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マルチジャンルバトルロワイアルpart16

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0001創る名無しに見る名無し2009/07/11(土) 23:26:02ID:gToJim5F
様々な作品のキャラを使った上での、小説及び映画で有名なバトルロワイアルの企画を行おうというスレです。
小説・漫画・アニメのキャラが入り乱れていることから、マルチロワという名前になりました。
略して○ロワ。別に見るのに●はいりません。
この企画はリレーSS企画であり、ルールさえ守っていただければ、どなたでも参加可能です。
ルールの項に目を通していただき、分からないことがあれば気軽に本スレで聞いてみてください。
キャラ同士による殺し合いという内容のため、苦手な方は気分を害する恐れがあります。
読み進める際にご注意を、また自己責任でお願いします。



【過去スレ】
いろんなジャンルの作品キャラでバトルロワイアル
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220604468/
マルチジャンルバトルロワイアル part2
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221055898/
マルチジャンルバトルロワイアル part3
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221229891/
マルチジャンルバトルロワイアル part4
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221405474/
マルチジャンルバトルロワイアルpsrt5
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221749250/
マルチジャンルバトルロワイアルpart6
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221924153/
マルチジャンルバトルロワイアルpart7(実質8)
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1227019873/
マルチジャンルバトルロワイアルpart8(実質9)
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1230130775/
マルチジャンルバトルロワイアルpart10
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1232931721/
マルチジャンルバトルロワイアルpart11
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1235147692/
マルチジャンルバトルロワイアルpart12
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1235724325/
マルチジャンルバトルロワイアルpart13
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1237380564/
マルチジャンルバトルロワイアルpart14
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241420923/
マルチジャンルバトルロワイアルpart15
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1243945342/

【したらば】
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/11860/
【wiki】
http://www26.atwiki.jp/marurowa
【予約について】
 ・通常5日。延長は2日まで。(合計7日まで)
 ・したらばの予約スレで予約してください
【全キャラクター共通・スタート時の持ち物】
  地図、コンパス、懐中電灯、筆記用具、水と食料、名簿、時計、ランダム支給品1〜3
【MAP】
  (p)ttp://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/70/405fccc08ebbff8b539e6e47e7acf801.png
   上が北、一マス一km四方、端はループしています。(例:A-1から北へ行けばH-1に出る)

0615創る名無しに見る名無し2009/07/26(日) 20:03:29ID:rZuibW5D
第三勢力の登場か。
これによって縛られる事も少ないと思う。
何より面白いのがいいね!特に問題は無いと思うよ。
0616創る名無しに見る名無し2009/07/26(日) 20:18:05ID:UHUXU84f
>>614
端を選んだんじゃなくて、地下鉄から降りたら廃坑で
北か南とりあえずどっちに行こうかって話でしょ?
0617創る名無しに見る名無し2009/07/26(日) 21:09:46ID:rf6YEwuc
大きな建造物はそれだけで目印になる。
見知らぬ土地を歩くときはまず分かりやすい目印を決めてそこを中心に考える。
待ち合わせに駅とかアルタ前とかよく使うだろう。
これができないやつはゾロみたいな方向音痴
0618創る名無しに見る名無し2009/07/26(日) 21:16:57ID:uOM58L/l
>>614
>ループに気づいてるんなら中心に人が集まると思わない?
なんで?
0619創る名無しに見る名無し2009/07/26(日) 21:25:53ID:k0MUdS6k
佐山が希望論って言ってるし、都合が悪ければ
全て勘違いでブラフでした、ってことにも出来なくはないからな。
読み手的には文句なしに面白いし良いと思う。
主催考察って点では書き手さんの意見の方が重要かな?

>>617
一般レベルの方向音痴ならランドマークを目印にして進むくらいは出来る…よな?
ゾロは先導されても目を離すとあらぬ方向に
ダッシュするファンタジスタだから無理なのは同意。
0620創る名無しに見る名無し2009/07/27(月) 02:15:28ID:U8MkbLij
何で潜入しようと思ったのか分からない
関係者も全然いないのに
てか、潜入しといて即効死亡とか、高槻父立場ねーなw
それを単独参加の理由にするのも微妙
なら同じく単独参加の大阪はどうなるのって話だし
まあその辺はいいとしても、首輪ついてないならクロコ辺りが気付いても良さそうなもんだよね
0621創る名無しに見る名無し2009/07/27(月) 03:28:32ID:edJfbFYM
書き手の意見が聞きたいな。
書き手が良いって言うのなら通していいんじゃないかな?
0622 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/27(月) 19:12:53ID:lW3zzwAn
自分は賛成させてもらいます。
なかなか面白そうな話ですし、乗らせてもらいます。


あと予約ですが、今推敲中です。今夜中には必ず投下しますので、もう少しお待ちください
0623 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/27(月) 21:31:14ID:lW3zzwAn
お待たせしました。
ゼロ、クリス、沙都子、アルルゥ、投下開始します。
0624私のお墓の前で泣かないでください ◆YhwgnUsKHs 2009/07/27(月) 21:32:02ID:lW3zzwAn
 墓。それは死者の眠る場所。死者を葬り死者を弔う場所。
 今の世でこそそれは一般人も作る事ができるものであるが、古来では王や皇帝を祀り、その業績を後世に伝えるモニュメントとしての機能も存在した。
 これを陵墓と一般的に呼称する。

 この地で、既に30以上の命が失われた。
 しかし土の中へ埋葬された者はわずかで、墓として正式な体裁をなされた者に至ってはありもしないだろう。
 だがもしこの地で山盛りの土を見たならば人はなんとなく察するだろう。
 墓石がなくともそこは墓なのだと。
 作った人物はどんな思いを込めたかはわからない。
 単に見かけて不憫だから弔ったのかもしれない。
 その人物の成した何かを知っていてそれへの賛辞と感謝を込めて埋葬したのかもしれない。


 そんな稀有な埋葬者たち。その内2人の人物がいる。
 それぞれの眠る場所に来訪者が訪れた。
 それは運命が手繰り寄せたのか、どちらも眠る者と縁ある者たちだった。それも血縁という縁だ。


 さあ見てみよう。
 何も語らぬ埋葬者を見て来訪者がどのような反応をするのか。何を感じるのか。
 そして何が変わるのか。



 *****



 もしも神がいるのなら。



「私達はよほど嫌われていると見える。なあ、ルルーシュ?」



 緑色の髪。スレンダーな体型。それでいてグラマラスな胸、そして纏うマント。
 そんな風貌をした者、ゼロと名簿には記載されているがC.C.という女だ。
 そんな彼女は木々に囲まれた中である者を見下ろしていた。

 あたりには土が散っており近くには大きな穴も開いている。
 彼女の足元の『それ』も大分土に塗れている。
 もしこの光景を見た物が居たなら、『それ』が穴の中から取り出されたものだとわかっただろう。


 そしてC.C.は『それ』を見下ろしながら――唇を噛み締めた。

 皮肉った口調とは裏腹に、彼女の顔に満ちるのは、悔恨。
 余裕を持とうとして、失敗している。そんな様子だった。


 それも無理はない。
 なぜなら『それ』は自分ともう1人の自分が守ろうとしていた存在なのだから。




 『それ』の名は、ナナリー・ランペルージという。
0625私のお墓の前で泣かないでください ◆YhwgnUsKHs 2009/07/27(月) 21:32:30ID:lW3zzwAn



 *****


「自然はー、歩いて、こない♪だーから、歩いていくんだねー♪」
「木や花が歩いてきたらそれはそれでホラーですわ……そもそも、その歌色々まずい気がいたしますわ」
「えー? ホラーかなぁ。僕的には、アットホームコメディパロディミュージカルオペラって感じなんだけど」
「歌か映画かはっきりしてくださいまし」
「なら……ずばり!歌であり映画でもある複合エンターテイメントウィズ自然だね!」
「とうとう日本語と横文字の統一性すらなくなりましたわ!?」
「ふくえん?」
「アルルゥさん、変な略をしてはいけませんですわ」
「あれ? ここもしかして僕がつっこまなくちゃいけないところ?」



 日も高くなり気温も増してきたある駅の構内。
 改札口前のベンチで食事を取る騒がしい3人組がいた。
 クリストファー・シャルドレード、北条沙都子、アルルゥの3人だ。
 3人は人探しの都合上、移動範囲を広げることを優先し、そこで沙都子が電車に乗ることを提案。
 クリスがそれに賛成し電車も汽車も知らないアルルゥには『速く遠くまでいけるもの』と説明して了解を得た。
 駅が3つしかない為細かい探索は行えないが、移動範囲さえ広ければ人に会える可能性も高くなるという作戦だった。
 既にこの殺し合いが始まって14時間程度。
 捜し人である、真紅、圭一、レナ、詩音、梨花、レヴィを見た人物は必ずいるはずだ。見た人物が全員死んだりしていない限り。
 目撃者を見つけてその情報が最近のものであったらその近くを探索すればいい。
 そしてこの駅に辿り着き、遅めの昼飯をとっているところだった。
 ちなみにレヴィもこの辺りにいるのではないかと踏んだのだが、生憎見つけることはできなかった。


 その道中落ちていた拳銃と刀を拾った。刀に関してアルルゥが『トウカのだとおもう』と言っていた。
 なぜこんなところに放置されていたのかはわからないが武器があるに困る事はないので拾っておくことにした。




 自分達の傍に一人の少女が気付かれることもなく倒れているとは3人とも気づくことは出来なかった。




 あまり美味しいとはお世辞にもいえない乾パンをかじりながら、沙都子は手元の3つのボールを見ていた。
 そのボールは外からも中が見えて、その中には3つの生き物が存在している。
 沙都子がクレア戦で頼りにしたニョロボンのニョロはいいとして、後の2匹はレヴィが残していってデイパックの中にいた者だ。
 ボールが同じものであることから、もしかして同じような生き物なのだろうか、と3つのボールを並べてみた。
 するとニョロと猫の耳のようなやけに太っている生き物――説明書によるとカビゴンのゴン――がやけに嬉しそうに互いを見ていた。どうやら互いに知り合いの関係
らしい。

「感動の再会ってところかな? 羨ましい?」
「……クリスってデリカシーがないって言われませんの?」
「うーん…………よく言われる!」
「自信満々に親指立てて言わないでくださいまし!」

 それに比べて残った1体。岩のようなカメのような頭の丸い生き物――説明書によるとゴローニャのゴロすけ――の方は、どうもそこまで親密感はなさそうだ。
 だが反応を見るに、他の2匹と全くの初対面という風ではなさそうだ。
 そのあたりの感情判断はアルルゥの談なのだが。
0626私のお墓の前で泣かないでください ◆YhwgnUsKHs 2009/07/27(月) 21:32:57ID:lW3zzwAn

「アルルゥさんってこういう動物に慣れてらっしゃいますわね。
 わたくしには同じような表情にしか見えないのに『うれしそう』とか『とまどってる』とか、すぐわかってしまうんですのよ」
「あの子も耳についてるしねぇ。ああいう動物?の感情が分かる力とかあるのかもね。あーあ、欲しいなあ僕もそういう能力」
「あら。クリスはその力でどんな動物の声を聞きたいんですの?」
「不自然な都市に生きる自然であるドブネズミくんたちの嘆き悲しみの声を是非同時に1000匹くらいから……沙都子どうしたの、食事の手止まったよ?」
「も、もういいですわ……。
 ゴンさんにゴロすけさん……技とか能力は説明書で把握いたしましたけど、やっぱり制限時間がネックですわね」
「10分ってのもねえ。強いのは認めるけどさ。ま、その子たちのことは沙都子にお任せー」
「思い切り投げましたわね……まあいいですわ。一応あらゆる想定を頭に入れて、技の組み合わせを……」

 と説明書から少し目を離した沙都子の動きが止まった。

「……クリス? 1つよろしいですの?」
「アルルゥならさっきふらふらーっとあっちの出口から外に行ったよ?」
「ああ、そうでございましたの」





 げしぃっ!!




