症状

強迫性障害(Obsessive Compulsive Disorder:OCD)は強迫症ともいいます。
代表的な症状の一つが「強迫観念」で、本来ならば気にしなくてもいいようなことに頭の中を占められるようになります。

もう一つの際立った症状は「強迫行為」で、特定の行為を繰り返さずにいられなくなります。
患者さんの大部分は強迫観念と強迫行為の両方を持っています。

患者さん自身は、強迫観念や強迫行為が不合理だと分かっていることがあります。
しかし、時にそれらを正しいことだと主張します。

例えば「手を清潔に洗うために時間がかかって遅刻しても、道徳的には正しい」などと言うのです。
強迫観念や強迫行為によって、仕事や生活、社会的活動などを大きく妨げられる場合に、強迫性障害(強迫症)と診断されます。

 汚染
ほこり、虫、便、尿などが自分に触れて汚れるのではないかという考えに支配され、それを避けるための強迫行為をやめられません。
例えば、手を何度も洗って皮がむけてしまったり、虫が家に入るのではないかと恐れて外出を控えたりします。

行動療法

薬物療法と行動療法を比較した研究はほとんどありませんが、行動療法は強迫性障害(強迫症)に対して、薬物療法と同等の効果があり、より長く持続すると報告されています。
治療の原則は、曝露と反応防止です。曝露は、強迫観念のために避けたいもの(例えば、土や床、ほこりなど)に対し、あえて触れてみることです。
何度も繰り返すことで、恐れているようなことにはならないと理解します。反応防止は、強迫行為をできるだけ我慢することです。
例えば、ほこりに触れたあともすぐに手洗いをしないなどで、強迫行為をしなくても大丈夫であることを学習していきます。

なお、治療後の経過はさまざまで、20〜30%は明らかに症状が軽快しますが、40〜50%の患者は中等度の軽快にとどまります。
残りの20〜40%の患者さんは、そのまま持続するか悪化します。

強迫性障害(強迫症)は、精神療法や精神分析による治療が困難で、薬物療養や行動療法が一般的になってきています。