自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第83章 [転載禁止]©5ch.net
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0038創る名無しに見る名無し
2015/07/08(水) 22:47:10.05ID:6+6j0GFF「ご苦労、何かあったら知らせてくれ。こっちも動くぞ、深度そのまま、前進微速」
押し殺した声で報告を行う水測員、報告を受けた艦長もまた押し殺した声で応える。
SS-595『なるしお』、おやしお型潜水艦6番艦として建造され、今は横須賀を母港とするこの艦が命令を受け、ゲートの向こう側の情報収集と
外交団との連絡を付けるべくゲートをくぐったのはおよそ8時間前、そして今この艦は深度35メートルの海中を這うような速度で航行しつつ
そのソナーで水上と水中を監視していた。
「会議は終わったようですね」
「ああ、問題はその中身だな。定例会議なのか緊急会議なのか、議題は何なのか……もどかしいな」
「それは仕方ありません、いくらうちの水測員が地獄耳とはいえさすがにソナーで盗聴はできませんよ」
辛抱強い人物である艦長の顔に普段は見ることのないいらだちの色が浮かぶ、それをなだめる副長。
およそ1時間半前、水測員が監視対象全ての減速を報告、程なくして海面に何かが投下された音を探知する。さらに停止した
監視対象周辺で複数の音源(水測員は艦載艇ではないかと推測)が新たに探知された。
そして今、艦載艇であろう音源が全て消え、監視対象は再び動き出したことを水測員が確認、『なるしお』もまた追尾を再開したのだ。
この監視対象がとった一連の行動を『なるしお』艦長は何らかの情報を受け取った指揮官が部下を招集して会議を開いたものと推測した、
だが現状ではその会議の内容や性格までは把握できない。そして彼の脳内にはその情報とは敵地で孤立無援の『くらま』が撃沈、もしくは
拿捕されたというものではないか、という推測がちらついていた。
「……予定を繰り上げるべきかな、君はどう見る副長?」
「リスクはあります、ですが『くらま』の置かれた状況を考慮すればそれをおかす価値はあります」
「……よし、やるか」
艦長はそう決断すると監視対象から離れる進路を取りつつ増速するように操舵員に命じ、通信員には短波通信の準備を命じる。
狭い発令所に押し殺したやりとりが飛び交い『なるしお』はその船体をかすかに傾けた。
やがて監視対象と十分に距離をとった『なるしお』が潜望鏡深度に達するとまずレーダーと潜望鏡が周囲状況を確認、
次いでセイル上部に取り付けられた短波通信用アンテナが立てられ、通信員が予め用意された電文を発信する。
程なくして『くらま』との回線がつながり、両者は挨拶もそこそこに情報交換を開始した。
限られた情報を基に強敵に勝利すべく策を練る男たち、監視の目をかいくぐりながら貴重な情報を集める男たち。
日本とガルリア帝国、2つの国は戦いの準備を静かに、しかし着々と進めつつあった。
これにて投下終了です
外交団と政府や外務省がずっと連絡を取り合えないままなのは流石にまずかろう、と思いましたのでこういう形で連絡を取れるようにしてみました
あと帝国側が海自について色々知ってる理由は日本側が見くびられないようにあえて情報を明かしている、という設定です
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