トップページmitemite
785コメント684KB

マルチジャンルバトルロワイアルpart16

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
0001創る名無しに見る名無し2009/07/11(土) 23:26:02ID:gToJim5F
様々な作品のキャラを使った上での、小説及び映画で有名なバトルロワイアルの企画を行おうというスレです。
小説・漫画・アニメのキャラが入り乱れていることから、マルチロワという名前になりました。
略して○ロワ。別に見るのに●はいりません。
この企画はリレーSS企画であり、ルールさえ守っていただければ、どなたでも参加可能です。
ルールの項に目を通していただき、分からないことがあれば気軽に本スレで聞いてみてください。
キャラ同士による殺し合いという内容のため、苦手な方は気分を害する恐れがあります。
読み進める際にご注意を、また自己責任でお願いします。



【過去スレ】
いろんなジャンルの作品キャラでバトルロワイアル
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220604468/
マルチジャンルバトルロワイアル part2
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221055898/
マルチジャンルバトルロワイアル part3
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221229891/
マルチジャンルバトルロワイアル part4
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221405474/
マルチジャンルバトルロワイアルpsrt5
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221749250/
マルチジャンルバトルロワイアルpart6
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1221924153/
マルチジャンルバトルロワイアルpart7(実質8)
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1227019873/
マルチジャンルバトルロワイアルpart8(実質9)
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1230130775/
マルチジャンルバトルロワイアルpart10
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1232931721/
マルチジャンルバトルロワイアルpart11
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1235147692/
マルチジャンルバトルロワイアルpart12
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1235724325/
マルチジャンルバトルロワイアルpart13
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1237380564/
マルチジャンルバトルロワイアルpart14
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1241420923/
マルチジャンルバトルロワイアルpart15
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1243945342/

【したらば】
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/11860/
【wiki】
http://www26.atwiki.jp/marurowa
【予約について】
 ・通常5日。延長は2日まで。(合計7日まで)
 ・したらばの予約スレで予約してください
【全キャラクター共通・スタート時の持ち物】
  地図、コンパス、懐中電灯、筆記用具、水と食料、名簿、時計、ランダム支給品1〜3
【MAP】
  (p)ttp://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/70/405fccc08ebbff8b539e6e47e7acf801.png
   上が北、一マス一km四方、端はループしています。(例:A-1から北へ行けばH-1に出る)

0124創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 15:39:17ID:Jcxy6qeU
>>123
一発殴られただけじゃないでしょ、死因は絞殺だよ?
0125創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 16:47:40ID:Uxrn7kud
サカキがどうこうよりも、ゼロの心変わりが唐突過ぎる
ナナリー死んだからって、いきなりこんなに変わるかな
0126創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 17:06:14ID:ZaJ5lr9H
強引だけで少し修正したら通しでいいレベルだと思うけど
ゼロはナナリーが絡むと暴発するしな
0127創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 17:36:32ID:ykWa+m4w
頭の切り替えが早いだけじゃね?

そこまで問題はないと思うね。
0128創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 18:26:01ID:WGPCnpjr
もともとナナリーが死んだ場合は優勝狙いじゃなかったか?
0129創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 19:00:52ID:u3HET6oY
そんな事言ってたっけ?
むしろ主催の言うことを信用するなって言ってた記憶がある
0130創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 19:11:27ID:8KRomapv
殺し合いに勝って、主催の技術力を接収するつもりは満々だったぞ
0131創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 19:35:08ID:Xwet5Fmr
チョンピみたいな不人気作品ならともかく、サカキや土御門がこれじゃ手抜きと言われても仕方ない
0132 ◆Wott.eaRjU 2009/07/12(日) 19:59:42ID:ESbZgy57
>>113
ご指摘どうもです。
状態表に反映させるの忘れてました……いつものようにwikiに編集された際に修正します。
0133 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:00:49ID:sed2xOFE
お待たせしました。
カズマ、竜宮レナ、トニートニー・チョッパー、グラハム・スペクター、レッド
ラッド・ルッソ、ギルガメッシュ、前原圭一、古手梨花、ニコラス・D・ウルフウッド投下開始します
0134CIRCLE RHYTHM 〜追想のディスペア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:01:43ID:sed2xOFE
『人間は皆音楽を奏でている    ――とあるバイオリニストの言葉』







【序曲(オーバーチュア) 〜前原圭一〜】



「うわぁ」

 目の前に広がる光景を見て、俺の口から出た感想はそんな月並みなものだった。


 レナたちが来るっていうあの女の言葉を信じて俺とアーチャーは劇場に向かった。ちなみに今も相変わらず俺の境遇はあいつの荷物持ちだ。
 一応劇場に向かっているから切嗣さんとの合流予定地の映画館には近づいてるけど、俺は正直あまり喜べない。なぜならアレから時間が経ちすぎてる。流石にもう切嗣さん
は待っていないだろう。ていうか、それ以前にアーチャーが一緒にいるんじゃどの道彼に会いにいけない。
 アーチャーはあの人の敵、それはもう聞いている話だ。だから俺があの人と合流するには、なんとかアーチャーから離れないといけないんだけど、ここまでそんなチャンス
はなかった。少し前にマンションで別れたけど、逃げ切れる自信がなくて俺は離れなかった。なにせあいつはいざとなればあの槍を思い切りぶん投げられるんだ。逃げる俺な
んて蚊を潰すように容易く無慈悲にやってしまう気がする。
 なによりアーチャーは俺より確実に強い。負傷こそしていても俺では太刀打ちできないに違いない。
 なら、レナたちが劇場に着てしまったら危ないんじゃないかとも思うけれど、アーチャーはレナたちに興味を持っているみたいで、殺す気はないらしい。

 けど、それだけじゃ安心できない。俺はアイツの一面を知っている。ゾロさんを平然と突き落とし、クーガーって人を笑って陥れようとしたあいつの一面を。
 レナたちも同じようにアーチャーの玩具にされてしまうかもしれない。それだけは絶対に避けなくちゃいけない。だが、今だそのチャンスは巡ってこないし、そもそも方法
が俺にはまだわからない。

