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男女間の修羅場を経験した話を書きますよ

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0001バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/03(水) 23:10:45.19ID:KLGvIiLq0
誰も居ない部屋で独り、ボーっとしてると、あんなこともあったなぁ……
なんて懐かしい昔の記憶が蘇ってきました。
だから、なんとなく書いてみようかなと思った次第です。
昔のことなので、脳内で都合のいいように変換されているかも
しれませんが、とりあえず書いていきたいと思います。

よかったら、お付き合い下さい。
0329名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 00:56:13.82ID:DTR3B3F+0
寝れないじゃないか…

続けたまえ
0330バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:56:49.14ID:SXx2AtTZ0
>>328, 329
ありがとうございます。
――

実はボク、女性の香りにも弱いんですよ。
家族にも親類縁者にも年配の女性しかいないもんで、若い女性のシャンプーとか
化粧品系の匂いがすると、なんだか興奮してしまって(笑)
立派な変態ですね。
0331バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:57:47.25ID:SXx2AtTZ0
彼女は「これカワイイ!」「これもカワイイ!」と結構楽しんでたようでした。
ボクはドキドキしかしてませんでしたが。

そのうち、ショーケースに入ったモノを見て立ち止まり
ちょっと、はにかむように言うんです……
0332バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:58:37.12ID:SXx2AtTZ0
「これ買って!」

彼女が指をさしている先に何があるのか覗くと……うぉっ指輪だ。

その瞬間、アドレナリンが大量に放出されました。
だから体の痛みどころか、財布の痛みも感じません。完全無痛です。
0333バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:00:11.67ID:SXx2AtTZ0
彼女がどんなつもりだったのかは知りませんが、こうなったら買うしかないでしょう。
もう全力で貢いじゃいますよ。
たとえ財布が空になって徒歩で帰るハメになってもね。

いや、もう徒歩はイヤだな……
0334バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:01:40.58ID:SXx2AtTZ0
というわけで、ボクは細くて上品な感じの捻り模様のシルバーリングを
買うことになりました。
いくらだったかな? その場で払えたから、せいぜい数千円じゃなかったかと
思います。バイト代は、こういう時に使ってこそですよ。
0335バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:02:48.18ID:SXx2AtTZ0
彼女はスゴく喜んでくれて、店員さんに「今からつけていきますっ!」
と言うと、スッと自分の左手の薬指にそれをはめたんです。

そして一言。

「ありがとう! ずっと大切にするねっ!」
0336バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:03:34.20ID:SXx2AtTZ0
ボクは舞い上がりました……
もう鼻血が出そうなくらい、顔が熱くなるのを感じましたです。

その後は、二人で色んな店を廻ったり、いわゆるスイーツを食べたりして
楽しい時間を過ごしました。楽しかったなぁ〜
0337バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:04:16.68ID:SXx2AtTZ0
さてこうなると、ボクとミドリが付き合うようになるかと思いますよね?

それがならなかったんですよ。

いい雰囲気まではいくんですが、最後の一歩が踏み出せない。
一言が言えない……
0338バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:05:17.37ID:SXx2AtTZ0
仲のいい友達であった期間が長ければ長いほど、そうなんじゃないかと思います。
告白した瞬間にそれまでの関係が、いい方向、悪い方向にかかわらず変わるのが
怖いんですよ。
0339名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 01:06:19.85ID:SUP7ftQ20
うおー
頑張れー
0340バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:06:29.64ID:SXx2AtTZ0
だから、ずっとこのままの関係が続けばいいな
とか思ってしまうわけでして……逃げですね。

それにブランクの一年間が、ボク(彼女も?)を
必要以上に臆病にしてたのかもしれません。
0341バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:07:43.33ID:SXx2AtTZ0
>>339
頑張ります! って、今のボクじゃないですね。
――

結局、二人には何の進展もないまま、高校二度目の夏休みへと突入します。
0342名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 01:08:49.84ID:tA6KMPQO0
おれの中ではイケメン
0343バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:10:24.57ID:SXx2AtTZ0
>>342
だといいんですけどね。高二でデート2回ですから……容姿は……
――

