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男女間の修羅場を経験した話を書きますよ

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0001バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/03(水) 23:10:45.19ID:KLGvIiLq0
誰も居ない部屋で独り、ボーっとしてると、あんなこともあったなぁ……
なんて懐かしい昔の記憶が蘇ってきました。
だから、なんとなく書いてみようかなと思った次第です。
昔のことなので、脳内で都合のいいように変換されているかも
しれませんが、とりあえず書いていきたいと思います。

よかったら、お付き合い下さい。
0300バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:16:11.38ID:SXx2AtTZ0
だから仲直りをしようと思ったのに、その頃にはボクが彼女を避ける
ようになってしまっていたとのこと。
何度か声を掛けようとしたけど、無視されるのが怖くてできなかったこと。

そして、そのままの状態で夏休みに突入したと。
0301バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:17:16.15ID:SXx2AtTZ0
そのうち、ボクがマネージャーさんと付き合い始めたこと聞いた時には
後悔とショックで、何日か学校を休んだこと……

ボクはマネージャーさんとの件は、やはりミドリには伝えておこうと思いました。
だから、おもちゃを受け取り、こう書きました。

「彼女には、結局許してもらえなかったよ」

「知ってる……」
0302バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:18:18.18ID:SXx2AtTZ0
彼女は、次にボクが何を書くのか待っています。
ボクはマネージャーさんにフラれたせいで、ミドリと再接近してるとか
思われたくなかったから、どうしても次の言葉が書けません。
0303バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:20:03.06ID:SXx2AtTZ0
本当は……

「ずっとミドリが好きだったことに、やっと気づいた……」

と書きたかったのに……
0304バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:22:14.82ID:SXx2AtTZ0
ちょうどその時、ボクの母親が、わさわさと病室に到着です。

「あんた大丈夫なの〜? もう、ほんっとに鈍くさいんだから〜」

愚痴モード全開で近づいてきてから、ミドリの存在に気づきます。
もうね、なんというタイミングの悪さ。わざとなのか?
0305バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:24:03.27ID:SXx2AtTZ0
「あっ、ミドリちゃん来てくれてたんだ。
 ありがとうね〜、ほんとコイツはダメよね〜」

母とミドリは知り合いというか、家も近所なのでお互い知ってるんですよ。
というか、帰れよ。頼むからさー
0306バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:26:04.01ID:SXx2AtTZ0
母は例のオモチャを見つけると

「何コレ? 懐かしいおもちゃじゃないの。ひょっとしてあんたたち
 コレで会話してた? へー、それでなんか進展があったわけ?」

場の空気を読まない爆弾発言を、かましてくれます。
ほんっとに帰って欲しいですわ。担任だって空気を読んだのに。
0307バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:27:39.97ID:SXx2AtTZ0
ミドリは顔を真っ赤にすると

「じ、じゃあ、今日はこれで失礼します!」

バタバタと慌てて病室を出て行きました。
0308バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:28:47.33ID:SXx2AtTZ0
「あれぇ〜? 母さん邪魔しちゃったかなぁ? ゴメンね〜」

ぜんぜん悪いと思ってない口調で、聞きもしないコトをさらに続けます。

「母さんはね、ミドリちゃんの方が好きだよ。えーっと、ユウコさんだっけ?
 あの子はイマイチね、あれは本気じゃないかもよ」

ズバリ核心を突いてきます。
うっ、と言葉に詰まるボク……って、今はしゃべれませんけど。
0309名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 00:30:26.49ID:SUP7ftQ20
さすが母さんだな
お見通しかよ
0310バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:30:34.45ID:SXx2AtTZ0
「まあ、決めるのはアンタだけどさ」

なんでコイツは、こんなに細かい状況を把握してるんだ?
ボクは不思議に思いましたよ。
ひょっとして、ボクの携帯とパソコンを毎日チェックしてるんじゃないだろうな?

