男女間の修羅場を経験した話を書きますよ

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/03(水) 23:10:45.19

誰も居ない部屋で独り、ボーっとしてると、あんなこともあったなぁ……
なんて懐かしい昔の記憶が蘇ってきました。
だから、なんとなく書いてみようかなと思った次第です。
昔のことなので、脳内で都合のいいように変換されているかも
しれませんが、とりあえず書いていきたいと思います。

よかったら、お付き合い下さい。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 01:52:59.58

>>380
そう解せないんです。理屈じゃないみたいですから。
――

そして遂に、彼女は学校にすら来なくなるわけです。

たまに来ているような気配はあっても、クラスには顔を出さないし
授業も出ない。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 01:53:48.36

だからボクも、さすがにもうダメだなとか思い始めたんです。

ところがある時、珍しくクラスに顔を出してボクの後ろに座る彼女の左手に
気づいたんですよ。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 01:55:14.19

なぜかその日までは分からなかったんですが、確かにあの指輪があることに。
しかもあの時のまま、薬指に……

だからボクは……やっぱり彼女には何か辛い事情があるんだ！
とか考えるようになったんです。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 01:56:23.16

それでまた虹ヲタと、メカ夫に相談したわけです。指輪のことも話して……

「おまえなあ、頭大丈夫か？」　虹ヲタが心配そうに言います。

「悪いことは言わん。やめとけ」　メカ夫が諭すように言います。

「今さらあのビッ……いや、彼女に近づいてどうするよ？」

虹ヲタはさすがにイラっときたのか、暗黙の禁止用語を
うっかりと言いそうになってました。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 01:57:53.91

「おまえが仲の良かった頃とは違いすぎるぞ。
　もう幻想を捨てて現実を見ろよ」

メカ夫も呆れたように続けます。もう全否定モード。

「でも、見てられねーじゃん。いっつも一人で……
　なんかあるんだよきっと。カワイそーじゃん」

ボクも必死でした。コイツらには分かって欲しかったんです。
たとえ協力してもらえなくても、コイツらには理解して欲しかったんです。
彼女を……

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 01:58:56.89

「おいおい、マジですかぁ～？」

肩をすぼめながら両手を天に向けて“やれやれ”という仕草を揃って
しながら、生暖かい目でボクを見つめる二人。
とか言いつつ、二人とも真剣に考えてくれることになりました。
やっぱり友達はありがたい。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 01:59:42.36

さて、考えるとは言ったものの何も浮かばない。

すると虹ヲタが、何だか怪しげな推理を展開し始めました。
手詰まりのボク達は、今は怪しさ満載の彼の推理に耳を傾けるしかありません。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:00:11.31

「きっと、どこかでフラグが立ったということだよね」

「フラグ？」　ボクとメカ夫が怪訝そうに繰り返します。

「映画を観に行って、指輪を買わされたところまでは
　問題なかったんだよね？」

虹ヲタは構わず持論を展開していきます。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:01:06.50

「なら、その周辺になにか選択肢があったハズ。
　おまえは“Bad Endルート”を辿ったんだよ」

「選択肢……？　ないなぁ。彼女に言われた通り、動いただけだし」

ボクは、正確性に自信のない記憶を辿りながら答えます。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:02:21.08

「じゃあ、環境変数だ。彼女の心境に変化を与える何かがあったハズだ」

コイツ……完全にギャルゲーとして考えてやがる。
でも、今はコイツしか頭を働かせてないから仕方ない。

「そういえば……気のせいかもしれないけど」

ボクは映画の一件よりも、更に古い記憶を辿ります。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:03:11.15

