自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第83章 [転載禁止]©5ch.net
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0269創る名無しに見る名無し
2015/07/25(土) 23:24:02.11ID:3L6LHQ9l「顔を上げさせろ」
命令に従い、兵士の一人が、レミールの髪を掴んで顔を上げさせる。隊長がうなずき、かたわらに立つ人物に問うた。
「朝田大使、この女ですか?」
「……ええ、間違いありません。かなりやつれてはいますが、この女です」
祖国滅亡のショックで、抜け殻状態だったレミール。しかし突然、虚ろだった目に光が戻る。彼女は目を見張り、叫んだ。
「お前は! あの時の!」
「ああ、あの時のあの男だよ──どうだ? 蛮族と蔑んでいた相手に、惨敗した気分は? 祖国を滅ぼされた気分は?」
「きっ、貴様!」
「我々を蛮族と思い込み、我が国のことを知ろうともせず、軽率極まる判断をし、傲慢極まる、残虐極まる振る舞いをし、その結果すべてを失って破滅──。
こんな愚かな話も、そうそう無いと思わないか? こんなみじめな運命も、そうは無いと思わないか?」
「き、貴様! こんなことをしていいと思っているのか! 蛮族である貴様らが、こんなことをしていいと思っているのか!」
「──ほう? 我々が蛮族なら、お前たちは何かな? その蛮族に為す術も無く敗れた、お前たちは何かな?」
「な──くっ!」
「負け惜しみは止めることだ。気づいていないとは言わさん。我が日本が、お前たちパーパルディアより、遙かに強大で、進んだ、優れた国だったことを。
戦争になった時、パーパルディアの敗北は、すでに決まっていたことを。パーパルディアが我が国に勝つなど、そもそも最初から、不可能だったことを」
「──くうっ!」
「まったく、愚かな真似をしたものだよ──。そうは思わんかな?」
「ぐぐぐ……」
歯噛みするレミール──しかし、無理矢理それを押し殺すと、呻くような声で問うた。
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