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マルチジャンルバトルロワイアルpart16

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0001創る名無しに見る名無し2009/07/11(土) 23:26:02ID:gToJim5F
様々な作品のキャラを使った上での、小説及び映画で有名なバトルロワイアルの企画を行おうというスレです。
小説・漫画・アニメのキャラが入り乱れていることから、マルチロワという名前になりました。
略して○ロワ。別に見るのに●はいりません。
この企画はリレーSS企画であり、ルールさえ守っていただければ、どなたでも参加可能です。
ルールの項に目を通していただき、分からないことがあれば気軽に本スレで聞いてみてください。
キャラ同士による殺し合いという内容のため、苦手な方は気分を害する恐れがあります。
読み進める際にご注意を、また自己責任でお願いします。



【過去スレ】
いろんなジャンルの作品キャラでバトルロワイアル
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220604468/
マルチジャンルバトルロワイアル part2
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221055898/
マルチジャンルバトルロワイアル part3
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221229891/
マルチジャンルバトルロワイアル part4
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221405474/
マルチジャンルバトルロワイアルpsrt5
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221749250/
マルチジャンルバトルロワイアルpart6
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221924153/
マルチジャンルバトルロワイアルpart7(実質8)
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1227019873/
マルチジャンルバトルロワイアルpart8(実質9)
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1230130775/
マルチジャンルバトルロワイアルpart10
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1232931721/
マルチジャンルバトルロワイアルpart11
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1235147692/
マルチジャンルバトルロワイアルpart12
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1235724325/
マルチジャンルバトルロワイアルpart13
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1237380564/
マルチジャンルバトルロワイアルpart14
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241420923/
マルチジャンルバトルロワイアルpart15
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1243945342/

【したらば】
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/11860/
【wiki】
http://www26.atwiki.jp/marurowa
【予約について】
 ・通常5日。延長は2日まで。(合計7日まで)
 ・したらばの予約スレで予約してください
【全キャラクター共通・スタート時の持ち物】
  地図、コンパス、懐中電灯、筆記用具、水と食料、名簿、時計、ランダム支給品1〜3
【MAP】
  (p)ttp://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/70/405fccc08ebbff8b539e6e47e7acf801.png
   上が北、一マス一km四方、端はループしています。(例:A-1から北へ行けばH-1に出る)

0689創る名無しに見る名無し2009/08/01(土) 22:16:32ID:4hpfOv7H
劇場組と古城組の予約が来てるな
しかしグラハムはいつになったら起きるんだw
0690創る名無しに見る名無し2009/08/01(土) 22:33:22ID:V4WMCHYo
おお、その後が気になるメンバーだったからこれは楽しみだ。
0691創る名無しに見る名無し2009/08/01(土) 23:23:32ID:4hpfOv7H
古城組がかなりの戦力になりそうだな。水銀燈とハクオロという不安要素はあるけど。
劇場組はミュウツーがあの人数相手にどう出るか……。
0692創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 00:42:51ID:r78fbkQJ
>>688
クーガーが死んでるのに状態表の“殺す予定”にまだ入ってるって所?他は分からん
反応しなくても変じゃないし、直すなら状態表の名前削れば良いだけだし、そもそも読んでて別に気付かなかったし
名前の他にそう思う所が無いなら特に描写の必要はなさそう

劇場組と古城組か。わりと人気のパートだなー、気になってたからwktk
0693創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 11:13:43ID:USWfc5+c
劇場関係の予約が2つ来てるけど両方投下されたときになんらかの矛盾が生じてしまった場合って
やっぱり書き手さんにもうひとがんばりしてもらうかどちらかを破棄することになってしまうのか?
ここまで近い場所でしかも劇場という拠点のすぐ外と内側の予約なんて見たことないから気になってるんだが
0694創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 11:55:03ID:YbSSaVkK
そういえばむかし漫画ロワで、投下されたSSと使う舞台が被ったから、予約中の人が延長して書き直してたなぁ
先に書いた人優先なのは、仕方ないよね。どうしようもないし
0695 ◆Wott.eaRjU 2009/08/02(日) 20:16:13ID:P5ED+YUJ
では完成したのでラッド、リヴィオを投下します。
0696瞬間 ◆Wott.eaRjU 2009/08/02(日) 20:16:54ID:P5ED+YUJ
そこには一人の男が居た。
三つのホールからなる劇場の内の北ホール。
そのステージ上に立つ、血まみれの男こそがこの場での唯一の演目者。
生死を賭けたデスゲームで、たった今まで命を賭していた参加者。
なんとか生き永らえた命だが男は碌な嬉しさを見い出せてはいない。
生き残った喜びを噛みしめるよりも、男は怒りに身を震わせていた。

「あああああああああああああああああああああああーーー!!
許せねぇ、ぜってぇに許せねぇ……コレはさすがの俺もプッツンものだぜ?
わかってんのかよぉ、てめぇらはああああああああああああああああああああああッ!!」

周囲に誰も居ないことは悟っているに違いない。
しかし、気に留める様子もなく男は大声で叫んでいる。
ラッド・ルッソ。彼を説明するのに“狂人”という言葉程的確なものはない。
彼の周囲には生々しい血が散乱しており、受けた負傷が決して軽いものではない事を物語る。
本来なら直ぐにでも相応の処置を施し、安静にさせておくべきなのは誰の目にも明らかだろう。
だが、ラッドの意識は少なくとも今は別の方へ向いていた。

「あの嬢ちゃんは今頃あのスーツのヤロウに守られてやがるんだろうな……気にくわねぇな。
なにせあのヤロウの身のこなしは素人じゃねぇし、なにより腕も立つ。そりゃあのヤロウの傍は安心だろうよ。
わかる。わかるぜ。ぶるぶる震えちまう子猫ちゃんはああいう手合いのヤツに保護されるのが幸運だ。
だけど、一人だけ美味しいところを独り占めってのはずるいんじゃねぇの?」

まるで両目の奥底には禍々しい炎が燃え盛っているような様子だ。
先程仕留めそこなった少女、古手梨花への歪んだ怒りを呪詛を紡ぐように口を動かす。
同時に至極勝手きわまりない想像を脳みその中で広げる。
危険が去り、同行者であるニコラス・D・ウルフウッドに肩を預けでもして心の底から安堵する梨花。
そんな梨花がどうにも憎たらしく思えてくる。
やはり一方的な、勝手な感情を滾らせることをラッドは止めようとはしない。

「よし決めた! これも知り合った縁だ、やっぱりてめぇらは直々にこの俺がぶっ殺す!
おっと、もちろんあのラズロとか言うモヒカン野郎もだ。
一人ずつでも二人でも三人纏めてでもなんでもいい――とりあえず、ぶっ殺し決定だ!!」

あまりにも簡潔な、そしてあまりにもあっさりとしたな宣言。
二人も、それも片方は年端もいかない少女であるのにラッドは彼らの殺人を良しとする。
倫理という言葉を、どこかに忘れてきてしまったような物言いがホール内に反響する。
当然、人一人居ないためラッドの声に応える者は居ない。
しかし、ラッドが虚しさを覚えることはなく寧ろ逆だ。
自分にはまだチャンスがある。
あの緩んだ顔が眼前の恐怖に引きつり、自分の手で殺されていく。
そんな光景を作り出す事がまた出来るのだ。
あいつらに思い知らせる機会が、まだまだこの場所で。
そう思えば心地よい清々しさすらも覚えてくる程だ。
0697創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 20:17:21ID:acvWXu7f
  
0698瞬間 ◆Wott.eaRjU 2009/08/02(日) 20:17:37ID:P5ED+YUJ

「さーてと、どうするかなぁ」

やがてラッドは一息つき、キョロキョロと周囲に視線を配り始める。
案の定、やはり人影は見られない。
先程の二人組がどの出口から出て行ったのかはわかっている
幸いな事に時間も大して経過はしていなく、全力で走れば追いつく可能性はあるだろう。
決めるのであれば今、紛れもなくこの瞬間にかかっている。
あいつらを追いかけ、そして殺すためにもどうするか。
ラッドは暫く思考を走らせ――やがて答えを出した。

「……取り敢えず今は休むとするか。
殺すにしてもなんにしてもやっぱり身体が治ってねぇと始まらねぇし、ピンピンってわけでもねぇしなぁ」

ラッドが俗に言う狂人であることは揺るがない。
しかし、だからといってラッドが考えなしのボンクラというわけではない。
冷酷に且つ素早く廻る、ラッドの思考回路は常に最適な方法を弾き出す。
自分の死をギリギリで避けて、いかに効率的に人を殺せるか。
自分が死ぬとは思っていない、緩みきった奴らを殺し尽くす。
即ち死という概念が誰にも等しく存在することをその身を持って知らしめる。
その標的を一人でも増やせるためなら、ラッドはどんな手段でも講じられる。
同時に冷静な判断も下せられた。
故にラッドはこの場では一時、身を隠すことを決めた。
この殺しあいにはまだまだ時間はあり、焦る必要もない。
何より自身の身体は有限である。
殺してやった人間のようにいつかは自文にも死は訪れる。
その自覚をラッドは今まで、ほんの一時たりとも忘れたことはない。
だからこそ万全ではない己の身体に、必要以上の危険を迫らせることをラッドは良しとはしない。
使い潰す。死とは言わずとも再起不能になれば、それ以上人を殺せなくなってしまう。
そんな結果をラッドが望むわけもないためだ。

「つーか、まあホントに驚きだな。あのモヒカン野郎もだけどよ、俺のこの力にはびっくりさせられるよなぁ。
うん、自分で言っちまうのもなんだか恥ずかしいんだが……俺、ひょっとしてとんでもねぇ目覚め方したんじゃね? マジでマジで」

だが、今のラッドに肉体的な痛みがあると言えばそれほどでもなかった。
床に転がった腕を力任せに切断面に押しつけ、なんとか繋がりはした。
ただ、今のままではバズーカを扱うことも、鍛えた格闘術を振るうことも難しい。
激しい運動でもすれば、いつ取れてしまっても可笑しくはない事はわかっている。
そのための選択であり、ぐずぐずしている暇はない。
地図にも表記されており、別のホールには人が居る可能性もある。
近くの出口、北出口から出てどこか身を隠せる場所を探す。
当面の目標を定め、軽やかな足取りでラ
ラッドは出口を目指す――その筈だった。
何メートル程か歩いた後、ラッドは唐突に立ち止り、両腕に一瞥をくれる。
ラッドにはどうにも気がかりなことが一つあった。
0699瞬間 ◆Wott.eaRjU 2009/08/02(日) 20:18:18ID:P5ED+YUJ

(なんだろうなぁ……さすがにおかしいんじゃねぇの?)

この殺しあいに呼ばれてからラッドは幾度も助けられた。
そこには開始当初に摂取した不死の酒による肉体の不死身化が絡んでいる。
しかし、ラッドはその事実を知る由もないためどうにも疑問が湧いた。
なにも今までに全く心当たりがなかったわけではない。
負傷は何度も負ってきたがそれらは打撲を初めとして、治りが目には映りにくい類のものだった。
されども今回のケースは全く違う。
両腕切断という、自力ではどうにもならないような負傷がそこにあった。
だが、完全にとは言わないがある程度の接合は済んでしまった。
駄目で元々ではあったが、いざ出来たとしても手放しでは喜べない。
拭いきれない疑惑。いくらこの場で自分の常識が通じないといえどもこれではまるでアレだ。
そう。まさに自分が言った“不死者”とやらに――
一度は捨てた、最悪の事態への想定が再び蘇り、思わず嫌な汗がこめかみの辺りを濡らす。
死ぬことがなくなってしまえば、それでは生きている意味を失うのに等しい。
なにより最も憎らしく思う存在に、ラッド自身が成ってしまったというのであれば笑えない冗談にも程がある。
絶対にあり得ない。そう否定できる材料が生憎見当たらない事にラッドは少なからず焦りを感じていた。


(……まあ、いいか。あとでゆっくりと調べればいいだろうし、この殺しあいとやらが終わった後でもいい。
それに俺が死ななくなったら駄目じゃねぇか……終わりじゃねぇか。ありえねぇだろうが……!)

