『アラブ・イスラム地域における障害者に関する重要課題と障害者支援アプローチに関する研究』 | JICA研究所 - JICA
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2−1 障害排除の思想
※以下、抜粋※
障害は神からの罰であり、障害者と障害者の家族は軽蔑と恥辱の対象となる。
当然のこととしてその反応は障害者を目に見えるところから隠し、排除することである(※9)。
知的障害者や精神障害者の場合は、社会的な恥辱と家族への軽蔑はさらに深刻である。
モハメッドの教え、コーランやハディース(Quran and Hadith)(※10)の中にも障害者に対するイスラム教の否定的な態度をたどることができる。
コーランの75−76章では障害者は無力なものであり社会のお荷物であるとされ、
イスラム学者サラ・ヤシーンの解釈によると65−67章では障害は神の罰であり障害者と付き合うことは恥であるとされている(※11)。
一般的にはコーランでは障害者も平等に扱われるべきであるとされているが、
このようにイスラム教の教えの中の多くの箇所で障害者を差別的に扱う煮え切らない態度をとったことが原因で、
アラブの障害者は西洋文化の影響がこの地に及ぶまで恥辱の対象であり包み隠されてきた(※12)。

9 Oliver, M.(1990)、Ghali, A.(2001)、Turmusani, M.(2003)に引用されたものを抜粋。
10 Ali, A.(1991)やKhan, M.(1979)など、幾人かのイスラム研究者の見解を参考にした。
11 Turmusani, M.(2003)に引用されたものを抜粋。
12 Ibid. p. 53.