「なんで止めないんですのこの人はーーーーーーーーーー!!!」
「沙都子、流石にスネは僕も痛い」




 *****




 山盛りになった土。その下に人が埋まっているであろうということはすぐに合点がいった。
 学校での惨事の後、目当てのそれがある古城跡から一旦離れ、南へと向かった。
 理由は、古城には確実にあのヴァッシュがいることだ。
 ヴァッシュの実力の程は既に垣間見ている。決して勝てる自信がないからではない。古城に向かい、最後の首輪を奴から奪う事も視野にはあった。
 だが、それにも問題がある。
 今自分は体力を消費している。
 ヴァッシュクラスの相手となるとできれば万全の状態で挑んでおきたい。


(まあ、なによりルルーシュが今だ冷静さを取り戻せてはいない。さっきこそ奇襲でなんとかなったが今度はどうなるかわからないからな)

 ナナリーの死を知り、今だ平静とは呼べないルルーシュに対して時間を与えるのも一環ではあった。
 とはいえ、集団にもぐりこむという目的上古城に戻っても問題はなさそうだが。
0627創る名無しに見る名無し2009/07/27(月) 21:33:09ID:feq7GuX5
0628私のお墓の前で泣かないでください ◆YhwgnUsKHs 2009/07/27(月) 21:33:49ID:lW3zzwAn


(当初の目的をまだ果たしていないしな。中央部の調査。優勝狙いとはいえただひたすら殺していくわけにもいかないしな)


 他の参加者ならいざ知らず、ゼロでもありC.C.でもある彼女はただ他の参加者を殺していくつもりはなかった。
 自分にもあるこの首輪。自分の能力ですら止めることができないそれ。
 優勝した後主催が本当に願いを叶える保証はない。そのまま殺すということも考えられる。
 ギラーミンは必ず殺さなければならない。だがそれは容易ではない。
 主催と参加者。その絶対的パワーバランスを傾けているのは首輪だ。

(ここにいるうちにこれの解除法なり見つけておかないとな。
さっきの奴らはルルーシュが動揺したせいで禄に情報を奪えなかったが、今後は出来る限り情報を引き出さないとな。
 潜り込んで引き出すもよし、拷問するもよし。それと平行してこの会場についても調べておこう。古城の仕掛けが他にもないとは限らない。
 もっとも、あまり古城から離れるわけにはいかんから……そうだな。図書館あたりまでにしておくか)


 そう辺りをつけて南下。そして少し林に入ったところに、それがあった。



 死体があると思えば、躊躇いはなかった。
 首輪があればそれを回収しておくつもりだった。
 古城の仕掛けに使う3つ以外にも、解析用、交渉用、武器用などいくらでも使い道がある以上いくらか確保しておきたかったからだ。
 そう、正しかったはずだ。決して間違っては居なかったはずだ。



 ただ運が悪かった。そういう話。
 ゼロが遭遇する可能性があった死体は30人(実際はもっと死者が出ているが、ゼロには知る手段はない)。
 1/30。たった3%程度の確率だったのに。


 それが当たった。それだけの話。



「っ!!」


 C.C.は自分の体を抱え込むようにして前かがみになった。
 暴れている。自分が、もう1人の自分が暴れている。
 泣いている。激怒している。狂乱している。
 この怒りと悲しみを発散し何もかもを破壊しようと暴れている。


(落ち着けルルーシュ!!こんなところを誰かに見られていたらどうする!!)


 周囲に気配は感じない。
 だがもしも双眼鏡のようなもので遠くから見られていたとしたらここでゼロへの変身を見られるのはまずい。
 何よりこんなところで無駄に暴れるなど愚の骨頂だ。
 だから何としてもルルーシュの怒りを抑える。意地でも押さえ込まなければならない。



 数分後息を切らしながらもC.C.はナナリーの遺体を検分していた。
 なんとかルルーシュは押さえ込んだ。だがいつか吐き出させなければならないだろう。
 彼の怒りを、悲しみを。
0629私のお墓の前で泣かないでください ◆YhwgnUsKHs 2009/07/27(月) 21:34:18ID:lW3zzwAn



(それは相手から情報を引きずり出した後だ。今のルルーシュでは相手を一瞬で粉みじんにしかねないからな)


 C.C.は気持ちを落ち着けて冷静にナナリーの死体を見やった。
 彼女とて動揺はしている。だが自分が落ち着かなければもう『ゼロ』を押さえつけられるものはいなくなる。
 ここは無駄に敵を増やしていい場面ではない。


(全身に火傷、服もほとんどが焼け焦げている……炎で焼かれたにしてはやけに外傷が少ない。
 刺し傷も銃創もない……一部骨が折れているところはあるがどうにも死因がわかりにくい。どういうことだ?)


 C.C.がナナリーの死因を特定しにくいのも無理はない。
 ナナリーはアヴァロンの効果で防御を上げていた為、バズーカの直撃でもバラバラにならなかった。
 本当ならばありえない状態。だからこそ普通の視点では死因の特定が出来ないのだ。


(何よりネモはどうした? 私の細胞で作られているからこそわかる。奴はもうナナリーの傍にはいない。
 この辺りにも……!?)


 辺りを見回したC.C.はある場所に駆け寄った。
 そこに残っていたのは普通なら土くれとしか思えないものの塊だった。
 だがC.C.にはわかる。これは自分の細胞の一部であり、ネモの一部である。


(だが奴がここで崩壊したにしても量が少ない。誰かが持ち去ったのか?
 馬鹿な。まさか新たにエデンバイタルへ繋がった者が出たとでも?)


 新たな契約者。果たしてありえるのだろうか…。


(まあいい。どちらにせよ、お前はナナリーを守れなかった……それに耐え切れるのか、土人形)


 土くれから目を外し、改めてナナリーの近くへと歩み寄った。
 埋められていたナナリーの身なりは整えられていて、埋葬者の気遣いが伝わってくる様相だった。


(通りかかった誰かが死んでいたナナリーを埋めたのか、あるいは同行していた誰かが埋めたか。
 もし後者なら――ルルーシュはそいつも間違いなく殺すだろうな。ナナリーを守れなかったそいつを。
 例えそいつがどれほどナナリーを丁寧に埋葬したとしてもだ)

 C.C.はもう拾える情報は拾ったと認めると、ナナリーの体を抱きかかえた。
 ルルーシュにとっては最愛の妹であるナナリーを実験台にするようで気がひけるが、仕方ない。
 成功すれば自分達にとってはメリットにもなるのだから。

 彼女を抱えていった先にはゼロのデイパックがあった。その口は上に向けて開かれている。
 その口にナナリーの頭を向けて近づけていく。

 城にいた時、一度水銀燈で試した事があった。
『デイパックの中に隠れられれば奇襲できるのではないか』と。
 だが結果は、水銀燈が頭をわずかに入れた瞬間、勢いよく彼女の体が弾かれた。
 ゼロも試したが結果は同じ。結局参加者はデイパックに入れないということでその場は決着した。
0630私のお墓の前で泣かないでください ◆YhwgnUsKHs 2009/07/27(月) 21:34:55ID:lW3zzwAn


 だがあの時の検分には欠けている点があった。
『生きている参加者は入れない。ならば死んだ参加者はどうなのか』

 学校を出てからその疑問に至り次の死体でそこも確かめることにした。
 その実験台がナナリーになったのは不幸でもあり幸いでもあった。

(ナナリーをデイパックに入れられればナナリーの死体の保存性が高まる。
 埋葬されていては私のような参加者が来てナナリーの首を刈り取りかねないからな。
 主催が復活の方法を知っているならば、ナナリーの遺体は完全な状態で留めておかなければ)

 ナナリーから首輪を取ることなど論外だった。
 そんなことは目的が破綻するし、何よりルルーシュがそれに耐え切れない。




 果たしてナナリーの体はすっぽりとデイパックの中へと入った。
 念のためデイパックに手を居れナナリーを出そうと考えると、足を掴む感触が伝わってきた。


(やはりな。
 問題はデイパックが何で入れられた者が生きているか死んでいるか。
 そもそも参加者であるか否かを判断しているかだが。
 …………首輪か)


 サカキや土御門の首から首輪を外した時、爆発は起こらなかった。
 つまり持ち主が死んだ場合首輪は起動を停止するのではないか。
 となれば、参加者であるかを確認でき、かつ生存も判断できるのは首輪しかない。
 思えば水銀燈が頭を入れた時も首輪が入り口に差し掛かったときに拒絶された覚えがある。
 死んで首輪が停止した参加者ならばデイパックに入れることが出来る。

(あとは保存手段か。
 このデイパックの中がどんな空間かは分からないが腐敗を止める作用はないと前提しておこう。
 なら、大規模な氷かドライアイスの冷やすものが必要か。
 どこで手に入れるか)


 C.C.は地図を見ながら思う。
 最愛の妹を氷で保存し持ち歩く。傍から見れば狂気の沙汰だろう。
 埋葬者にいたってはその意志を完全に踏みにじる行いだ。

 それでもゼロはそれを行う。
 最愛だからこそ、何者からも守らなければならない。
 その為には近場に置いて、そして復活の力を手にしたときすぐに行使できなければ。


(そうだ。我らは魔王。
 凡人達には理解など及ばぬ存在だ。
 もうそれは決定された。


 契約したあの日から――)


 見上げた空に上る太陽。
 その日差しは弱まりつつも未だに自分達を照らす光だった。
0631創る名無しに見る名無し2009/07/27(月) 21:35:42ID:feq7GuX5
0632私のお墓の前で泣かないでください ◆YhwgnUsKHs 2009/07/27(月) 21:36:13ID:lW3zzwAn




 *****



「なんで普通に見送ったんですの! もしアルルゥさんが襲われたらどうするんですの!?」
「いやよく言うじゃない。かわいい子にはうろつかせろって」
「言いませんわ!! アルルゥさーん! 待ってくださいましーー!」

 駅から離れた林の中を沙都子とクリスは走っていた。
 すぐに駅を飛び出した2人は、林に入っていくアルルゥを目撃して後を追ってきていた。
 アルルゥは何が目当てなのか一心不乱に走って行き、その足取りはかなり速い。
 林に慣れている沙都子、驚異的身体能力を持つクリスだからこそ距離のハンデがあってもなんとか追いつけているが、なんとか後を追えている状態だ。
 沙都子がこうして叫んでいてもアルルゥは振り返らずに走り続ける。一体何が彼女をあそこまで動かしているのか。


「アルルゥさん!!」
「追いついたみたいだね。って、あれ?」


 茂みから飛び出した二人は、その先に立って背を向けているアルルゥを見つけた。
 さっきまで走っていたのにそこで止まっている。
 何かを見ている。
 アルルゥの後ろにまで追いついた2人がその先を見た。


「え……!?」


 そして沙都子は絶句した。


 そこにあったのは山盛りの土、その前に置かれたデイパック。そして、土の上には金属バットが突き立てられていた。
 そのモニュメントの意味するところを最初に口にしたのはクリスだった。


「お墓、かな?」


 盛り上がった土に墓標のようなバット。捧げられたデイパック。
 確かに墓と見るのが一番だろう。

 となると、ここには誰が眠っているのか。


(そんなわけ、ないですわよね……?)


 沙都子の視線は墓のある一点に集中していた。
 突き立てられた金属バット。別に取り立てて特徴もないその辺のバットのはずだ。

 なのにそのバットにひどく見覚えがある気がする。
 見覚えがあるとしたらそんなバットは1つしかない。
0633私のお墓の前で泣かないでください ◆YhwgnUsKHs 2009/07/27(月) 21:37:46ID:lW3zzwAn



「なんで、なんでにーにーのバットがこんなところに」
「っ!!」


 沙都子がそう呟いた瞬間、アルルゥが突然墓にひざま突いた。
 何事かと2人が思う間もなく、アルルゥは迷わずその土を掘り返し始めた。

「な、何をするんですのアルルゥさん!!」

 突然の暴挙に沙都子はアルルゥを止めようとした。
 だが、アルルゥが掘り始めた衝撃でその上のバットが倒れた。
 そして、その柄の部分が沙都子に向く。


 『悟史』。その文字が沙都子の動きを止めてしまった。


「っ!!!」


 一瞬頭によぎった想像。
 行方不明の兄、北条悟史がここに埋められているのではないかと。
 だがすぐにその考えを打ち消す。悟史の名前は名簿になかった。ここにいるわけがない。
 だからすぐにアルルゥを止めよう。
 どういう意図かはわからないが、これは死者に対して失礼な行為だ。


 だが、沙都子が我に返ったときにはもう全ては終わっていた。



「あ、ああっ……うあああっ!」



 土を掘っていたアルルゥが目を見開き、尋常でない顔をしている。
 とめようとしていた沙都子も、どういう意図か全く手を出さなかったクリスも、そのただならぬ様子に後ろから覗き込んでみた。


「っ!!」
「やっぱり、ね」


 沙都子は絶句し、クリスはただため息を1つ吐いた。


 崩れた土から覗いた顔。その耳から生えた獣の耳。



 アルルゥの知り合いだということは、すぐに察する事ができた。
 そして、それはアルルゥの声で確信へと変わった。


「エルルゥ……ね、ぇ……」
0634創る名無しに見る名無し2009/07/27(月) 21:38:26ID:feq7GuX5
0635私のお墓の前で泣かないでください ◆YhwgnUsKHs 2009/07/27(月) 21:38:30ID:lW3zzwAn