しかし、ラッドは強引に思い止まる。
問題の先送りと言われればそれまでだが、たとえそれでもだ。
認めるわけにはいかない。
自分は不死者になってしまった。
そんな事実を認めてしまえば、今までの自分は一体なんだったのか。
故にラッドは全てをかなぐり捨てるように走り出す。
そうだ。答えを出すのにも急ぐことはない。
たとえば今回以上の怪我を負った時、果たして自分はどうなるか。
その時の状態を見てからでも結論は遅くはない。
今、必要なのは両腕の完治。逸る自身に言い聞かせ、ラッドはホールから飛び出していく――。




「……行ったか」



別の出口の傍に身を隠した、リヴィオ・ザ・ダブルファングの存在には気づかぬまま。
ラッドはホールから姿を消した。



◇     ◇     ◇

0700創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 20:18:19ID:FNTgQv35
 
0701瞬間 ◆Wott.eaRjU 2009/08/02(日) 20:19:00ID:P5ED+YUJ
リヴィオは確かにラッドとの戦闘を避けると決めていた。
ウルフウッドとの戦いでの傷は未だ癒えてはおらず、無理はさせたくはない。
ただ、興味はあった。
バズーカを片手にラズロと打ち合った男であるラッドに。
どうみてもチンピラにしか見えないラッドのどこにそんな力があったのか。
また、ラッドはウルフウッド達をこのまま追いにいくのだろうか――。
そんなこともあって、リヴィオは少しだけラッドの様子を見ていた。
幸いなことにラッドの声は良く通り、何よりミカエルの眼の五感は尋常のものではない。
観察は全て滞りなく終わり、ラッドについて幾つかわかったことがあった。

「……厄介なヤツが多い。わかっていたけども……厳しいな」

ラッドも取り敢えずは休息を取ること。
やはりラッドもこの殺しあいで優勝を狙っていること。
そしてなによりもリヴィオの注意を惹いたのはラッドの恐るべき生命力だ。
制限された自身の治癒能力にも匹敵する程の威力。
さすがに残り半数程に近づいた中に残っただけはある。
不死者という概念はリヴィオも知らないため、あれがラッド自身の力という結論に行きついてしまう。
何故かラッド自身も驚いているようではあったが、そこはどうでもいい。
問題はラッドが非常に殺しづらい存在である一点について。
あのラズロとやり合えた事に納得を覚えるもの、嬉しさは微塵もなかった。
やはりこの殺しあいで生き残ることは容易じゃない。
その認識は一層強まり、同時にリヴィオは強く思った。

「ラズロ、やっぱりお前は凄いな。
俺じゃあお前の領域にはたどり着けないコトがよくわかったよ」

今は居ない、もう一人の自分であるラズロが果てしなく遠い存在に感じてしまう。
十二時間で四人という成果。
全参加者の結果と照らし合わせても、きっと上位の戦績だろう。
それも全員が全員無力な参加者ではない。
不意打ちの形で仕留めた蒼星石は兎も角、劉鳳、吉良吉影、ストレイト・クーガーの三人はいずれも実力者だった。
だが、それに引き換えて自分の方はどうだ。
一度戦った事のある、しかも自身の得物を手にしていないという相手だというのに。
たとえ二重牙を持っていなくとも、自分はウルフウッドを仕留めることが出来なかった。
ラズロなら出来ただろうか――考えるまでもないだろう。
何故ならミカエルの眼に同じ手は二度通じない。
師であるマスター・Cの教えを余すことなく継いだラズロが、二度目の相手を仕損じるわけがない。
そう。ラズロは自分とは全く違うのだから。

0702創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 20:20:05ID:FNTgQv35
 
0703瞬間 ◆Wott.eaRjU 2009/08/02(日) 20:20:27ID:P5ED+YUJ

「ラズロに笑われちまうな。
俺はまだ何も出来てない……何一つ。ラズロが出来たコトのこれっぽちも……!」

ラズロはミカエルの眼でも稀な才能の持ち主。
ラズロの宿主である自分が、GUNG-HO-GUNSのナンバーを与えられた理由は彼が居たからこそだ。
少しでもラズロに近付くため、ラズロの足を引っ張らないために重ねた特訓ではまだ足りない。
改めて自分とラズロの違いをハッキリと見せつけられた。
気が軽くなったというわけでも重くなったわけでもない。
以前からわかっていた事だが、今、自分達を取り巻く環境はいつもとは違う。
ラズロが消えた今、リヴィオは一人だ。
未だラズロに会う前、それよりも前の孤児院に送られたばかりの時のように。
信じられるものはこのちっぽけな自分自身。
AA弾の数も少なく、二重牙もなく、身体の調子も本調子ではない。
状況は絶望的だ。残り37人程ならば腕に自信がある参加者ばかり残っているだろう。
何よりラズロの力を当てにする事は出来ず、たった一人でやるしかない。

「……なに言ってるんだろうな、俺は」

だが、リヴィオに諦める気はない。
不安はある。自信があるわけじゃない。
だけどもまだ朽ちるわけにはいかないという意思がどうにも昂ぶっている。。
戻ってくる――確かにそう言ったあいつの帰る場所は一つだ。
他の何処でもない。このリヴィオ・ザ・ダブルファングという身体だ。
その時が来るまではなんとしてでも生き延びる必要がある。
だからこそ自分はこの引き金を引き続けなければならない。
目の前に何が立ちふさがろうと、必ず。

「ウルフウッドさん、後悔しますよ……いや、させてみせます。俺を逃してくれたコトを」

必要以上の事を考えることはない。
この殺し合いを自分の優勝という形で終わらせるには、何よりも人数を減らす必要がある。
よって自信の再生も兼ねてラッドは見逃しておく。
ラッドが向かった先で、ウルフウッドが連れていた少女の知り合いが死のうとも気に留めることもない。
数が一人でも減ってくればそれ上出来だ。
たとえ、あの孤児院で共に生活した年代の子供であろうとも自分はやれる。
いや、やらなくてはいけない。
迷い、銃口がぶれるということは決してあってはならない。
覚悟はとうに済んでいる。後は標的を探すだけだ。
ラッドと同じように、完全に身体の再生を待った後で。。
このホールのような目立つ場所では駄目だ。一目につかない場所が良いだろう。
目的を定め、リヴィオは北ホールの出口に背中を向ける。



「――絶対にね」




そして呟く。
まるで全てに見切をつけたように。
何も変わっていない、ウルフウッドの甘さに昔を懐かしんだ事も全て。
殺人機械と成った自分に不必要なのだから――自然と力が籠った。
ソードカトラスのグリップを必要以上に、ラズロがやったように。
まるで確かにラズロが居たという証拠を強く握りしめるように。
時間にして数秒。しかし、リヴィオにとってはそれ以上の意味を持つ時間が流れ、やがて走り出す。
そのあまりにも広く、傷ついた背中は紛れもなく一人の男のものだった。

0704創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 20:21:22ID:wdUn2A8v
   
0705瞬間 ◆Wott.eaRjU 2009/08/02(日) 20:21:32ID:P5ED+YUJ
【E-5劇場・北劇場ホール北出口周辺/1日目 日中】


【ラッド・ルッソ@BACCANO!】
[状態]:腹部に傷(小)、背中に打撲(中)、胸に銃創、両腕切断(なんとか繋がってはいる) 全て再生中 不死者化
[装備]:ワイパーのバズーカ@ワンピース、風貝(装填中)@ワンピース
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
 1:あのギラーミンとかいう糞野郎をぶっ殺す。
 2:そのためにこの会場にいるやつを全員殺す。とにかく殺す。
 3:ラズロ(リヴィオ)は特に念入りに殺す。
 4:御坂と黒スーツの男(ウルフウッド)、子供(梨花)も殺す。
 5:ギラーミンが言っていた『決して死ぬ事のない不死の身体を持つ者』(不死者)は絶対に殺す。
 6:宇宙人(ミュウツー)は出来れば最後の最後で殺す。
 7:左腕が刀になる女(ブレンヒルト)も見付けたら殺す。 詩音はまあどうでもいい。
 8:ギラーミンが言っていた『人間台風の異名を持つ者』、『幻想殺しの能力を持つ者』、『概念という名の武装を施し戦闘力に変える者』、『三刀流という独特な構えで
世界一の剣豪を目指す者』に興味あり。
 9:グラハムについて少し気になる。
10:身体が万全になるまで戦闘は避けてどこかで休む
【備考】
 ※麦わらの男(ルフィ)、獣耳の少女(エルルゥ)、火傷顔の女(バラライカ)を殺したと思っています。
 ※自分の身体の異変に気づきましたが、不死者化していることには気付いてません。
 ※リヴィオとラズロの違いに気付いていません。また、ラズロ(リヴィオ)のことを不死者だと考えています。
 ※ウルフウッドと梨花が出た出口とは別の出口から出ました。


【E-5劇場・北劇場ホール西出口周辺/1日目 日中】

【リヴィオ・ザ・ダブルファング@トライガン・マキシマム】
[状態]全身治癒中 腹部と左肩に銃創、内臓にダメージ、左腕再生中・見かけは復元、背中にダメージ中、胸にダメージ大 背中のロボットアーム故障
[装備]M94FAカスタム・ソードカトラス×2@BLACK LAGOON、.45口径弾×14、.45口径エンジェルアーム弾頭弾×4@トライガン・マキシマム
[道具]支給品一式×5、
    スチェッキン・フル・オートマチック・ピストル(残弾20発)@BLACK LAGOON、
    ココ・ジャンボ@ジョジョの奇妙な冒険、.45口径弾24発装填済みマガジン×3、45口径弾×24(未装填)
    天候棒(クリマ・タクト)@ワンピース、ミリィのスタンガン(残弾7発)@トライガン・マキシマム
[思考・状況]
 0:ラズロが戻るまで必ず生き抜く。
 1:参加者の排除。ウルフウッドとヴァッシュに出会ったら決着を付ける?
 2:ウルフウッドを強く意識。
 3:身体が万全になるまで戦闘は避けてどこかで休む。
【備考】
 ※原作10巻第3話「急転」終了後からの参戦です。
 ※ニューナンブM60(残弾4/5)、GPS、チックの鋏@バッカーノ! はAA弾頭の一撃で消滅しました
 ※とりかえ手ぶくろによって左腕を肩口から奪われました。
 ※ラズロとの会話が出来ません。いつ戻ってくるか、もしくはこのまま消えたままかは不明です。
 ※ウルフウッドと梨花、ラッドが出た出口とは別の出口から出ました
0706創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 20:21:48ID:FNTgQv35
 
0707 ◆Wott.eaRjU 2009/08/02(日) 20:22:21ID:P5ED+YUJ
投下終了しました。
支援どうもありがとうございます。
なにかあればお願いします。
0708創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 20:56:09ID:SWjjNu97
投下乙!
ラッド、さすがに自分の体の異変に気が付いたか。
まぁ両腕が両断されたんだし、当たり前か。
もし不死者になってるだなんて知っても、ラッドは喜ばないよなぁ。
もうこれ以上狂えないほどの狂人なのに、そこから更に狂ったら廃人になってしまうんだろうか。