 そんなグダグダ感漂う考えのまま、俺はアーチャーと一緒に劇場に到着したんだけど、その劇場っていうのが俺の予想以上の代物だったんだ。



 遠めから見ても大きめの建物だった。三階建てくらいはあるんじゃなかろうか。その玄関口は一面ガラス張り。こんなところ雛見沢はおろか、興宮でだって見たことない。
 近くに来て改めてそれに驚いている俺に対してアーチャーはそれを見ても特に何も感じなかったらしく、特にリアクションもなしに自動ドアを潜って行った。
 俺が慌ててアーチャーを追うと、中もこれまた豪華な代物だった。高そうなソファー、高そうなシャンデリア、高そうな樹木。
 ……ここ、劇場なんだよな? 映画館で言えばチケット売り場みたいなところなんだよな? うん、確かにそれっぽいカウンターや値段の表はあるからそれは間違いない。
 なのに、なんだこの無駄に豪華な内装は。ロビーでこれじゃ、本命の劇場はどんだけ豪華なんだよ!?

 つい呆然としていた俺が我に返ると、アーチャーがいつのまにか離れた壁際に移動していた。何か見てるのか?
 俺が近づいていってもアーチャーは俺に目を向けず、壁に掛かった何かを見ていた。


 それは、俺の貧相な直感で言うと『団子』だった。団子って行っても、串焼きな。
 ○が3つ上から直線に並んでて、それを直線的な線が繋いでる。そんな図が長方形の物に描かれて壁に掛かっていたのだ。
 その○も、大きさが違っていて、一番上が中くらい、その下の真ん中が1番大きい、そして一番下が1番小さい。そんなアンバランスな串焼き団子だ。
 まあ、ここまで見ると俺ももう串焼き団子とは思ってなかったんだけどさ。

「これって、もしかしてこの劇場の地図?」
「当然だ。他に何を掛ける道理がある」

 この劇場に来て初めてアーチャーが言葉を発した。そして初めて俺に目を向けた。セリフも目線も思いっきり馬鹿にしてる感じだったけど。
 普段の俺だったらつっかかるだろうけど、俺は無言でいた。このアーチャーにつっかかろうものなら、次の瞬間には俺の体が真っ二つになっていてもおかしくなさそうな
イメージがある。
 俺の対応に特に怒りは抱かなかったようで、アーチャーは再び劇場の見取り図に目を戻した。
0135CIRCLE RHYTHM 〜追想のディスペア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:02:16ID:sed2xOFE


「どうやらここの劇場は、『北劇場』、『中央劇場』、『南劇場』の3つに別れているようだな」
「3つも劇場があ……るんですか?」
「珍しくはあるまい。我の知識でも、2つや3つステージや劇場を抱えている施設はザラだ。もっとも、ここまでのものはそうはないだろうがな」
「でも、なんでわざわざ分けるんだ?」
「ふっ、圭一。貴様、オペラも演劇も観た事はないのか?」
「う」

 ものすっごい馬鹿を見る目で見られた。しょうがないだろ、確かに昔は都会育ちだったけど、親父は画家でそこまで儲かってるわけじゃない。
 オペラや演劇なんてそうそう観てない。せいぜい学校の演劇がいいとこだ。雛見沢に至ってはもう論外だ。

「まあ雑種如きに高度な教養を求めるのが間違いか。いいだろう、我が特別に教授してやる。
 ここは劇場ごとに演目を分けているのだ。それにより、同時に各々の演目をし、かつ設備をそれぞれ専用にしておけば、不要な準備が省略できる」
「へ、へー……」

 俺はつい素直に感心してしまっていた。このアーチャー、傲慢不遜自分勝手強力なだけじゃなく、知識も豊富なのだ。
 そう考えると、なんかアーチャーが高そうな劇場で高そうなワイン片手に上等なオペラを聞いているイメージが脳裏に浮かんだ。
 うわ、似合ってる。すごい不本意だ!

「ふむ。この北劇場は『演劇用のホール』が設置されているようだ。そして、中央劇場には大規模な『音楽用ホール』があるようだな」
「音楽って…………ライブ?」
「戯けが。そんな世俗的な物ではない。このホールには巨大なパイプオルガンが設置されている、と記述されている」
「え、どこに?」

 アーチャーが無造作に俺に何かをぶん投げた。慌ててキャッチしたそれは、一枚の紙っぺら。3つに折りたためるそれはどうやら劇場のパンフレットらしい。
いつの間に持ってたんだよ…。

「ってことは……オペラとか、オーケストラとかそっちの方?」
「そっちの方、というのが如何にも雑種らしい言い草だが……まあ良い。そう捉えておけ」
「(悪かったな雑種で!)……で、南劇場は……えーっと、『和風舞台』?」
「ああ。能や歌舞伎用の舞台のようだな。欄干や桧舞台が設置してあると記述されている」
「文字通り和風のもの専用ってわけ……です、か」


 えーっと、このパンフレットの内容を纏めると。
 まず劇場全体は3つの円形の建物で構成されていて、それぞれの中心に四角形のホールがあって、ホールの外には受付やロビー、簡易的な売店がホールを囲んで円形に設置
されている。そして、それぞれの劇場はさっきの串、連絡通路で繋がってるらしい。北劇場と中央劇場、中央劇場と南劇場を、な。
 北劇場は中くらいの大きさで、『演劇用ホール』。
 中央劇場は1番大きくて、『音楽用ホール』。
 南劇場は1番小さくて、『和風舞台』。
 んで、それぞれの劇場は防音加工がされており、各劇場内での音はよほどの大音量でない限り外に漏れず、また聞こえない、と。
 ホールには更に防音加工がなされているから、ホールにいる人間は外の音をほとんど聞けないし、逆にホール内での音はほとんど外に漏れない、か。



