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 その日は大晦日だった。父、母、祖母、弟、僕の5人はこたつを
ぐるっと囲み紅白歌合戦を見ていた。どうでもいい応援合戦
が盛り上がりを見せた頃、僕は祖母の様子がおかしいことに
気付いた。小刻みにプルプル震え出したかと思うと急に後ろに
倒れこみ、身をよじり、
「グ、グヌっ!クカ、クカカカカカカカ!」
と、もがきだしたのである。

父は、暴れのた打ち回る祖母を落ち着かせようと押さえ込み
母は救急車を呼ぶため電話へ駆け寄った。弟と僕はガタガタ
と震えるだけだった。