リヴィオ……やっぱり銃を収める事は出来ないか。
一度揺れた心も、再び覚悟を決めた状態になってしまったね。
ニコ兄やヴァッシュと会ったときにその覚悟はこれ以上揺れずにいけるのか。
この先が楽しみだ。

一応再生能力が高い強マーダーが二人とも暫く休息な構えだね。
中央の火薬庫はもう落ち着いたと見ていいのだろうか。
0709創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 21:10:11ID:KUKRbah3
投下乙です
両腕が切断されたから身体の異変を再認識したとの事ですが……ブレンヒルトとの戦闘ではもっと酷い傷を受けてた筈では?
両脚切断、両目失明状態にまでいったあの時に気付かなくて、今になって気付くのは少しおかしい気が
0710創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 23:52:10ID:USWfc5+c
投下乙です
とりあえず2人とも休息か
ラッドはとうとう不死者化を疑問に思い出してきたか
リヴィオも休息+見逃しの様子だし
後は外とどのくらい矛盾が少ないか、かな

>>698で誤字と改行ミスかな?
4文目下から5行目、自文→自分
最終文下から4行目、「ラ」が残ってる

>>709
>>699で一度は捨てたって書いてあるからそれがブレンヒルトの時じゃないかな
0711創る名無しに見る名無し2009/08/03(月) 02:45:18ID:xk8LJgiA
久しぶりに見に来たけど、ワンピキャラまだ死んでなかったのか
贔屓もいい加減にしろよ
0712創る名無しに見る名無し2009/08/03(月) 07:51:41ID:dJgsD0MK
薄汚い読み手様が数匹沸いてる事を除けば、
実に素晴らしいなここのロワ。
0713創る名無しに見る名無し2009/08/03(月) 09:24:02ID:Frke3ExM
何を唐突に
0714創る名無しに見る名無し2009/08/03(月) 10:18:24ID:Qny4JpM3
ここではよくあること
0715創る名無しに見る名無し2009/08/03(月) 10:38:23ID:S8PStHmo
>>710
確認してきたけどブレンヒルト戦ではそんな描写なくない?
多分「一度は捨てた」ってのは秘められた力に覚醒した云々ってとこの事だと思うんだけど
0716 ◆Wott.eaRjU 2009/08/03(月) 20:00:11ID:NTcOjheU
感想どうもです。

>>709
そういえば両脚切断でした。
ではその両脚切断も踏まえて、今回の両腕切断で更に疑惑を深めたけど認めはしなかった……という感じでwikiに収録され次第修正しようと思います。

>>710
誤字指摘どうもです。
こちらもwikiに収録され次第修正しようと思います。


一度は捨てた元々はロベルタ戦での事を想定してましたのでその辺も手を加えようとか思います。
0717 ◆b8v2QbKrCM 2009/08/03(月) 22:46:38ID:Pq5XvFel
ロロノア・ゾロ、新庄・運切、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、水銀燈、伊波まひる、ハクオロ
投下します
0718創る名無しに見る名無し2009/08/03(月) 22:48:06ID:qcX6gANa
きた!支援!
0719創る名無しに見る名無し2009/08/03(月) 22:49:10ID:qcX6gANa
支援
0720Working×Walking×Warning ◆b8v2QbKrCM 2009/08/03(月) 22:49:20ID:Pq5XvFel
いらない物は?

「壊れた玩具」


嫌いなことは?

「不完全なこと」


怖いことは?

「欠落すること」


   ◇  ◇  ◇


日当たりの悪い廊下に新庄・運切の足音が響いている。
ゴム製の靴底が石の床材を叩き、トントンと駆け足のリズムを刻む。

「ちょっと待ってよ……」

新庄は先を行く男――ゾロに声を掛けた。
後ろから追ってくる新庄のことなど気にする様子もなく、ゾロは大股で歩を進めている。
一般的な靴と地下足袋という履物の違いか、響く足音は新庄のものだけ。
ゾロから目を離してしまえば、微かな物音も聞こえないほど引き離されて、置き去りにされてしまいそうだ。

「お前が勝手についてきたんだろ」

ゾロは振り向くこともせずに答えた。
本人からしてみれば、これでも普通に歩いているだけなのだろう。
しかし新庄は部屋を出たときから早足を強いられ続けていた。
ゾロが一歩で進む距離を、新庄は二歩で踏み越える。
ゾロがゆっくり進む路を、新庄は倍の速さで脚を動かす。
新庄は一向に変化しない歩幅の差を睨みながら、少しだけ前のことを思い出していた。
伊波やヴァッシュと一緒に城内を探索していたときのこと。
そのときは、歩幅の違いなんて気にすることなく歩くことができた。
ヴァッシュはゾロと同じかそれ以上に背が高くて、歩幅も広かったはずなのに。

(合わせていてくれたんだな――)

何も言わず、自分や伊波が苦労しないように。
心遣いとは離れて初めて分かるものなのだろう。
新庄は窓の外に視線を向けた。
眼下には城塞の周囲に広がる森があるだけで、人影は全く見当たらなかった。
ここの廊下の窓は南を向いているので、もしかしたらヴァッシュが見つかるかもしれない、と思ったのだ。
だが、そうそう都合よくはいかないらしい。

「それにしても迷路みたいだね……」

探索中にも抱いた感想を漏らす新庄。
こんなところで迷子になったら一大事だ。
新庄が視線を前に戻すと、まさにゾロが階段を昇ろうとしているところであった。
『城に近付く』仮面の男へ向かっているはずなのに、何故か『上階へ続く』階段を。

「……え?」

ゾロの足取りに迷いはない。
迷いはないのだが、致命的に間違っている。
0721Working×Walking×Warning ◆b8v2QbKrCM 2009/08/03(月) 22:50:03ID:Pq5XvFel
「ちょ、ちょっと!」

新庄は慌てて駆け出した。
ここで見失ったら二度と出会えない――そんな予感が本気で胸を過ぎっていた。


   ◇  ◇  ◇


苦しくて、惨めで、消えてしまいたかった。


『お父様』から頂いた身体を壊されてしまうなんて。


こんなジャンクに成り果ててしまうなんて。


人形は完璧でなければ意味がない。


片腕を失った醜い人形など、誰が必要とするだろう。


身を裂くほどの苦痛が水銀燈の心を苛む。


しかしどんなに辛くても、命を絶とうという思いは浮かんでこなかった。


醜く壊れてしまったといえ、大切な身体であることに変わりはないからだ。


それを自ら捨て去るなど『お父様』への侮辱に他ならない。


だから、生き延びる。


けれど、それだけでいいのだろうか。


真紅のミーディアムが死んだとき、水銀燈は喜んだ。


これで真紅がアリスになる道は狭まったと思って喜んだのだ。


しかし実際にアリスへの道を絶たれたのは水銀燈の方であった。


それを許すことが出来るのか?


……許せない。


……許すことなんてできない。

0722Working×Walking×Warning ◆b8v2QbKrCM 2009/08/03(月) 22:51:03ID:Pq5XvFel
脱落した自分を横目に、真紅がアリスへ近付くなんて、見過ごせるはずが無い――!



愛憎が渦を巻き、苦痛と恥辱を飲み込んでいく。


選ぶべき道はこれしかないと確信し――


水銀燈は、闇の中で残された腕を伸ばした。


その口元に微かな笑みを湛えて。


   ◇  ◇  ◇


城壁の穴を潜ったハクオロは、城内の荒廃ぶりに目を見張った。
位置は城の東端、荒れ果てた庭の一画。
建物から離れているため、何に遮られることもなく庭園を一望できる場所だ。

「攻め落とされたのではないな……」

草木は枯れ、石垣は崩れかけているものの、戦場となった形跡は見当たらない。
火を放たれた様子もなく、草花は兵士に踏み荒らされることなく、咲いていた頃と同じように枯れている。
戦火に飲み込まれたのでは、こうはいかないに違いない。
何らかの理由で放棄され、自然に朽ち果てたというところか。
ハクオロは枯れた花壇の間を真西へ歩いていく。
この城はハクオロがよく知る城塞とは別物だ。
しかし、城である以上、文化や文明が違っても共通点は幾らでも見出せる。
例えば敷地の西に建つ屋敷。
他の建築物とは違う雰囲気をもつそれは、恐らく城主の居館だろう。
ハクオロが目指しているのも、あの建物であった。

ハクオロは、アルルゥを護ることを第一としていた。
そのためにはまずアルルゥを見つけ出すことが必要だが、現状では手がかりが何もない。
必要なのは情報だ。
たった一人で、この広大な地域を踏破できるとは到底思えない。
ならば、捜索対象をアルルゥだけに絞るより、アルルゥと出会った者にも広げれば……
そうすれば多少なりとも可能性が高まるだろう。

誰かを探す。
その目的を果たす最善の手段は、人が集まる場所を探すこと。
自分が進んできた方でも、イスカンダル達がやってきた方でもない方角で、人が集まるであろう場所……古城と学校。
ハクオロが選んだのは、川を越えずに辿り着ける古城であった。
城という堅牢な防衛施設であれば、戦いを厭う者が集まっているかもしれないとも考えていた。

「しかしこの荒れようではな」

期待を裏切られたような感覚を覚えながら、ハクオロは居館の扉に手を掛けた。
誰かが古城へ向かっていたのは確認していたが、どこへ行ったのかまでは把握していない。
探すならば虱潰しにいくしかないだろう。
鍵は掛けられておらず、多少蝶番が軋んだ程度で、あっさりと開いた。
荒れたホールを抜け、大広間へと抜けていく。

「これは……!」
0723Working×Walking×Warning ◆b8v2QbKrCM 2009/08/03(月) 22:51:45ID:Pq5XvFel
大広間に入るなり、ハクオロは絶句した。
壁に叩きつけられて砕け散った食卓。
無残にも引き剥がされた絨毯。
額縁ごと粉砕された絵画。
この惨状は、城内の荒廃とは明らかに異質であった。
経年による劣化では断じてない。
何かしらの暴力によって破壊されたのが明白だ。
ハクオロは注意深く周囲を睥睨した。
ここで戦闘があったのではないか――
そう思い、痕跡を探る。
しかし、部屋の内装は酷く荒らされているのだが、血痕などは全く見当たらない。

「どういうことだ……?」

戦闘にはなったが、ここでは負傷しなかったのか。
それとも出血するような負傷ではなかったのか。
あるいは――戦闘ではなく、ただ暴れただけなのか。
判断する材料は足りていない。
ひとつだけ確かなのは、ここで『何か』が起こったということだけ。
ハクオロは大広間を一望する位置に掛けられた絵を見上げた。
丸い卓を囲む、流麗な外套を羽織った男達を描いた絵画。
中央に座するのは刃のような碧眼を持つ美貌の少年王。
城主が住まう居館には、こうした武威を示す絵画が決まって飾られているものだ。
ハクオロは彼らが何者であるのか知らなかったが、従者たる武将と王を描いていることは理解できた。

「皮肉なものだな……今の私を、王の肖像が迎えるとは」

足元に刻まれた三つの円環に、ハクオロはまだ気付いていない。
ただ、王と騎士達――アーサー王と円卓の騎士の肖像を前に、ただ嘆息を漏らすだけであった。


   ◇  ◇  ◇


「ちっちゃい……」

伊波はベッドに横たわる『少女』を前に、ぽつりと呟いた。
少し前までゾロが寝ていたベッドには、今は黒い服の『少女』が占有している。
生きた人形――ローゼンメイデン。
その存在は既にゾロから聞かされていたが、こうして目の当たりにすると驚きを禁じえない。
背丈はゾロの言うとおり、数十センチから一メートル。
ここにいる誰よりも、古城という風景に溶け込んだ服装。
ゴシック・ロリータとでもいう奴なのだろうか。
白い肌や銀色の髪と見事に調和していて、可愛いというより綺麗という感想が強かった。