 *****



「なんて、ことですの……」


 沙都子はことの次第にただ呆然と立ち尽くすしかなかった。


 目の前ではアルルゥが、動かぬ姉の顔を見ながらもう何回目かの涙を流している。
 姉が死んでいたのだ。流石にそれでも泣くな、などと沙都子は言えなかった。

 そして、そこに突き立てられていたバットは自分の兄、北条悟史のバット。
 なんてめぐり合わせだろうか。
 共に行動していた2人。その1人の姉の墓に立てられていたのが、もう1人の兄の愛用品だったなどと。

 悪い冗談にも程があった。



 アルルゥがなぜここまで辿り着けたのかは分からない。
 彼女の直感が働いたのか、単に彼女は林を走りたかっただけなのか、あるいは姉が彼女を呼び寄せたのか。
 どちらにしても、今アルルゥが嘆き悲しんでいる現状は変わらない。


「アルルゥさん……」


 そっとしておこうかと思った。
 でも、嘆き悲しむアルルゥが、かつての自分に重なった。
 兄が居なくなり、悲しむ自分。
 あの時の自分に訪れた温もりがあったはずだ。


(梨花……そうですわね。わたくしは今、アルルゥさんのねーねーなんですもの)


 沙都子は思い出す。
 絶望に打ちひしがれた自分に、一緒に暮らそうと手を差し伸べた古手梨花の姿を。
 彼女に救われた自分が居る。
 なら、今度は自分の番だ。




「アルルゥさん」
「! ねー、ねー?」



 問答無用でしがみついた。
 ゆっくりとアルルゥの体を抱きしめた。
0636私のお墓の前で泣かないでください ◆YhwgnUsKHs 2009/07/27(月) 21:38:56ID:lW3zzwAn


「お姉さんは――きっと今でもアルルゥさんのことを見守ってらっしゃいますわ」
「で、でも……でもぉ」
「ここで動いてなくても、たとえ傍にいないように見えても――その人は、いつでもわたくしたちの傍にいますわ」
「え?」


 ぎゅっ、とアルルゥを抱きしめた。
 傍にいるぬくもりを感じて欲しくて。
 貴方は1人じゃないんだと教えたくて。


「だってアルルゥさんはお姉さんを思い出せるでしょう?お姉さんの優しい姿を、お姉さんの強い姿を、あなたは覚えているはずですわ」
「あっ……」


「悲しむ事も大事ですけど、いつまでもここで止まっているわけにはいきませんの。わたくし達妹は、兄や姉の姿から学んで強くならないといけないんですもの」
「ねー、ねー……」
「わたくしも、どこかで全てを諦めきった時があった気がしますの。でも、そんな時仲間がわたくしの目を覚ましてくれた。そんな気がするんですの」


「今は、わたくしが、クリスが傍にいるんですの。だから、アルルゥさんがお姉さんのように強くなるのを手伝いますわ」
「ひっぐ……ねーねー……!」
「一緒に、兄や姉のようになるんですの。それを、お姉さんも望んでらっしゃいますわ」



 *****



「やっぱりああいうのは沙都子の仕事だよね。で、僕はこっちの汚いお仕事と」

 2人でアルルゥの姉、エルルゥに最期の別れをしている2人から少し離れて、クリスはデイパックの口を開いていた。
 それはエルルゥの墓の前におかれていたデイパック。2人はまだ気づいてないが、黙って奪ったと言えばおそらくいい顔はしないだろう。

 だがクリスはそれでも奪うのをやめるつもりはない。
 ココにおいておけば危険人物が容赦なく奪っていく可能性がある。
 もしこの中に強力な武器が入っていたならそれは後に自分達にとって有害となる。

「ちゃんと説明すれば分かってもらえると思うけど、今はやめとこっと。今の自然な流れに不自然な僕は入っていけそうにないからさ」

 後で説明はしようと決めて、デイパックから中身を出した。
 地図やら水やら基本的な支給品。そして
0637私のお墓の前で泣かないでください ◆YhwgnUsKHs 2009/07/27(月) 21:39:20ID:lW3zzwAn

「これは……キノコ? うーん、いい自然の営みだけど……ま、まだ食料はあるし、これは今はいいか。


 あ、これって沙都子の持ってるボールと同じだね。4つ目か。中身は……蜂かぁ。やあ、僕と友達にならないかい?


 でこっちは如雨露かぁ。……あれ?そういえば翠星石が話の中で『翠星石は庭師の如雨露があれば天下無双の無敵人形ですぅ』って言ってたけど、もしかして?」


 と、クリスが振り向いてみると。



 金属バットを持った沙都子がなにやらきびしめな目つきでこっちをじーーーっと見てる。


(うわ、あれ完全に怒ってるや。ごごごごごごごご、って音が聞こえてきそうだよ。
 仕方ないか。よし、ここは歌いながら謝って説得してみよう!)





 *****






「なんであなたはいつもいつもそうなんですのーーー!(ブンブン!)」
「いやあ涼しい風だなぁ(ヒョイヒョイ)」
「ねーねー、クリスあぶない」
「大丈夫ですわアルルゥ! この人にはこれくらいしないとわからないんですの!!(ブンブン!)」
「あれ?いつの間に呼び捨てになってるの?もしかしていつの間にか新密度上がった?
 僕ちょっと嫉妬。というわけで沙都子、僕の呼び方もランクアップの時だとおもうんだけど(ヒョイヒョイ)」
「なら『無反省人間』にランクダウンして差し上げますわーーーーー!!(ブンブン!)」
「わぁお。人間はランクアップだから僕結構嬉しい(ヒョイヒョイ)」
「きーーーーーーーーーーっ!!」
「ねーねー、顔真っ赤」





(なんなんだあのガキ共は)


 ナナリーをデイパックに入れた後、更に南に進んでここに出くわして今木陰から3人を見ているC.C.はただただ呆れていた。
 殺し合いの場で騒ぎながら沙都子という少女がクリスという男に金属バットを振り回してそれを男が余裕に回避。
 そんな2人をアルルゥという少女が離れて観戦している。
 なんとも暢気な光景だった。


(あいつらが重要な情報を持っているとは思えないが……だが、誰がどんな情報を持っているかはわからんし、接触するしかないか)
0638私のお墓の前で泣かないでください ◆YhwgnUsKHs 2009/07/27(月) 21:40:13ID:lW3zzwAn


 物凄く嫌だが致し方ない。それに3人いるとはいえ2人は子供なら、御するのも捕らえるのも殺すのも容易い。
 男の方に警戒を向けていればいい。



(どちらにしろ、お前たちにはルルーシュの怒りを抑える贄になってもらうしかあるまい。
 もちろん情報をあるだけ引き出して充分な休息時間を稼いでからだな。その後は――






 ボロ雑巾のように、な)





 C.C.は3人の未来について残酷な判断を下すと、茂みから出て行った。
 3人の獲物を自らの手に収めるために。



0639創る名無しに見る名無し2009/07/27(月) 21:40:34ID:feq7GuX5
0640私のお墓の前で泣かないでください ◆YhwgnUsKHs 2009/07/27(月) 21:40:38ID:lW3zzwAn
【E-2 エルルゥの墓前/一日目 午後】
【ゼロ@コードギアス ナイトメアオブナナリー】
【状態】:健康 疲労(中)、C.C状態  激しい動揺と怒り、悲しみ≪ルルーシュ≫
【装備】:大戦槍@ワンピース
【道具】:基本支給品一式×4、MH5×4@ワンピース、治療器具一式 投擲剣・黒鍵 3/10@Fate/zero、防刃ベスト@現実 電伝虫@ONE PIECE×2、
     破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)@Fate/Zero  忍術免許皆伝の巻物仮免@ドラえもん、和道一文字@ONE PIECE、シゥネ・ケニャ(袋詰め)@うたわれるもの、
     謎の鍵、レナの鉈@ひぐらしのなく頃に、首輪×2(サカキ、土御門) 、ナナリーの遺体(首輪あり)
【思考・状況】
1:殺し合いに優勝し、ナナリーを生き返らせる。
2: 『○』に関しては……
3: ギラーミンを殺して、彼の持つ技術を手に入れる。
4:自分の身体に掛けられた制限を解く手段を見つける。
5:『○』対する検証を行うためにも、首輪のサンプルを手に入れる。
6: C.Cの状態で他者に近づき、戦闘になればゼロへ戻る。
7:3人と接触し休息時間を稼ぎつつ情報を全部引き出す。その後は殺す。
8:ナナリーの遺体を守り抜く。その為に氷の類を捜索。
9:図書館あたりまでの施設を探索し、首輪を集めて古城跡へ戻る。
10:ネモはどこに?
11:ナナリーを守れなかった奴を見つけたら殺す。
【備考】
※ギラーミンにはタイムマシンのような技術(異なる世界や時代に介入出来るようなもの)があると思っています。
※水銀燈から真紅、ジュン、翠星石、蒼星石、彼女の世界の事についてある程度聞きました。
※会場がループしていると確認。半ば確信しています
※古城内にあった『○』型のくぼみには首輪が当てはまると予想しています。
※魅音(詩音)、ロベルタの情報をサカキから、鼻の長い男の(ウソップ)の情報を土御門から聞きました。
※C.Cとの交代は問題なく行えます。
※起動している首輪を嵌めている者はデイパックには入れないという推測を立てています。


【北条沙都子@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康、L3
[装備]:象剣ファンクフリード@ONE PIECE、レッドのニョロ@ポケットモンスターSPECIAL、悟史の金属バッド@ひぐらしのなく頃に
[道具]:支給品一式×2<沙都子、翠星石>、グラン・メテオ@ポケットモンスターSPECIAL、
     翠星石のローザミスティカ@ローゼンメイデン、翠星石の亡骸首輪つき、
     雛苺のローザミスティカ@ローゼンメイデン
     F2000Rトイソルジャー@とある魔術の禁書目録(弾数30%)、5.56mm予備弾倉×4
     カビゴンのモンスターボール@ポケットモンスターSPECIAL、ゴローニャのモンスターボール@ポケットモンスターSPECIAL
[思考・状況]
1:私は!クリスが反省するまで!振るのをやめませんわ!!
2:絶対にアルルゥをハクオロに会わせる。
3:真紅にローザミスティカを届ける。水銀燈には渡さない。
4:部活メンバーに会いたい。
5:レヴィと再び会い、ローザミスティカ入手の経緯を聞く。
※参戦時期は具体的には不定。ただし、詩音を『ねーねー』と呼ぶほどに和解しています。『皆殺し編』の救出以降ではありません。
※名簿は確認したようです。
※雛見沢症候群の進度は具体的には不明。L5まで進行した場合、極度の疑心暗鬼と曲解傾向、事実を間違って認識し続ける、などの症状が現れます。
 説得による鎮静は難しいですが不可能ではありません。治療薬があれば鎮静は可能ですが、この場にあるかどうかは不明です。
※真紅、蒼星石、水銀燈に関しては名前しか知りません。
※アルルゥの名を仗助から聞きましたが、アルルゥの家族の詳細についてはまだ把握していません(エルルゥ=姉のみ把握しました)
※レヴィに対して良い印象を持っていません。
 またレヴィがドールを壊して、ローザミスティカを奪ったのではないかと疑い、それが蒼星石のものではないかと考えています。
0641私のお墓の前で泣かないでください ◆YhwgnUsKHs 2009/07/27(月) 21:40:59ID:lW3zzwAn



【クリストファー・シャルドレード@BACCANO!】
[状態]:健康、左手と背中に火傷
[装備]:アウレオルスの暗器銃(装弾100%)@とある魔術の禁書目録、マスケット銃用の弾丸50発
[道具]:大きめの首輪<ドラえもん>、基本支給品一式<エルルゥ>、アミウダケ@ワンピース 、サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL、
     庭師の如雨露@ローゼンメイデン、グロック17@BLACK LAGOON(残弾10/17、予備弾薬39)
[思考・状況]
1:ひらり、ひらりと。
2:沙都子とアルルゥを守る。
3:クレアには会いたくない。だけど……
※ローゼンメイデンについて簡単に説明を受けました。他のドールの存在を聞きました。
※名簿を確認しました。
※参戦時期は、『1934完結編』終了時です。



