ポジオリ教授の冒険 T S ストリブリング

あらすじ
名探偵ポジオリ教授が帰ってきた! 姿なき脅迫者に怯える男に助けを
求められたポジオリが超自然的な怪事件に遭遇する「つきまとう影」、
失踪した女性が残した一枚の写真から意外な真相を解き明かす「尾行」
など全9篇。

ネット評まとめ
ポジオリ教授シリーズはこのミス'98で6位選出の1期作品集「カリブ海の手がかり」
と現在絶版状態の3期作品集「ポジオリ教授の事件簿」が紹介済みですが、
これはその中間期にあたる第2期作品集です。「カリブ海の手がかり」では
名探偵ポジションであるポジオリ教授の推理が真相のほんの一部しか明らかに
しておらず、最後にはその背景にあるもっと異様な事実に直面するという、
従来の名探偵=神のごとき存在といった図式のアンチテーゼが魅力でした。
また、名探偵の異文化交流という趣向の面白さもありました。それに比べると
本作はずいぶん普通の名探偵ものに近づいています。
とは言え、典型的な本格ミステリーと比べるとそれでもかなり異色ではありますし、
眩暈のするような結末の「つきまとう影」や結末にいたるまでの仕掛けが素晴らしい
「尾行」など上質な作品が揃っています。「カリブ海の手がかり」を読んで過剰な
期待をしなければ十分に楽しめる作品集だと思います。