これで、第三部は終わりです。

書いてて思ったんですが、結構イライラする展開ですよね(笑)
シャキっとせい! と当時の自分に言いたくなりますわ。

実際、この時ボクがシャキっとしなかったせいで、この後
彼女が、とんでもないことになっていくわけです……
0344名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 01:12:03.89ID:SUP7ftQ20
1と年代同じなせいか
気持ちわかる気するわ
0345名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 01:12:31.15ID:tA6KMPQO0
いや、いい奴だなー、って思ってるけど。
0346名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 01:14:59.97ID:WoeqsZ2e0
追い付いたけどね、修司先生
0347 忍法帖【Lv=21,xxxPT】(1+0:8) 2012/10/06(土) 01:16:35.71ID:zXLsU4s/0
確かにやきもきするな
女って言葉にして伝えないと分からないからなー第四部待ってる!
0348バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:16:37.06ID:SXx2AtTZ0
>>344
あの頃は楽しかったですよね。夢がありましたよ。
>>345
悪い奴ではないと思いますよ(笑)
>>346
机の人ですかね?

それでは、第四部、投下します。
ちょっと長いかも。
0349バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:18:10.66ID:SXx2AtTZ0
>>347
そうですよね〜
向こうから来れば楽なんですがね(笑)

さて、行けるところまで行きます。

―― 第四部 豹変 ――

夏休みの間、ボクは部活と塾の夏期講習、そしてバイトで滅茶苦茶忙しかったです。
午前中は部活、昼飯もそこそこに塾へ、そして夜はバイト。
課題も信じられないくらいの量が出されるので、それを片付けるだけでも
毎日日付が変わるくらい机にへばりついてました。もうヘトヘトでした。
0350名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 01:18:57.01ID:uC5k3G1T0
四部キター!
0351バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:19:23.44ID:SXx2AtTZ0
彼女のことは凄く気になるし、メールだけでもしたかったんですが
忙しいからと自分に言い訳をして、結局一度もメールしなかったです。
我ながら情けないくらいヘタレ。
0352バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:20:23.09ID:SXx2AtTZ0
>>350
長いので、途中で落ちるかもですが、頑張ります。
――

そう言えば、ミドリからもメールも電話もなかったです。
彼女も忙しいんだろうなと、思ってたんですがね。

ところが……
0353バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:21:35.81ID:SXx2AtTZ0
新学期が始まって、ボクは愕然とすることになります。
もうね、本当に驚きましたよ。顎が外れるくらいポカーンとしたです。

なぜなら彼女の髪が、みごとな金髪に変わっていたから。
0354バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:22:35.35ID:SXx2AtTZ0
しかも服装は、ビッチそのもの。

制服のシャツのリボンは無くギリギリまで開襟状態、加えて膝上何センチよ?
みたいな超ミニ、そして化粧はケバく、若づくりしたAV女優みたいでした。
0355バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:23:23.89ID:SXx2AtTZ0
驚きのあまり声の出ないボクの後ろにドスンと座ると、不機嫌そうに終始無言。
ボクとは目を合わさない。ボクは何か言おうとするんですが、全く言葉が出ない。
池の鯉のように、ひたすら口をパクパクするばかりです。
0356バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:24:30.03ID:SXx2AtTZ0
周囲が、ヒソヒソと騒がしくなったところに教師が慌ててやってきて
彼女は職員室へ連行されていったです。
0357バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:25:31.17ID:SXx2AtTZ0
ボクの部活以外の数少ない友達が、慌てて寄ってきました。

コイツらには1年前の件も、病院でのことも、映画デートの話もしてあって
休み中に何度も「今日、告れ!」「明日、告れ!」と突かれていましたから。
0358バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:26:55.98ID:SXx2AtTZ0
「何があったんだ?」

まず寄ってきたのが、二次ヲタ。
三次には興味がない、と常々豪語している悲しいピザ。
中学の頃からの数少ない友達の一人。去年のマネージャーさんの件も
ちょくちょくと相談していた奴。筋金入りのヲタだがイイ奴だ。
0359名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 01:27:21.82ID:tA6KMPQO0
その豹変が>1のせいなのか?いや続きを待つ。
0360バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:28:59.45ID:SXx2AtTZ0
>>359
この時点では、全く不明なんです……
ボクのせい……でも、あるようで、ないようで……
――