「本当に人形なんだな……これだと手当てじゃなくて……」

修理になるかも、とヴァッシュは呟く。
大きさを除けば人間の少女と大差ない……とは実のところ言いがたい。
何より目立つのは背中の翼だ。
黒く艶のある、磨かれた黒曜石のような羽に包まれた双翼。
一見すればそういう飾りなのかと思えてしまう。
しかし少女が身じろぎするたびに小さく動き、それが飾りではないと証明している。
鳥のように飛ぶことが出来るのかは分からないが、少なくとも身体の一部ではあるらしい。
そしてもう一つの異質。
少女の左腕は『負傷』ではなく『破損』しているのだ。
そこに人間らしい血肉はない。

「……」
0724Working×Walking×Warning ◆b8v2QbKrCM 2009/08/03(月) 22:52:32ID:Pq5XvFel
伊波の脳裏を、とある機械の姿が過ぎる。
メカポッポ――
新庄に支給されたという鳥型の機械。
意志を持ち、自力で動く不思議なロボット。
未だ戻らないメカポッポと、この少女の間には明らかな違いがあった。
――首輪である。
少女の首には、伊波のそれより一回り小さな首輪が嵌められている。
つまりこの少女は、メカポッポのような『支給品』ではなく、伊波と同様に連れてこられた『参加者』なのだ。

「参ったな」

ヴァッシュは心底困った様子で少女を診ていた。
生物の肉体とは勝手が違いすぎる。
痛覚はあるのか。
傷を塞ぐ必要はあるのか。
出血に類するものはあるのか。
何もかもが分からない。
つまるところ、対処の仕様がないのだ。
とりあえず破損箇所に包帯を巻いてはみたものの、これに意味があるのかすら見当もつかなかった。
ヴァッシュはベッド横の椅子に腰掛けたまま振り向いた。
伊波もヴァッシュの数歩後ろから、心配そうな視線を少女に向けている。

「とにかく意識が戻るのを待って――あ――」

ヴァッシュがそう言った矢先、少女の瞼がぴくりと動く。
赤い虹彩がうつろに天井を見つめ、ゆっくりとヴァッシュ達に向けられた。

「あ、起きたよ!」
「大丈夫か! 傷は!?」

上体を起こした少女に寄るヴァッシュと伊波。
少女の端正な口元が怒りに歪んだ。

「来ないで!」
「……危ない!」

少女が怒りに任せて翼を振るう。
数本の羽が鋭い矢のように放たれる。
ヴァッシュはその脅威を一目で理解し、咄嗟に横へ飛び退く。
それと同時に、伊波を右腕で抱え込んだ。

「ひっ……!」

ヴァッシュは少女の放った羽から伊波を護ろうとしただけだ。
誓って他意はない。
伊波も頭の中ではそれを理解しているだろう。
けれど、条件反射までは止められない。

「嫌あっ!」

零距離からの抉り込むような一撃が、ヴァッシュの脇腹に突き刺さる。
打撃点は肋骨の少し下。
急所を打ち抜くレバーブロー。

「うぼぁ!」

伊波に突き飛ばされ、派手に転倒するヴァッシュ。
急に腕から解放された伊波は、受身を取る暇もなく、額から床に落下した。
ごつり、と小気味のいい音が響き渡る。
0725Working×Walking×Warning ◆b8v2QbKrCM 2009/08/03(月) 22:53:32ID:Pq5XvFel
「……あらぁ?」


ようやく平静を取り戻した少女――水銀燈が、周囲をきょろきょろと見渡す。
ベッドの傍では、額を押さえて転げまわる人間の女と、脇腹を抱えて悶絶する男が一人ずつ。
水銀燈は現状を理解しようと嗜好を巡らせ、考えるのを止めた。
考えるだけ、無駄そうだった。


   ◇  ◇  ◇


「はぁ……はぁ……はぁ……」

息を切らす新庄の横でゾロが訝しげに周囲を見渡した。
眉間に皺を寄せ、現状に納得していないのがありありと分かる表情だ。

「おかしいな、何でこんなところに出るんだ?」

二人が立っているのは、城の中で最も高い建造物の屋根の上。
その傾斜の中ほどで、ゾロは何事もないかのように直立し、新庄は落ちないよう頑張ってしがみ付いていた。
本来目指すべき地上とは奇跡的なまでに正反対の位置である。
どうしてこんなことになったのか。
もはや説明するまでもあるまい。

「全然……っ! おかしくない……っ!」

荒い息の合間を縫って、新庄は声を張り上げた。
階段を昇り続ければ最上階まで到達するのは当然だ。
それはもう、コーラを飲めばゲップが出るくらい確実に。

「仮面の野郎は……どこだ?」

ゾロは目を細めて城の敷地を見渡した。
新庄とゾロが屋根に立ち、ヴァッシュ達が二階にいるこの塔は、名称を主塔(ベルクフリート)という。
城壁の内側に建造され、城内で最大の高さを有する塔である。
位置は敷地の南東、高さはおよそ三十メートル。
一片が十メートル程はある四角形の塔で、他の建造物からは少しばかり離れた位置に建てられている。
主塔とは見張りと防衛を兼ねた建造物であり、内部の施設もそれに見合ったものばかりだ。


まず、最上階は監視用の部屋。
城塞の周囲を隈なく見渡すことが出来るようになっており、逆にそれ以外には向かない造りとなっている。

その下の四階は居住区域。
堅牢な主塔の上階という安全性から、城主の家族などが住んでいたとされる階である。
新庄達にそうした専門的知識は無いが、部屋の内装を見れば大体の見当はついた。
だいぶ荒れているとはいえ、豪華さのレベルが他とは段違いなのだ。

三階には召使のものと思しき質素な部屋と、炊事場が備えられていた。
火を使って水や油を加熱すれば、窓から敵兵に浴びせる兵器に早変わりするため、この高さに炊事場があったのだという。

そして二階には医療室などの諸々の施設。
万が一のときには主塔に篭城することになるため、戦いに必要な設備は一通り揃っている。
また、意外なことに、主塔の出入り口は二階に存在しているのだ。
梯子を外せば敵兵の侵入を阻むことができるからだ、とはヴァッシュの言である。

一階は、新庄達が探索した限りでは倉庫として用いられていた。
入り口が二階にあるため、感覚的には地下倉庫のそれに近い。
中身を逐一確認したわけではないが、特別は物品は無いだろうというのが三人の結論であった。
0726Working×Walking×Warning ◆b8v2QbKrCM 2009/08/03(月) 22:54:33ID:Pq5XvFel
「もう入ってきちゃったのかな」

新庄はゾロに倣って地上に視線を巡らせた。
入り口は北の城門ひとつだけ。
城を囲むのは、生身の人間には乗り越えられそうにもない城壁。
これだけを見れば、北以外からの侵入は不可能であるかのように思われる。
しかし城壁の其処彼処が崩れており、山城であるためか「堀」が存在していないので、侵入自体はどこからでも容易である。
事実、新庄と伊波も城壁の南に開いた穴から城内に入ってきたのだから。

「かもな……」

城壁で囲まれた敷地の中央は荒れた庭園が占めている。
まさにゾロが倒れていた庭だ。
手入れが行き届いてさえいれば、美しい薔薇が咲き乱れる美しい庭だったのかもしれない。
だがそれも仮定の話。
荒れ果てた風景、それが全てである。

城内で目立つ建物といえば、主塔の他にもうひとつ。
敷地の西側に建てられた、豪勢な洋館のような建築物――城主が住まう居館(パラス)がある。
防衛を重視していた主塔とは打って変わって、居館は居住性と豪華さへの比重が大きかった。
現在はかなり荒廃しているものの、往年の壮麗さは想像するに余りある。
ちなみに、新庄と伊波がヴァッシュを運び込んだ応接室も居館の中の一部屋であった。

後は幾つかの塔や建物、そして十字架を掲げた礼拝堂と思しき建築物。
それが城内にある施設の殆どだ。

「よし、今度こそ降りるぞ」
「待って! ボクが先に下りる!」

新庄は先ほどの壮絶な迷いっぷりを思い出し、慌てて機先を制した。
果たしてゾロを上手く先導することができるのか。
そもそも主塔から脱出すること自体できるのか。

その結末は誰も知らない。
0727Working×Walking×Warning ◆b8v2QbKrCM 2009/08/03(月) 22:55:15ID:Pq5XvFel
【A-2 古城跡・居館1階・大広間/一日目 午後】

【ハクオロ@うたわれるもの】
【装備】:なし
【所持品】:基本支給品一式×4、
      コンテンダー・カスタム@Fate/Zero 、防災用ヘルメット、コンテンダーの弾薬箱(スプリングフィールド弾27/30) 、ロープ×2、消火器、防火服、
      カッターナイフ、黒色火薬入りの袋、大型レンチ@BACCANO!、ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、双眼鏡、医薬品多数、ライター、
      起源弾@Fate/Zero(残り28発)、クチバの伝説の進化の石(炎、雷、水)@ポケットモンスターSPECIAL、
      空気ピストル@ドラえもん メリルのハイスタンダード・デリンジャー(2/2)@トライガン・マキシマム 、排撃貝@ONE PIECE、
      デリンジャーの残弾20 鉄パイプ爆弾×4、治癒符5枚@終わりのクロニクル
【状態】:右足と右肩に銃創(包帯処置、止血処置済み。ただし消毒なし)、左手首骨折
【思考・行動】
 1:ギラーミンを倒す。
 2:何としてもアルルゥを護り抜く。
 3:そのためにもアルルゥの情報を手に入れる。
 4:もしそれが叶わなければ……?
 5:ミュウツーに対して怒りの念。

【備考】
※クロコダイルの名前は知りません。
※クロコダイルの能力を少し理解しました。
※聖杯戦争とサーヴァントについての情報を一通り得ました。
※かつて戦ったニウェの言葉が頭の中に入ってきてます。
※もしベナウィやエルルゥを殺した相手の事がわかったら?
※参戦時期は少なくともシケルペチムでの戦いの後。
※ヴァッシュが古城に向かっているのに気付いています。



【A-2 古城跡・主塔2階・Dr.くれはの医療室/一日目 午後】

【伊波まひる@WORKING!!】
[状態]:疲労(小)、足に擦り傷・切り傷(消毒済)、額の痛み
[装備]:学校の制服
[道具]:支給品一式(食料一食消費、水1/5消費)、ARMSのコア(中身は不明)@ARMS マジックハンド×2 @WORKING!!
[思考・状況]
0:うあああ……
1:新庄、ヴァッシュと支えあい頑張る。
2:新庄を助けながら、ヴァッシュを待つ。
3:メカポッポの到着を待つ。(半ば諦め)
4:諦めない。常に信じ抜く。
5:小鳥遊、佐山の話を聞いた安堵感
6:佐山、小鳥遊と合流する。
7:ゾロに対してある程度信用、ただし触れたら…。
※新庄を信用しています。また、彼女の特異体質を知りました
※佐山・御言に関しては変な人ということを聞いています。ブレンヒルトについては、知り合いということだけ聞いています。
※運命のスプーンのことは知りません。
※ARMSのコアの事は一応目を通しましたが、何の事かよくわかってません。
※ヴァッシュと情報交換をしました。ウルフウッド、リヴィオ、広瀬康一、メイドの女性(ロベルタ)、園崎魅音(詩音)、黒服の男(サカキ)についての情報を得ました。
※ベナウィの事は聞かされていません。
※概念って何?
0728Working×Walking×Warning ◆b8v2QbKrCM 2009/08/03(月) 22:56:16ID:Pq5XvFel
【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン・マキシマム】
[状態]黒髪化、左肩に刺突による傷(再生中) 、脇腹の痛み
[装備]ヴァッシュ・ザ・スタンピードの銃 6/6 @トライガン・マキシマム
[道具]支給品一式、拡声器@現実、予備弾丸36発分
[思考・状況]
基本:殺し合いを止める、今度こそ絶対に。
 0:ぐおおお……
 1:水銀燈をどうにか助ける。
 2:新庄、伊波と同行する。ゾロについては信用。
 3:ウルフウッド、リヴィオとの合流。
 4:ウルフウッドがいるかもしれない……?
 ※原作13巻終了後から参加
※サカキ、ロベルタの名前はまだ知りません。
※詩音を『園崎魅音』として認識しています。詩音は死んだと思っています。
※口径などから、学校の死体を殺すのに使われたのはロベルタの持っていた銃ではないかと考えています。
※義手の隠し銃には弾が込められていません。弾丸を補給すれば使用可能です。
※伊波、新庄と情報交換をしました。佐山、ブレンヒルト、小鳥遊、高槻、メカポッポ、片目の男(カズマ)の情報を得ました。
※水銀燈の左腕が欠損していることに気づきました。





