ある冬の日ついに最悪の事が起こった。街の防災無線が子供の行方を捜している。
<K>がいなくなったんだ。あまりに遅いので親が学校に連絡したところとうに帰った、といわれたのだ。
折からの強い雨。公務員の俺の親父にはリンリン電話が舞い込み、コートを着て長靴を履いて出て行った。
顔を知ってるか、ときかれて俺は親父の車に乗せられた。行く先は当然川だ。既に先生や近くの同級生、警察・・・
台風みたいに人が集まってた。でも結局<K>は見つからなかった。河川敷にも何も無い。
ただ、橋桁には赤いペンキでマルが描かれ、その中には人の顔のような落書きがあったのを覚えている。

「行方不明」の貼紙も色あせた頃。
その落書きも消されたのか、もうあとかたも無かった。

それだけの話だ。
友達。ひょっとして<K>は今、その友達と一緒にいるのだろうか。