ゲーム(特にギャルゲー)とパソコン一般に詳しい。
エロゲーとギャルゲーの違いを語りだしたら止まらない。それって違うのか?
悪いが今後、虹ヲタと呼ばせてもらう。
0361バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:30:09.84ID:SXx2AtTZ0
「なんかスゲーものを見た気がするぞ。おまえ何も知らないのか?」

こいつはメカフェチ。生き物には興味がないと宣言している。
機械モノをこよなく愛する変態。
虹ヲタとの部活繋がりで親しくなった奴。成績優秀。イケメン。
0362バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:31:11.77ID:SXx2AtTZ0
好みのタイプは“美少女型アンドロイド”らしい。
よく知らんが名前もついているみたいだ。バカだし……
僻地から通学してるせいで、正式にバイク通学が認められている羨ましい奴。
今後、メカ夫と呼ぶ。
0363バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:33:04.89ID:SXx2AtTZ0
ボクは驚きで言葉を失っていて、もう気絶しそうなくらいでした。

そりゃそうでしょう、人生初の楽しいデート相手であった美少女が
一瞬にして見事なビッチに変身したわけですから。
0364バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:34:17.91ID:SXx2AtTZ0
だから、落ち着いてからゆっくり話そう、ということになり昼休みに奴らの
所属するパソコン部の部室に集合することにしました。

部室と言っても授業で使うパソコンが並ぶ、ただのPCルームです。
専用の部室じゃありません。
0365バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:35:20.17ID:SXx2AtTZ0
このPCルームでは、虹ヲタのせいで何度冷や汗をかかされたか分からない。

壁紙がエログロ画像とかは当たり前で、
エラー音が『お兄ちゃん、やめて!』だったり
いつの間にか全端末にチャットソフトがインストールされて、授業が
チャット大会になったこともあった。
0366バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:37:03.78ID:SXx2AtTZ0
そんなバカ話は、さておきミドリの件。
二人ともボクに気を使っているのか、非常に言いにくそうに話を進めるけど
要は「男ができたから諦めろ」と言いたいらしい。
0367バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:38:27.14ID:SXx2AtTZ0
ボクだけは希望的観測を含めて、ちょっと違う気がしてました。

もし彼ができたのなら、不機嫌な理由が分からない。
少なくとも夏休み中にできた彼なら、今はラブラブの真っ最中だと思うわけで。
ボクの知ってる彼女は、そんな子だったハズだから。
0368バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:39:20.00ID:SXx2AtTZ0
そういうと、三人とも考え込んでしまった。

男三人で話していても埒があかないということで
とりあえずメールしてみようとなったわけです。
……返ってきたのはデーモンでした。またかよ。
0369バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:40:02.10ID:SXx2AtTZ0
それじゃあ電話してみようとなった。
……着拒否。こっちもか。

それならと虹ヲタの携帯を借りて掛けてみた
……出ないし。
0370バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:40:57.16ID:SXx2AtTZ0
結論としては、理由は不明だけど完全に嫌われたんだろう
ということで落ち着きました……(合掌)
0371名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 01:41:39.09ID:EnRze/Yt0
明日休みだから最後まで付き合うぞ!
0372バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:42:11.96ID:SXx2AtTZ0
>>371
ありがとうございます。
――

生徒指導の成果なのか、その後の彼女の髪は金髪から汚い茶髪に変わってました。
ギリギリ通学可能な範囲の色に落ち着かせたんでしょうね。
短期間に染めを繰り返したせいか、なんだかバサバサで纏まりがなく
とても残念な感じ。
0373バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:43:05.43ID:SXx2AtTZ0
相変わらず不機嫌な黒いオーラを360度、全方向に発散していて近寄り難かったし。

それでもボクは勇気を振り絞って、毎朝というか彼女が登校してくれば
たとえそれが昼でも「おはよう」だけは言ってましたよ。

当然、何の反応もないんですが。
0374バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:44:54.89ID:SXx2AtTZ0
そのうちに、次の変化が現れることになるんです。

彼女が、校内でも面倒なグループと言われる男と次々と付き合っていく
ことになるわけです。これは悲しい。非常に悲しい。

元がカワイイ子ですからね。狙ってた輩は多かったんですよ。
弱っているところを狙うとか許せんですが……
0375名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 01:45:54.34ID:SUP7ftQ20
きっついな
でも分かるぞ
0376バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:47:08.74ID:SXx2AtTZ0
>>375
もう泣きそうでしたよ……
――