【アルルゥ@うたわれるもの】
[状態]健康、いくらか擦り傷(治療済み)
[装備]トウカの刀@うたわれるもの
[道具]支給品一式×2<アルルゥ、仗助>、ニースの小型爆弾×1@BACCANO!、
    不明支給品(0〜1)<仗助> 、ひらりマント
[思考・状況]
1:ハクオロに会いたい
2:沙都子は信用。クリスは怖い(でもちょっと信用)。レヴィは謝るまで許さない。
3:エルルゥに別れを告げる。
※ここが危険な場所である事はなんとなく理解しましたがまだ正確な事態は掴めていません。
※不明支給品(0〜1) <アルルゥ>はひらりマントでした
※放送の内容を理解しました。エルルゥ達の死も認識しています。



※D−2、ナナリーの墓が掘り起こされました。死体は掘り出されて穴が開いたままです。
0642私のお墓の前で泣かないでください ◆YhwgnUsKHs 2009/07/27(月) 21:41:49ID:lW3zzwAn
投下終了です。
多くの支援ありがとうございました。
感想、ご意見、矛盾点、是非お願いします。
0643創る名無しに見る名無し2009/07/27(月) 22:35:12ID:gV1V6Mn6
投下乙!
幸か不幸か……ナナリーに会えたルルーシュだけど、とことんどん底まで落とされて行くね。

そしてペドヴァンパイア組に訪れる最大級のピンチ。
制限下だし、クリスなら……きっとゼロに太刀打ちできるはず。
でも人を殺せない状態のクリスにはきついかな、ポケモンマスター北条沙もサポートが重要になるか。

お墓を見つけて親しい人を見つけた二人だけど、その対比が悲しくも面白かったです。
このグループがどうなるか、楽しみだ。
0644創る名無しに見る名無し2009/07/27(月) 23:58:47ID:edJfbFYM
投下乙です
手持ちのポケモンを全て出せば、なんとか逃げ切れるかも…
0645創る名無しに見る名無し2009/07/28(火) 15:02:15ID:OPcLbfRN
ルルーシュは妹要素のある2人を襲うのかな?
0646創る名無しに見る名無し2009/07/28(火) 18:00:17ID:nbBpNJGC
>>制限下だし、クリスなら……きっとゼロに太刀打ちできるはず。
どう考えても不可能だろ
0647創る名無しに見る名無し2009/07/28(火) 19:05:05ID:FRDP6mmn
投下乙!
ちょいと距離が離れてたからどういう話になるかと思いきやこういう風になるとは……タイトルにちょいと驚いたw
ナナリーの死体を手に入れたことは果たして幸か不幸かどっちなんだろう。
支給品が着々と集まっていくペドヴァンパイア組だけどこの引きはやばい!ピンチだーw
あとやっぱりクリストファーと沙都子の会話は良いなぁとw
0648 ◆OQO8oJA5SE 2009/07/28(火) 23:18:50ID:SFpwWfUM
たくさんのご意見ありがとうございました。
どうやら問題がないようなので、投下を開始しようと思います。

>私のお墓の前で泣かないでください
投下乙です。
墓、というキーワードでつながれた話。
姉の姿から正道に進むアルルゥたちと妹の亡骸を手に入れ外道に進むゼロの対比が実に面白い……
そしてペドヴァンパイア組に迫る最大の危機。
果たしてどうなるのか……続きが実に楽しみです。
0649境界線上の小鳥遊宗太  ◆OQO8oJA5SE 2009/07/28(火) 23:21:31ID:SFpwWfUM
暗闇の中、乾いた靴音が逃げ場所を求め反響する。
だが深く閉ざされた地の底ではそれは叶わない。
逃げ場所を失い次第に弱まった音は、やがて冷たい岩肌へと吸収される。
だが足音は無限に生まれ、無機質による食物連鎖は終わることなく続いていく。
その体系の一番下に位置する、足音を作り出している存在は2つ。
それらは緩やかに傾斜した洞穴の中をゆっくりと、だが決して止まることなく進んでいる。

「――駅とはただ、止まるための場所ではない」

そのうち一つが足音とは違う音を作り出す。
ランタンのオレンジ色の光にぼう、と浮かび上がるのは髪をオールバックに撫で付けた青年の姿だ。
瞳に力強い意思を浮かべるその青年の名は、佐山・御言という。

「外界から新たな乗客を受け入れ、また古き乗客を送り出す場所でもある。
 ……故に駅と名乗る以上、外界と駅が断絶されているならば、それはどこか外界に繋がってなくてはならない。
 そしてここ、H−3におけるその道こそが――この廃坑というわけだ」

廃坑……それはかつて何かを掘り出していた、廃棄された坑道の事を指す。
事実これまでの道のりで、使われなくなったトロッコやツルハシの柄の部分などが放置されているのを2人は見ている。
だが、それらがフェイクだということは少し見れば分かる。
映画のセットを見たことがないが、ああいうものなのだろうと思う。
それほどまでにそれらは人為的で、不自然だったのだ。
上部に備え付けられた電灯はわざとらしく埃を被らされており、今まで一度でも点灯させたかどうかすら怪しいものだ。

そんな偽りだらけの冷たく暗い廃坑を2人の青年は掲げられたランタンの光だけを頼りに邁進していた。
その状況下で、佐山の同行者であるウェイター服の青年・小鳥遊宗太が思うのはたった一つのことだった。

(あれで、良かったのかなぁ……)

"あれ"とはもちろん、地下鉄で佐山に投げかけられた4つの選択肢のことだ。
小鳥遊からの返答を聞いた佐山は、それに対して特に否定も肯定も示さず、
『ふむ……このままここにいても仕方がない。とりあえず地上を目指そうじゃないかね』
と言い出し、そのまま階段に向かって足を進め始めたのだ。
そのことについて小鳥遊はこれまでの道中、それとなしに聞き出そうとしたがすべて上手くはぐらかされてしまった。

――なんで答えてくれないのだろう。
やはり、選択を間違ったのだろうか。
だが佐山なら間違ったのなら、あの場で即刻訂正しそうな気もする。
ということは間違ってない、ということだろうか。
でも、だったら何故――……

思考は同じところを廻り、答えへと決して到達しない袋小路へと迷い込む。
その逡巡を断ち切ったのは、『小鳥遊君』と呼びかける佐山の声と、差し出されたディパックであった。

「……すまないが少しの間、これを預かってもらえるかね」
「? いいですけど……何をするつもりなんです?」
「何、少しでもこの腕に慣れておこうと思ってね」

そうとだけ言うと妙に長い左腕を前に構える。
そして次の瞬間、両の足が刻むのはスタタン、スタタン、という軽やかなステップ。
続けて長さの異なる両腕から繰り出されるのはジャブからのワン、ツー。
更にそこから流れるようにショートアッパーが繋がれ、唸りを上げる。
その繰り返し……いわゆるシャドーボクシングを繰り返しながら、前方への移動を再開する。

「すごいな……」
0650境界線上の小鳥遊宗太  ◆OQO8oJA5SE 2009/07/28(火) 23:24:28ID:SFpwWfUM
そんな言葉が、思わず小鳥遊の口をついて出る。
同僚の見慣れた本能に任せた右とは違う、洗練された技巧による連撃。
廃坑内に連続して残響する、拳が空を切り裂く音。
そこには特に格闘技に興味のない小鳥遊でさえも見入ってしまう刀剣にも似たある種の美しさがあった。

「ヒヒジジィに仕込まれてね。ゾロ君たちのような"戦士"ほどでなくとも、それなりのものだと自負しているよ」

だがそこで佐山は唇をかみ締め、僅かな苦味を混ぜる。

「……だが本調子ではない。
 先程も言ったがとてもバランスが悪い……同程度の実力の相手なら致命的な隙がどうしても出来てしまうだろう。
 ……いや、例え本調子だったとしても、恐らくは"彼ら"には届かないだろう」

そう、武術の心得のある佐山でも徒手空拳では届くまい。
ラズロ、およびストレイト・クーガー。
数分前に会っただけにもかかわらず、小鳥遊は恐らく一生忘れることはないだろう人たち。
いや、彼らは本当に人だったのだろうか。
空間を削り取るもの、地下鉄を追い越すほどのスピードを出すもの……
自分の知る『ケンカの強い人間』とは、文字通り次元の違う存在。
その一人に襲われた時の殺意を思い出し、再度湧き上がってきた恐怖に身震いする。

「……それに、もっと憂慮すべきことがある」

そう話す佐山はこれまで以上に真剣な顔つきだ。
やはり達人である以上、自分の考え付かないような不安要素を見出しているのか。

「それは……」
「それは……?」

唾を飲み込む音がやけに大きく聞こえる。

「もしもこの左腕で新庄君の尻を触った場合、それは私が触ったことになるのかどうか、ということだ」
「俺の心配を返せ!」
「何を言うのかね。大きな問題だよ、これは。
 この左手は自由に動かせるし、感覚もある。ということは感触を楽しむのは、間違いなく私だ。
 だが触っているのは赤の他人の凶悪モヒカンの左腕なのだよ。
 例えば左手でしか新庄君の尻を触れないチャンスがあった場合どうすればいいと思う?
 新庄君の尻の恩恵を受けるのは世界中で私だけで良い。
 だが先程のような場面に直面した場合、この私の神仏のごとき心の広さを持って、左腕にも恩恵を与えてやるべきか。
 それとも鋼の意思による自制を持ってとどめ、理想に殉教すべきか……おお、これは彼の"個体化の原理"にも匹敵する難題だね?」

愉悦と苦悩を同時ににじませ、ああでもないこうでもないと妄言を呟いている。
常人が見れば何らかの冗談だと思うだろう。
だがこれがこの青年の素なのだと、長らく行動を共にしてきた小鳥遊は理解していた。
佐山・御言は普段は同年代とは思えないほどの落ち着きを見せる、頼れる青年だ。
だが新庄という人物(特に尻)の話題になると、リミッターが壊れる性質があるようだ。
未だ奇行を続ける佐山を反目で見て、小鳥遊は思う。

……だめだこの人……早く何とかしないと。

というか、この人に対していったい何の遠慮をしていたのだろう。
こっちがこんなに不安になったり苛ついているのに、この人は……
ああ――だんだん腹が立ってきた。

「おや、どうかしたのかね。額に青筋立てながら小刻みに震えたりなどして。
 あまりカリカリしすぎると寿命を縮めるよ? 乳酸菌はちゃんと摂取しているかね?」

どこかコメディアンのようなオーバーな動きと共に放たれた言葉に堪忍袋の尾が切れそうになった瞬間、
急に真顔に返り、おちょくるようだった声色が真剣なものへと変化する。
0651境界線上の小鳥遊宗太  ◆OQO8oJA5SE 2009/07/28(火) 23:27:23ID:SFpwWfUM


「さて、君の健康状態はおいておくとして……
 方針は決まった、ならば具体的な行動を決めようではないか」

急激な変化に戸惑う小鳥遊。
佐山はそんな彼に向け、更に言葉を重ねる。

「君の出した答えは確か――2番、だったね?」

地下鉄の駅で宗太の出した答えは2番、『まずは強力な武器を見つけ、ラズロの様な参加者にも対抗可能な状況を作る』であった。
そのことに対し、佐山は初めて意見を述べる。

「しかし……意外だね。てっきり1番を優先するものだと思っていたのだが」

選択を間違ったのだろうか、という恐怖から背中に脂汗をかく。
だが佐山の目に浮かぶのは、間違いを正すものでもなく、むしろ――

(……試されて、いる?)