 ……こりゃ、ホール内には居ない方がいいよなあ。だってレナたちが来てもわからないんじゃ意味ねえんだし。
 でもどうやってそうアーチャーを誘導したらいいんだ? ほっといたらアイツ勝手にホール入ってっちゃうぞ。そう、今まさに連絡通路の扉を開けて――


「ちょっとぉ!!」
「何をしている。主人が往けば従者はその後ろに従え。背後からの攻撃の盾にならぬだろう」
「ああ、そうですね……って俺盾!?」
「冗談だ戯け」
0136創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:02:21ID:ESbZgy57
 
0137創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:02:44ID:15+bx3RI
 
0138CIRCLE RHYTHM 〜追想のディスペア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:03:23ID:sed2xOFE


 連絡通路を通って中央劇場へ向かうアーチャーを俺は慌てて追いかけた。
 なんとか説得してホールの中にだけは入らないようにしないと――


 そんな時だった。俺の耳にアイツの声が聞こえてきたのは


『ごきげんよう諸君』





       ♪ ♪ ♪
       『―Future→』




【夜明曲(オーバード) 〜古手梨花〜】



「そんな」


 私の膝からがくりと力が抜けて、私は冷たい地面に膝を突いた。
 隣にいる彼は、そんな私を静かに見つめている。



『園崎魅音』


 それが新しい放送で告げられた名前。
 分かっていた。先の放送で誰も呼ばれなかったからって、今度も呼ばれないとは限らないのだ。けれど、どこか期待していた自分が居た。そんなご都合主義な奇跡を。
そんな未来を望んでいた。それがエゴだと分かっていても。
 けれど、サイコロはそう簡単に上手く回らない。2回続けて6が出る確率は36分の1、36回やって1回できればいい程度。期待してはいけなかったのだ。


 自分でもこんなにショックを受けていることに驚いている自分が居る。
 かつての100年では、展開をある程度知っていると人の死にも鈍感になっていた。圭一が凶行の末、レナと魅音を殺した挙句死亡しても、レナが凶行に至り学校ごと
生徒達が爆発で死んだとしても、『次がある』と思う自分が居た。
 それはどこか、諦めきるくらいの長い暗い夜を思える時だった。


 けれど、ここは違う。
 私はこんなところは知らない。私は隣に居る彼を知らない。襲撃してきた男も知らない。助けてくれた青年も知らない。赤い服の女も知らない。
 なにもかもがイレギュラー。サイコロの1というより、サイコロの目がAや○みたいに訳の分からないものになってしまったような感覚だ。
 どうなるか、まるでわからない。



「おい、大丈夫か?」
0139創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:03:40ID:15+bx3RI
 
0140創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:04:25ID:15+bx3RI
  
0141CIRCLE RHYTHM 〜追想のディスペア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:04:40ID:sed2xOFE



 隣の彼、ニコラスがこっちにそう声をかけて見ていた。
 手はポケットに突っ込んでいる。助けてくれる気はなし、か。
 けれど特に怒りは抱かない。言外に、なんとなくだが『自分の力で立ちあがれ』という意志を感じたからだ。
 分かっている。こんなところで膝を突いているわけにはいかないことを。まだ仲間たちは生きている。
 それでも、なかなか立ち直れない。それでもニコラスに迷惑をかけるわけにはいかないし、あんまり情けないところも見せたくない。


 もう不可避の惨劇はない。もう夜は明けたはずだった。
 なら、今いるここは……昼の光の中のはずなのに。
 新しい夜が、私を包み込もうとしている。


「ええ、大丈夫よニコラス」
「…………」


 足に力を入れてなんとか立ち上がった私をニコラスは静かにみつめて――



 




 私の頭に衝撃が走った。






       ♪ ♪ ♪
       『←Past―』



【行進曲(マーチ) 〜トニートニー・チョッパー〜】



「……聞いて、もらえないんですか? ギラーミンが本当に優勝者を元の世界に帰すかなんてわからないんですよ?」

 俺とグラハムより前で、レナが片目を瞑った奴に向かってそう言った。なんとか説得しようとして、その気持ちがおれにもわかるくらい。
 レナはちゃんと話してると思う。あいつが約束守るなんておれも思えない。あんな、人の命を遊び道具にしか思っていないような奴!だから、そう言えばどんな奴でも
わかってくれると思った。だって人を殺したがる奴なんてそういないはずだ。みんな被害者だ。みんな怖いんだって。

 なのに、あいつは


「関係ねえ、っつっただろ……」
0142CIRCLE RHYTHM 〜追想のディスペア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:05:11ID:sed2xOFE


 ゆっくりと手を突き出してきながら、足をゆっくり開きながら、おれたちをその片目で見据えながらそう言った。
 なんだよ、あの眼……誰も寄せ付けないような、群れのはぐれ者みたいな目だ。みんなをびびらせる、そんな眼だ。誰も近づくなって言ってる眼だ。そして、とても寂し
そうな眼だ。
 おれは他人事に思えなかった。おれもヒトヒトの実を食べたせいで群れを追い出されて、人間達にも怖がられて攻撃された。それで、もう誰も彼もが怖くなった。もし
かしたら、おれもアイツみたいな目をしてたのかもしれない。
 なら、おれは助けたい。お前は1人じゃないんだって。Dr.ヒルルクみたいに、おれは――

「なあ―― 「待て命の恩人B」 えっ!?」

 話しかけようとしたおれの前に突き出されたグラハムの手、そして静止する声におれはグラハムに文句を言おうとした。なんで止めるんだ、って。


 けど、それはできなかった。


「な、なんだ!?」
「こ、これって!?」


 突然、パキン、パキンって音と共に男の周りの道や壁の一部が削れていったんだ。何もねえのに。まるで何かに食われたみたいに。
 なんだ、なんなんだこれ!?
 おれは戸惑った。レナも同じ感じだったけど、グラハムだけは落ち着いて男の方を見ていた。おれも戸惑いながら、その目線を追って男を見た。