しかも、どれも長続きせず、次から次へと手当たり次第といった状態……
“食い散らかす”という表現がピッタリなわけでして。

こうなるとクラスだけじゃなく、校内でも有名になり始めて、
皆が彼女のことを「糞ビッチ」とか「サセ子」とか言うようになってましたね。

まあ、実際見た目も行動もその通りだし……
0377バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:49:03.44ID:SXx2AtTZ0
そのうち「兄弟にはなりたくねー」とか「病気とか、もらったら堪らん」とか
「メンヘラとか怖いじゃん」と校内で彼女を相手にする男はいなくなりました。
当然ながら女子も怖がって近寄らない。

そして彼女は、孤立していくんです……
0378バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:49:59.91ID:SXx2AtTZ0
噂はさらに加速し、高校生では物足りなくなりカネを持ったオッサンと
遊んでるとか、AVに出演したらしいとか、薬漬けでヤクザのオンナになった
なんて話もあるくらいなりました。
0379バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:51:06.32ID:SXx2AtTZ0
さすがにこうなると、ボクの友達も「アレは黒歴史だ。忘れろ」と直接的に
彼女を諦めるように言ってくるように、なっていきましたね。

コイツらが彼女の悪評を知りつつも、その内容を言わないでいてくれるのは
こんな状態でも、ボクに気を使ってくれているからでした。
0380名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 01:51:17.93ID:xNrhXI0M0
女ってこういうのがあるから解せぬのだよなー
そしてこういうことする子に限って素直じゃないと来たもんだ
0381バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:52:59.58ID:SXx2AtTZ0
>>380
そう解せないんです。理屈じゃないみたいですから。
――

そして遂に、彼女は学校にすら来なくなるわけです。

たまに来ているような気配はあっても、クラスには顔を出さないし
授業も出ない。
0382バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:53:48.36ID:SXx2AtTZ0
だからボクも、さすがにもうダメだなとか思い始めたんです。

ところがある時、珍しくクラスに顔を出してボクの後ろに座る彼女の左手に
気づいたんですよ。
0383バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:55:14.19ID:SXx2AtTZ0
なぜかその日までは分からなかったんですが、確かにあの指輪があることに。
しかもあの時のまま、薬指に……

だからボクは……やっぱり彼女には何か辛い事情があるんだ!
とか考えるようになったんです。
0384バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:56:23.16ID:SXx2AtTZ0
それでまた虹ヲタと、メカ夫に相談したわけです。指輪のことも話して……

「おまえなあ、頭大丈夫か?」 虹ヲタが心配そうに言います。

「悪いことは言わん。やめとけ」 メカ夫が諭すように言います。

「今さらあのビッ……いや、彼女に近づいてどうするよ?」

虹ヲタはさすがにイラっときたのか、暗黙の禁止用語を
うっかりと言いそうになってました。
0385バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:57:53.91ID:SXx2AtTZ0
「おまえが仲の良かった頃とは違いすぎるぞ。
 もう幻想を捨てて現実を見ろよ」

メカ夫も呆れたように続けます。もう全否定モード。

「でも、見てられねーじゃん。いっつも一人で……
 なんかあるんだよきっと。カワイそーじゃん」

ボクも必死でした。コイツらには分かって欲しかったんです。
たとえ協力してもらえなくても、コイツらには理解して欲しかったんです。
彼女を……
0386バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:58:56.89ID:SXx2AtTZ0
「おいおい、マジですかぁ〜?」

肩をすぼめながら両手を天に向けて“やれやれ”という仕草を揃って
しながら、生暖かい目でボクを見つめる二人。
とか言いつつ、二人とも真剣に考えてくれることになりました。
やっぱり友達はありがたい。
0387バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:59:42.36ID:SXx2AtTZ0
さて、考えるとは言ったものの何も浮かばない。

すると虹ヲタが、何だか怪しげな推理を展開し始めました。
手詰まりのボク達は、今は怪しさ満載の彼の推理に耳を傾けるしかありません。
0388バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:00:11.31ID:SXx2AtTZ0
「きっと、どこかでフラグが立ったということだよね」