普段から(程度の差やベクトルの違いはあれど)奇人変人に囲まれている小鳥遊は、そのことを漠然と感じ取った。
だから言い訳ではなく、それを選んだ理由を口にする。

「……うん。だって俺たちには……力がないですから……」

そう、自分たちが探している二人、伊波と新庄は決して"強者"ではない。
そしてそれは自分たちにも言えることだ。
こちらの戦力は本調子ではない佐山の格闘術と、対斬撃防御に特化した秘剣電光丸のみ。
もし、こんな状態で合流したとしても、あのラズロみたいなのに襲い掛かられたとしたら一溜りもない。
だから、小鳥遊はまず自分たちの身を守るための"力"を手に入れることを優先する。

「試すような真似をして悪かったね」

こちらが気づいたことに対して気づいたのだろう。
表情を崩し、素直に謝罪の意を示す。
思えば、あの時すぐに答えを聞かなかったのも、自分自身の意見を整理させる時間をくれたのかもしれない。

「……そう、君の言うとおり残念ながら我々は弱者だ。
 概念兵器をはじめとした何らかの"力"を持たねば、抗うことも出来はしない」

だが、そこまで言葉を進めると、口の端を僅かに吊り上げる。

「とは言え、彼女たちとは出会い次第合流するつもりではあるし、情報収集も怠るつもりはないがね。
 有難いことにこの目的は1番とも並行可能だ。2番をやや優先する程度でかまわないだろう。
 ……さて、それでは、逆に優先順位を下げるべきなのは……分かるね?」
「うん、まず……4番は時間的に厳しいよね」

基本支給品の中にまぎれていた時計によれば現在は午後2時前。
地下鉄を使うならともかくとして、今から1時間、徒歩で図書館に到着するのは不可能と判断してもよい。

「そう、更に言うなら先程の放送で待ち合わせ相手たるストレイト・クーガーの名が呼ばれたのだ。
 彼らには4-C駅へと向かう理由がない。もしかしたら会えない可能性すらある。
 ――未見でありながら、ある程度信頼できる人物との合流の可能性は魅力的だがね」

佐山はそう付け足しながら、小鳥遊に預けていたディバックを受け取る。

「そして3番、地下の探索だが……これもまた、優先度は下げられるだろう」
「うん、何というか……広すぎるからね……」
0652境界線上の小鳥遊宗太  ◆OQO8oJA5SE 2009/07/28(火) 23:28:54ID:SFpwWfUM
H-3地下駅にあった駅名標には【E-2駅 ← 廃坑 → G-7駅】と書かれていた。
つまり地下空間は少なくとも7ブロック以上に広がる広大な空間だと推測される。
そんなところをたった2人、しかもノーヒントで探すなど自殺行為以外の何者でもない。
それに、と佐山は再び説明を付け加える。

「迷宮探索ボールを持つゾロ君を探す、という作業はこれまた1・2番と並行できる。
 ……いや、戦闘力を持つ彼との合流は2番の目的と同一と言ってもいいかもしれないね」
「え、でもゾロさんはウソップさんの仇を討つために……」
「先程の放送で彼の友人である"モンキー・D・ルフィ"という人物も名前を呼ばれた。
 現時点での生存者はおおよそ半数……このペースで行けば想定よりも早く事が進むかもしれない。
 この際、多少強引にでも行動を共にしてもらうつもりだよ」

そう言い切る以上、説得する自信があるのだろう。
そして小鳥遊は出来るのだろう、と思う。
時々発症する突発性変態症候群さえ考えなければ、目の前の青年は多少性格に難はあるものの極めて優秀なリーダーなのだ。

「彼は私とやりあったときには全力を出していなかったのだろうし、戦力としては十分だ。
 何よりも我々と直接面識があり、ある程度の信頼関係が構築できているというのは大きなアドバンテージだ。
 ふむ、信頼と実績のロロノア・ゾロというわけだ」

優先順位を定める会話は、そう締めくくられた。
……となれば自然に会話は次のステップに移る。

「さて、となると――次に考えるべきはこれからの具体的な行動だね。
 端的に言ってしまえば、どこに向かうかだが……それを君に決めてもらいたい」

何故、とは問わない。
佐山がそうするのだからそれなりの理由があるのだろうと、今のところはそう思っておく。
だから返す言葉は"何故"という問いを除いた自分の素直な感想だ。

「……でもこれからの決めるっていきなり言われても……」
「ふむ、では先程と同じようにこちらから選択肢を提示しよう。
 それならば――」

だが佐山はそこで言葉を切ると同時、歩みを止めた。
小鳥遊はその理由を問いかけようとして、言葉を喉の奥に引っ込めた。
その原因は佐山の全身を包む空気の変化である。
今、佐山が纏う空気は緊張の一色であり、その鋭くなった視線の先には"何か"が転がっている。

「……?」

ランタンの光によってぼんやりと浮かび上がったそれを、小鳥遊は最初は枯れた木かと思った。
もしくは山奥で寿命を向かえ朽ち果てた老木が一つ、横たわっているのだと。

(何でこんなところに枯れ木が……)

だがおかしなことに枯れ木には布が巻かれていた。
しかも複数枚が服のように重ねられて――いや、違う。
『服のように』ではない。それは『服そのもの』なのだ。
破れ、汚れ、砂まみれになったカーキのスーツとワイシャツなのだと。
"それ"に気づくと見えなかったものが見えてくる。
いいや、そうとしか見えなくなってしまう。
朽ちた古木が、次第に"あるもの"にしか見えなくなってくるのだ。
喉が渇く。動悸が逸る。背中を伝う汗が止まらない。
認めたくないという本能的な恐怖がやめろと叫ぶ。
だが理性は急に止まれない。
そして――ついに気づかされてしまう。
枝は手足であり、瘤は頭、そして瘤の文様は落ち窪んだ眼窩だということに。
そう、目の前に横たわるそれが――水分を吸い尽くされ、真ん中で折れ曲がった人の死骸だということに。
0653境界線上の小鳥遊宗太  ◆OQO8oJA5SE 2009/07/28(火) 23:31:01ID:SFpwWfUM
「う、うわあああああああっ!!」

それが死体だと認識した瞬間、どうしようもない嫌悪感と恐怖が小鳥遊を襲った。
思えばこの場所につれてこられてから、いや、生まれてこの方、殺された"死体"を目撃したのは初めてだ。
足から力が抜け、その場にへたり込みそうになる。

「落ち着きたまえ、小鳥遊君」

だが尻餅をつく事を避けれたのは、もう一人の青年が腕を取ったからだ。
見た目からは想像も出来ない強い力で、小鳥遊を無理やりに立たせる。
立たせた側の青年は表情を崩さず、いささか真剣みを増した表情でじっと死体を観察している。

「これが今の現実だ。今からこれと向き合わねばいけないのだよ、我々は」

その言葉には確固たる重みがあった。
見れば反対側の手で左胸を押さえている。
人の死にこの青年も何かを重ねているのだろうか?

「……立てるかね?」
「だ、大丈夫だよ」

精一杯強がって体勢を立て直すも、死体の方向は見れず、視線の先は自然と佐山のほうに向けられる。
だから気づいた、佐山の表情に別の感情……『疑念』が浮かんでいることに。

「どうしたの?」
「よく見てみたまえ小鳥遊君。この死体――おかしいところがないかね?」

指差した先。恐る恐る覗いたそこには、先程までと変わらず横たわるミイラがいた。
思わず目をそらしそうになるが、その一瞬、小鳥遊は奇妙な違和感を覚えた。
汗の浮いた掌をぎゅっと握り締め、死体の隅々に目を凝らす。
程なくして小鳥遊は気づいた、その違和感の正体に。

「――首輪が、ない?」

違和感がない、だからこその違和感がその死体にはあった。
ミイラ化した死体は辛うじて人の形を保っており、首と四肢は繋がっている。
だが、ないのだ。本来ならその首に光るはずの銀色の円環が。

「ど、どういうこと?」
「一言で言えばわからないな。だが……これが明らかに異常である事は間違いない」

参加者はすべからく首輪を仕掛けられている。それは絶対のルールのはずだ。
知らぬ間に首輪を仕掛けられたからこそ、実力者たちは畏怖し、その矛先を主催者へと向けることを避ける。
また、首に爆弾が仕掛けられているというその恐怖に駆られ凶行に及ぶものも決して少なくはないだろう。
つまりこの首輪は主催者にとって、重要なものなのだ。
その首輪がないということは一体どういうことなのか……
ありえないことを目にした小鳥遊の脳裏にまず浮かんだのは、一つの仮説だった。

「その……もともと、死んでいた、とか……
 考えたくはないけど……俺たちが来る前にこの会場に閉じ込められて、そのまま……とか」
「いや、理論的な答えではあるが、その可能性はないよ小鳥遊君。
 この世界が主催者によって作られた以上、その選択肢だけはありえないのだから」
「つ、作られた?」

自分のディバックの中から地図を取り出し、小鳥遊に渡す。
0654境界線上の小鳥遊宗太  ◆OQO8oJA5SE 2009/07/28(火) 23:33:34ID:SFpwWfUM
「地図の両端を見てみたまえ。
 上下左右の地形、および線路……もし地図をくっ付けたなら、あらゆるものの位置がぴたりとくっつくはずだ。
 レールなどは後から作ったにしても、地形まではそうはいくまい」

言われるまま自分のディバックからも地図を取り出し、くっつけてみる。
と、佐山の云うとおり、一部のずれもなくピタリとくっついた。

「さらに彼を舞台装置として見た場合でも、
 こんな辺鄙なところに、こんな死体を置いたところで殺し合いを促進させる要因にはなりはしない」

もしも恐怖による錯乱を目的としたのなら、もっとわかりやすく凄惨な――血まみれの死体等を放置するだろう。
それもどこか目立つ場所に。
だが主催側が意味のないことをするとも思えない。
これがいったいどういうことなのか……佐山が頭が回転させ始めたそのときだった。
自らのディバックの中から小さな獣が頭を出し、背伸びをし始めたのは。

「――獏?」


   *      *       *



「人の足を停めるのは絶望≠ナはなく諦観(あきらめ)
 人の足を進めるのは希望≠ナはなく意志=v

恐怖に震え涙を流す少女に向けて男は言った。

「……諦めない」

男の言葉に背を押され、少女は頷いて走り出す。

「……―――来たか」

そして男は覚悟する。
迫り来る、大いなる脅威に対して。



   *      *       *


そして、3分ジャストで過去は閉じる。

見せられた過去に宗太は動揺を隠せない。
それもそうだろう、過去の中にいたのは、彼が探すこの場に呼ばれた唯一の知り合いの姿だったのだから。

「伊波さん……!」
「ふむ、彼女が君の友人である伊波君か。
 やはりこの彼は彼女を助けた直後、何者かによって殺されたようだね」

一度目を閉じ、先程の夢を詳細まで思い出す。
その夢の中の視線の先にあったのは、やはり男の首部分。

「そして、やはり生前の彼には首輪は嵌っていなかった。
 さて、コレはいったいどういうことか……」
「参加者でない、無関係な人ってわけでもないだろうけど……」

小鳥遊が何気なく言った台詞に、驚いたような顔を向ける。
0655境界線上の小鳥遊宗太  ◆OQO8oJA5SE 2009/07/28(火) 23:36:05ID:SFpwWfUM
「小鳥遊君、もう一度、言ってくれたまえ」
「え、参加者以外なら首輪してなくてもおかしくないけど……」

小鳥遊の言葉に、しばしの間、何かを考え込み……そして口を開いた。

「――いいかね、これから話すことはあくまで仮説の一つとして聞いてもらいたい」

一つ、前置きをして、話し出す。

「もしも、だ。ここにいる彼があのギラーミンに呼ばれた存在ではなかったとしたら?」

そんなことを、口にした。

「……どういうことさ」
「恐らくは――彼は招かれざる客。
 65人目の参加者という……本来ならありえないはずの存在だ」

絶句する小鳥遊に向けて、佐山は更に言葉を続ける。

「確かに、彼が何らかの手段で首輪をはずした可能性もある。
 だが枷である……恐らく監視機能やその他もろもろの重要機能の詰まった首輪が簡単に外れるものだろうか?
 それも半日も経たずといった驚異的なスピードで。
 例えば……そうだね、こんなのはどうだろう」

一息ついて、己の仮説を語り始める。

「"彼"は隙を見てあの最初に我々が集められた会場に入り込んだ。
 だがギラーミンはそれに反応することは出来なかった。いや許されなかったというべきか。
 当然だ、イレギュラーに反応するということは、主催者に弱みがあるということを見せ付けることになる。
 このゲームの潤滑な進行を考えれば、それは避けたかっただろう。
 自分たちが『絶対的優位にある』という、ということを演出しなければ、予想より反抗者を生むことになるだろうからね。
 だが一方で、スーツの彼も忍び込むのが精一杯で、行動に移せるほどでなかった……
 もしくは動いてもどうにもならないことを知っていた、か」
「どういうこと?」
「よくあるだろう、"フフフ……あいつは我らの中でも一番の下っ端"というアレだよ。
 これだけのこと……個人で起こすにはいささか規模が大きすぎる。
 ギラーミンの背後に何らかの組織がついていた――もしくはギラーミンが何らかの組織の一員だったとしても、不思議なことではない。
 ならばあの場所でギラーミンを打倒したとしても、背後に控えた者達によって滞りなくゲームは開始されていただろう。
 それではまったく――意味がない」

この殺し合いを仕組んだのがあのギラーミンという男一人だけということはあるまい。
監視・放送、そしてその指揮……必要なのはとにかく人員だ。
規模は不明だが……この殺し合いを仕組んだのは何らかの"組織"……そう考えるのが自然だろう。

「じゃあこの人はこの中に名前が載っていない人ってこと?」
「さぁ、どうだろうね?
 私の記憶が確かならば、あの最初に集められた場所で私はこのディバックを持たされていなかった。
 つまり支給品に関しては後からいくらかの細工は出来た、ということだ」

名簿はコピーを取り直し、その場所だけ入れ替えればいい話だ。
何しろ最初の場所からこの場に移動するまでどれだけの時間がかかっているのか……それすら分からないのだから。

「また、参加者の位置が完全アトランダムではなく、開催者側の意図が入れることが出来るのならば間接的に殺害させることも可能だろう。
 やり方は簡単だ。近くに足手まといを配置し、そのすぐそばに強力な殺し合いに乗るであろう人物を配置する……
 そうすれば正義感の強い彼から逃げ場を奪うことが出来る。
 万が一、逃した時のことも考えて、最初から抱き込まれた参加者もいるかもしれないね」

放送で呼ばれたとすれば、万が一、その弱者に名乗った場合のことを考えれば筋は通る。
もしくは会場内に彼の協力者が潜んでいた場合の燻り出しも狙っていたのかもしれない。
0656創る名無しに見る名無し2009/07/28(火) 23:37:17ID:qwHDDmQo
支援
0657境界線上の小鳥遊宗太  ◆OQO8oJA5SE 2009/07/28(火) 23:37:27ID:SFpwWfUM

「だが、この考えが正しい場合、重要なのは彼がここにいた意味だ。
 彼は過去を見ての通り、類まれな正義感の持ち主だ。
 そんな彼が動いた理由はただ一つ……彼は、我々を助けようとしてくれていたのだ。
 それも悪人善人の区別なく全員を、ね。
 だとすれば、その彼があの会場に潜入した理由……それは我々を助ける方法がこの会場内にあるということではないだろうか?」

そう、根本的な"殺し合い"を破壊する方法。
少なくともそのきっかけがこの場所にはあるのではないだろうか。
そして自分たちは"地下空間"という怪しい場所を知っている……!