確かに、母にはユウコさんと一緒に居るところを何度か目撃されたことは
ありましたけど。それだけで、この情報量とは……女の勘か?
0311名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 00:31:01.33ID:9COJbxQj0
お母さんエスパーかよwww
0312バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:33:35.15ID:SXx2AtTZ0
>>309氏、311氏
そうなんですよ。母は全体の最期の方で、また登場しますよ。
なかなかイイ奴です。
――

結局ボクは観察入院で1泊だけすると、翌朝には帰宅となりました。
学校には午後から登校となったんですが、意外にみんな冷静でしたね。
仲の良い友達以外からは、特に歓迎されるでもなく、心配されるでも
なかったですから。存在感が薄いと、こんなもんなんでしょう。
0313バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:35:44.16ID:SXx2AtTZ0
ミドリは歓迎してくれましたけどね。それで十分かな。

「今日もお見舞いに行ってあげようと思ってたのに
 退院したんだ〜 ざんね〜ん」

ボクも気の利いた冗談でも言えればよかったんですが、如何せん顎が痛い。
顎が痛くなくても、気の利いた冗談なんて言えたことはないんですけど。
0314バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:37:16.72ID:SXx2AtTZ0
こうして無事に和解したボクとミドリは、以前の関係に戻りました。
教室では笑い合い、部活の終わる時間が近ければ一緒に帰る日々です。

そしてボクの顎が完治した頃、彼女からメール着信。
メールにはカワイイ絵文字付きで、こう書かれてありました。
0315バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:38:17.86ID:SXx2AtTZ0
「お祝いにデートしてあげる(はぁと)」

そりゃ嬉しかったですよ。叫びたいくらい。
震える手で返信しました。

「よろしくお願いします」
0316バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:40:29.71ID:SXx2AtTZ0
恥ずかしながら、人生初のデートです。
いや、2回目か。でもあれは……やめておこう、胃が痛くなるし。

そういえば、外出用の服がない。前回は、慌てて春服を買いに行きましたが
今回は夏服です。デートは楽しみですけど、いちいち服が面倒だなと。
0317バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:41:58.72ID:SXx2AtTZ0
部活と塾以外で外出なんてしませんからね。学校は制服ですし。
サッカー用のジャージ系以外では、ヨレヨレのTシャツとボロボロのジーンズ
そして汚れたスニーカーが、ボクの持ってる夏服オールキャスト。
0318バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:43:08.62ID:SXx2AtTZ0
さすがに、これではマズイ。清潔感が皆無。これじゃ並んで歩く相手が可愛そうだし。
そして、妙なプリントや柄はハズレが怖いので、とりあえず地味な単色、無地
そして普通の形を購入。カモフラージュとか国防色なんて絶対買いませんよ。
0319バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:44:42.64ID:SXx2AtTZ0
スニーカーについては諦めました。当日にピカピカ新品ってのは
超気合が入ってるのが丸わかりで、さすがに恥ずかしいですからね。
とりあえず、これで準備完了です。
0320バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:46:33.42ID:SXx2AtTZ0
で、待ちに待った当日。もう、緊張して暗いうちから目覚めましたよ。
子供かってくらい。新聞すら届いていなかったです。

なぜか母は起きてましたよ。怪しいやつめ。尾行するつもりじゃねーだろーな。
0321バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:48:10.36ID:SXx2AtTZ0
待ち合わせは最寄り駅。ボクは、ひょっとして誰かに見られたら面白い
というか嬉しいというか、そういう妙な下心? みたいなものがありました。

他力本願的に噂になって既成事実化したら――その先の展開が――
とか思ってたんです。厨二病ですね。高二でしたけど。
0322バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:50:16.18ID:SXx2AtTZ0
さて、行き先はシネコンです。ロードショーです。アニメではありません。
ですが、映画の内容は全く覚えてません。
なぜならボクの頭の中は、勢いで買った巨大ポップコーンと、巨大コーラの
コンボを如何にして物語の終了までに、やっつけるかに集中していましたので。
0323名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 00:51:19.35ID:uC5k3G1T0
支援
0324名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 00:51:31.49ID:tA6KMPQO0
おもしろいです、楽しみで寝られないですよ。
0325バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:51:58.70ID:SXx2AtTZ0
>>323
感謝
――

そうして、ボクはミッションを無事完遂できたことに満足しながらシネコンを
後にしたわけです。
彼女は、映画の感動したシーンを楽しそうに話しているんですけど、ボクは
胸やけが酷くてそれどころではなかったのを覚えてます。
映画の内容は覚えてないのに。
0326バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:53:47.27ID:SXx2AtTZ0
>>324
ありがとうございます。楽しんでいただけて何よりです。
――

で、ショッピングモールをウロウロしてると、彼女が小さなアクセサリー
ショップを見つけて、そこに入りたいとか、なったわけです。
カワイイモノがイッパイの店で、お客さんも女子ばかりでしたから非常に
入りづらかったんですが、覚悟を決めて一緒に入ることにしました。