「フラグ?」 ボクとメカ夫が怪訝そうに繰り返します。

「映画を観に行って、指輪を買わされたところまでは
 問題なかったんだよね?」

虹ヲタは構わず持論を展開していきます。
0389バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:01:06.50ID:SXx2AtTZ0
「なら、その周辺になにか選択肢があったハズ。
 おまえは“Bad Endルート”を辿ったんだよ」

「選択肢……? ないなぁ。彼女に言われた通り、動いただけだし」

ボクは、正確性に自信のない記憶を辿りながら答えます。
0390バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:02:21.08ID:SXx2AtTZ0
「じゃあ、環境変数だ。彼女の心境に変化を与える何かがあったハズだ」

コイツ……完全にギャルゲーとして考えてやがる。
でも、今はコイツしか頭を働かせてないから仕方ない。

「そういえば……気のせいかもしれないけど」

ボクは映画の一件よりも、更に古い記憶を辿ります。
0391バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:03:11.15ID:SXx2AtTZ0
「なになに?」 二人が食いついてくる。

「彼女の家の前に、変な色のスクーターが停まってたことがあって……」

「それで」 話を聞く前からこれが原因、と決めて掛かりつつある様子の二人。

「そのスクーターを見た彼女が、急に黙り込んだことがあったんだ」
0392バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:04:27.80ID:SXx2AtTZ0
それは夏休み前のことでした。いつものように彼女を家まで送っていくと
いかにも柄の悪そうな目立つスクーターが停まっていたんです。

オーナーらしき人影は見えなかったんですが、彼女の顔がみるみる曇り
黙り込んでしまったわけです。
その時は「おや?何だろ?」くらいにしか考えなかったんですけど。
0393バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:05:53.59ID:SXx2AtTZ0
「……むぅ、そのスクーターってカナブン色みたいなやつ?」

機械モノの記憶については
コイツの右に出る者はないメカ夫が言います。

「そうそう、ラメ入りグリーンみたいな色」

ボクの記憶はいつも曖昧ですが、さすがにカナブン色のスクーターは
しっかりと記憶に残ってました。
0394バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:07:04.12ID:SXx2AtTZ0
「それなら、オレも学校の周りで何度か見かけたな。結構弄ってるヤツ
 だったから覚えてる」

さすがメカ夫だ。ノーマルではないところまで覚えてるらしい。
というか、あのカラーリングで、ドノーマルってことはないわな。

「……それだな」 虹ヲタが満足そうに頷きます。
0395バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:08:01.04ID:SXx2AtTZ0
虹ヲタの推理では、そのスクーターのオーナーと彼女には何らかの
接点があり、彼女はそれを好ましく思っていなかったんだろうとのこと。

その件は、きっと学校では知られたくないレベルの話ではないかとの推理。
0396バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:08:58.43ID:SXx2AtTZ0
というわけで、メカ夫が知り合いのショップ経由でカナブン色のスクーターを
追いかけてくれることになった。なんでも、あれだけ弄ってるならどこかの
ショップに頻繁に通ってるハズだ、という読みでした。
0397バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:10:14.32ID:SXx2AtTZ0
何日かして、メカ夫がニヤニヤしながらやってきた。
カナブン号は読み通り、簡単に見つかったとのこと。
なんでもオーナーは、○○中学の卒業生で現在は高校を中退して何か
日雇いのような仕事をしているらしいとの情報だった。

面倒な輩が出てきたなぁ〜、というのが正直な感想でした。
0398バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:11:21.78ID:SXx2AtTZ0
メカ夫がカナブン号を追いかけてる間、虹ヲタはミドリの過去を洗っていた。
彼女と同じ中学出身の同級生から、知り合いの元教師、果ては親同士の
ネットワークにまで食い込んで調査してくれたらしい。
お前、卒業したら探偵事務所でも開設したらどうだ?