「な――っ!?」



 その先にあったのはもっとびっくりすることだった。
 男の突き出していた右手が、裂けたんだ。裂けたと思ったらそれがわっかみたいなので束ねられていく。そして――



「アイツが約束を守るなんざ関係ねえ」


 そいつの型に車輪みたいなものがくっついて――


「手前らが脱出する気なのも関係ねえ」


 奴の右手全体が、なんか鎧みたいなのに包まれて――



「確実なのは――今俺の前にある壁が」



 そして、あいつが足に力を込めたのが分かった時は――おれは、遅かった。
0143CIRCLE RHYTHM 〜追想のディスペア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:06:03ID:sed2xOFE




「てめえらだってことだけだぁああああああああああ!!」




 言葉に遅れて、あいつが飛んできた。まるで砲弾みたいに、まるで銃弾みてえに! 叫びながら、猛りながら、その右手を振り上げて、レナに向けて!
 その右肩の羽みたいのが砕けて


「衝撃のぉぉぉぉぉ!ファーストブリットォオオオオオオ!!」


 間にあわねえ! アイツの変化に驚きすぎた! きっと悪魔の実に決まってるのに、ぼうっとしてた!
 畜生! なんでおれは獣形態で待ってなかったんだ! そうすりゃきっと間に合ったのに!


 おれの離れたところで、おれの手の届かないところで、呆然としたレナに、飛び掛ったアイツの拳が、どこかゆっくりに見えて、直撃しそうな――




 そこに、何かが割り込んで――



「あうっ!!」


 次の瞬間、おれ目掛けてレナが――飛んできた。




       ♪ ♪ ♪
       『―Future→』



【協奏曲(コンチェルト) 〜ニコラス・D・ウルフウッド〜】


「ったく、何が大丈夫やねん、こんガキは」
「な、な、な、なにするのよニコラス!!」

 今ワイの目の前で頭を抑えて涙目になっとる梨花はこっちに向かってどうがなりちらしおった。まあ、当然か。ワシが今こいつの頭に拳骨落としたんやからな。


「こういうこと聞いてな、『大丈夫』言う奴はまず大丈夫なわけあらへん」
「なっ! さっきみたいな質問したら普通そう答えるでしょ!?」
「アーアー、キコエヘンキコエヘン」
「ちょっと!!」


 まだキーキー言い寄る梨花の頭を、ぐしゃっと乱暴に掴んでやる。やけに柔らかい髪をしていた。こいつ、良い風呂はいっとるみたいやな。
0144創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:06:23ID:15+bx3RI
 
0145CIRCLE RHYTHM 〜追想のディスペア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:06:50ID:sed2xOFE

「な、なぁっ!?」
「ったく――ガキが変なこと考えよって。ガキはガキらしく、ピーピー泣いとれ」
「だ、誰がピーピーよ!」

 まだ言い張る梨花に、ワイはため息をひとつ吐いてから、目線を合わしてやった。
 梨花がこっちの眼を見たのを確認してから、


「はっ、んなことゆーたかてなあ。顔に書いてあるからしゃあないやろ。『私は今悲しくて仕方ありません』てな。
 それでガキが変な気つこーて、平気な振りしよって……はっきり言うわ、キモい」
「っ!!」

 梨花が眼を見開き、歯を食いしばった。その顔は、図星か。まあバレバレなんやけどな。

「ガキが変な気使うなや。知り合いが呼ばれたんやろ。大事な奴だったんやろうが」
「そ、そう、だけど……でも、そんなことできないわよ!だって、そんな情けない――
 フギャッ!!」


 また梨花が頭を抑え、うずくまる。ったく、こりんやっちゃな。拳骨2回目してもうたやないか。


「情けない? ハッ、ワイが自分が泣いたくらいで見捨てる思うたんか?」
「だ、だって」
「そんなんで見捨てとったら、とっくのとうや。ワイは別に気にせんわ。ガキはガキらしく素直に泣いとけ」
「で、でも」
「その泣き声で誰か来たら、か?」


 ワシは懐からデザートイーグルを取り出し、梨花に見せた。


「そないな空気読めへん奴はワイが相手しといたるわ」
「ニコ、ラス……」


 梨花はしばらくワイの顔を見取ったが、やがて顔を下に向けた。


「大事な、仲間だった」
「……」
「長い間の、仲間だった」
「……」
「空気読めなくて一人称おじさんで、部活じゃ鬼のようだった」
「……」
「圭一のこと好きな癖に……こ、告白の、一つもできなくて」
「……」
「お、女らしいところも、あるくせに……ぜ、全然素直じゃなく、って……!」
「……」
「で、でも、それ、でも……!優しくて!部活の皆の事を気にかけてて!詩音のことも気にしてて!」
「……」
「良い、部長、だった……!彼女の作戦の、おかげで、私は……!た、たす、かって……!」
「……」
「けど、もう、もう魅音には、会えないの、よね……!」


「……ああ、会えへん。だから……今、お前は……泣いてええ」
0146創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:07:07ID:15+bx3RI
 
0147創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:07:19ID:ESbZgy57
 
0148CIRCLE RHYTHM 〜追想のディスペア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:07:54ID:sed2xOFE




 もうその後は、泣き声で言葉にすらならへんかった。



       ♪ ♪ ♪
       『←Past―』


【組曲(スウィート) 〜竜宮レナ〜】


「あうっ!!」


 男の人の拳によって私は吹き飛ばされた。宙を浮く感覚はわずかで、次の瞬間には『うわっと!』という声と共になにかもふもふしたものにぶつかっていた。いや、これは
――受け止められた?


「だ、大丈夫か? レ」


 チョッパーくんらしき声が聞こえる暇もなく――


 次の瞬間、ドゴッ、という激しい音がした。


「うわああっ!!」
「きゃあっ!」


 あまりに近い音だったから、私はつい悲鳴をあげてしまいそんな私をずんぐりむっくりな体躯覆うようにした。
 私はここで思い出した。これは、チョッパーくんだ。変身したチョッパーくんが殴られて吹っ飛んだ私を受け止めてくれたんだと、私はやっと理解した。


 ――あれ?
 でも、おかしい。あの人は物凄い形相で私を殴った。多分本気だ。アレは本気で私を殺すつもりだった眼と、顔だった。なのに、私はそんなに痛みを感じていない。さっき
のはどちらかというと、加減して吹き飛ばした――――!?


