺の斜め前の席で元気に仕事をしている。

長文,駄文,読んでくださり,ありがとうございました。