>>987

猛の「自宅」に対する感覚も丁寧に描かれてます。

戦後: ホテル住まいで宿なし。(ちゃんとした家に住む金はあった)
帰県後: 三枝家の屋根裏で起居。(一軒家を建てる金はあった)
結婚後: 大したことないアパート暮らし。(一軒家を建てる金はあった)

つまり猛にとって「三枝家」があくまで「拠り所になる家」であって、
それ以外に「帰るべき家」を持つことを意識的に避けていたに他ならない。

  ※ これは場所としてのhouseと、精神的なhomeの両方の意味においてです。
    どちらかというと精神的な意味の方が強い。
    猛が戦前起居していたのは、蔵であり屋根裏であり番小屋だから。