私の父がまだ若い頃、猫を飼っていた。
その猫は和室にある押入れで寝るのが大好きで、いつもそこで寝ていたらしい。

ある朝、その押入れから「ジリリリリ!」と大きい音が聞こえて、父が中を見たんだと。
すると中で、猫が死んでしまっていた。
10年近く生きていたから、寿命だったみたい。
音の原因は、押入れにしまっていた電話やラジオが一斉に鳴り出したから。
父は「あの音は猫の最後の挨拶だったに違いない」って私に話した。

なぜなら押入れにしまっていた電話やラジオ、全て壊れていたもので、音が鳴る筈なかったのだから。