遠軽の話です。有名な岩に近いその家は一軒家。
 以前に住んでいた一家が夜逃げしたというその一軒家に住んだのが私の叔母である。
 住んでから半年間は何も起こらなかったらしい。
 しかし、半年過ぎてからおかしなことが起こり始めた。

 ・泊まりに来た友人が、夜中にタンスの戸が開き、中から着物を着た人がスーッと出てくるのを目撃。
 ・叔母が夜中にトイレに入ると、戸が開かなくなることがよくあった。たてつけの悪さが原因と思っていたが、ある時
  無理やり戸を押して開けた瞬間に向こうから戸を押す白い手が一瞬だけ見えた。
 ・夜寝ていると、枕の辺りがずっしりとへこむ。目を開けると、無精ひげを生やした男が腰掛けていて、時々「ふう〜」と
  ため息をつく。
  その男は、昼間、たまに家の前の通りを自転車に乗って家を覗きこむようにしながら通り過ぎることがあったという。
 ・夜中に壁が迫ってくるような錯覚を覚え、部屋を飛び出したことが数回。
 ・この家に引っ越してきたとき、手伝いの女性が具合が悪くなって倒れた。そして出るときもやはり手伝いが倒れた。
 
 私が聞いただけでもこれだけあります。この家に5年住んだ叔母は、きっとまだたくさんの話を持っているに違いありません。
 その家は比較的新しかったので今もあるかもしれません。人が住んでるかどうかはわかりませんが。
 私も一度泊まりましたが、別に何もありませんでした。しかし、一人でトイレに行くのが妙に怖くかんじられました。
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