そこで分かったことは、噂を含めて次の通り。
0399バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:12:43.13ID:SXx2AtTZ0
まず、彼女は中学の一時期、転校してくる前に荒れていたことがあったこと。
次に、父は再婚しており、義母の連れ子の義姉がいること。
そして、義母とは折り合いが悪いらしく、現在は義姉と二人で暮らしていること。
最後に、義姉とは非常に仲が良く、二人で外出しているところをよく目撃されていること。
0400バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:13:57.90ID:SXx2AtTZ0
ここまでの調査で、カナブンと彼女の接点が分かりました。
転校前の中学が同じでした。
ボクは、さすがに彼女の転校前の状況は知らなかったです。
それどころか、お義姉さんと住んでる、なんてことも初めて知りました。
彼女とは4年くらい近くに居たわけですが、そんなことは全く知らなかったですよ。
うぅぅ……
0401名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 02:14:40.29ID:RnKAozPg0
支援!
0402バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:14:44.23ID:SXx2AtTZ0
そこで、ボク達三人が想像したストーリーは次のようなもの。ありきたりですが。

親の再婚
 ↓
義母と折り合い悪し
 ↓
娘荒れる
 ↓
不良グループへ
 ↓
更正して転校
 ↓
高校入学
 ↓
昔の仲間登場
 ↓
再び荒れ始める ← 今ココ
0403バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:15:55.18ID:SXx2AtTZ0
>>401
感謝!
――

となると、昔の仲間とやらを何とかすればよいのでは? なんですけど。
ここで三人は悩むわけです。
サッカー小僧とピザとメカヲタのトリオでカチコミとか、ありえんわけですよ。
ヘタすりゃ命だって危ない気がするじゃないですか。
0404バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:16:43.46ID:SXx2AtTZ0
ボクはさておき、あとの二人は縁もゆかりもナイ女子のために命は
張れませんですよ。
いや、ボクだってそこまでの覚悟はないかもです。すいません。
0405バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:17:36.08ID:SXx2AtTZ0
そこで、とりあえずカナブンは置いといて義姉に接触をして事情を聞こう
となったわけです。
もし、どんな形であれ、今はカナブンと、よろしくやってるのだとしたら
ボクの出る幕ではありません。まったく余計なお世話でしょうし
馬に蹴られて死ねるレベルです。
0406名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 02:18:33.99ID:tA6KMPQO0
トリオ、かんばれ。って感情移入しちゃうね。
0407バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:18:36.34ID:SXx2AtTZ0
それに、趣味の悪いスクーターのオーナーとかって、なんか物騒な感じがする
じゃないですか……すいません。ヘタレで。

とは言うものの、義姉の歳がいったいいくつなのかも知らないし
学生なのか仕事をしてるのかも分からない、そういえば、ボクはミドリの
家の場所は知ってても、電話番号は知らないんです。
0408名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 02:18:47.40ID:CH38FdCSO
後藤ちゃん支援
0409バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:20:49.47ID:SXx2AtTZ0
>>406
立派な、ダメンズなわけでして……
>>408
恐縮です。
――

というわけで、彼女の自宅を急襲、いやノンアポで訪問することにしました。
時間は彼女が家にいない時間の方がいいかと思って、まず金曜の午後
授業はサボりました。一度目は空振りです。

次は月曜日の午前。二度訪問の訪問です
0410名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 02:22:52.95ID:Wf7Czp0K0
やっと追いついた
がんばれー
0411バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:24:10.02ID:SXx2AtTZ0
>>410
ありがとうございます。
――

ボク達三人は、制服のシャツをパンツにピッタリと入れて
全ボタンを締めて、ネクタイを首まで上げたサラリーマンスタイルで
彼女の家の玄関前に立つわけです。

「ピンポーン」 緊張の一瞬です。

「はぁ〜い」

インターホン越しに若い女性の声。
0412バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:25:04.18ID:SXx2AtTZ0
ボク達三人は「居たっ!」と喜びと緊張の混じった感覚で
小さくガッツポーズです。
この瞬間に「もう戻れないぞ!」と思ったのを覚えてます。
いわゆる「賽は投げられた」状態です。
0413名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 02:25:54.10ID:C7IGUuFI0
おもしろいです

頑張れー
0414バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:27:13.92ID:SXx2AtTZ0
>>413
頑張りますー
――

「こんにちは。○○高校二年○組の山下と申します。
 妹さんの件でお話したいことがあります」

事前に何度も練習した言葉を噛まないように、マイクに向かって一気に話します。
ここで怪しまれては先に進むことができません。
0415バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:28:53.20ID:SXx2AtTZ0
「……今、開けますね……」

玄関に現れたのは、心配そうな表情の女性でした。
ボク達は、さっきインターホンに向かって言ったことと同じ内容のことを
言いました。大事なことなので2回言ったわけではありません。
0416バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:29:50.24ID:SXx2AtTZ0
すると女性は、ここでは話がしにくいので近所のファミレスで
待っていて欲しいと言うと、家の奥へと消えていきました。

