まとめたのだが、長くなってしまった。いくつかあるネタのうちで、
やはり切欠のようなものがいいとチョイスしたのだが、恐怖度は低めかもしれない。

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怖いもの知らずの友人Sが、肝試し行こうぜ、と僕を誘った。
この友人Sというのは、小学校の時から知っているいわゆる幼馴染なのだが、
あらゆる意味で怖いもの知らずで、クラスに一人はいる「無茶をする奴」だ。

別々の高校・大学に進学しても、友人Sと僕にはつきあいがあり、週一ぐらいで
飲んだりつるんだりしている。

くだんの肝試しには、Sと僕と、もう一人、
僕のバイト仲間で、フリーターのUも一緒に行くことになった。

Uと友人Sとの間に面識はなかったのだが、Sの誘いが「今から行こうぜ!」式の
かなり急なものであったため、「それなら今Uと遊んでるから……」と、
一緒することになったのだった。

飲み屋からSの家に行くと、Sの家の前に見慣れぬ車がとまっている。
どうやら、免許を取って車を買ったので、それを自慢したいがために
企画した「肝試し」であったらしい。

Uは無口で愛想がなく、一見ただの暗い人だ。
しかし実は重度の内気、人見知りなだけで、親しくなるとやや無口気味程度の人だった。

飲み屋から直行したために、僕もUも少し酔っていた。
特にUの方はややフラフラするほど酔っていて、飲み屋からSの家までの道中、
鼻歌まで歌っている始末であったため、大丈夫かコイツと思ったのを覚えている。
普段無口で暗い反動か、酒が入ると愉快な笑い上戸に変貌するのがUの常だった。