アタシ言いましたね。それはオマエがやったんじゃない、と。
あの心霊スポット地図に書かれてた事件の詳細読んだからって夢でも見たんじゃないか。
でもT君ブンブンブンブン首振って違う、違う、違う、言って聞かない。

両手の平をこう、こちらに向けましてね、襲い掛かるみたいにクッと指曲げてガタガタガタ震わせながら、

「感覚が残ってるんです、感覚が、感覚が!」

まあ、その時はアタシも用事があったし、それで終わったんですが
ややあって…T君ちょっとその家である騒ぎを起こしましてね、結局大学辞めちゃったんだ…。

T君その後どうなったかはわからないですし、アタシもあの時のことは誰にも言ってないですよ。
T君あれからすぐ家に帰って、一度も大学には来なかったですから、
サークル連中も詳しくは知らないんじゃないかな。

あいつは祟られたんだ、なんて、まあ間違いじゃないと思いますが、
もしそうだとすれば、自業自得とは言え祟られた人間ってのは哀れですよ。
思い出すたびイヤーな気分になるんですよね、ええ…。