(……数時間前まで、ほとんど何も出来ていなかったのに……)

もしかしたら自分たちは予想以上に主催者の近くに来ているのではないだろうか?
小鳥遊の心は思いがけず見出せた『生きて帰れる』という光明に躍る。
だがそれと同時に首に感じる存在が、忘れていた恐怖を揺り起こす。
喉もとの首輪は健在。そして脳裏に浮かぶのは爆発と共に倒れる女の人。
そう、未だ自分たちの命はギラーミンに握られているのだ。

真実に気づいたものは秘密裏に始末される――映画なんかで使い古されたパターンだ。
だが死人に口なし。有効な手段であることに変わりはない。
もしかしたら次の瞬間にも、この殺し合いを円滑に続けるため始末されるのではないか?
ぶり返してきた緊張に息を飲み込む、が、対する佐山は漲っていた緊張を解き、大きく息を噴出す。

「――とはいえ、この仮説に確固たる証拠があるわけではない。
 どちらかといえばこうであればいい、という希望論に近いものがあるよ、これは。
 すべては我々の勘違いかもしれないし、何らかの方法で首輪をはずせたのかもしれない……まぁ、それはそれで希望だがね」

希望……それは過去で彼が言っていた言葉。
その言葉を目の前の青年も思い出したのかもしれない。

「人の足を停めるのは絶望≠ナはなく諦観(あきらめ)
 人の足を進めるのは希望≠ナはなく意志=\―いい言葉だね。
 ならば我々も意志を持って、歩き出すとしよう」

その言葉どおり、佐山は全身を再開し、小鳥遊もあわてて後を追う。
一瞬だけ、横たわる古木のような死体に目をやって。

「……彼を埋葬する時間も余力も我々にはない。
 残酷なようだが……ここで時間を潰すことを彼もまた望まないだろう」

そう、彼に報いるというのなら、諦めず生きることこそ手向けになるだろう。
彼が何者であっても命を懸けて伊波まひるを救ったことだけは確かな真実なのだから。
だから2人は黙祷をささげつつ、地上を目指す。
そして程なくして、目に僅かな光が入る。
次第に明るさを増すそれは長い長い廃坑の終わり。
一歩一歩着実に、その終局を二人は目指し、そして……到達した。

「うわ……」

廃坑の入り口から一歩、外へと踏み出した瞬間、一陣の風が全身に纏わり付いていた埃や砂を吹き飛ばす。
生理的な反応として肺は新鮮な外気を求め、2人の体もそれに応える。
さて、文字通り一息ついた後に時計を見れば2時直前。
まだ日は高く、暗闇に慣れた宗太たちの目を容赦なく責める。
0658創る名無しに見る名無し2009/07/28(火) 23:39:03ID:qwHDDmQo
支援
0659境界線上の小鳥遊宗太  ◆OQO8oJA5SE 2009/07/28(火) 23:39:59ID:SFpwWfUM

「さて、先程言いかけたこれからのことだが……
 武器や武具、そして戦力を集めるには、まず人が集まりそうな場所に行くことこそ重要だ。
 誰か、友好的な人物と出会えるならば良し。
 そうでなくとも戦闘の余波で取り落とした誰かの荷物があるかもしれない。
 危険人物の襲来には、これまで以上に気を配る必要があるがね。
 となると、とりあえずはここから北に位置する遊園地――」

異形の左手で回転していない観覧車を指差す。
そして、腕を固定したまま体を180度回転させる。

「――もしくは南、山頂に位置する古城跡。
 どちらかをランドマークに歩を進めるのが定石だね」

選択肢は与えられた。
そして再び選択の時間はやってくる。

「さぁ小鳥遊君、――前進しようではないかね」

今度は二択。
北へ進むか、南へ進むか。
さぁ、ここが運命の境界線上。


【H−3 廃坑入り口/一日目 日中】
【佐山・御言@終わりのクロニクル】
[状態]:健康、左腕欠損(リヴィオの左腕を移植)
[装備]:つけかえ手ぶくろ@ドラえもん(残り使用回数3回)、獏@終わりのクロニクル
[道具]:基本支給品一式(一食分の食事を消費)、空気クレヨン@ドラえもん
[思考・状況]
1:これからの行動を決める。
2:優先順位に従い行動する(注1)
3:本気を出す。
※ポケベルにより黎明途中までの死亡者と殺害者を知りました。
※小鳥遊が女装させられていた過去を知りました。
※会場内に迷宮がある、という推測を立てています。
※地下空間に隠し部屋がある、と推測を立てています。
※リヴィオの腕を結合したことによって体のバランスが崩れています。
 戦闘時の素早い動きに対して不安があるようです。
※地下鉄を利用するのは危険だと考えています。
※過去で伊波の顔を知りました。

0660創る名無しに見る名無し2009/07/28(火) 23:49:30ID:qwHDDmQo
支援
0661創る名無しに見る名無し2009/07/28(火) 23:58:09ID:bNF91PoR
支援
0662境界線上の小鳥遊宗太  ◆OQO8oJA5SE 2009/07/29(水) 00:00:55ID:SFpwWfUM
【小鳥遊宗太@WORKING!!】
[状態]:健康、腹部に痛み
[装備]:秘剣”電光丸”@ドラえもん
[道具]:基本支給品一式(一食分の食事を消費)
[思考・状況]
1:これからの行動を決める。
2:優先順位に従い行動する(注1)
3:佐山と行動する。
4:ゲームに乗るつもりはない。
5:全てが終わった後、蒼星石と吉良吉影を弔ってあげたい。
※ポケベルにより黎明途中までの死亡者と殺害者を知りました。
※過去で新庄の顔を知りました。
※獏の制限により、過去を見る時間は3分と長くなっています。
※地下鉄を利用するのは危険だと考えています。

注1:これからの行動の優先順位(1から高い順)
1、まずは強力な武器を見つけ、ラズロの様な参加者にも対抗可能な状況を作る。
  (戦闘力を持つもの(ゾロなど)との合流なども含む)
2、新庄と伊波を捜索して保護する。
3、4-C駅へと向かい、ストレイト・クーガーの仲間と合流をする
4、地下鉄内を探索する


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投下終了です。おのれさるさん!
0663創る名無しに見る名無し2009/07/29(水) 20:11:33ID:0/87t4rK
投下乙です!
ここでまさかの展開!リーマンが実は潜入者!
そういえば今までリーマンの首輪については話なかったなぁ(2話しか出てないから当たり前か)
しかし、となると事態を知っているかもしれない勢力がいるかもしれないってことか。
対主催にとっては希望かもしれないが、脱出の鍵となるか否か。
古城ならば伊波も新庄もゾロもいてまさに万々歳だが、遊園地だとクレアと
レヴィで完全にハズレ…果たしてどっちへ行くのやら。
なんだかこの選択、大分重要な気がするなw
改めてGJ!
0664創る名無しに見る名無し2009/07/29(水) 20:40:54ID:ZCAeXoYA
とりあえず投下乙
でもこの展開は正直どうかと思う
あくまで仮説とはいえ、色々強引過ぎる
もし仮説が正しいなら、黒幕がARMS関係者ってのはほぼ確定
単独参加のARMSをそんな重要なポジションに置くのも微妙だし
勘違いってことにしても、首輪がついてなかったことは間違いない
どっちにしても何らかの説明は必要になる
それに、怯えてたまひるはともかく、一戦交えたクロコダインが気づかないってのも違和感ある
0665創る名無しに見る名無し2009/07/29(水) 21:44:18ID:yJ65YfGN
単独参加だから黒幕ダメとかないだろ。

まぁあの時点でクロコ皆殺し狙いで首輪解除を目指してはいなかったが、
戦闘はしていたし一通り首輪に悪魔の実の能力を試していた。
巌が首輪していないというのに気付かなかったってのはおかしいかもしれん。

ところで誰か巌の服装教えてくれ。首が隠れるようなのなら問題ないだろ。
0666創る名無しに見る名無し2009/07/29(水) 22:13:34ID:5A1UMniy
とりあえず文句言っている奴はなんで仮投下の時点で意見を述べなかったんだ?
0667創る名無しに見る名無し2009/07/29(水) 22:29:40ID:ASv4n487
投下乙!!
いやぁ、この二人は良いなぁ、ホント。
小鳥遊の言った「突発性変態症候群」に吹いたw
伊波はリーマンと接点あったんだよな、忘れてたよ。
まさかここでこんな形で話が繋がるなんて…お見事。

ここにきて脱出に関してのフラグと言うか、希望が見つかった感じだけど
果たしてこの発見は吉と出るか凶と出るか…。
北か南…もの凄く重要な選択肢になりそうだな。
一石三鳥の南か…それとも凶となりそうな北か…?
どっちに進んでも面白いことになりそうだ。
改めてGJ!
0668創る名無しに見る名無し2009/07/29(水) 22:34:47ID:ZCAeXoYA
>>666
仮投下あったこと気づかなかったから
でも確かに筋違いだったな
さっきのは無視してくれ
0669創る名無しに見る名無し2009/07/29(水) 23:08:15ID:cvm1G892
>>664
クロコダインだとダイの大冒険だぞw
0670創る名無しに見る名無し2009/07/29(水) 23:55:32ID:6CaOkvsh
黒幕が1人である必要はない。
100人でも1000人でもいい。
0671創る名無しに見る名無し2009/07/30(木) 00:04:16ID:A51J4rpJ
それ本気で言ってんの?
0672創る名無しに見る名無し2009/07/30(木) 00:13:57ID:vAz6D18X
可能性レベルなら問題ないとは思うけど、
(実際主催者決まってないし)
参謀や用心棒なんかを雇っているとかも
有りだと思う。