【水銀燈@ローゼンメイデン】
【状態】:全身に切り傷、左腕欠損(包帯を巻かれている)
【装備】:卵型爆弾@バッカーノ、強力うちわ「風神」@ドラえもん、
【道具】:基本支給品一式、ランダム支給品0〜1
【思考・状況】
0:なにこれ……
1:真紅をアリスにはさせない。
2:ローザミスティカは必ず手に入れる。
【備考】
※ナナリーの存在は知りません
※会場がループしていると確認。半ば確信しています
※古城内の大広間に『○』型のくぼみがあります。このくぼみに何が当てはまるかは不明です。
※魅音(詩音)、ロベルタの情報をサカキから、鼻の長い男の(ウソップ)の情報を土御門から聞きました。
※気絶していましたがヴァッシュの声は無意識に届いています。
0729Working×Walking×Warning ◆b8v2QbKrCM 2009/08/03(月) 23:00:13ID:Pq5XvFel
【A-2 古城跡・主塔屋上/一日目 午後】

【ロロノア・ゾロ@ワンピース】
[状態]疲労(中)、全身にダメージ(大)(止血、消毒、包帯済み)、左腿に銃創(治療済み)、
[装備]八千代の刀@WORKING!!、秋水@ワンピース、雪走@ワンピース
[道具]支給品一式×2(食料と水一人分消費)、麦わら海賊団の手配書リスト@ワンピース、迷宮探索ボール@ドラえもん、
    不明支給品(1〜3)、一方通行の首輪(血がこびりついている)
[思考・状況]
 0:向かってくる仮面の男が安全かどうか確かめる。
 1:傷を治す為病院に向かう。
 2:ウソップとルフィの仇打ち
 3:ゲームにはのらないが、襲ってきたら斬る(強い剣士がいるなら戦ってみたい)
 4:ルフィ(死体でも)、チョッパーを探す。橘あすかにも会ってみたい。リーゼントの男、ヴァッシュにも興味
 5:佐山・小鳥遊の探し人に会えて安堵
 6:首輪の秘密が気になる。
 7:金ぴか鎧(アーチャー)は次に会ったらただではすまさない。
 8:あの声は何だったんだ?
 9:概念?何だそりゃ?
 ※参戦時期は少なくともエニエスロビー編終了(45巻)以降、スリラーバーグ編(46巻)より前です。
 ※吉良吉影のことを海賊だと思っています
 ※黎明途中までの死亡者と殺害者をポケベルから知りました。
 ※入れ墨の男(ラズロ)が死亡したと考えています
 ※圭一に関しては信用、アーチャーに関しては嫌悪しています。
 ※雪走が健在であったことに疑問を抱いています。
 ※大阪(春日歩)から、危険人物としてクーガー、カズマ、ヴァッシュの情報を教えられました。
 ※不明支給品は一方通行のものです。
 ※新庄・伊波の二人と情報を交換しました、どちらかが幾つか間違った情報を持っていることも
  気づいています。
 ※1回目、2回目の放送の内容を新庄、伊波の二人から聞きました。


【新庄・運切@終りのクロニクル】
[状態]:健康、顔に腫れもの、精神的な疲労
[装備]:S&W M29 6インチ 6/6@BLACK LAGOON 、尊秋多学園の制服、運命のスプーン@ポケットモンスターSPECIAL
[道具]:支給品一式(食料一食消費、水1/5消費)、予備弾丸26/32
[思考・状況 ]
1:ゾロと仮面の男の所へ行く。
2:ヴァッシュを待つ。
3:メカポッポを待ってみる。(なかば諦め)
4:まひると行動しながら小鳥遊を捜す。
5:佐山と小鳥遊のことを聞いてひとまず安心しつつも変態的な意味での不安が……
5:佐山と合流しここから脱出する
6:ブレンヒルトについてはまだ判断できない。
7:人殺しはしない。
8:ゾロについてやや信用。
9:概念、どうしてここに
※小鳥遊宗太については、彼の性癖とかは聞いています。家庭環境は聞いていません
※新庄の肉体は5:30〜6:00の間にランダムのタイミングで変化します。
 変化はほぼ一瞬、霧のような物に包まれ、変化を終えます。
 午前では女性から男性へ、午後は男性から女性へ変化します。
※参戦時期は三巻以降です
※カズマを危険人物だと認識しています
※まひるに秘密を話しました。次の変化のときに近くの人に話す必要は…
※ヴァッシュと情報交換をしました。ウルフウッド、リヴィオ、広瀬康一、メイドの女性(ロベルタ)、園崎魅音(詩音)、黒服の男(サカキ)についての情報を得ました。
※ベナウィの事は聞かされていません。
※ゾロの声に聞き覚え?
※ゾロと情報を交換しました、どちらかが幾つか間違った情報を持っていることも気づいています
0730Working×Walking×Warning ◆b8v2QbKrCM 2009/08/03(月) 23:00:57ID:Pq5XvFel
【A−2城の構造(現在までに判明分)】
北:城門
西:居館(1階:大広間、応接間)
南:礼拝堂
南東:主塔(1階:倉庫 2階:医療室 3階:炊事場、居室 4階:居室 5階:監視室)
中央:庭園

※城壁が全体を囲んでいますが、穴だらけなのでどこからでも進入できます
※周囲は深い森で、堀などの設備はないようです
※居館1階の大広間の床には『○』型のくぼみがあります
※主塔2階の一室がDr.くれはの医療室@ONE PIECEになっています
※上の内容は現在までに判明している情報のみのため、他に建物や設備がある可能性も充分あります
0731 ◆b8v2QbKrCM 2009/08/03(月) 23:01:43ID:Pq5XvFel
投下終了です
0732創る名無しに見る名無し2009/08/04(火) 00:14:25ID:b/r08qmD
城の外向かってたはずなのに、何で上に昇ってるの?
方向音痴ってそういうもんじゃないと思うけど
0733創る名無しに見る名無し2009/08/04(火) 00:26:32ID:FtCXyqEb
ゾロだからな
アニメじゃ一本道も迷ってたしw
0734創る名無しに見る名無し2009/08/04(火) 00:30:57ID:yuY+2/jZ
ゾロの方向音痴は脳障害レベルといっても過言ではない
0735創る名無しに見る名無し2009/08/04(火) 00:50:29ID:b/r08qmD
つまり、ワンピースの作者は方向音痴と脳障害を勘違いしてるってこと?
0736創る名無しに見る名無し2009/08/04(火) 00:55:56ID:TT4o+E+n
>>735
鏡見てみれば?
0737創る名無しに見る名無し2009/08/04(火) 00:57:15ID:UT+SHjGp
ワロタww
0738創る名無しに見る名無し2009/08/04(火) 01:34:08ID:PM6o8YFH
>>735
ゾロの方向音痴に匹敵する読解力だ。
0739創る名無しに見る名無し2009/08/04(火) 02:22:47ID:b/r08qmD
何で?
ワンピースは方向音痴の意味勘違いしてんでしょ?
0740創る名無しに見る名無し2009/08/04(火) 02:25:10ID:UT+SHjGp
wwwwwwwwwwww
0741創る名無しに見る名無し2009/08/04(火) 03:07:01ID:PxmF10c+
ハイハイそうですねー。集英社に抗議の電話でもすればいいと思うよ
0742創る名無しに見る名無し2009/08/04(火) 03:12:43ID:b/r08qmD
間違いを指摘して何が悪いの?
やっぱワンピ厨は自分の非を認められないお子様ばっかりなんだな
0743創る名無しに見る名無し2009/08/04(火) 04:21:02ID:tVmUPT+V
ワラタwww
0744創る名無しに見る名無し2009/08/04(火) 04:57:34ID:UkE3beK2
もはやギャグの領域に入りつつあるwwwいいぞもっとやれwww

そして、投下乙!
古城も人数増えてきたけど、果たして水銀燈がどう動くか……
0745創る名無しに見る名無し2009/08/04(火) 05:34:54ID:y/Nkev08
またそうやって煽るし…
相手するから増長すんだろ
0746創る名無しに見る名無し2009/08/04(火) 16:27:09ID:VfC+/h/C
投下乙
水銀燈はマーダーから対真紅に転向か?
そしていなみんとゾロは自重しろww
0747創る名無しに見る名無し2009/08/04(火) 20:14:02ID:NX/OT7+E
投下乙!
わぁ〜、古城広いな…。
これは把握が大変そうだ。
しかしレバーブローは痛いぞ伊波w
水銀燈は目を覚ましたけど、一体どうなることやら。
古城の秘密を握ってるんだよなぁ。
ハクオロも例の部屋にいるし、古城の秘密を暴くキーキャラが集まりつつあるか?

しかし新庄、ゾロに振り回されっぱなしだなw
新庄もゾロのペースに合わせてたら体が持たないぞw
そしてゾロ!お前はもうちょっと新庄に配慮してやれ!
新庄は両性類なんだぞ!

