>>262
その部分、凄く重要だよね
憎き塊の財前も所詮は人の子、母親の話や存在を前にしたら素直な子供に帰るっていう素朴な一面に共感を覚えさせる
今までは冷血で権力しかない憎たらしいまでの顔だったのに、あの子供っぽい無邪気な笑顔・・
ケイ子にはまるで母に甘えるかのような表情と仕草。あの真逆に近いまでの立体感ある演技は、作品の主役に賭けた田宮ならではだろうね
あの本性が、死を前にして里見に対する後悔の念を口にした所と、里見に宛てた手紙の文面へと繋がってるように思う

しかし唐沢版の方は、母親に対しても里見に対しても殆どが我を通しっ放しで終わった。だから唐沢の財前には人間味の共感を持てずに終わった。
田宮の方は、壮絶な死に対して最後にどっと感情移入や同情心を呼び寄せるも、唐沢の方はそれが持てなかった。
この違いはかなり大きいと思う。