0673創る名無しに見る名無し2009/07/30(木) 01:50:42ID:k/5vfZ8y
仮投下について本スレでも話題になったのに気付かないとか本当だったらアホもいいとこだろw
0674創る名無しに見る名無し2009/07/30(木) 11:44:58ID:FUAEa5T2
部下含めて数えていいなら100くらいいたとこあるだろ
アニロワとか漫画ロワとかニコロワとか
0675創る名無しに見る名無し2009/07/30(木) 16:19:52ID:KDPYwN2Q
部下は数えないだろ
0676創る名無しに見る名無し2009/07/30(木) 17:06:39ID:m2NUHcwC
>675
なんで?
0677創る名無しに見る名無し2009/07/30(木) 17:49:17ID:PlqmYX5+
>>671
作者が書ききれるのなら何人でもいいだろ。
0678創る名無しに見る名無し2009/07/30(木) 18:27:23ID:KBMJTg9l
ところで、クロコのことなら、仮投下の時点で俺も言ってたんだが
なぜかスルーされたけど
0679創る名無しに見る名無し2009/07/30(木) 18:58:02ID:k/5vfZ8y
誰かに同意を求めるならもっと具体的に問題点をいったほうがいいんでない?
なんで気付かないのが違和感なの?
0680創る名無しに見る名無し2009/07/30(木) 19:07:11ID:KBMJTg9l
高槻巌は、原作どおりの服装なら首が隠れることもない
話の中の描写だと、結構長い時間戦ってたみたいだし
それに、干からびて死んでたってことは、直接手を触れて殺してるはず
それで首輪に気づかないほどクロコダイルも間抜けじゃないと思う
まあそのクロコダイルももう死んでるし、どうでもいいといえばどうでもいいけど
だから違和感程度の話
問題ないと思うならスルーしてくれていいよ
0681創る名無しに見る名無し2009/07/30(木) 19:33:20ID:KDPYwN2Q
それを仮投下時に言ってればよかったのに
今更言ってもどうしようもないよ
0682創る名無しに見る名無し2009/07/30(木) 19:36:17ID:k/5vfZ8y
それは個人的にはわざわざ修正要求出すかどうかは微妙なレベルだなぁ。
直しても直さなくてもどちらでもいいかんじ。
直すなら獏の夢の中でクロコがそれに触れる感じか?
0683創る名無しに見る名無し2009/07/31(金) 00:23:16ID:/8vrza+c
直す必要のないレベルなんじゃないかな?
0684創る名無しに見る名無し2009/07/31(金) 07:24:59ID:9A/b4JVK
ラッドとリヴィオに予約きてる
どちらもダメージ回復中だしどうなるのやら
0685創る名無しに見る名無し2009/07/31(金) 07:27:19ID:kbNMyWGU
気付いてても、気付いてなくても誰にも伝えずに死んだんだから関係ないだろ
0686創る名無しに見る名無し2009/07/31(金) 16:38:46ID:kBjFdTMQ
ラッドのスタンス的に戦闘になりそうかな?
……とりあえずラッド逃げてー
0687創る名無しに見る名無し2009/08/01(土) 15:25:01ID:u7B8wqj5
そういえばラッドは放送どこから聞けたかって描写あったっけ
人数にしか反応してないから、最後の方しか聞けなかったのか
0688創る名無しに見る名無し2009/08/01(土) 21:14:45ID:0mRfnu7E
いちいち反応するような奴誰か呼ばれてたっけ?
0689創る名無しに見る名無し2009/08/01(土) 22:16:32ID:4hpfOv7H
劇場組と古城組の予約が来てるな
しかしグラハムはいつになったら起きるんだw
0690創る名無しに見る名無し2009/08/01(土) 22:33:22ID:V4WMCHYo
おお、その後が気になるメンバーだったからこれは楽しみだ。
0691創る名無しに見る名無し2009/08/01(土) 23:23:32ID:4hpfOv7H
古城組がかなりの戦力になりそうだな。水銀燈とハクオロという不安要素はあるけど。
劇場組はミュウツーがあの人数相手にどう出るか……。
0692創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 00:42:51ID:r78fbkQJ
>>688
クーガーが死んでるのに状態表の“殺す予定”にまだ入ってるって所?他は分からん
反応しなくても変じゃないし、直すなら状態表の名前削れば良いだけだし、そもそも読んでて別に気付かなかったし
名前の他にそう思う所が無いなら特に描写の必要はなさそう

劇場組と古城組か。わりと人気のパートだなー、気になってたからwktk
0693創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 11:13:43ID:USWfc5+c
劇場関係の予約が2つ来てるけど両方投下されたときになんらかの矛盾が生じてしまった場合って
やっぱり書き手さんにもうひとがんばりしてもらうかどちらかを破棄することになってしまうのか?
ここまで近い場所でしかも劇場という拠点のすぐ外と内側の予約なんて見たことないから気になってるんだが
0694創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 11:55:03ID:YbSSaVkK
そういえばむかし漫画ロワで、投下されたSSと使う舞台が被ったから、予約中の人が延長して書き直してたなぁ
先に書いた人優先なのは、仕方ないよね。どうしようもないし
0695 ◆Wott.eaRjU 2009/08/02(日) 20:16:13ID:P5ED+YUJ
では完成したのでラッド、リヴィオを投下します。
0696瞬間 ◆Wott.eaRjU 2009/08/02(日) 20:16:54ID:P5ED+YUJ
そこには一人の男が居た。
三つのホールからなる劇場の内の北ホール。
そのステージ上に立つ、血まみれの男こそがこの場での唯一の演目者。
生死を賭けたデスゲームで、たった今まで命を賭していた参加者。
なんとか生き永らえた命だが男は碌な嬉しさを見い出せてはいない。
生き残った喜びを噛みしめるよりも、男は怒りに身を震わせていた。

「あああああああああああああああああああああああーーー!!
許せねぇ、ぜってぇに許せねぇ……コレはさすがの俺もプッツンものだぜ?
わかってんのかよぉ、てめぇらはああああああああああああああああああああああッ!!」

周囲に誰も居ないことは悟っているに違いない。
しかし、気に留める様子もなく男は大声で叫んでいる。
ラッド・ルッソ。彼を説明するのに“狂人”という言葉程的確なものはない。
彼の周囲には生々しい血が散乱しており、受けた負傷が決して軽いものではない事を物語る。
本来なら直ぐにでも相応の処置を施し、安静にさせておくべきなのは誰の目にも明らかだろう。
だが、ラッドの意識は少なくとも今は別の方へ向いていた。

「あの嬢ちゃんは今頃あのスーツのヤロウに守られてやがるんだろうな……気にくわねぇな。
なにせあのヤロウの身のこなしは素人じゃねぇし、なにより腕も立つ。そりゃあのヤロウの傍は安心だろうよ。
わかる。わかるぜ。ぶるぶる震えちまう子猫ちゃんはああいう手合いのヤツに保護されるのが幸運だ。
だけど、一人だけ美味しいところを独り占めってのはずるいんじゃねぇの?」

まるで両目の奥底には禍々しい炎が燃え盛っているような様子だ。
先程仕留めそこなった少女、古手梨花への歪んだ怒りを呪詛を紡ぐように口を動かす。
同時に至極勝手きわまりない想像を脳みその中で広げる。
危険が去り、同行者であるニコラス・D・ウルフウッドに肩を預けでもして心の底から安堵する梨花。
そんな梨花がどうにも憎たらしく思えてくる。
やはり一方的な、勝手な感情を滾らせることをラッドは止めようとはしない。

「よし決めた! これも知り合った縁だ、やっぱりてめぇらは直々にこの俺がぶっ殺す!
おっと、もちろんあのラズロとか言うモヒカン野郎もだ。
一人ずつでも二人でも三人纏めてでもなんでもいい――とりあえず、ぶっ殺し決定だ!!」

あまりにも簡潔な、そしてあまりにもあっさりとしたな宣言。
二人も、それも片方は年端もいかない少女であるのにラッドは彼らの殺人を良しとする。
倫理という言葉を、どこかに忘れてきてしまったような物言いがホール内に反響する。
当然、人一人居ないためラッドの声に応える者は居ない。
しかし、ラッドが虚しさを覚えることはなく寧ろ逆だ。
自分にはまだチャンスがある。
あの緩んだ顔が眼前の恐怖に引きつり、自分の手で殺されていく。
そんな光景を作り出す事がまた出来るのだ。
あいつらに思い知らせる機会が、まだまだこの場所で。
そう思えば心地よい清々しさすらも覚えてくる程だ。
0697創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 20:17:21ID:acvWXu7f
  
0698瞬間 ◆Wott.eaRjU 2009/08/02(日) 20:17:37ID:P5ED+YUJ

「さーてと、どうするかなぁ」

やがてラッドは一息つき、キョロキョロと周囲に視線を配り始める。
案の定、やはり人影は見られない。
先程の二人組がどの出口から出て行ったのかはわかっている
幸いな事に時間も大して経過はしていなく、全力で走れば追いつく可能性はあるだろう。
決めるのであれば今、紛れもなくこの瞬間にかかっている。
あいつらを追いかけ、そして殺すためにもどうするか。
ラッドは暫く思考を走らせ――やがて答えを出した。

「……取り敢えず今は休むとするか。
殺すにしてもなんにしてもやっぱり身体が治ってねぇと始まらねぇし、ピンピンってわけでもねぇしなぁ」

ラッドが俗に言う狂人であることは揺るがない。
しかし、だからといってラッドが考えなしのボンクラというわけではない。
冷酷に且つ素早く廻る、ラッドの思考回路は常に最適な方法を弾き出す。
自分の死をギリギリで避けて、いかに効率的に人を殺せるか。
自分が死ぬとは思っていない、緩みきった奴らを殺し尽くす。
即ち死という概念が誰にも等しく存在することをその身を持って知らしめる。
その標的を一人でも増やせるためなら、ラッドはどんな手段でも講じられる。
同時に冷静な判断も下せられた。
故にラッドはこの場では一時、身を隠すことを決めた。
この殺しあいにはまだまだ時間はあり、焦る必要もない。
何より自身の身体は有限である。
殺してやった人間のようにいつかは自文にも死は訪れる。
その自覚をラッドは今まで、ほんの一時たりとも忘れたことはない。
だからこそ万全ではない己の身体に、必要以上の危険を迫らせることをラッドは良しとはしない。
使い潰す。死とは言わずとも再起不能になれば、それ以上人を殺せなくなってしまう。
そんな結果をラッドが望むわけもないためだ。

「つーか、まあホントに驚きだな。あのモヒカン野郎もだけどよ、俺のこの力にはびっくりさせられるよなぁ。
うん、自分で言っちまうのもなんだか恥ずかしいんだが……俺、ひょっとしてとんでもねぇ目覚め方したんじゃね? マジでマジで」

だが、今のラッドに肉体的な痛みがあると言えばそれほどでもなかった。
床に転がった腕を力任せに切断面に押しつけ、なんとか繋がりはした。
ただ、今のままではバズーカを扱うことも、鍛えた格闘術を振るうことも難しい。
激しい運動でもすれば、いつ取れてしまっても可笑しくはない事はわかっている。
そのための選択であり、ぐずぐずしている暇はない。
地図にも表記されており、別のホールには人が居る可能性もある。
近くの出口、北出口から出てどこか身を隠せる場所を探す。
当面の目標を定め、軽やかな足取りでラ
ラッドは出口を目指す――その筈だった。
何メートル程か歩いた後、ラッドは唐突に立ち止り、両腕に一瞥をくれる。
ラッドにはどうにも気がかりなことが一つあった。
0699瞬間 ◆Wott.eaRjU 2009/08/02(日) 20:18:18ID:P5ED+YUJ

(なんだろうなぁ……さすがにおかしいんじゃねぇの?)

この殺しあいに呼ばれてからラッドは幾度も助けられた。
そこには開始当初に摂取した不死の酒による肉体の不死身化が絡んでいる。
しかし、ラッドはその事実を知る由もないためどうにも疑問が湧いた。
なにも今までに全く心当たりがなかったわけではない。
負傷は何度も負ってきたがそれらは打撲を初めとして、治りが目には映りにくい類のものだった。
されども今回のケースは全く違う。
両腕切断という、自力ではどうにもならないような負傷がそこにあった。
だが、完全にとは言わないがある程度の接合は済んでしまった。
駄目で元々ではあったが、いざ出来たとしても手放しでは喜べない。
拭いきれない疑惑。いくらこの場で自分の常識が通じないといえどもこれではまるでアレだ。
そう。まさに自分が言った“不死者”とやらに――
一度は捨てた、最悪の事態への想定が再び蘇り、思わず嫌な汗がこめかみの辺りを濡らす。
死ぬことがなくなってしまえば、それでは生きている意味を失うのに等しい。
なにより最も憎らしく思う存在に、ラッド自身が成ってしまったというのであれば笑えない冗談にも程がある。
絶対にあり得ない。そう否定できる材料が生憎見当たらない事にラッドは少なからず焦りを感じていた。


(……まあ、いいか。あとでゆっくりと調べればいいだろうし、この殺しあいとやらが終わった後でもいい。
それに俺が死ななくなったら駄目じゃねぇか……終わりじゃねぇか。ありえねぇだろうが……!)