一大決心です。過呼吸になりそうでした。
0327バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:55:10.33ID:SXx2AtTZ0
そういう系の店は初めてだったんですが、印象としてはその光景よりも
とりあえず匂いでしょうか(笑)

なんたって女子がいっぱいですし、コスメっていうんですか、そういうモノも
売ってますし……それらの混じった香りにクラクラしたのを強烈に覚えてます。
0328名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 00:56:05.78ID:RnKAozPg0
支援!
0329名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 00:56:13.82ID:DTR3B3F+0
寝れないじゃないか…

続けたまえ
0330バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:56:49.14ID:SXx2AtTZ0
>>328, 329
ありがとうございます。
――

実はボク、女性の香りにも弱いんですよ。
家族にも親類縁者にも年配の女性しかいないもんで、若い女性のシャンプーとか
化粧品系の匂いがすると、なんだか興奮してしまって(笑)
立派な変態ですね。
0331バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:57:47.25ID:SXx2AtTZ0
彼女は「これカワイイ!」「これもカワイイ!」と結構楽しんでたようでした。
ボクはドキドキしかしてませんでしたが。

そのうち、ショーケースに入ったモノを見て立ち止まり
ちょっと、はにかむように言うんです……
0332バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 00:58:37.12ID:SXx2AtTZ0
「これ買って!」

彼女が指をさしている先に何があるのか覗くと……うぉっ指輪だ。

その瞬間、アドレナリンが大量に放出されました。
だから体の痛みどころか、財布の痛みも感じません。完全無痛です。
0333バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:00:11.67ID:SXx2AtTZ0
彼女がどんなつもりだったのかは知りませんが、こうなったら買うしかないでしょう。
もう全力で貢いじゃいますよ。
たとえ財布が空になって徒歩で帰るハメになってもね。

いや、もう徒歩はイヤだな……
0334バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:01:40.58ID:SXx2AtTZ0
というわけで、ボクは細くて上品な感じの捻り模様のシルバーリングを
買うことになりました。
いくらだったかな? その場で払えたから、せいぜい数千円じゃなかったかと
思います。バイト代は、こういう時に使ってこそですよ。
0335バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:02:48.18ID:SXx2AtTZ0
彼女はスゴく喜んでくれて、店員さんに「今からつけていきますっ!」
と言うと、スッと自分の左手の薬指にそれをはめたんです。

そして一言。

「ありがとう! ずっと大切にするねっ!」
0336バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:03:34.20ID:SXx2AtTZ0
ボクは舞い上がりました……
もう鼻血が出そうなくらい、顔が熱くなるのを感じましたです。

その後は、二人で色んな店を廻ったり、いわゆるスイーツを食べたりして
楽しい時間を過ごしました。楽しかったなぁ〜
0337バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:04:16.68ID:SXx2AtTZ0
さてこうなると、ボクとミドリが付き合うようになるかと思いますよね?

それがならなかったんですよ。

いい雰囲気まではいくんですが、最後の一歩が踏み出せない。
一言が言えない……
0338バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:05:17.37ID:SXx2AtTZ0
仲のいい友達であった期間が長ければ長いほど、そうなんじゃないかと思います。
告白した瞬間にそれまでの関係が、いい方向、悪い方向にかかわらず変わるのが
怖いんですよ。
0339名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 01:06:19.85ID:SUP7ftQ20
うおー
頑張れー
0340バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:06:29.64ID:SXx2AtTZ0
だから、ずっとこのままの関係が続けばいいな
とか思ってしまうわけでして……逃げですね。

それにブランクの一年間が、ボク(彼女も?)を
必要以上に臆病にしてたのかもしれません。
0341バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:07:43.33ID:SXx2AtTZ0
>>339
頑張ります! って、今のボクじゃないですね。
――

結局、二人には何の進展もないまま、高校二度目の夏休みへと突入します。
0342名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 01:08:49.84ID:tA6KMPQO0
おれの中ではイケメン
0343バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:10:24.57ID:SXx2AtTZ0
>>342
だといいんですけどね。高二でデート2回ですから……容姿は……
――

