後にも先にも1度だけ体験した話しです。
10歳の夏休みでした。家には「チッチ」と「ポッポ」という2匹の子犬を飼っていました。
ある日「チッチ」が車に惹かれて死んでしまいました。子犬だし、田舎だったこともあり鎖などしていなかったから。
後悔しても元には戻らない。父から「川に捨てて来い!!」といわれ、犬の死骸を段ボール箱に入れ、家から歩いて20分位の所にある大きな川に
1人で捨てに行きました。夏の夕方6時過ぎだったと思います。
川にかかる橋の真ん中あたりに付いたときは大分薄暗くなり、辺りを見回し誰もいない事を確認して橋の上から段ボール箱を投げ捨てました。
段ボールがスーーと落ちてゆきます。「ボッチャン!!」川に落ちたその瞬間いきなり私の後ろから
「死んだんですか」と声がします。びっくりして後ろを振り向くと、青白ーい顔をしたボサボサの髪の女の人が私の顔を覗き込むようにしてもう一度
「死んだんですか」・・・私は恐ろしさのあまり声も出せずその場にしやがみこんでしまいました。
時間にしてどれくらい経ったか、恐る恐る目を開けるともうそこには誰もいません。
田舎の薄暗い電灯が点々とついているだけです。わき目も振らず一目散にその場から逃げ出しました。
その女の人の顔は、いわゆる映画や漫画に出てくる「幽霊」そのものの顔でした。