しかし、ラッドは強引に思い止まる。
問題の先送りと言われればそれまでだが、たとえそれでもだ。
認めるわけにはいかない。
自分は不死者になってしまった。
そんな事実を認めてしまえば、今までの自分は一体なんだったのか。
故にラッドは全てをかなぐり捨てるように走り出す。
そうだ。答えを出すのにも急ぐことはない。
たとえば今回以上の怪我を負った時、果たして自分はどうなるか。
その時の状態を見てからでも結論は遅くはない。
今、必要なのは両腕の完治。逸る自身に言い聞かせ、ラッドはホールから飛び出していく――。




「……行ったか」



別の出口の傍に身を隠した、リヴィオ・ザ・ダブルファングの存在には気づかぬまま。
ラッドはホールから姿を消した。



◇     ◇     ◇

0700創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 20:18:19ID:FNTgQv35
 
0701瞬間 ◆Wott.eaRjU 2009/08/02(日) 20:19:00ID:P5ED+YUJ
リヴィオは確かにラッドとの戦闘を避けると決めていた。
ウルフウッドとの戦いでの傷は未だ癒えてはおらず、無理はさせたくはない。
ただ、興味はあった。
バズーカを片手にラズロと打ち合った男であるラッドに。
どうみてもチンピラにしか見えないラッドのどこにそんな力があったのか。
また、ラッドはウルフウッド達をこのまま追いにいくのだろうか――。
そんなこともあって、リヴィオは少しだけラッドの様子を見ていた。
幸いなことにラッドの声は良く通り、何よりミカエルの眼の五感は尋常のものではない。
観察は全て滞りなく終わり、ラッドについて幾つかわかったことがあった。

「……厄介なヤツが多い。わかっていたけども……厳しいな」

ラッドも取り敢えずは休息を取ること。
やはりラッドもこの殺しあいで優勝を狙っていること。
そしてなによりもリヴィオの注意を惹いたのはラッドの恐るべき生命力だ。
制限された自身の治癒能力にも匹敵する程の威力。
さすがに残り半数程に近づいた中に残っただけはある。
不死者という概念はリヴィオも知らないため、あれがラッド自身の力という結論に行きついてしまう。
何故かラッド自身も驚いているようではあったが、そこはどうでもいい。
問題はラッドが非常に殺しづらい存在である一点について。
あのラズロとやり合えた事に納得を覚えるもの、嬉しさは微塵もなかった。
やはりこの殺しあいで生き残ることは容易じゃない。
その認識は一層強まり、同時にリヴィオは強く思った。

「ラズロ、やっぱりお前は凄いな。
俺じゃあお前の領域にはたどり着けないコトがよくわかったよ」

今は居ない、もう一人の自分であるラズロが果てしなく遠い存在に感じてしまう。
十二時間で四人という成果。
全参加者の結果と照らし合わせても、きっと上位の戦績だろう。
それも全員が全員無力な参加者ではない。
不意打ちの形で仕留めた蒼星石は兎も角、劉鳳、吉良吉影、ストレイト・クーガーの三人はいずれも実力者だった。
だが、それに引き換えて自分の方はどうだ。
一度戦った事のある、しかも自身の得物を手にしていないという相手だというのに。
たとえ二重牙を持っていなくとも、自分はウルフウッドを仕留めることが出来なかった。
ラズロなら出来ただろうか――考えるまでもないだろう。
何故ならミカエルの眼に同じ手は二度通じない。
師であるマスター・Cの教えを余すことなく継いだラズロが、二度目の相手を仕損じるわけがない。
そう。ラズロは自分とは全く違うのだから。

0702創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 20:20:05ID:FNTgQv35
 
0703瞬間 ◆Wott.eaRjU 2009/08/02(日) 20:20:27ID:P5ED+YUJ

「ラズロに笑われちまうな。
俺はまだ何も出来てない……何一つ。ラズロが出来たコトのこれっぽちも……!」

ラズロはミカエルの眼でも稀な才能の持ち主。
ラズロの宿主である自分が、GUNG-HO-GUNSのナンバーを与えられた理由は彼が居たからこそだ。
少しでもラズロに近付くため、ラズロの足を引っ張らないために重ねた特訓ではまだ足りない。
改めて自分とラズロの違いをハッキリと見せつけられた。
気が軽くなったというわけでも重くなったわけでもない。
以前からわかっていた事だが、今、自分達を取り巻く環境はいつもとは違う。
ラズロが消えた今、リヴィオは一人だ。
未だラズロに会う前、それよりも前の孤児院に送られたばかりの時のように。
信じられるものはこのちっぽけな自分自身。
AA弾の数も少なく、二重牙もなく、身体の調子も本調子ではない。
状況は絶望的だ。残り37人程ならば腕に自信がある参加者ばかり残っているだろう。
何よりラズロの力を当てにする事は出来ず、たった一人でやるしかない。

「……なに言ってるんだろうな、俺は」

だが、リヴィオに諦める気はない。
不安はある。自信があるわけじゃない。
だけどもまだ朽ちるわけにはいかないという意思がどうにも昂ぶっている。。
戻ってくる――確かにそう言ったあいつの帰る場所は一つだ。
他の何処でもない。このリヴィオ・ザ・ダブルファングという身体だ。
その時が来るまではなんとしてでも生き延びる必要がある。
だからこそ自分はこの引き金を引き続けなければならない。
目の前に何が立ちふさがろうと、必ず。

「ウルフウッドさん、後悔しますよ……いや、させてみせます。俺を逃してくれたコトを」

必要以上の事を考えることはない。
この殺し合いを自分の優勝という形で終わらせるには、何よりも人数を減らす必要がある。
よって自信の再生も兼ねてラッドは見逃しておく。
ラッドが向かった先で、ウルフウッドが連れていた少女の知り合いが死のうとも気に留めることもない。
数が一人でも減ってくればそれ上出来だ。
たとえ、あの孤児院で共に生活した年代の子供であろうとも自分はやれる。
いや、やらなくてはいけない。
迷い、銃口がぶれるということは決してあってはならない。
覚悟はとうに済んでいる。後は標的を探すだけだ。
ラッドと同じように、完全に身体の再生を待った後で。。
このホールのような目立つ場所では駄目だ。一目につかない場所が良いだろう。
目的を定め、リヴィオは北ホールの出口に背中を向ける。



「――絶対にね」




そして呟く。
まるで全てに見切をつけたように。
何も変わっていない、ウルフウッドの甘さに昔を懐かしんだ事も全て。
殺人機械と成った自分に不必要なのだから――自然と力が籠った。
ソードカトラスのグリップを必要以上に、ラズロがやったように。
まるで確かにラズロが居たという証拠を強く握りしめるように。
時間にして数秒。しかし、リヴィオにとってはそれ以上の意味を持つ時間が流れ、やがて走り出す。
そのあまりにも広く、傷ついた背中は紛れもなく一人の男のものだった。

0704創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 20:21:22ID:wdUn2A8v
   
0705瞬間 ◆Wott.eaRjU 2009/08/02(日) 20:21:32ID:P5ED+YUJ
【E-5劇場・北劇場ホール北出口周辺/1日目 日中】


【ラッド・ルッソ@BACCANO!】
[状態]:腹部に傷(小)、背中に打撲(中)、胸に銃創、両腕切断(なんとか繋がってはいる) 全て再生中 不死者化
[装備]:ワイパーのバズーカ@ワンピース、風貝(装填中)@ワンピース
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
 1:あのギラーミンとかいう糞野郎をぶっ殺す。
 2:そのためにこの会場にいるやつを全員殺す。とにかく殺す。
 3:ラズロ(リヴィオ)は特に念入りに殺す。
 4:御坂と黒スーツの男(ウルフウッド)、子供(梨花)も殺す。
 5:ギラーミンが言っていた『決して死ぬ事のない不死の身体を持つ者』(不死者)は絶対に殺す。
 6:宇宙人(ミュウツー)は出来れば最後の最後で殺す。
 7:左腕が刀になる女(ブレンヒルト)も見付けたら殺す。 詩音はまあどうでもいい。
 8:ギラーミンが言っていた『人間台風の異名を持つ者』、『幻想殺しの能力を持つ者』、『概念という名の武装を施し戦闘力に変える者』、『三刀流という独特な構えで
世界一の剣豪を目指す者』に興味あり。
 9:グラハムについて少し気になる。
10:身体が万全になるまで戦闘は避けてどこかで休む
【備考】
 ※麦わらの男(ルフィ)、獣耳の少女(エルルゥ)、火傷顔の女(バラライカ)を殺したと思っています。
 ※自分の身体の異変に気づきましたが、不死者化していることには気付いてません。
 ※リヴィオとラズロの違いに気付いていません。また、ラズロ(リヴィオ)のことを不死者だと考えています。
 ※ウルフウッドと梨花が出た出口とは別の出口から出ました。


【E-5劇場・北劇場ホール西出口周辺/1日目 日中】

【リヴィオ・ザ・ダブルファング@トライガン・マキシマム】
[状態]全身治癒中 腹部と左肩に銃創、内臓にダメージ、左腕再生中・見かけは復元、背中にダメージ中、胸にダメージ大 背中のロボットアーム故障
[装備]M94FAカスタム・ソードカトラス×2@BLACK LAGOON、.45口径弾×14、.45口径エンジェルアーム弾頭弾×4@トライガン・マキシマム
[道具]支給品一式×5、
    スチェッキン・フル・オートマチック・ピストル(残弾20発)@BLACK LAGOON、
    ココ・ジャンボ@ジョジョの奇妙な冒険、.45口径弾24発装填済みマガジン×3、45口径弾×24(未装填)
    天候棒(クリマ・タクト)@ワンピース、ミリィのスタンガン(残弾7発)@トライガン・マキシマム
[思考・状況]
 0:ラズロが戻るまで必ず生き抜く。
 1:参加者の排除。ウルフウッドとヴァッシュに出会ったら決着を付ける?
 2:ウルフウッドを強く意識。
 3:身体が万全になるまで戦闘は避けてどこかで休む。
【備考】
 ※原作10巻第3話「急転」終了後からの参戦です。
 ※ニューナンブM60(残弾4/5)、GPS、チックの鋏@バッカーノ! はAA弾頭の一撃で消滅しました
 ※とりかえ手ぶくろによって左腕を肩口から奪われました。
 ※ラズロとの会話が出来ません。いつ戻ってくるか、もしくはこのまま消えたままかは不明です。
 ※ウルフウッドと梨花、ラッドが出た出口とは別の出口から出ました
0706創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 20:21:48ID:FNTgQv35
 
0707 ◆Wott.eaRjU 2009/08/02(日) 20:22:21ID:P5ED+YUJ
投下終了しました。
支援どうもありがとうございます。
なにかあればお願いします。
0708創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 20:56:09ID:SWjjNu97
投下乙!
ラッド、さすがに自分の体の異変に気が付いたか。
まぁ両腕が両断されたんだし、当たり前か。
もし不死者になってるだなんて知っても、ラッドは喜ばないよなぁ。
もうこれ以上狂えないほどの狂人なのに、そこから更に狂ったら廃人になってしまうんだろうか。

リヴィオ……やっぱり銃を収める事は出来ないか。
一度揺れた心も、再び覚悟を決めた状態になってしまったね。
ニコ兄やヴァッシュと会ったときにその覚悟はこれ以上揺れずにいけるのか。
この先が楽しみだ。

一応再生能力が高い強マーダーが二人とも暫く休息な構えだね。
中央の火薬庫はもう落ち着いたと見ていいのだろうか。
0709創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 21:10:11ID:KUKRbah3
投下乙です
両腕が切断されたから身体の異変を再認識したとの事ですが……ブレンヒルトとの戦闘ではもっと酷い傷を受けてた筈では?
両脚切断、両目失明状態にまでいったあの時に気付かなくて、今になって気付くのは少しおかしい気が
0710創る名無しに見る名無し2009/08/02(日) 23:52:10ID:USWfc5+c
投下乙です
とりあえず2人とも休息か
ラッドはとうとう不死者化を疑問に思い出してきたか
リヴィオも休息+見逃しの様子だし
後は外とどのくらい矛盾が少ないか、かな

>>698で誤字と改行ミスかな?
4文目下から5行目、自文→自分
最終文下から4行目、「ラ」が残ってる

>>709
>>699で一度は捨てたって書いてあるからそれがブレンヒルトの時じゃないかな
0711創る名無しに見る名無し2009/08/03(月) 02:45:18ID:xk8LJgiA
久しぶりに見に来たけど、ワンピキャラまだ死んでなかったのか
贔屓もいい加減にしろよ
0712創る名無しに見る名無し2009/08/03(月) 07:51:41ID:dJgsD0MK
薄汚い読み手様が数匹沸いてる事を除けば、
実に素晴らしいなここのロワ。
0713創る名無しに見る名無し2009/08/03(月) 09:24:02ID:Frke3ExM
何を唐突に
0714創る名無しに見る名無し2009/08/03(月) 10:18:24ID:Qny4JpM3
ここではよくあること
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