色々な意味で続きが気になる!
良い繋ぎでした。
0748創る名無しに見る名無し2009/08/04(火) 22:19:50ID:HU0r5Vtd
キャメロットだったのか
0749創る名無しに見る名無し2009/08/04(火) 22:29:01ID:xVtPEUSf
西洋の城って、伝説的な王の絵を飾るのはよくあることだったみたいだよ
アレクサンダー大王、つまりイスカンダルとかも頻繁に描かれたらしい
むしろそういうのが城主のステータス
0750創る名無しに見る名無し2009/08/06(木) 13:16:04ID:86HX1/Fh
みんなおとなしいな、規制か?
…ところで。
早ければ今日投下来るが、容量足りるかな?
0751創る名無しに見る名無し2009/08/06(木) 13:35:07ID:SripvwTK
40kb以下ならば。
0752創る名無しに見る名無し2009/08/06(木) 17:35:19ID:be5HHLfO
SSの分量は40KBでも投下するとなるともうちょいいる
0753創る名無しに見る名無し2009/08/06(木) 18:45:23ID:12LVE5UU
新スレ立てるか
しかし順調よな
0754 ◆YhwgnUsKHs 2009/08/07(金) 21:10:34ID:u8JSPm1I
現在推敲中です。10時には投下始めたいと思います。
40は確実に越えますのでお暇があれば次スレの準備をお願いします。
それと、こちらいっぱいまで投下してから次スレに移るか。
次スレから全部始めるか、どちらにしましょうか。意見お願いします。
0755創る名無しに見る名無し2009/08/07(金) 21:38:44ID:Jza68FEZ
40はレスで埋めるとなると結構かかるんだよね。
それに容量埋めはしばらく落ちない。

つまり…(ry
0756創る名無しに見る名無し2009/08/07(金) 21:39:13ID:8ckF3ayj
スレ挟むと少し読みづらいし、次スレからスタートでいいんじゃないかな?
0757創る名無しに見る名無し2009/08/07(金) 21:58:37ID:oFWMDNRM
ここでいっぱいまで投下してから次スレに移るに一票
0758 ◆YhwgnUsKHs 2009/08/07(金) 22:01:09ID:u8JSPm1I
んーむ。では前編後編に分けるので、前編をこちら、後編を次スレとしましょうか?
0759創る名無しに見る名無し2009/08/07(金) 22:04:42ID:oFWMDNRM
それでいいかと
0760 ◆YhwgnUsKHs 2009/08/07(金) 22:05:53ID:u8JSPm1I
では投下開始します。
0761力-Strength-(前編) ◆YhwgnUsKHs 2009/08/07(金) 22:07:04ID:u8JSPm1I
 終演を迎えし惨劇の舞台。
 死者は4人。
 残された者は9人。
 1人は北の場にて休息を選び、1人も休息を選び北の場から去った。

 そして、南の場には今6人の参加者が存在する。

 3人はこの会場で作られた1つの○の元に誓いを立てた者達。
 ○は一度別れここに集った。ただし2人の欠員アリ。

 2人は長い間行動を共にした2人。
 その間には固い信頼関係が存在していた。会ってまだ12時間も経っていないとしてもだ。

 最後の1人は慢心と傲慢を貫く王。
 従者は斃れ今彼はまた1人となった。


 1つの惨劇が終わった場で、彼らは何を決するのか。
 そして残った2人はどう動くのか。



 *****


 南劇場ホール内。
 劇場全てのホールと比べれば最も小規模なホールだ。
 能や歌舞伎などの日本演劇の為に作られた舞台には桧が使われ、横に伸びた欄干が目を引く。
 背面には松をあしらわれており和風舞台に恥じない様相だ。


 
 もっともここにいる者でその舞台に目を惹かれている者はいはしないのだが。



「圭一……そんな、圭一!!」


 100年の運命を越えた少女、古手梨花。
 数多くの短い期間を繰り返した結果身体には不釣合いな大人びた本性を獲得してしまった彼女も今のこの事態にはなりふりを構わず動揺していた。

 目の前には自らの運命を変えてくれた少年、前原圭一がいる。彼女が会いたかった仲間の1人だ。
 だが、彼の足はぐちゃぐちゃに粉砕されており、その目は閉じられてもう目覚める気配はなかった。


「圭一……そんな、そんなぁ!!」


 終わったはずだった。
 繰り返される悲劇はもう終わったはずだった。仲間たちの手によって。
 『繰り返される悲劇』の間なら、仲間が死んだとしても平気だった。どうせ次がある、という冷酷な諦めがあった。
 だけど、もう悲劇は終わってしまったのだ。
 もう仲間が蘇る事はない。
 羽入の力を頼ろうにもここで話せた試しも見つけられた試しもない。
 主催によって羽入の介入が阻まれているのか、羽入が殺されてしまったのかは分からない。
 わかることは1つ。『次』はもう望めない。この牢獄では。
 抜け出したはずの牢獄の外にあったのは、さらに過酷な牢獄だったのだ。
0762創る名無しに見る名無し2009/08/07(金) 22:07:20ID:oFWMDNRM
 
0763力-Strength-(前編) ◆YhwgnUsKHs 2009/08/07(金) 22:07:45ID:u8JSPm1I


「梨花ちゃん……」


 その圭一を手で支えていた少女は目の前で泣き崩れる梨花をただ見ているしかできなかった。
 やっと会えた2人の仲間。だが、その状況は極めて最悪だった。
 静かに燃え上がる蒼い炎、竜宮レナはこんな巡り会わせをした神を呪った。
 よりにもよってなんでこんな。

 それぞれの同行者、トニートニー・チョッパーとニコラス・D・ウルフウッドもただ黙っていた。
 チョッパーは辛そうに、ウルフウッドは無表情にしながらも本当の感情はサングラスに隠しながら。


 そして残る2人は。



「そろそろその耳障りな騒音を止めぬか小娘が」



 金色の英雄王、アーチャーことギルガメッシュは冷徹な目で梨花を見てそう告げる。

「お、おいこら!」

 あまりに梨花のことを考えない発言にチョッパーが思わず文句を言おうとしたが口をレナがすかさず封じたためそれはできなかった。

(な、なにすんだよレナ!)
(ダメチョッパーくん!あの人、多分イスカンダルさんが言ってたアーチャーだから!)
(え!?)

 小声で告げられたその言葉にチョッパーの動きが止まった。
 イスカンダルに教えられていた『遭遇したら迷わず逃げなければならない』相手。
 赤い双眼に金色の髪。鎧こそ情報と違うがまず同一人物だろう。
 そう考えるとチョッパーの体から冷や汗がダラダラ溢れ出した。
 とんでもないのに『おいこら』と言ってしまったと。
 自分を見つめる冷たい視線にチョッパーは自分の死を嘆き始めた。



「まあまあ英雄王。あまり余の同盟相手を脅してやるな」
「フン。貴様は相変わらずだな征服王。別に脅した訳ではない。そこの珍獣が勝手に恐れをなしたのだ」


 そんなチョッパーに救い船を出してくれたのは征服王、ライダーことイスカンダルだった。
 それに対してアーチャーは既知のサーヴァントに対して呆れた視線を向ける。


「まさかまたも貴様と合間見えるとはな。相変わらず夢を見ているらしい。我が目を醒まさせてやったというのに」
「生憎夢を見進むのが我が性分なのでな。というか英雄王、貴様が『また夢を見るといい』と最期に言ったのではないか」
「『我が庭で』だ。ここは我が庭から切り取られたか、あるいは模造された偽りの庭よ。このようなところで見るなと言っている」
「んな細かい事は……あーあー、すまんかったから空間を揺らめかせるな」


 レナとチョッパーが2人のやり取りを呆然と見ていた。
 仲が良いような、悪いようなやり取り。
 そういえばライダーはアーチャーを危険だとは言っていたが『悪い奴』とは言っていなかった。
 どちらもあまり変わらないような気もするが。
0764力-Strength-(前編) ◆YhwgnUsKHs 2009/08/07(金) 22:08:08ID:u8JSPm1I


「まあお前たち。とりあえず各々言いたい事はあるだろうがな。一先ずここは情報交換といかんか?
 そこの少年についても話を聞いておきたいしな」

 イスカンダルが場を取り成す形で他の5人を見渡しそう言った。
 レナとチョッパーは元々別れていた仲間だから当然なので、言葉の相手は梨花、ウルフウッド、ギルガメッシュだ。


「ほう、征服王。まさか我と対等に情報交換などできるつもりか? 今再び眠りにつかせてやってもいいのだぞ?」
「まあ焦るな英雄王。貴様とて大人しくしたがって殺しあうつもりなどなかろうに。聖杯戦争とは状況が違うのだからな」
「……フッ。まあいいだろう。今の我は気分が良い」

 そう言ってギルガメッシュは圭一の死体を見やった。
 それを見ての表情はまさに喜悦。
 当然それを見て不快な気分を抱く者などここにほとんどいるはずなく、ただ呆れるイスカンダルだけだった。

「哀れな雑種どもに餌をくれてやるも悪くない」
「本当に相変わらずだなおい……お前たちも構わんか?」


 ギルガメッシュをなんとかなだめたイスカンダルはウルフウッドに目を向けた。
 先刻からイスカンダルとギルガメッシュに警戒を向けている男。恐らくはかなりの手練だろうとイスカンダルは踏んでいた。

 ウルフウッドは圭一の傍で膝を突いている梨花を一瞥すると、憮然とした顔で答えた。


「ワイは構わん。今はそれが最善やろうしな。こっちもさっきの現象について説明が欲しいところやさかい」


 そう大人しく言うが、ウルフウッドの視線は厳しい。
 特にギルガメッシュに対して。
 さっきの『耳障り』に関して彼も怒っていたのだろう。
 チョッパーと違い何も言わなかったのは、ただギルガメッシュの実力とその気性を既に知っていたからだ。


「よし……さて。では何から始めるとするか」



 *****



 圭一の死体を寝かせやっと泣き止んだ梨花を含め6人はホール内で向かい合った。
 ギルガメッシュだけはわざわざ舞台の上に乗って見下ろす形だったが。

 最初に語りだしたのはイスカンダルだった。
 レッドと共に橋にてハクオロ、園崎魅音、砂の男、電気の少女に遭遇した事。

「魅音!?」「みぃちゃん!?」「それクロコダイルか!?」

 その話に反応したのは梨花、レナ、チョッパーの3人だった。
0765創る名無しに見る名無し2009/08/07(金) 22:08:13ID:oFWMDNRM
 
0766力-Strength-(前編) ◆YhwgnUsKHs 2009/08/07(金) 22:08:51ID:u8JSPm1I

「ああ。すまんなレナ。余は間に合わなかった。だが娘は強大な相手に最後まで立ち向かっておったぞ。同行した男の為にな」
「みぃちゃん……」
「お人好し、なんだから…!」
「それと医術師。おそらくその者で間違いはないだろうな。尤も余が川に落ちた後戻った時にはもう死んでいたがな」
「あのクロコダイルを倒せる奴がいるのか……」

 電撃を受け川に落ちたこと。
 戻ってみるとそこにはクロコダイルの死体とハクオロ、レッド、そして重傷の男が居た事。
 男が令呪を持っていたこと。

「令呪だと?……成程」


 次に反応したのはギルガメッシュだった。


「心当たりがあるのか?」
「ああ。そ奴は騎士王、セイバーのマスターだ。名簿を見る限り間違いあるまい。その男は放送前に死んだのだろう?
 ならば確定だ。第2回放送でその男の名が呼ばれたのだからな」
「話を先取りするな。……まさかあの娘のマスターがあの男だったとはのう」
「我が仕留める前にやられるとは、所詮雑種か。不憫な奴よ言峰は」
「監督役がどうかしたのか?」
「此方の話だ」

 レッドが男を助ける為劇場へ向かった事。
 そして――

(……ハクオロ。余はお前を諦めてはおらんぞ)
「マスターの男をハクオロが殺害した。余が少し離れている間にな」
「「「えっ!?」」」
「……」

 イスカンダルの発言にレナ、梨花、チョッパーが驚愕し、ウルフウッドはただライダーを見ていた。
 ギルガメッシュは意外そうにしながらも笑みを浮かべる。

「ハクオロを弁護はしておく。あの男にも大切な者がいた。その者たちはここで散った。マスターの男と少女の行動は危険と取られても充分だった。
 ハクオロはもしもその男が――という疑念を捨て切れなかったのだ。余が問答無用で襲われたのも事実ではあるしな」
「で、でも話も聞かないでなんてひどすぎるだろ!」
「チョッパーよ。その男は既に3人、いや魅音という娘を入れれば4人も失っていたのだ。これ以上大切な者を失う事に堪えられなかったのだろう」
「う……」
「あ奴はその後我らと共に行動はできないとし別れた。我らを信用できなかったのではない。
 あ奴は自分にその資格がないと言ったのだ」
「そんな……」

「ククククッ!あの男の最期としてはこれほど滑稽なものもあるまいなあ。
 もし言峰が全てを見ていたとしたら果たしてこの最期に言峰は満足したのか……いや、恐らく無理であろうな。
 ハクオロと言う男を壊したがるかもしれんが、あ奴の乾きは満たされまい」
「だからさっきから何の話だ?」
「気にするな。そこで終わりか?」
「ああ。その後は皆わかっての通りだ」
「ワイと梨花は知らん話やぞ」
「あー、そうさなぁ……」


