>474に似た話なのだけれど
3年前に祖父が亡くなった
頑固一直を字に書いたような人でとても厳しく、けれど子供好きのとても優しい祖父だった
家庭をかえりみない父親の代わりに、孫であるわたしたちに愛情を注いでくれた
寝たきりと苦しい闘病生活に気が触れてもおかしくない容態だったのに、最後まで正気だった
わたしの姉(長女)の結婚式間近になっての危篤状態に式を延ばそうかとの相談を、付き添いの祖母は優しく断り、
祖父も応えるように結婚式当日までは持ちこたえ、医師が死亡判断を下したのは式の二日後だった
意識不明が続き、息を引き取る間際にゆっくりと目を開け家族を見回し、母が、
「じいちゃん、がんばってくれてありがとう。無事に○○の結婚式が終わったよ」
というと、一仕事終えて安堵したような顔で静かに目を閉じた それが最後だった

不思議なのはここからだ
祖父が死んでから半年ほど経った時のことだ
大型の台風かなにかで、わたしの姉(次女)が住んでいる場所が水害に見舞われた
たまたま姉宅はたいした被害はなく、水害があったその夜も
いつもどおりに家族団らんをしていたら、姉の娘達が廊下からぱたぱたと姉に走り寄ってきた
「いつも寝てたじいちゃんがさっき、うちにきとったよ」
そうは言っても、玄関も開いた気配はなく、確認するまでもなく裏口も閉まっている
(寝てたじいちゃんて、もしかして……)と、姉は困惑しつつ、
子供に手を引かれて、その現場なるところへ出向いたらそこは廊下でなにもない
「寝てたじいちゃんて、死んだじいちゃんのこと?」と姉が聞くと、三歳と二歳の娘たちは
「うん、死んだじいちゃんがきてたよ」
となんの不思議もなく答えたそうだ

まだ幼い子供の言うことなのだけれど、わたしはきっと祖父が姉を心配してわざわざ
姉宅に様子を見に行ってくれたのだと信じている