 そこで私はやっとわかった。
 さっきの轟音の正体を。
 それは私に当てられるはずだった一撃。本当なら私が喰らうはずだった一撃。けれど、それは阻まれた。割り込んできて、私を蹴り飛ばした誰かに。


 チョッパーくんはここにいる。だったら、私を蹴り飛ばした人は――私を庇った人は――あんな衝撃音の一撃を食らってしまった人は――!



「グラハムさん!!」
「グラハムーーー!!」


 私とチョッパーくんは同時に音源の方を見やった。そこにはもくもくと立ち込める土煙、周りに散らばるいくつもの欠片。おそらくは地面のアスファルトのものだ。
 道路ですらこの有様じゃ、グラハムさんは――!
0149CIRCLE RHYTHM 〜追想のディスペア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:08:26ID:sed2xOFE


「く、くそお! よくも、よくもグラハムをーーー!」

 チョッパーくんが叫んだ。相手はもちろんあの片目の人。けれど、彼の姿は見えない。


 グラハムさん……私が、あの人を説得できなかったから……! 私のことを命の恩人って言ってくれた人。私は見捨てようとすら考えていたのに。なのに、なのに!
 そんな私を、庇って――!


「っ!!」


 土煙が晴れていく。見たくない。きっと、そこにはひどい有様のグラハムさんがいる。原理なんて分からない、理屈なんてわからない。ただ、あの不思議な腕はアスファ
ルトすら砕いたのだ。そんな一撃に人間の肉体が堪えられるわけが――



「悲しい、悲しい話をしよう」



「えっ!?」
「え……」


 土煙が晴れる、その先に。
 聞き間違いかと思った、声がして。


 そこに、見覚えのある青つなぎの人が立っていた。


「グラハム!!」
「グラハムさん!!」


「今俺は命の恩人Aを庇ったわけだ。ああ、そこまではいい。なにしろ命の恩人だし、守るとあのおっさんに約束したわけだしな、ここで飛び出さないわけにはいくまい。
 そしてそこにそこのトゲトゲ頭が突っ込んできたわけだ。ああ、すごい勢いだった。あのパンチを食らっていたら俺もきっと死んでいた。いや、きっと? 俺はそこま
で自分の体に自信があったのか? 今まで試した事もないのに俺はまた不確実なことを! よし、ここは一応間違いなく死んでいたということにしておこう。
 でだ、ならば俺はどうしたか……。腕はいかにも硬そうだ。とても受け止められそうに無い。逃げることもできない。なにしろ俺の後ろには恩人達がいたからな。俺は
考えた。いや、もしかしたら考えなかったかもしれない。本能のまま動いたかもしれないが、それは過去の俺に聞いてみないとわからないから置いておこう。
 そして俺は考えた。『なら、胴体を殴ればいいじゃない』と。というわけで、奴の拳が届く前に、俺は奴の胴体を剣の腹で思い切りぶったたいた!男は呻いて、拳がそれ
て拳は横の地面にぶつかった。轟音、だが俺は無事だった!で、男は腹を押さえながら下がり、俺の追撃から逃れた…………ここまでも実はいい。



 なのに、なぜ俺が死んだ事になっているんだーーーーー!」
「悲しんでたのそこだったのかーーーーー!?今までの話なんだったんだよ!?」
0150CIRCLE RHYTHM 〜追想のディスペア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:09:08ID:sed2xOFE


 うん、グラハムさんは相変わらずだ。なんだか腹が立ちそうなくらい相変わらずだ。そして無事だった訳も見事に自分で言ってしまった。
 私はグラハムさんの向こう側をなんとか見た。
 そこには、腹を押さえて膝を突く男の人の姿。
 アレだけの勢いだ。そこで脇腹への衝撃、しかも勢いのせいでさらに威力は倍増、カウンターという奴だ。グラハムさん自身の力と剣の丈夫さ、そして皮肉にも彼の
攻撃の速さが彼自身に大きなダメージを与えているみたい。それだけじゃないかも。もしかしたら、腹にはもう傷があったのかな。

 なんにせよ……今しかない。


「グラハムさん……逃げよう」
「えっ、レ、レナ!? でも、説得しないのか!?」
「チョッパーくん、悪いけど……多分、あの人は無理だと思う」
「命の恩人B。俺も、同意見だ」


 腹を押さえた彼は、それでもこちらに視線を向けている。敵意と、殺意。私達を倒した先、その先をただただ目指してる。
 彼に、私達の言葉は、届かない。そして、私達には


「私達には、彼に抵抗できる力がない」
「っ!! そ、それは――。で、でも!レナのデイパックに俺に支給された銃があったろ!? 殺すまではしなくても、それで威嚇してグラハムが取り押さえれば」
「チョッパーくん……あれは、私には使えないよ。私じゃ、重すぎる」
「なら!俺がやる!人型の俺ならあれくらいなら持てるよ!」
「命の恩人B。銃を撃ったことはあるのか?」
「な……ない、けど!」
「ならやめておけ。俺もあんな代物は見たことないが……あれは素人が使うには危険すぎる。どこに弾が逸れて、どれほど被害ができるかわからない」
「ううううう!」

 チョッパーくんが悔しそうにうめいた。
 助けたいんだろう、あの人を。ただただ悲しい道を進んでいくあの人を。私もそう思う。でも、私には彼を止められる力が無い。
 頼りになるグラハムさんも――


「なら話は簡単だな」



       ♪ ♪ ♪
       『―Future→』


【戯曲(プレイ) 〜ラッド・ルッソ〜】



「おいおいおいおいおいおいおい!」


 あのギラーミンの放送が終わった後、俺は地下からあがってしばらく歩いた道のど真ん中でがなり叫んだ。だってよお、これが叫ばずにいられるかよ!いられねえよなぁ
おい!