「ちょっと待ってイスカンダルさん」

 レナがイスカンダルに問いかけた。
0767創る名無しに見る名無し2009/08/07(金) 22:09:01ID:oFWMDNRM
 
0768力-Strength-(前編) ◆YhwgnUsKHs 2009/08/07(金) 22:09:37ID:u8JSPm1I

「さっきの話じゃレッドくんがここに来てないとおかしいよね?でも、レナたちは会ってないんだよ?だよ?」
「!!」

 レナの言葉に梨花の肩が震えた。

「レッドが劇場に向けて飛んだのは間違いない。……リカと言ったな。お主何か知っておるのか?」
「あ、あ……」

 梨花の異常にすぐ気づいたイスカンダルが梨花に向かって聞く。
 梨花は怯えた顔で答えようとしたが、その肩を抑える手があった。


「ニコ、ラス……」
「それについてはワイらの話で教えたる。こいつとワイは朝の4時あたりから一緒におったからほとんど情報は一緒やし。
 ワイが言ったほうがスムーズやろ。ここで起こったことは他の奴の話で聞くとするわ」
「わかった。ならば……」
「ウルフウッドでええ」
「ウルフウッドよ。報告を頼む」
「ワシはおどれの部下か……まあええわ」


 2番目に語りだしたのはウルフウッドだった。
 桜田ジュンの死体を見つけたこと。
 遊園地前で梨花と出会ったこと。
 赤髪の男に襲われた事。
 ルフィという少年に出会い、火傷顔の女に襲われ、ルフィが死んだ事。


「ルフィ〜〜〜〜〜!ルゥフィ〜〜〜〜〜〜!!」
「喧しい珍獣だ。あの下女、我と会う前に斯様なことを仕出かしていたとは」
「火傷顔って……あの女の人、チョッパーくんの仲間まで」
「あ奴がなあ」

 その話に反応したのは梨花とウルフウッド以外の4人全員だった。
 しかもその相手は火傷顔の女だ。
 もっとも2人はそれに対してあまり反応はなかった。


「ああ……そこで死んでるのを見つけた時は驚いたわ」


 ウルフウッドが見やると、座席の陰に倒れている人影があった。
 隻腕で顔に火傷傷のある女、バラライカだった。


「隻腕ながら最期まで戦士として我らが軍勢に立ち向かった。仕留めた英霊達の進言もあってな。
 そ奴はできる限り無事で帰還させた」
「別に粉々にしても構わんかったんやけどな」

 バラライカのデイパックはその処置のおかげか傷はなかった。
 軍勢に自ら突っ込んでしまった無常のデイパックは大分ひしゃげ、中の物がいくつ無事かわからない状態だった。

「……」
「チョッパーくん……」

 チョッパーは無言で泣きながらバラライカの遺体を見ていた。
 殴り飛ばしたかった。問い詰めたかった。何で殺したんだ。なんでルフィを殺したんだ、と。
0769創る名無しに見る名無し2009/08/07(金) 22:09:44ID:oFWMDNRM
 
0770創る名無しに見る名無し2009/08/07(金) 22:10:40ID:oFWMDNRM
 
0771力-Strength-(前編) ◆YhwgnUsKHs 2009/08/07(金) 22:10:58ID:u8JSPm1I


 でもその相手はもういない。もうそこで死んでいる。
 その遺体を殴るなんていうのはしてはいけない行為だ。
 問いかけても答えてくれはしない
 だからチョッパーは自分を止めた。
 悔しくて悲しくて目の前が涙で何も見えそうになっても。


 *****


「どうやって殺したんかは後で聞くとしてや……その後は」

 ウルフウッドは続きを話し出した。
 ギルガメッシュと遭遇して劇場へ誘導された事。
 そこで赤い帽子の少年と白スーツの男と遭遇したこと。


「レッドだ!」「レッドくんだ!やっぱり劇場に来てたんだ」
「むぅ……白いスーツだと?」

 反応したのは○同盟の3人。レッドと見て間違いない少年の情報が出たのだから当然だろう。
 だが、イスカンダルの反応だけは違った。レッドではなく、白スーツの男に対して。

「なあその男。くしゃくしゃの髪にいい笑顔で死なないと思っている奴を殺したいとか言っていなかったか?」
「最初の条件しか当てはまる気はせえへんけど……殺人大好きですって顔はしとったな」
「そう、か」
「ちょ、ちょっと待ってイスカンダルさん!それってまさか!」

 レナが顔を青くした。
 イスカンダルの告げた情報がある人物の情報と同じだったのだ。
 仲間の兄貴分であるはずの男に。


「危険だという可能性は充分あったのだがな。おそらくはラッド・ルッソというグラハムの兄貴分で間違いないだろう」

「っ!!」

 その結論にレナとチョッパーの顔は曇った。
 ここまで来れば予想はつく。
 レッドは劇場の近くまで来ていた。なのに、ここにいない。
 そしてさっきの梨花の動揺。レッドと共に居たのは危険である可能性がある人物。

 導き出される予想は最悪のもの。
 2人にとって信じたくないもの。
 なぜなら――


「そいつにその子供は殺された」


 殺人者は、大切な仲間の兄貴分なのだから――





「レッド……お前は最後まで他者の為に生きたのだな……すまん」
0772創る名無しに見る名無し2009/08/07(金) 22:11:36ID:oFWMDNRM
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■  ┃┃  ■       /..:./..:..:, ──‐ '-、  /::::::::::Yヘ丶─- 、\:.丶、___, 
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0773力-Strength-(前編) ◆YhwgnUsKHs 2009/08/07(金) 22:12:00ID:u8JSPm1I

 ウルフウッドに渡された、残されたレッドの両腕を抱えながらライダーは目を瞑った。
 イスカンダルとて歴戦の猛者。仲間の死など幾千も越えてきた。
 それでも、たとえ臣下ではなかったとしても、自分を信じ同盟を結んだ少年の死を悼まない理由にはならない。

 残された腕には黒いグローブと包帯。その下には○の印がある。

(最後までお前は我らの誓いの印を守ったのだな。
 偶然にしても故意にしても、お前は誓いを残したのだ。
 レッド。お前の意志、無駄にはせぬ)


 イスカンダルはレッドの明確な死、そしてその加害者がグラハムの友人だという残酷な事実に打ちひしがれるレナとチョッパーを見やった。

「レナ、医術師。いつまでも悲しんでいるわけにはいかんだろう」
「でも……でもよぉ! レッドを殺したのがグラハムの兄貴だなんて、そんなのねえだろ!!」

 チョッパーが悲しそうに言う。
 これを知ったらグラハムはどう思うだろうか。
 グラハムが命の恩人と言うのはレナとチョッパーだ。だがレッドに対してもグラハムは好印象を持っていた。
 ラッドの凶行を知ったらグラハムはどうするのだろうか。


 その二人の前にイスカンダルは容赦なくそれを突き出した。

「っ!」
「ああっ!」

 それはレッドの右腕。端が炭化した無残な、生々しい腕。
 それを容赦なく目の前に見せ付けると、有無を言わさずイスカンダルは吠えた。

「目を背けるな!見よ!これが我らの同胞の遺したものだ!
 成れの果てと呼ぶか! いや、違う! レッドは死しても守ったものだ!」

 包帯を取り、その下の○印をさらけ出す。
 レナに、チョッパーに、心配そうに見ていた梨花に、続きをしあぐねていたウルフウッドに、退屈そうにしていたギルガメッシュに。

「我らが誓いの証を守り抜き、2人の命を守ったレッドにふがいないと思わんのか!
 泣くのもよかろう。残酷な事実に悲しむのもよかろう。
 だが! それは懸命に尽くしたレッドへの侮辱だ!
 奴の遺志が言っているであろう。必ず目的を果たせと。後を託すと。
 余はそう受け取った! お前たちはどうだ?
 この印を見ても尚、ここで泣き、耳をふさいで全てを否定する気か!」

 ライダーが啖呵を切りレッドの腕を掲げる。残された○の印を掲げる。


『でも、俺にはその印、俺たちの勝ち星に見えるな。もちろん、負け星は……ギラーミンだ!』


「そうだ……おれ達、まだ勝ってねえ。おれ達、勝ち星をあげなくちゃいけねえんだ!」
「うん……レッドくんに笑われちゃうよ。こんなところで止まってたら」
「左様。止まっていてはそれまでだ。前へ進むのだ。遺志を胸に、前へ」

 レナとチョッパーは涙を拭い見上げた。
 その顔に満たすは、意志。
 レッドの分まで必ず成し遂げるという、意志。
 2人は立ち直り、それをイスカンダルは満足そうに見つめた。
0774創る名無しに見る名無し2009/08/07(金) 22:12:17ID:oFWMDNRM
すまん誤爆したorz
0775力-Strength-(前編) ◆YhwgnUsKHs 2009/08/07(金) 22:12:33ID:u8JSPm1I


「で、続きええか?」
「空気読みなさい」 


 *****

「で、その後そいつから逃げて北のホールまで逃げて…………」
「ニコラス?」

 話の続きをしていたウルフウッドは少し顔を歪めると、一呼吸置いてから。


「リヴィオっちゅう……顔馴染みと戦闘になった。そいつを倒してラッドをぶったおした梨花を連れてこっちまで逃げてきたってわけや」
「ちょっとニコラス!! 誰が倒したって!?」
「梨花ちゃん、意外に……」
「こ、こええ」
「ちがーーーーーう!! 上から天使の人形が降って来てたまたまそいつの腕をぶったぎったのよ!!」
「ほう。なかなか強運を味方にしているな娘。だが、その話真か?」
「えっ!?」

 ギルガメッシュの指摘したのは目の前でラッドの腕が切られたにしては梨花の服に血がまったくついていないと。
 この指摘でウルフウッドと梨花は今まであった違和感に気づいた。本当ならば気づいていて当然だがあまりに周りの状況変化が激しすぎて気づけなかった。
 血まみれだったはずの梨花がいつの間にか全く血痕がついていない。
 ウルフウッドは確かに血塗れになった梨花を見ているが、髪にも肌にも服にすら一滴の血痕もない。
 コレに関してはほとんどの人員が首をかしげた。
 ただ1人を除いて。

(いつの間にか消え失せた血痕、か……もしや)

 不死の酒により不完全な不死を得ているギルガメッシュだ。
 一度指を切りその再生を確かめていたギルガメッシュには消え失せた血について心当たりがあった。
 速度こそ遅かったがまるで生き物のようにもとの場所に戻っていく血。垂れた場所には染み1つなく。
 となれば、そのラッドも不死者ということになる。

(説明書では『喰う』ことができるとあったが……雑種の薄汚い記憶を我に刻み込むなど話にもならん。
 汚い肉を我に食せと?)