「なになに？」　二人が食いついてくる。

「彼女の家の前に、変な色のスクーターが停まってたことがあって……」

「それで」　話を聞く前からこれが原因、と決めて掛かりつつある様子の二人。

「そのスクーターを見た彼女が、急に黙り込んだことがあったんだ」

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:04:27.80

それは夏休み前のことでした。いつものように彼女を家まで送っていくと
いかにも柄の悪そうな目立つスクーターが停まっていたんです。

オーナーらしき人影は見えなかったんですが、彼女の顔がみるみる曇り
黙り込んでしまったわけです。
その時は「おや？何だろ？」くらいにしか考えなかったんですけど。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:05:53.59

「……むぅ、そのスクーターってカナブン色みたいなやつ？」

機械モノの記憶については
コイツの右に出る者はないメカ夫が言います。

「そうそう、ラメ入りグリーンみたいな色」

ボクの記憶はいつも曖昧ですが、さすがにカナブン色のスクーターは
しっかりと記憶に残ってました。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:07:04.12

「それなら、オレも学校の周りで何度か見かけたな。結構弄ってるヤツ
　だったから覚えてる」

さすがメカ夫だ。ノーマルではないところまで覚えてるらしい。
というか、あのカラーリングで、ドノーマルってことはないわな。

「……それだな」　虹ヲタが満足そうに頷きます。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:08:01.04

虹ヲタの推理では、そのスクーターのオーナーと彼女には何らかの
接点があり、彼女はそれを好ましく思っていなかったんだろうとのこと。

その件は、きっと学校では知られたくないレベルの話ではないかとの推理。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:08:58.43

というわけで、メカ夫が知り合いのショップ経由でカナブン色のスクーターを
追いかけてくれることになった。なんでも、あれだけ弄ってるならどこかの
ショップに頻繁に通ってるハズだ、という読みでした。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:10:14.32

何日かして、メカ夫がニヤニヤしながらやってきた。
カナブン号は読み通り、簡単に見つかったとのこと。
なんでもオーナーは、○○中学の卒業生で現在は高校を中退して何か
日雇いのような仕事をしているらしいとの情報だった。

面倒な輩が出てきたなぁ～、というのが正直な感想でした。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:11:21.78

メカ夫がカナブン号を追いかけてる間、虹ヲタはミドリの過去を洗っていた。
彼女と同じ中学出身の同級生から、知り合いの元教師、果ては親同士の
ネットワークにまで食い込んで調査してくれたらしい。
お前、卒業したら探偵事務所でも開設したらどうだ？

そこで分かったことは、噂を含めて次の通り。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:12:43.13

まず、彼女は中学の一時期、転校してくる前に荒れていたことがあったこと。
次に、父は再婚しており、義母の連れ子の義姉がいること。
そして、義母とは折り合いが悪いらしく、現在は義姉と二人で暮らしていること。
最後に、義姉とは非常に仲が良く、二人で外出しているところをよく目撃されていること。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:13:57.90

ここまでの調査で、カナブンと彼女の接点が分かりました。
転校前の中学が同じでした。
ボクは、さすがに彼女の転校前の状況は知らなかったです。
それどころか、お義姉さんと住んでる、なんてことも初めて知りました。
彼女とは４年くらい近くに居たわけですが、そんなことは全く知らなかったですよ。
うぅぅ……

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 02:14:40.29

支援！

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:14:44.23

そこで、ボク達三人が想像したストーリーは次のようなもの。ありきたりですが。

親の再婚
　↓
義母と折り合い悪し
　↓
娘荒れる
　↓
不良グループへ
　↓
更正して転校
　↓
高校入学
　↓
昔の仲間登場
　↓
再び荒れ始める ← 今ココ

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:15:55.18

>>401
感謝！
――

となると、昔の仲間とやらを何とかすればよいのでは？　なんですけど。
ここで三人は悩むわけです。
サッカー小僧とピザとメカヲタのトリオでカチコミとか、ありえんわけですよ。
ヘタすりゃ命だって危ない気がするじゃないですか。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:16:43.46

ボクはさておき、あとの二人は縁もゆかりもナイ女子のために命は
張れませんですよ。
いや、ボクだってそこまでの覚悟はないかもです。すいません。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:17:36.08

