日本ハムのバッテリーコーチ兼捕手の中嶋聡(46)が15日のロッテ戦(札幌ドーム)で九回から
守備に就き、1軍での実働年数が29年となって工藤公康(現ソフトバンク監督)のプロ野球記録に並んだ。
阪急(1988年11月にオリックスに球団譲渡)に在籍したことのある現役唯一の大ベテランは、
「生きる教材」として日々、若手とともに汗を流している。

初出場はプロ1年目だった87年10月18日の南海戦(阪急西宮スタジアム)。その後、98年から西武、
2003年は横浜(現DeNA)に在籍し、04年から日本ハムに所属。07年からコーチ兼任となった。

ロッテ戦は8−0の九回に登場すると、場内から大歓声が上がった。3番手で救援したクロッタと
バッテリーを組んだが、零封リレー目前で2失点。このうち1点は暴投の間に失ったことから
「点を取られて反省ばかり」と語り、記録については「感慨はない。特別なことはしていないし、
美談は一切ない」とさらりとかわした。

日本ハムは今季、主力捕手の大野奨太(28)と市川友也(29)が故障で出遅れ、4年目の
近藤健介(21)と2年目の石川亮(19)が捕手で先発している。

いずれも経験が浅いだけに、栗山監督は「若い2人なので、サメ(中嶋の愛称)にいてもらいたい」と、
開幕から「第3の捕手」として出場選手登録した。

コーチとしての役割が大きいが、強肩でならした実力は健在だ。2月の春季キャンプでは、
目を閉じたまま二塁に送球する練習で左右にコースがずれる若手を尻目に、塁上にピタリと
投げていた。親子ほど離れた若手に実演で指導できる。

現役最年長49歳の山本昌(中日)とは自主トレを一緒にする仲で、「毎年、『今年で終わりだな』と
話していて、お互い何年もたった」と話す。09年以降は年間10試合以下の出場で、昨季は1試合のみ。
次は、09年を最後に出ていない安打を記録できるかにも注目が集まりそうだ。


<なかじま・さとし> 
1969年生まれ、秋田県出身。秋田・鷹巣農林高(現・秋田北鷹高)から86年ドラフトで3位指名され
阪急に入団。球団がオリックスとなった3年目の89年に正捕手の座をつかみ、同年にゴールデングラブ賞、
優勝した95年にベストナインを受賞。20日現在で通算1549試合に出場。通算本塁打は55本だが、
昭和時代に本塁打を放った現役唯一の選手でもある。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150421-00000038-mai-base