「もう28人もおっ死んじまったのかよ! おいおい、俺ぁまだ4人しか殺してねえんだぞ!? まだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだまだま
だまだまだまだまだまだ! 殺し足りねえだろうがよぉおおおおおおお!!」
0151創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:09:10ID:ESbZgy57
 
0152CIRCLE RHYTHM 〜追想のディスペア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:09:37ID:sed2xOFE

 ちっ!どいつもこいつも楽しみやがってよぉ! あの宇宙人は何人殺したのかねえ! あの嬢ちゃんも何人殺したのかねえ! あのメガネメイドは!? あああああああああ
ああああああああああくそ!! だいったい、28人つったらよぉ、俺7人分のスコアじゃねえ!? あれか、俺7人でやっと今まで死んだ奴みんな殺せたってか! ちくしょ
ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! 俺1人分が理想、我慢してやっても俺2人分までだっつうのによおおおおおお!

「俺も速く次殺さねえとやべえ。てか俺がやべえ! 俺の何かがやべえ! 俺の何もかもが爆発しちまいそうなんだよおおおおおおおおおお!! ああもう爆発してやろうか
!? んで、その爆発でみんな死ね! この会場ごとみんな大爆発だ! そうすりゃあ俺が全殺しだ!! なんだよそれで全部解決じゃねえか!!」

 まあ、流石にこれは冗談だけどな。
 だってよお、俺が死んじまったら話になんねえだろ? あ、でも待てよ? 爆発しても俺が死ななかったら問題ねえのか?


 とか考えて空を見上げていた俺の上を、何かが通った。


「……なんだ、ありゃ」


 空を飛んでいた。
 だが鳥じゃねえ。鳥にしたってでかすぎる。なにより……そいつは、足が生えてやがった。




 おい。
 おいおい。
 おいおいおい。
 おいおいおいおいおいおいおい!




「早速か! 早速かよこの野郎! 俺まだランチも食ってねえのになぁ! けどまあいいさ! 何しろアレはあれで充分いいランチだからよぉ!
 鳥なのか? 人なのか? あるいは、翼はえた鳥人間か? 天使か!? 悪魔か!?
 ああ、どうでもいい! そんなことはすっげええええええええええええ、どうでもいい!
 思ってるんだろうなぁ、思ってるんだろうなあああああ!




『空を飛んでいる自分は、そう簡単に殺されはしない』ってよおおおおおおおおお!!」





 俺はデイパックからバズーカを取り出し、奴を追った。
 今はまだ届きそうにねえが、スピードはそんなに速くねえ。それに、ずっと高度飛んでるわけでもねえだろ。いつかどこかで必ず下がる!


「さあさあさあ! ランチは鳥のソテーかぁ!? あるいは人間のソテーかぁ!? どっちでもいいけどなぁ!
 天使? 悪魔? いいねえいいねえ! 前々から殺してみてえやつらだとは思ってたんだよなぁ! 天使の奴らは死んだ奴を連れてく? 悪魔は死んだ奴らの行く地獄
の住人? だったらよぉ、そいつらは死んだらどこにいくんだ!? 俺は聞いたことねえ。だから……いいねえ、天使や悪魔も殺してやる! 天使や悪魔に死ぬ心境を味
あわせてやるよぉ!
 さあ、ランチタイムの時間だよ、ってなああああああ!!」
0153創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:10:54ID:ESbZgy57
 
0154CIRCLE RHYTHM 〜ブレイス・オブ・ピリオド〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:10:54ID:sed2xOFE
       ♪ ♪ ♪
       『←Past―』

【舞曲(ボレロ) 〜四重奏・T〜】



「く、そ!」


 既に右腕のシェルブリットを展開した男、カズマは先刻グラハムによって強打された脇を抑えながら立ち上がった。
 不覚だった。まさかファーストブリットを直撃させる寸前に男に割り込まれ、しかもよりにもよって先の乱戦で銃弾を受けたところを剣で思い切り叩かれてしまった。カウ
ンターの勢いによるダメージ増加もそれを助け、強烈な痛みがカズマの脇に襲い掛かった。さすがのカズマも、一旦距離を置くしかなかった。
 手で押さえている箇所から血が滲んできていた。撤退するべきか?そんな言葉がカズマの脳裏を――


「ふざけるんじゃねえ」


 わずかな可能性を、カズマはシェルブリットを構えることで捨て去る。グラハムたちは何やら3人で集まって何か話している。時折驚いた声や悲痛な声が聞こえるが、カズ
マにとってはどうでもいいことだ。
 全員倒す。それ以外に何を考える必要がある。脇の傷も自身の疲労も、それを止める理由にはならない。

(前へ、前へだ。決して退くな。俺の目の前の壁って奴を)

 カズマとは、そういう男なのだから。



「うおおおおおおおおおお!!」



 カズマはシェルブリットの拳をゆっくり握り締めると3人向けて走り出した。その様は、まるで弾丸。シェルブリットの様だけでなく、彼自身が弾丸のように突き進む。敵
意と殺意を引き金に、意志を火薬に飛んでいく。まさに弾丸。


「!」
「ほら、もう時間がない。今あんたにできる最良はそれだけだと俺は思うんだが」
「……チョッパーくん……」
「っ!! ちっくしょおおおおおおおおおおおおおお!!」


 対する3人の反応は、極めて迅速だった。
 悔しそうに叫び、泣きそうな顔をしたチョッパーは四足歩行のトナカイに姿を変えて、
 こちらは一見泣いてはいない、だが、目はグラハムに対して悲しそうな視線を向け、唇は無意識に噛み締められていた、そんな表情のレナは、チョッパーの変身が終わるや
いなやその背中に飛び乗った。
 カズマは判断する。逃げる気か、と。


「させると思ってんのかよ!!」


 逃亡を許すわけにはいかないと、カズマはシェルブリットの発動を――


「違うな、ツンツン野郎」
0155CIRCLE RHYTHM 〜ブレイス・オブ・ピリオド〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:11:20ID:sed2xOFE