そこで、とりあえずカナブンは置いといて義姉に接触をして事情を聞こう
となったわけです。
もし、どんな形であれ、今はカナブンと、よろしくやってるのだとしたら
ボクの出る幕ではありません。まったく余計なお世話でしょうし
馬に蹴られて死ねるレベルです。

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 02:18:33.99

トリオ、かんばれ。って感情移入しちゃうね。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:18:36.34

それに、趣味の悪いスクーターのオーナーとかって、なんか物騒な感じがする
じゃないですか……すいません。ヘタレで。

とは言うものの、義姉の歳がいったいいくつなのかも知らないし
学生なのか仕事をしてるのかも分からない、そういえば、ボクはミドリの
家の場所は知ってても、電話番号は知らないんです。

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 02:18:47.40

後藤ちゃん支援

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:20:49.47

>>406
立派な、ダメンズなわけでして……
>>408
恐縮です。
――

というわけで、彼女の自宅を急襲、いやノンアポで訪問することにしました。
時間は彼女が家にいない時間の方がいいかと思って、まず金曜の午後
授業はサボりました。一度目は空振りです。

次は月曜日の午前。二度訪問の訪問です

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 02:22:52.95

やっと追いついた
がんばれー

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:24:10.02

>>410
ありがとうございます。
――

ボク達三人は、制服のシャツをパンツにピッタリと入れて
全ボタンを締めて、ネクタイを首まで上げたサラリーマンスタイルで
彼女の家の玄関前に立つわけです。

「ピンポーン」　緊張の一瞬です。

「はぁ～い」

インターホン越しに若い女性の声。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:25:04.18

ボク達三人は「居たっ！」と喜びと緊張の混じった感覚で
小さくガッツポーズです。
この瞬間に「もう戻れないぞ！」と思ったのを覚えてます。
いわゆる「賽は投げられた」状態です。

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 02:25:54.10

おもしろいです

頑張れー

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:27:13.92

>>413
頑張りますー
――

「こんにちは。○○高校二年○組の山下と申します。
　妹さんの件でお話したいことがあります」

事前に何度も練習した言葉を噛まないように、マイクに向かって一気に話します。
ここで怪しまれては先に進むことができません。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:28:53.20

「……今、開けますね……」

玄関に現れたのは、心配そうな表情の女性でした。
ボク達は、さっきインターホンに向かって言ったことと同じ内容のことを
言いました。大事なことなので２回言ったわけではありません。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:29:50.24

すると女性は、ここでは話がしにくいので近所のファミレスで
待っていて欲しいと言うと、家の奥へと消えていきました。

指定されたファミレスで待つこと約30分、先程の女性が現れました。
ボク達三人は直立してから90度の礼でお迎えします。百貨店の店員並だし。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:31:08.58

不安げな表情の女性が自己紹介をしてくれました。

「はじめまして、ミドリの姉の○○です」

普段はダラダラしてる３人ですが、この時はできるだけ好印象を与えようと
いつもの３割増くらいの気合で話します。面接の要領です。

「ミドリさんと同じクラスの山下、虹ヲタ、メカ夫です」

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:32:30.27

「妹のことでは、ご心配をお掛けしてすいません」

本当に申し訳なさそうに、お詫びをする女性。
そんなに謝られたら困ってしまいます。別に彼女がボク達に
迷惑をかけたわけじゃないですし、今の状況だってボク達、いやボクが
勝手にやってて、残りの二人は渋々つき合ってくれてるだけなんですから。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:33:07.71

虹ヲタとメカ夫は、黙ってこっちを見る、
どうやら、ここから先はボクのターンらしいです。
ボクは相当テンパっていたので、何をどう説明したのか覚えていないです。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:33:58.48

それよりも、まず自分がいったい何をしたいのかが
自分でもよく分かっていなかったから。
でも、内容は伝わらなかったかもしれないけど、必死さは
伝わったんじゃないかと思います。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:35:06.57