これで、第三部は終わりです。

書いてて思ったんですが、結構イライラする展開ですよね(笑)
シャキっとせい! と当時の自分に言いたくなりますわ。

実際、この時ボクがシャキっとしなかったせいで、この後
彼女が、とんでもないことになっていくわけです……
0344名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 01:12:03.89ID:SUP7ftQ20
1と年代同じなせいか
気持ちわかる気するわ
0345名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 01:12:31.15ID:tA6KMPQO0
いや、いい奴だなー、って思ってるけど。
0346名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 01:14:59.97ID:WoeqsZ2e0
追い付いたけどね、修司先生
0347 忍法帖【Lv=21,xxxPT】(1+0:8) 2012/10/06(土) 01:16:35.71ID:zXLsU4s/0
確かにやきもきするな
女って言葉にして伝えないと分からないからなー第四部待ってる!
0348バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:16:37.06ID:SXx2AtTZ0
>>344
あの頃は楽しかったですよね。夢がありましたよ。
>>345
悪い奴ではないと思いますよ(笑)
>>346
机の人ですかね?

それでは、第四部、投下します。
ちょっと長いかも。
0349バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:18:10.66ID:SXx2AtTZ0
>>347
そうですよね〜
向こうから来れば楽なんですがね(笑)

さて、行けるところまで行きます。

―― 第四部 豹変 ――

夏休みの間、ボクは部活と塾の夏期講習、そしてバイトで滅茶苦茶忙しかったです。
午前中は部活、昼飯もそこそこに塾へ、そして夜はバイト。
課題も信じられないくらいの量が出されるので、それを片付けるだけでも
毎日日付が変わるくらい机にへばりついてました。もうヘトヘトでした。
0350名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 01:18:57.01ID:uC5k3G1T0
四部キター!
0351バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:19:23.44ID:SXx2AtTZ0
彼女のことは凄く気になるし、メールだけでもしたかったんですが
忙しいからと自分に言い訳をして、結局一度もメールしなかったです。
我ながら情けないくらいヘタレ。
0352バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:20:23.09ID:SXx2AtTZ0
>>350
長いので、途中で落ちるかもですが、頑張ります。
――

そう言えば、ミドリからもメールも電話もなかったです。
彼女も忙しいんだろうなと、思ってたんですがね。

ところが……
0353バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:21:35.81ID:SXx2AtTZ0
新学期が始まって、ボクは愕然とすることになります。
もうね、本当に驚きましたよ。顎が外れるくらいポカーンとしたです。

なぜなら彼女の髪が、みごとな金髪に変わっていたから。
0354バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:22:35.35ID:SXx2AtTZ0
しかも服装は、ビッチそのもの。

制服のシャツのリボンは無くギリギリまで開襟状態、加えて膝上何センチよ?
みたいな超ミニ、そして化粧はケバく、若づくりしたAV女優みたいでした。
0355バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:23:23.89ID:SXx2AtTZ0
驚きのあまり声の出ないボクの後ろにドスンと座ると、不機嫌そうに終始無言。
ボクとは目を合わさない。ボクは何か言おうとするんですが、全く言葉が出ない。
池の鯉のように、ひたすら口をパクパクするばかりです。
0356バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:24:30.03ID:SXx2AtTZ0
周囲が、ヒソヒソと騒がしくなったところに教師が慌ててやってきて
彼女は職員室へ連行されていったです。
0357バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:25:31.17ID:SXx2AtTZ0
ボクの部活以外の数少ない友達が、慌てて寄ってきました。

コイツらには1年前の件も、病院でのことも、映画デートの話もしてあって
休み中に何度も「今日、告れ!」「明日、告れ!」と突かれていましたから。
0358バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:26:55.98ID:SXx2AtTZ0
「何があったんだ?」

まず寄ってきたのが、二次ヲタ。
三次には興味がない、と常々豪語している悲しいピザ。
中学の頃からの数少ない友達の一人。去年のマネージャーさんの件も
ちょくちょくと相談していた奴。筋金入りのヲタだがイイ奴だ。
0359名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 01:27:21.82ID:tA6KMPQO0
その豹変が>1のせいなのか?いや続きを待つ。
0360バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:28:59.45ID:SXx2AtTZ0
>>359
この時点では、全く不明なんです……
ボクのせい……でも、あるようで、ないようで……
――

ゲーム(特にギャルゲー)とパソコン一般に詳しい。
エロゲーとギャルゲーの違いを語りだしたら止まらない。それって違うのか?
悪いが今後、虹ヲタと呼ばせてもらう。
0361バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:30:09.84ID:SXx2AtTZ0
「なんかスゲーものを見た気がするぞ。おまえ何も知らないのか?」