指定されたファミレスで待つこと約30分、先程の女性が現れました。
ボク達三人は直立してから90度の礼でお迎えします。百貨店の店員並だし。
0417バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:31:08.58ID:SXx2AtTZ0
不安げな表情の女性が自己紹介をしてくれました。

「はじめまして、ミドリの姉の○○です」

普段はダラダラしてる3人ですが、この時はできるだけ好印象を与えようと
いつもの3割増くらいの気合で話します。面接の要領です。

「ミドリさんと同じクラスの山下、虹ヲタ、メカ夫です」
0418バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:32:30.27ID:SXx2AtTZ0
「妹のことでは、ご心配をお掛けしてすいません」

本当に申し訳なさそうに、お詫びをする女性。
そんなに謝られたら困ってしまいます。別に彼女がボク達に
迷惑をかけたわけじゃないですし、今の状況だってボク達、いやボクが
勝手にやってて、残りの二人は渋々つき合ってくれてるだけなんですから。
0419バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:33:07.71ID:SXx2AtTZ0
虹ヲタとメカ夫は、黙ってこっちを見る、
どうやら、ここから先はボクのターンらしいです。
ボクは相当テンパっていたので、何をどう説明したのか覚えていないです。
0420バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:33:58.48ID:SXx2AtTZ0
それよりも、まず自分がいったい何をしたいのかが
自分でもよく分かっていなかったから。
でも、内容は伝わらなかったかもしれないけど、必死さは
伝わったんじゃないかと思います。
0421バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:35:06.57ID:SXx2AtTZ0
「あなたが山下さんだったんですね。妹からよく話を聞いてましたよ。
 中学の頃からね。そういえば夏休み前かな、あの子、その頃すごく
 楽しそうだったんだけど……」

非常に辛いところから話は始まりました。
そこを突かれると、ちょっと心が痛いです。
0422バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:35:58.81ID:SXx2AtTZ0
なんだか気まずい雰囲気が漂い始めたんですが、ボクは三人で
事前に打ち合わせたシナリオ通りに進めます。

「彼女に何があったのか、ご存じないですか?」

直球勝負です。
0423バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:36:44.92ID:SXx2AtTZ0
お義姉さんからは一瞬の間を置いて、一見関係のないような言葉が出てきました。

「実は私、来年結婚するんです」

「はい……?」

話の流れが掴めず戸惑い、顔を見合わせる三人。

「私、あの子と二人で住んでるから、あの子一人になっちゃうのよ」

その言葉で事情が分かりました。
そうでした、この姉妹は二人で住んでいたのでした。
0424バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:37:41.48ID:SXx2AtTZ0
「それが悲しいと(ああなるのか?)」

ボクは言葉の後半部分を飲み込んだ。

「それを伝えたのが、ちょうど夏休みだったかな。
 あの子ショックだったみたいで……それと……」

お義姉さんは、言っていいのかどうか躊躇う様子。
0425バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:38:34.08ID:SXx2AtTZ0
「彼女の昔の仲間のことですか?」

ボクは思い切って言ってみた。この辺が核心になりそうだったので。

「……そう、知ってるんだ……」

お義姉さんは、ポツリポツリと噛み締めるように説明してくれました。
0426バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:39:46.13ID:SXx2AtTZ0
妹、つまりミドリは、父の再婚をきっかけに荒れていた時期があったこと。
(荒れていたといっても、派手な格好で、似たような子が集まった
 グループに居ただけとの説明です)
0427バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:40:09.29ID:SXx2AtTZ0
義母との折り合いが悪いせいで、今は両親とは別居状態であること。
妹の前に現れたのは、たぶん荒れていた時期の仲間だと思うけど
転校後、昔の仲間とは全く付き合いがなくなっていること。
0428バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:41:04.72ID:SXx2AtTZ0
だから、そいつにしてもストーカーみたいに付きまとっているだけで
妹も困っているハズだと。

ボク達三人は、まだ釈然としない表情だった。

今の説明を聞いても、彼女が華麗な変身を遂げた合理的な説明が
つかなかったから。

そして、お義姉さんは続けます。
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