「あなたが山下さんだったんですね。妹からよく話を聞いてましたよ。
　中学の頃からね。そういえば夏休み前かな、あの子、その頃すごく
　楽しそうだったんだけど……」

非常に辛いところから話は始まりました。
そこを突かれると、ちょっと心が痛いです。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:35:58.81

なんだか気まずい雰囲気が漂い始めたんですが、ボクは三人で
事前に打ち合わせたシナリオ通りに進めます。

「彼女に何があったのか、ご存じないですか？」

直球勝負です。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:36:44.92

お義姉さんからは一瞬の間を置いて、一見関係のないような言葉が出てきました。

「実は私、来年結婚するんです」

「はい……？」

話の流れが掴めず戸惑い、顔を見合わせる三人。

「私、あの子と二人で住んでるから、あの子一人になっちゃうのよ」

その言葉で事情が分かりました。
そうでした、この姉妹は二人で住んでいたのでした。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:37:41.48

「それが悲しいと（ああなるのか？）」

ボクは言葉の後半部分を飲み込んだ。

「それを伝えたのが、ちょうど夏休みだったかな。
　あの子ショックだったみたいで……それと……」

お義姉さんは、言っていいのかどうか躊躇う様子。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:38:34.08

「彼女の昔の仲間のことですか？」

ボクは思い切って言ってみた。この辺が核心になりそうだったので。

「……そう、知ってるんだ……」

お義姉さんは、ポツリポツリと噛み締めるように説明してくれました。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:39:46.13

妹、つまりミドリは、父の再婚をきっかけに荒れていた時期があったこと。
（荒れていたといっても、派手な格好で、似たような子が集まった
　グループに居ただけとの説明です）

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:40:09.29

義母との折り合いが悪いせいで、今は両親とは別居状態であること。
妹の前に現れたのは、たぶん荒れていた時期の仲間だと思うけど
転校後、昔の仲間とは全く付き合いがなくなっていること。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:41:04.72

だから、そいつにしてもストーカーみたいに付きまとっているだけで
妹も困っているハズだと。

ボク達三人は、まだ釈然としない表情だった。

今の説明を聞いても、彼女が華麗な変身を遂げた合理的な説明が
つかなかったから。

そして、お義姉さんは続けます。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:42:08.74

「あの子、ひとりでスゴく不安なんだと思う……中学の頃も……
　お父さんの再婚からあんなふうになっちゃったし……
　たぶんだけど……あの子、一人になりたくないんだと思う。
　だから、誰かに助けて欲しかったんじゃないかと思うの。
　夏休みの間もずっと山下さんからの連絡を待ってたみたいだったし」

この言葉を聞いて、三人がビクッと固まります。ボクは頭を抱えます。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:43:05.81

虹ヲタとメカ夫の目が痛い。どうやらボクは彼女に期待させるだけ
期待させて肝心な時に逃げてしまったことになっているようです。
しかも、絶望まで与えてしまった様子。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:44:04.31

激しく落ち込むボクと、それを責める視線の二人を見て
お義姉さんは慌てて言葉を続けます。

「違う違う、山下さんを責めてるわけじゃないのよ。
　私がいけないんだから……今回は、私が居なくなることが凄く不安
　なんだと思うの。
　そこに、現れて欲しくない昔の仲間が現れたりしたから、あの子は
　もうどうしていいのか分からなくなって……」

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:45:00.38

それで、転校前の頃みたいになってしまったと。

その時は結果として、お義姉さんが自分を救ってくれたという一種の
成功体験みたいなモノが、彼女の深層心理にあるのかもしれない。

ということは、今回も誰かが彼女の前に現れて彼女を絶望の淵から
救ってあげないといけない。それがボクでいいのか……？

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:45:59.42

重い空気が４人を包んでいる。虹ヲタとメカ夫の目がボクに
鋭く刺さっている。痛い。
彼らの目は「お前が悪い」という非難の眼差し。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:46:48.23