こいつはメカフェチ。生き物には興味がないと宣言している。
機械モノをこよなく愛する変態。
虹ヲタとの部活繋がりで親しくなった奴。成績優秀。イケメン。
0362バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:31:11.77ID:SXx2AtTZ0
好みのタイプは“美少女型アンドロイド”らしい。
よく知らんが名前もついているみたいだ。バカだし……
僻地から通学してるせいで、正式にバイク通学が認められている羨ましい奴。
今後、メカ夫と呼ぶ。
0363バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:33:04.89ID:SXx2AtTZ0
ボクは驚きで言葉を失っていて、もう気絶しそうなくらいでした。

そりゃそうでしょう、人生初の楽しいデート相手であった美少女が
一瞬にして見事なビッチに変身したわけですから。
0364バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:34:17.91ID:SXx2AtTZ0
だから、落ち着いてからゆっくり話そう、ということになり昼休みに奴らの
所属するパソコン部の部室に集合することにしました。

部室と言っても授業で使うパソコンが並ぶ、ただのPCルームです。
専用の部室じゃありません。
0365バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:35:20.17ID:SXx2AtTZ0
このPCルームでは、虹ヲタのせいで何度冷や汗をかかされたか分からない。

壁紙がエログロ画像とかは当たり前で、
エラー音が『お兄ちゃん、やめて!』だったり
いつの間にか全端末にチャットソフトがインストールされて、授業が
チャット大会になったこともあった。
0366バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:37:03.78ID:SXx2AtTZ0
そんなバカ話は、さておきミドリの件。
二人ともボクに気を使っているのか、非常に言いにくそうに話を進めるけど
要は「男ができたから諦めろ」と言いたいらしい。
0367バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:38:27.14ID:SXx2AtTZ0
ボクだけは希望的観測を含めて、ちょっと違う気がしてました。

もし彼ができたのなら、不機嫌な理由が分からない。
少なくとも夏休み中にできた彼なら、今はラブラブの真っ最中だと思うわけで。
ボクの知ってる彼女は、そんな子だったハズだから。
0368バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:39:20.00ID:SXx2AtTZ0
そういうと、三人とも考え込んでしまった。

男三人で話していても埒があかないということで
とりあえずメールしてみようとなったわけです。
……返ってきたのはデーモンでした。またかよ。
0369バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:40:02.10ID:SXx2AtTZ0
それじゃあ電話してみようとなった。
……着拒否。こっちもか。

それならと虹ヲタの携帯を借りて掛けてみた
……出ないし。
0370バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:40:57.16ID:SXx2AtTZ0
結論としては、理由は不明だけど完全に嫌われたんだろう
ということで落ち着きました……(合掌)
0371名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 01:41:39.09ID:EnRze/Yt0
明日休みだから最後まで付き合うぞ!
0372バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:42:11.96ID:SXx2AtTZ0
>>371
ありがとうございます。
――

生徒指導の成果なのか、その後の彼女の髪は金髪から汚い茶髪に変わってました。
ギリギリ通学可能な範囲の色に落ち着かせたんでしょうね。
短期間に染めを繰り返したせいか、なんだかバサバサで纏まりがなく
とても残念な感じ。
0373バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:43:05.43ID:SXx2AtTZ0
相変わらず不機嫌な黒いオーラを360度、全方向に発散していて近寄り難かったし。

それでもボクは勇気を振り絞って、毎朝というか彼女が登校してくれば
たとえそれが昼でも「おはよう」だけは言ってましたよ。

当然、何の反応もないんですが。
0374バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:44:54.89ID:SXx2AtTZ0
そのうちに、次の変化が現れることになるんです。

彼女が、校内でも面倒なグループと言われる男と次々と付き合っていく
ことになるわけです。これは悲しい。非常に悲しい。

元がカワイイ子ですからね。狙ってた輩は多かったんですよ。
弱っているところを狙うとか許せんですが……
0375名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 01:45:54.34ID:SUP7ftQ20
きっついな
でも分かるぞ
0376バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:47:08.74ID:SXx2AtTZ0
>>375
もう泣きそうでしたよ……
――

