さっきまで自殺しようと考えてて、
まあいろんな人の声を聞きたいなあ、と思って、
東京からいろんな親戚に、電話してた訳ね。
そしたらさ、親戚と話しているうちに、
すうっと冷たい空気が流れてきたわけよ。
最初は単なる風穴だと思ってた。
でも、それがずっと吹く訳よ。
死にたい、死にたい、そう思っている間、ずっと吹いた訳よ。

親戚と話していた携帯と切った後も、それは続いてた。


「おじいちゃん、おじいちゃん、ごめんなさい」


無意識のうちに唱える間、そう呟いてた。
冷たい冷たい風が、私の泣きながらうずくまる膝に吹いた。
それはまるで、

「生きろ」

と吹いているようだった。
私はそれで、今のところ、自殺を控えている。
おじいちゃん。
それは生きろと言っているの?