そうだろうな、彼女が一番助けを必要としていた時期にその期待を
裏切って逃げ回ってた奴が、誰あろうボクなんですから。

でも、言い訳をさせてもらえるなら、ボクはその辺りの事情を全く
知らなかったわけで……

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:47:38.86

知ってたら、絶対に彼女を助けに行きましたよ。
逃げたりなんてしません。たぶん……

沈黙に耐えられなくなった虹ヲタが、口を開きます。

「お義姉さん、大丈夫ですよ。
　妹さんのことは“コイツ”に任せてください」

って、えっ？　ボク？　ですか？

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:48:24.59

メカ夫が続きます。

「そうですよ“コイツ”なら絶対に妹さんを元気な姿に
　戻せますから。もちろん、ボク達も手伝います」

やっぱり、ボクなんですよね？

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:49:27.04

自信満々で無駄に力強い言葉を聞いて、お義姉さんは安心したような
不安なような複雑な表情をしてました。

あと一押し、ボクの決意表明があれば、その表情が少しだけ安心側に
振れそうな雰囲気なんですが……

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 02:50:07.05

うむ、頑張って欲しいわ

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:50:16.55

基本的にヘタレなボクは、なかなか言葉が出ないわけです……

もう友達二人は怒りの目になってます。爪でテーブルをカチカチと
叩き始めています。テーブルの下で足も踏んづけてきました。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:51:14.33

>>438
もうちょいで頑張れそうです。
――

『いい加減、覚悟を決めろ！』という声が聞こえてきそうな目と
態度だったです。
お義姉さんはというと、期待と不安に満ちた目でボクを見つめてます。
三人の視線に後押しされて、ついにボクはその決意を口にすることに
なります。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:52:21.91

「ボク、彼女を助けたいんですっ！
　余計なお世話かもしれないけど……」

「山下さん……」

お義姉さんの顔が一瞬、輝いたように見えました。

決意表明、所信表明演説、なんでもいいから更に続けます。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:53:12.08

「今日は、お義姉さんにそれを伝えたくて会いに来たんです。
　だから……彼女にもう一度笑って欲しいから……
　精一杯やってみますっ！」

虹ヲタとメカ夫が大きくうなずき、テーブルの下で拍手したように
見えました。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:54:04.51

お義姉さんは、号泣状態でボク達三人の手を取って喜んでくれました。
あの子をよろしくお願いしますと、深々と頭を下げて帰っていきました。

言っちゃったよな……こりゃ責任重大だぞ……
他人の人生背負っちゃった感じだし。
ボクと二人の友達は自分達の発言の重さに、かなりビビッてました……

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:55:25.96

切りのいいところまで投下できましたので
続きは明日ということで、お願いいたします。

それでは、おやすみなさい。

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 02:56:36.67

乙！
明日も読みます

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 02:59:07.79

>>445
長時間お付き合いいただき、感謝です。

明日も来るのは、夜になると思います。

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 03:02:39.49

乙！
まってます

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 03:07:19.41

おつ！

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 03:08:06.46

乙でした！
昨日も寝不足で今日も寝不足だ…

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 03:08:14.48

メスの心理なんてわかんねーなー

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 03:24:17.45

お疲れ様です!話の中に引き込まれるわ

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 03:55:50.61

読みやすいよ明日も待っている！

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 04:25:28.01

追いついた。
今晩が楽しみだ。

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 04:29:11.12

乙です！明日も宜しくです！

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 05:10:47.90

独特の文体で読ませるな～。
癖になりそうw

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 06:56:55.81

これは面白い話支援
パンツいつはけばいい？

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 07:29:45.38

まだまだノーパンで過ごすのさ。

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 07:41:19.05

お前らはパンツなんて履いてなくても生活に支障ないだろ

窓から捨てろ！

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 11:29:58.03

今北産業

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 14:26:34.45

ダラダラ、ナルシスト、ありきたり過ぎて却って珍しいくらい陳腐な表現と展開の羅列
どこをどうひっくり返しても物書きが生業ではない
肝心の文章がゴミだから

こいつ前にも似たような創作して叩かれていたが、そこにもあったお気に入りの表現、まんま今回も流用とか
しかもそれが滑る滑る
それが大した進歩もしてないのに急にウケてるな
不思議でならん