 そこに、再び割り込む影。
 デジャヴのようなその光景。女を攻撃しようとして、別の影が割り込んでくる。


 最後の1人、グラハムは、剣を構えてカズマへとその剣を振りかぶった。


「っ!」


 だが、カズマとて歴戦の強者、二度も同じ奇襲は喰らわない。腹へと迫る刃はこちらを向いていなく、剣の腹が向いている。さっきもなぜかそうだった。ならば――

 カズマの足がすかさず振り上げられ、グラハムの剣の腹をその靴で受け止める。
(ッ!なんて、力だ!)
 グラハムの贅力により引き出されたパワーに、カズマはわずかに顔を顰めた。
(クッ!)
 悔しそうに顔をゆがめると、剣の腹を思い切り蹴り飛ばして後方へ飛び、着地した。前のめりに姿勢を留めたままで。
 勢いを殺したことで、ダメージは防げた。だが、その代償は


「絶対、絶対だぞ! 絶対戻ってこいよ!」
「グラハムさん! 絶対、絶対助けを――」
「おっと、それ以上は駄目だ。命の恩人A。奴に聞かれてしまう」
「っ! ……ごめんなさい……!」


 トナカイとその背に乗った女が悲痛な声を残しながら、高らかな音を残して走り去っていく。その速度たるや、先のカズマ以上。流石馬とよく似たフォルムを持った動物
なわけはある。


 そして、残ったのは――2人の男。


「てめえ……」
「ああ、そういえば……まだ話の途中だったな。どこまでだった?『悲しい、悲しい話を』……あ、これは戻りすぎているなと俺は自分で気づいてしまった。『ああ、そうい
えば』……ああ、駄目だ。これは戻ってもいない。くそ、続けるはずだった話は現在と過去の間に消え失せたというのか!? む、今俺は凄い哲学的なことを言ってしまった
気がするぞ!」


 アホなことをつらづら言っているグラハムにカズマは構わない。
 目の前の壁が、さらにわかりやすく壁になっただけ。なら、自分がすることはまったく変わらないではないか。
 そして、この壁は、強い。だが――


「ああ、そうだ。思い出した」


 独特の青繋ぎのところどころは裂け、そこから見える肌からは血が滲んでいる。
 頭からも血が流れており、流れた血がグラハムの頬を赤く彩る。


「『違うな、ツンツン野郎』、からだったな」
0156CIRCLE RHYTHM 〜ブレイス・オブ・ピリオド〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:12:01ID:sed2xOFE



 いくら直撃を逸れたとはいえ、発動させたシェルブリットの一撃。それは、グラハムのすぐ横の道路に直撃した。


「逃げさせると思っている、んじゃあない」


 シェルブリットによって散った道路の瓦礫を、グラハムが避ける手段は――――なかった。


 グラハムが無傷でいられるわけがなかったのだ。



「逃げさせるんだ、この俺が」



 ******



「くそぉ!ちっくしょぉ!」


 2人の対峙する場から逃げ出したレナとチョッパー、そのうちチョッパーは走りながら泣いていた。
 本当ならばグラハムを見捨てたくなかった。傷だらけのグラハムを残していくなんて。
 でも


『俺と命の恩人A、2人とも載せて速いとは思えない。あの男に追いつかれてしまうだろう』


 理屈はわかる。
 自分にできることは、これしかなかったのだと。援護は出来ない。共に戦おうにも、自分にはランブルボールがない。チョッパー自身が作り出した、悪魔の実の波長を
狂わせる劇薬。それにより彼は、3形態への変身だけでなく、7形態へ変身する事ができる。それにより引き出される力は、亡国の悪臣チェスマーリモ、空番長ゲダツを
も単独で撃破せしめたほどだ。だが、逆を言えば、そのランブルボールがなければチョッパーの戦闘力は激減する。そして、今がまさにその状態だ。
 彼に残されたのは、グラハムが提案した方法だけだった。


『命の恩人Aと共に劇場へ向かい、救援を呼べ』


 既に劇場にはレッドとイスカンダルが到着しているはずだ。ならば、彼らに救援を求めるのが今できる最善。特にイスカンダルの力は誰もが(グラハムは『悔しいが』と
つけた)認めている。ここから劇場までそう遠くはない。妥当な選択と言えるだろう。
 だが、レナは苦言を呈した。『レッドくんたちが劇場にいるかどうかわからない』と。何か不測の事態が起こり到着が遅れることだって考えられる。今の自分達がまさに
そうではないか。
 だが、グラハムは頑なで、かつ狡猾だった。カズマが立ち上がるまで間がないことを強調し、2人を焦らせた。このまま迷ったままここで3人ともにいるか。戦えない
自分達では足を引っ張る。援護できる武器は強力過ぎて使えない。ならどうする。


 2人は、少しでもグラハムを助けられる道を選んだ。
 そして、その為にグラハムが残らなければならないことを。彼の力を信じて。
 けれど


「レナ!おれ、急ぐから!全力で走ってやる!絶対、絶対イスカンダルをつれてきて、グラハムを助けるんだ!」
0157CIRCLE RHYTHM 〜ブレイス・オブ・ピリオド〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:12:23ID:sed2xOFE

 チョッパーは泣きながらも前を見据える。転んだりなんてしないように。
 泣きながら足に力を込める。少しでも速く進める様に。
 泣きながら叫ぶ。自分の意志を確かめる為に。


「…………」
「レ、レナ!? レナ!」
「あ……ご、ごめん。チョッパーくん。そうだね、速く劇場に行かないと」
「ああ!」


 チョッパーのけむくじゃらの背中にしっかりしがみつきながら、レナは思う。

(また、私は……)

【仲間を増やすって意気込みながら……結果が、仲間を見捨てて自分は逃亡。ははっ、素晴らしい喜劇だわ、ぱちぱち】

(うるさい……うるさいうるさいうるさい!!)

