消2まで住んでた借家には庭があって、そこに犬がいた。
いつからいたのかはわからないけど、
物心ついたころには既にいた。
黒いシェパードみたいな犬で鹿のような角があった。
大きさは父親の車と同じくらいの大きさだった。
私が話しかけると「そうだ」とか「ちがう」とか、
低い声で短く返事をした。
私はよく背中に乗せてもらって
近所の牧場や材木置き場まで遊びに行った。
彼は姉や友人とも一緒に遊んだが、
私以外の人を決して背には乗せなかったので、
私が彼に乗り皆は自転車に乗って遊びに行くことが多かった。
彼は足が速いしかなりのジャンプ力があって、
町内で一番大きかった役場も簡単に飛び越えてしまう。
私は楽しみながらも、彼の背から振り落とされないように
一生懸命しがみついていた。