 ギルガメッシュは不完全な不死者であるラッドを喰らう権利を持つ。
 だがそれを行使する気は全くなかった。
 ラッドが不死者だということは一応覚えておくとするが、それを他の者に教える気はなかった。


「おい、どうしたんや。これで話は終わりやぞ。まだ疑うんか?」
「ああまだおったのか。もう良いぞ。先の疑いは我の中で解決した」
「おいおい英雄王。自分で勝手に納得するな」
「自分達で答えを得ろ、雑種共」
「あーったく……」

 頭をがしがしと揺すりながらイスカンダルはレナとチョッパーに目を向けた。

「次はお前たちに頼みたいのだがな。さっきの話で出たグラハムの小僧はどうした?」
「そ、それは……」
「私が言うよチョッパーくん」
0776力-Strength-(前編) ◆YhwgnUsKHs 2009/08/07(金) 22:13:16ID:u8JSPm1I

 そう言ってレナがこれまでの経緯を語りだした。
 劇場近くまで南下してきたが誰にも出会えなかったこと。
 ホテル近くで片目の男に遭遇した事。
 説得したが叶わず逃走を選択した事。
 グラハムがその相手をする為残った事。
 劇場まで逃げたが放送のショックで手間取っている間にカズマに追いつかれてしまったこと。
 チョッパーが奮闘しレナが援護しなんとかカズマを倒したこと。
 そこに火傷女と無常という男が乱入してきたこと。
 英雄王と征服王が乱入した事。
 征服王が宝具『王の軍勢』で2人を倒したこと。
 以上がレナの口から語られた。


「なるほどのう」
「足止めを買って出ていながら果たせんとは。無能な雑種だ」
「…………」
「なあ、梨花もワイもよくわからんのやが……ほーぐ、って何や」

 レナの説明でイスカンダルが補足した部分についてウルフウッドが口を出した。

「おお、そうさなあ。簡単に言えば……『必殺技』か?」
「簡単に言いすぎや。まるでわからん」
「要は余や英雄王の切り札と言ったところか。余のはまあ、特殊な結界内に敵を閉じ込め軍勢で一掃する、といったところか」
「…………わけわからんが、あんたとは一戦交えたくあらへんってことはわかったわ」
「我は破ったがな」
「わざわざ言わんでよいというに……レナ、チョッパー」

 イスカンダルの言葉に2人の体が固まる。
 自分達は結局ノルマをこなせず、それどころかグラハムを見捨ててきてしまったのだ。
 ここで同盟を破棄されても仕方ないかもしれない。
 そう思った。


「よくやったな」
「え!?」
「え、で、でもおれ達……ノルマこなせなかったんだぞ!?」

 賛辞と共に2人の頭を撫でたイスカンダルに2人は驚いた。

「それを言ったら余も同じであろうが。それに余はレッドを死なせている。
 片目の男相手にお前たちが善戦したのに比べれば余の方が情けない戦果であろう」
「で、でも! イスカンダルのほーぐがなかったらおれ達……」
「珍獣……それはつまり我d」
「その前に危機を救ったのはそこの英雄王だ。余は最後に仕上げをしたに過ぎん。よってお前たちを非難する資格はない」
「イスカンダル……」

 少し悲しげにレッドの腕を見るイスカンダルに二人は決意する。
 今度こそ、不甲斐ないマネはしない、と。
 あの軍勢の光景を見て、2人にはいつの間にかイスカンダルへの信頼が芽生え始めていた。


「グラハムに関しては後に回すとして……で、英雄王。残るは汝だけだぞ?」
「フン。結局碌な情報がなかった気もするがな」

 ここまで話を聞いてもなお不遜な態度に『もしやこのまま自分は何も言わない気か』と他の4人が警戒した。
 それに対してギルガメッシュは不快そうな顔をする。
0777創る名無しに見る名無し2009/08/07(金) 22:13:18ID:oFWMDNRM
 
0778創る名無しに見る名無し2009/08/07(金) 22:14:00ID:oFWMDNRM
 
0779力-Strength-(前編) ◆YhwgnUsKHs 2009/08/07(金) 22:14:21ID:u8JSPm1I


「舐めるなよ雑種共。言ったであろう。我は今気分が良いと。見世物もそれなりであったし、良いだろう。
 お前たちに我が情報を拝聴する権利を与えよう」
(なあ、ここまで言わないと教える気になってくれないのか?)
(そういう奴なのだ。ここは諦めろ)


 チョッパーとイスカンダルのひそひそ話に対して軽くにらみつけた後、ギルガメッシュが経緯を話し始めた。
 もっとも話の間の空気は最悪なものだった。
 圭一を屈服させ従者としたこと。ここでレナと梨花が不快そうな顔に。
 電車でゾロを発見し情報を頂いた後電車から落としたこと。ここでチョッパーが怒り出しそうに。
 ゾロから聞いた佐山、小鳥遊、蒼星石の名前。
 降りた駅で出会った真紅という人形、クーガーという男について。誰か忘れられたような気がするが気のせいだ。
 図書館で出会った下女ことバラライカ。
 マンションで梨花、ウルフウッドと接触。
 その後中央劇場へ移動し、今に至る。


 ギルガメッシュの唯我独尊自由奔放外道な一路を聞いた皆は


(ひどいかな?かな?)
(ひ、ひでえ)
(酷いわね)
(ひどいな)
(本当に相変わらずだのう英雄王よ)

 彼の語った旅路は正直『ひどい』としか苦笑して言うしかできないようなものだった。


「にしても他にも集団で対抗する者たちがいようとはな。是非臣下にしたいものだ」
「出会えればの話だがな。さて情報交換は終えた。
 次は品だ。お前たちの所持品、全てここに晒して貰おう」

 ギルガメッシュの不遜な物言いに流石に慣れてきていた一同も顔を不審にゆがめる。
 だが梨花とウルフウッドは知っている。目の前の男が支給品だったというのに梨花を盗人と言い処刑しようとしたことを。

「レナ……お願い言う事を聞いて」
「でも…」
「レナよ。ここは素直に従おうぞ。こっちとしても好都合だ。余の神威の車輪を持っているやも知れぬからな」
「わ、わかった……」

 イスカンダルの進言に2人も渋々従い、5人は支給品をデイパックから取り出しその場に並べた。

 梨花は修道服、サクソフォンを、レッドのデイパックから巨大銃、銀の杖を。
 ウルフウッドは手持ちの拳銃、ショットガン、木の実、グルカナイフ、コイン。
 レナは梨花のと同じ巨大銃、包帯、ドライヤー。
 チョッパーは包帯、救急箱、タオル、竹とんぼ型の機械。
 イスカンダルは、小型カメラとイラスト集、大きな十手、包帯、イリアス、拳銃の予備弾のみ、奇妙な木の実、そして――

「そ、それって悪魔n「なんだそれは」

 木の実に反応したチョッパーを遮りギルガメッシュが見つめたのはイスカンダルが図書館から寄せ集めてきた地図の束だった。

「おおこれか? 一応図書館から寄せ集めてきたのだがな。話にならんのだ。1st-Gだのグランドラインだのノーマンズランドだのカントーだのまるで地形がバラバラで、
 しかも我らが知識にある世界の地図とはまるで違う。おまけに規模も統一されておらん。
 世界規模かと思えば雛見沢という街であったり学園都市だかの都市であったり極めつけはワグナリアとかいうレストランの見取り図だ。
 冬木の地も混じっておるし、何が何やら…………どうしたのだお前たち」
0780創る名無しに見る名無し2009/08/07(金) 22:14:51ID:oFWMDNRM
 
0781力-Strength-(前編) ◆YhwgnUsKHs 2009/08/07(金) 22:15:09ID:u8JSPm1I

 愚痴をこぼしていたイスカンダルは他の者の様子に思わず動きを止めた。
 興味深そうに嗤うギルガメッシュ以外の4人がぽかん、としてしまっているのだ。

「どうしたのだお前達」
「えっとね、イスカンダルさん。実は――」


 ****


「うむむむむ。なるほどのう」

  4人から告げられた事実に、さすがのイスカンダルも唸らずにはいられなかった。
 なにしろ自分が架空の物だと思っていた地図がここにいる者たちの故郷の世界だったというのだから。
 チョッパーはグランドライン。ウルフウッドがノーマンズランド。梨花、レナ、圭一が雛見沢。
 思えば今までの話でそれぞれの故郷についてはあまり話が無かった。
 同盟結成時もイスカンダルは地図のことをすっかり忘れていて話には出なかった。


「これで確実になったということなのか?英雄王」
「そうだろうな。『いくつもの世界から呼び寄せた』というギラーミンの言がな」

 今まではどこか絵空事とも思っていた言葉。あの状況下では聞き逃していた言葉。
 それが本当だったということがここで判明した。
 そうと判ると各々は自分達の故郷について詳しく語った。

「悪魔の実に海賊時代……」
「荒んだ星……」
「昭和の時代に精神病とな」
「英霊に戦争……」

 結果は見てのとおり……各々唖然とするしかなかった。

「フン。別に大して変わらぬ。我としては参加者共を見て大体予想は付いていたしな。何か根底にある物が異なると」
「いやいや大きく変わるぞ。これが確かならば……。





 全ての世界、征服せずにはいられまい!」
「そこかーーーーーー!?」


 目をキラキラとさせるイスカンダルにチョッパーが顎の骨が外れんばかりに驚いた。


「夢を見飽きん男め。そんなことよりまだ物品の確認の途中だ」
「え?でも、これで全部じゃ」
「たわけ。まだあの下女と雑種の荷物が残っておろうが」

 そう言っていつの間に持っていたのか、バラライカと無常のデイパックをイスカンダルに向けて放り投げた。
 それを掴むとイスカンダルが意外そうにギルガメッシュを見た。

「ほう……あれか?あの2名を殺したのは余だからこれはあくまで余の戦利品というわけか?」
「わかっているなら早く出せ」
「あーわかったわかった。変な所は一本通す奴だ本当に」
0782力-Strength-(前編) ◆YhwgnUsKHs 2009/08/07(金) 22:15:31ID:u8JSPm1I


 そう言ってデイパックの中身を無造作に出す。
 無常のものはいくつか壊れていてその欠片がガラガラと降り注ぐ。
 どうやら拳銃や受話器、カタツムリのような生物(チョッパー曰く電伝虫)が使い物にならないらしい。
 使えそうなものを全員で見ていく。

「な……」
「あーーーーーー!!」


 その途中、ウルフウッドが口を開けたまま凍りつき、チョッパーが嬉しそうな声を上げた。

「ど、どうしたのニコラス!」
「ど、どうしたのチョッパーくん!!」

 梨花とレナがそれぞれに心配して駆け寄った。

「い、いや……な、なんでもあらへん」
「はぁ!?」

 そう言ってウルフウッドがその紙切れをデイパックに突っ込んでしまった。
 梨花が抗議するがそれを彼は聞かない。

(なんでこないなとこであのトンガリの手配書なんて見つけなあかんねん)

 なんだか腐れ縁もココまで来ると、という感じである。


 一方チョッパーは

「これ、ランブルボールだ!!」

 そうチョッパーが嬉しそうに見せたのは金色の小さな玉のようなものだった。
 悪魔の実の波長を狂わせる、チョッパー自作の劇薬だ。
 これを使えばチョッパーは7段階の変形ができ戦闘力もアップする。


「よかったねチョッパーくん!」
「ああ!」

 レナも一緒に喜んでくれている。
 だが、チョッパーはその笑顔に隠しているものがあった。

(ランブルボールは……4つ、か。ランブルボールの効き目は3分。短時間に続けて使う事はできない。
 連続で2つ使うと上手く変形がコントロールできなくなって、3つ使うと――)


 チョッパーはその時が来ない事を祈った。
 3つ使えば、自分は自制できない『何か』を起こす。
 くれはは言っていた。『あれは本当の怪物だよ』と。
 だから、その時は来ないで欲しい。
 けれどもし、回りにレナもイスカンダルもいない時だったら――


(おれは……今度こそ守るんだ!!)



 *****
0783創る名無しに見る名無し2009/08/07(金) 22:15:38ID:oFWMDNRM
 
0784力-Strength-(前編) ◆YhwgnUsKHs 2009/08/07(金) 22:16:05ID:u8JSPm1I
ここまでで前編終了です。支援ありがとうございます。
0785創る名無しに見る名無し2009/08/07(金) 23:59:27ID:fBzvTczP
次スレのリンクないとわからんよな?と思ったから

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立てたのはYh氏です
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