マルチジャンルバトルロワイアルpart16
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0698瞬間 ◆Wott.eaRjU
2009/08/02(日) 20:17:37ID:P5ED+YUJ「さーてと、どうするかなぁ」
やがてラッドは一息つき、キョロキョロと周囲に視線を配り始める。
案の定、やはり人影は見られない。
先程の二人組がどの出口から出て行ったのかはわかっている
幸いな事に時間も大して経過はしていなく、全力で走れば追いつく可能性はあるだろう。
決めるのであれば今、紛れもなくこの瞬間にかかっている。
あいつらを追いかけ、そして殺すためにもどうするか。
ラッドは暫く思考を走らせ――やがて答えを出した。
「……取り敢えず今は休むとするか。
殺すにしてもなんにしてもやっぱり身体が治ってねぇと始まらねぇし、ピンピンってわけでもねぇしなぁ」
ラッドが俗に言う狂人であることは揺るがない。
しかし、だからといってラッドが考えなしのボンクラというわけではない。
冷酷に且つ素早く廻る、ラッドの思考回路は常に最適な方法を弾き出す。
自分の死をギリギリで避けて、いかに効率的に人を殺せるか。
自分が死ぬとは思っていない、緩みきった奴らを殺し尽くす。
即ち死という概念が誰にも等しく存在することをその身を持って知らしめる。
その標的を一人でも増やせるためなら、ラッドはどんな手段でも講じられる。
同時に冷静な判断も下せられた。
故にラッドはこの場では一時、身を隠すことを決めた。
この殺しあいにはまだまだ時間はあり、焦る必要もない。
何より自身の身体は有限である。
殺してやった人間のようにいつかは自文にも死は訪れる。
その自覚をラッドは今まで、ほんの一時たりとも忘れたことはない。
だからこそ万全ではない己の身体に、必要以上の危険を迫らせることをラッドは良しとはしない。
使い潰す。死とは言わずとも再起不能になれば、それ以上人を殺せなくなってしまう。
そんな結果をラッドが望むわけもないためだ。
「つーか、まあホントに驚きだな。あのモヒカン野郎もだけどよ、俺のこの力にはびっくりさせられるよなぁ。
うん、自分で言っちまうのもなんだか恥ずかしいんだが……俺、ひょっとしてとんでもねぇ目覚め方したんじゃね? マジでマジで」
だが、今のラッドに肉体的な痛みがあると言えばそれほどでもなかった。
床に転がった腕を力任せに切断面に押しつけ、なんとか繋がりはした。
ただ、今のままではバズーカを扱うことも、鍛えた格闘術を振るうことも難しい。
激しい運動でもすれば、いつ取れてしまっても可笑しくはない事はわかっている。
そのための選択であり、ぐずぐずしている暇はない。
地図にも表記されており、別のホールには人が居る可能性もある。
近くの出口、北出口から出てどこか身を隠せる場所を探す。
当面の目標を定め、軽やかな足取りでラ
ラッドは出口を目指す――その筈だった。
何メートル程か歩いた後、ラッドは唐突に立ち止り、両腕に一瞥をくれる。
ラッドにはどうにも気がかりなことが一つあった。
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