しかも、どれも長続きせず、次から次へと手当たり次第といった状態……
“食い散らかす”という表現がピッタリなわけでして。

こうなるとクラスだけじゃなく、校内でも有名になり始めて、
皆が彼女のことを「糞ビッチ」とか「サセ子」とか言うようになってましたね。

まあ、実際見た目も行動もその通りだし……
0377バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:49:03.44ID:SXx2AtTZ0
そのうち「兄弟にはなりたくねー」とか「病気とか、もらったら堪らん」とか
「メンヘラとか怖いじゃん」と校内で彼女を相手にする男はいなくなりました。
当然ながら女子も怖がって近寄らない。

そして彼女は、孤立していくんです……
0378バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:49:59.91ID:SXx2AtTZ0
噂はさらに加速し、高校生では物足りなくなりカネを持ったオッサンと
遊んでるとか、AVに出演したらしいとか、薬漬けでヤクザのオンナになった
なんて話もあるくらいなりました。
0379バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:51:06.32ID:SXx2AtTZ0
さすがにこうなると、ボクの友達も「アレは黒歴史だ。忘れろ」と直接的に
彼女を諦めるように言ってくるように、なっていきましたね。

コイツらが彼女の悪評を知りつつも、その内容を言わないでいてくれるのは
こんな状態でも、ボクに気を使ってくれているからでした。
0380名も無き被検体774号+2012/10/06(土) 01:51:17.93ID:xNrhXI0M0
女ってこういうのがあるから解せぬのだよなー
そしてこういうことする子に限って素直じゃないと来たもんだ
0381バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:52:59.58ID:SXx2AtTZ0
>>380
そう解せないんです。理屈じゃないみたいですから。
――

そして遂に、彼女は学校にすら来なくなるわけです。

たまに来ているような気配はあっても、クラスには顔を出さないし
授業も出ない。
0382バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:53:48.36ID:SXx2AtTZ0
だからボクも、さすがにもうダメだなとか思い始めたんです。

ところがある時、珍しくクラスに顔を出してボクの後ろに座る彼女の左手に
気づいたんですよ。
0383バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:55:14.19ID:SXx2AtTZ0
なぜかその日までは分からなかったんですが、確かにあの指輪があることに。
しかもあの時のまま、薬指に……

だからボクは……やっぱり彼女には何か辛い事情があるんだ!
とか考えるようになったんです。
0384バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:56:23.16ID:SXx2AtTZ0
それでまた虹ヲタと、メカ夫に相談したわけです。指輪のことも話して……

「おまえなあ、頭大丈夫か?」 虹ヲタが心配そうに言います。

「悪いことは言わん。やめとけ」 メカ夫が諭すように言います。

「今さらあのビッ……いや、彼女に近づいてどうするよ?」

虹ヲタはさすがにイラっときたのか、暗黙の禁止用語を
うっかりと言いそうになってました。
0385バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:57:53.91ID:SXx2AtTZ0
「おまえが仲の良かった頃とは違いすぎるぞ。
 もう幻想を捨てて現実を見ろよ」

メカ夫も呆れたように続けます。もう全否定モード。

「でも、見てられねーじゃん。いっつも一人で……
 なんかあるんだよきっと。カワイそーじゃん」

ボクも必死でした。コイツらには分かって欲しかったんです。
たとえ協力してもらえなくても、コイツらには理解して欲しかったんです。
彼女を……
0386バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:58:56.89ID:SXx2AtTZ0
「おいおい、マジですかぁ〜?」

肩をすぼめながら両手を天に向けて“やれやれ”という仕草を揃って
しながら、生暖かい目でボクを見つめる二人。
とか言いつつ、二人とも真剣に考えてくれることになりました。
やっぱり友達はありがたい。
0387バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 01:59:42.36ID:SXx2AtTZ0
さて、考えるとは言ったものの何も浮かばない。

すると虹ヲタが、何だか怪しげな推理を展開し始めました。
手詰まりのボク達は、今は怪しさ満載の彼の推理に耳を傾けるしかありません。
0388バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:00:11.31ID:SXx2AtTZ0
「きっと、どこかでフラグが立ったということだよね」

「フラグ?」 ボクとメカ夫が怪訝そうに繰り返します。

「映画を観に行って、指輪を買わされたところまでは
 問題なかったんだよね?」

虹ヲタは構わず持論を展開していきます。
0389バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:01:06.50ID:SXx2AtTZ0
「なら、その周辺になにか選択肢があったハズ。
 おまえは“Bad Endルート”を辿ったんだよ」