お前ら普段どんだけくだらねぇ本読んでるんだ？

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 20:35:40.41

続きが楽しみだー！

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 20:39:05.04

今日も来るよな、待ってるぜい。

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 20:40:55.52

俺は読んでるからな
支援保守

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 22:43:14.65

待ってるぞー

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 23:04:51.56

あれ、今夜は無いのかい？

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 23:15:40.76

深夜に始まるのさ。大人の時間に。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 23:45:34.19

こんばんは。

そろそろ投下を始めたいと思います。
たぶん、今回で終われる予定です。

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 23:46:45.64

きたな！

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 23:48:10.68

昨日の続きからです。
――

それからボク達三人は、ファミレスに残って今後の作戦会議。
やっぱりカナブンとの対決は、避けれそうにないことが分かったけど
どうすればいいのか具体策はなかった。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 23:48:58.67

>>468
きました！　ちょっと遅くなりましたけど。
――

それに彼女の本当の気持ちが分からない以上、万一、カナブンを
退治できたとしても、その後に「余計なことをしてっ！」恨まれる
可能性もゼロじゃない。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 23:49:58.95

というわけで、やっぱり彼女本人と話をしなきゃ始まらないという
結論になりました。なんというか……あまりにも当然の結論です。
って、最初に気づけよ。
いや最初に、やったけどダメだったんだってば。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 23:50:45.46

そして、カナブン退治に彼女が同意すれば、もう直接対決しかないとなった。
う～ん、正直なところ気が重い。鬱だし。

ボク達は、さっき聞いたお姉さんの携帯に連絡して彼女にボク達が話を
したがってることを伝えてもらうことにした。あとは明日。

**名も無き被検体774号+** · 2012/10/06(土) 23:50:53.38

待ってたぜ！

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 23:52:07.56

>>473
お待たせです。
――

翌日、彼女は遅刻せずに登校してきました。
ボク達を探すように、クラスを見渡しながら入ってくると静かに自席に着く。

クラスの視線が、彼女に集中している。ちょっと可愛そう。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 23:53:09.47

ボクは、これまでと同じように「おはよう」と言い
続けて「昼休みにＰＣルームで」と告げました。

反応はなかったけど、とりあえず伝わったと思う。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 23:53:56.19

それからの時間、ボクの緊張はどんどん高まることになります。
背中に彼女の視線が刺さっている気がします。気のせいかもしれないけど。
休み時間には後ろを振り返り、適当に話をしているフリを続けます。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 23:54:47.18

そうしないと、彼女は一人になってしまいますからね。それは辛いでしょう。
彼女は返事はしませんが俯きながらも、上目遣いに視線を送ってくれます。
それは、きっと期待している証拠。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 23:55:31.40

お義姉さんから大方のことは、聞いているに違いないし。
ボクは彼女に期待されているという嬉しさの反面、これから自分に
起こるであろうことへの不安でいっぱいでした。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 23:56:31.28

緊張の昼休み。

ボク達三人はＰＣルームでパンをかじりながら待っていました。
すると、扉が少しだけ開いて誰かが中を伺っている気配。
ボク達はできるだけ明るい声で彼女を迎えます。

**バース** ◆H0fjJ5ft/U · 2012/10/06(土) 23:57:19.17

「ミドリかな？　待ってたよ」

その声に促されて不安げに、そしておずおずと入ってくる彼女。
しかし、姿と表情がこれだけギャップのある子もないよなぁ。
ビッチスタイルなのに不安気って、やっぱり相当無理してるんだな。