「選択肢……? ないなぁ。彼女に言われた通り、動いただけだし」

ボクは、正確性に自信のない記憶を辿りながら答えます。
0390バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:02:21.08ID:SXx2AtTZ0
「じゃあ、環境変数だ。彼女の心境に変化を与える何かがあったハズだ」

コイツ……完全にギャルゲーとして考えてやがる。
でも、今はコイツしか頭を働かせてないから仕方ない。

「そういえば……気のせいかもしれないけど」

ボクは映画の一件よりも、更に古い記憶を辿ります。
0391バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:03:11.15ID:SXx2AtTZ0
「なになに?」 二人が食いついてくる。

「彼女の家の前に、変な色のスクーターが停まってたことがあって……」

「それで」 話を聞く前からこれが原因、と決めて掛かりつつある様子の二人。

「そのスクーターを見た彼女が、急に黙り込んだことがあったんだ」
0392バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:04:27.80ID:SXx2AtTZ0
それは夏休み前のことでした。いつものように彼女を家まで送っていくと
いかにも柄の悪そうな目立つスクーターが停まっていたんです。

オーナーらしき人影は見えなかったんですが、彼女の顔がみるみる曇り
黙り込んでしまったわけです。
その時は「おや?何だろ?」くらいにしか考えなかったんですけど。
0393バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:05:53.59ID:SXx2AtTZ0
「……むぅ、そのスクーターってカナブン色みたいなやつ?」

機械モノの記憶については
コイツの右に出る者はないメカ夫が言います。

「そうそう、ラメ入りグリーンみたいな色」

ボクの記憶はいつも曖昧ですが、さすがにカナブン色のスクーターは
しっかりと記憶に残ってました。
0394バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:07:04.12ID:SXx2AtTZ0
「それなら、オレも学校の周りで何度か見かけたな。結構弄ってるヤツ
 だったから覚えてる」

さすがメカ夫だ。ノーマルではないところまで覚えてるらしい。
というか、あのカラーリングで、ドノーマルってことはないわな。

「……それだな」 虹ヲタが満足そうに頷きます。
0395バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:08:01.04ID:SXx2AtTZ0
虹ヲタの推理では、そのスクーターのオーナーと彼女には何らかの
接点があり、彼女はそれを好ましく思っていなかったんだろうとのこと。

その件は、きっと学校では知られたくないレベルの話ではないかとの推理。
0396バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:08:58.43ID:SXx2AtTZ0
というわけで、メカ夫が知り合いのショップ経由でカナブン色のスクーターを
追いかけてくれることになった。なんでも、あれだけ弄ってるならどこかの
ショップに頻繁に通ってるハズだ、という読みでした。
0397バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:10:14.32ID:SXx2AtTZ0
何日かして、メカ夫がニヤニヤしながらやってきた。
カナブン号は読み通り、簡単に見つかったとのこと。
なんでもオーナーは、○○中学の卒業生で現在は高校を中退して何か
日雇いのような仕事をしているらしいとの情報だった。

面倒な輩が出てきたなぁ〜、というのが正直な感想でした。
0398バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:11:21.78ID:SXx2AtTZ0
メカ夫がカナブン号を追いかけてる間、虹ヲタはミドリの過去を洗っていた。
彼女と同じ中学出身の同級生から、知り合いの元教師、果ては親同士の
ネットワークにまで食い込んで調査してくれたらしい。
お前、卒業したら探偵事務所でも開設したらどうだ?

そこで分かったことは、噂を含めて次の通り。
0399バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:12:43.13ID:SXx2AtTZ0
まず、彼女は中学の一時期、転校してくる前に荒れていたことがあったこと。
次に、父は再婚しており、義母の連れ子の義姉がいること。
そして、義母とは折り合いが悪いらしく、現在は義姉と二人で暮らしていること。
最後に、義姉とは非常に仲が良く、二人で外出しているところをよく目撃されていること。
0400バース ◆H0fjJ5ft/U 2012/10/06(土) 02:13:57.90ID:SXx2AtTZ0
ここまでの調査で、カナブンと彼女の接点が分かりました。
転校前の中学が同じでした。
ボクは、さすがに彼女の転校前の状況は知らなかったです。
それどころか、お義姉さんと住んでる、なんてことも初めて知りました。
彼女とは4年くらい近くに居たわけですが、そんなことは全く知らなかったですよ。
うぅぅ……
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