 目を瞑り、苦悶に顔を歪める。
 頭二響く声、一体これは誰なのか。

 どこか聞き覚えのある声なのは、気のせいか。

(私は、私は助けを呼びにいくの! 見捨てたんじゃない!)

【なら、なんでそんな苦しそうなの? 後ろめたいんでしょ? 認めちゃいないよ、偽善者】

(黙れ、黙れ、黙れ!)




 ひた走るチョッパー。その背で、罪悪感を刺激するあらぬ声に苦しむレナ。


 そんな彼らの元に、さらなる悲報が襲い掛かる。


『ごきげんよう諸君』



 ******



「うおおおおおおおお!!」
「るああああああああ!!」

 二つの力が激突する。
 1つは、カズマのシェルブリットの拳。もう一つは、グラハムの振う宝具『アロンダイト』。片やアルター、片や英霊の振う宝具。強度においては優劣は着けがたいだろう。
 だが、力はどうか。シェルブリットは当然その力は攻撃にこそ特化する。力が弱いわけがない。だが、グラハムの方は宝具を使っているとはいえ本人自身は特に能力はない。
常人よりは強く、ラッドをして『俺より喧嘩が強い』と言わしめるとはいえ、真っ向からシェルブリットのパワーに対抗できようはずがない。勝負はグラハムに不利に思える。


 真っ向からぶつかれば、だが。
0158CIRCLE RHYTHM 〜ブレイス・オブ・ピリオド〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:12:47ID:sed2xOFE


「ッ!!」

 拳をグラハム向けて繰り出したカズマはまたも起こった結果に対して歯噛みする。
 迫る拳に対してグラハムが行った行動。それはアロンダイトで攻撃する、ただそれだけ。
 ただし、相手はシェルブリットの拳ではなく、それより先――腕自体。シェルブリットで包まれているはずのその腕に、剣が命中する。もっとも、刃を向けていないが。
 だが、逆を言えば……面積の広い腹である分、打ち払う分においてはこの方が効果的だ。

 ガキィッ、と言う鋼と鋼がぶつかるような音が響いた。
 シェルブリットの拳も、その砲台である腕を揺るがされては照準はズレる。結果、拳はグラハムに当たらずあらぬ方向へと向かってしまう。
 勿論、素人がマネした程度ではこのようなことはできない。これができるのはグラハムが的確なポイントを狙っているからだ。拳に力を込め、1番力を入れるポイントを。
破壊することに特化した男は、そのポイントを理解していた。攻撃において脆いポイントを。
 空を切る拳。その隙に、打ち払った力を利用してグラハムがくるりと回りもう片方の手何かを突き出してくる。
(させるかよ!)
 カズマはとっさにそれを左手で打ち払おうとした。それは成功し、グラハムの手は宙へと払われた。


 ただし、ゴキッ、という鈍い音と、激痛と共に。


「ッ!!!!!!」


 ニヤ、と笑ったグラハムに向けてカズマは激痛に顔を歪めながらも蹴りを繰り出した。蹴りはグラハムの腹に命中し、グラハムが後ろに吹き飛ぶ。だが、すぐに着地し笑み
を浮かべている。

(後ろに飛んで当たりを浅くしやがった、かっ……にしても、くそっ)

 激痛が未だに走る。その元はグラハムの武器を払った左腕。その左腕がだらんと下がっている
 関節が、外された。しかも腕を払ったはずのあの一瞬で。
(違う……あいつ、払われたふりをして……!)
 余裕の笑みを浮かべるグラハムを見やる。右手には黒剣アロンダイト。そして、左手には――小型レンチが握られていた。
 どう見てもそれしか握っていない。つまり、それを突き出してきてカズマに払われたと見せかけ、一瞬でカズマの関節をレンチで挟み、的確に外した。神業、という呼び方
すら生ぬるいかもしれない技術だった。壊すことに特化するグラハムだからこそ、できたことだ。


「どうしたツンツン頭。派手な鎧も、当たらないと意味がないな」
「……! ツンツン頭じゃねえ、カズマだ」
「そうか。俺はグラハム・スペクターだ。よろしくはしねえがな、カズマ」

 怒りに顔を歪ませるカズマ、対してそのカズマを見やるグラハムは笑っている。そしてその笑みのまま、誰ともなく呟いた。

「しかし、なんだかいつもよりやけに体が軽い気がするな。それに……なんだ?アイツのあの輝いて見えたり濁ったり見える部分は」

 グラハムには相対するカズマのシェルブリットを纏った左腕、そこが煌びやかに輝いて見えている。同時に、剣を叩き込んだ脇腹や、左肩は濁って見えている。
 カズマと戦闘を始めてから見え始めた異常だった。

「これは、まさか」

 明らかな異常。それに対してグラハムが出した結論は――


「俺の中の隠されていた力が目覚めてしまったのか! 一度生死の境をさまよったことによって俺の中の生存本能が刺激されて、そして今お前との戦いで今俺の――」



 兄貴分が兄貴分なら弟分も弟分ということなのかもしれない。
0159CIRCLE RHYTHM 〜ブレイス・オブ・ピリオド〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:13:15ID:sed2xOFE




 そんなグラハムの無駄話をカズマは禄に聞いていない。だが、一つだけ引っ掛かるところがあった。

(輝いて見えたり濁ったり見える、だと?)

 普通ならばグラハムの戯言としか受け取らないだろう。なにせ日頃が日頃だし。もっともカズマはグラハムと初対面だからそこは関係ないが。
 だが、グラハムの言っている現象、それは今まさにカズマにも起こっていることなのだ。グラハムの輝いている場所、濁っている場所が見えている。そして、それは初めて
のことではない。
 遊園地で相手にした3人にも、少し前に一方的に殺害した少女にも、同様のものが見えていたのだから。
 今までは特に気にしていなかった。それこそ目の錯覚か、シェルブリットの新しい力か何かかとでも適当に考えていた。だが、敵であるグラハムにも見えているとなると話
は別だ。一体、自分に何が起きているのか――



 そんな時だった。



『御機嫌よう諸君。無事第2回目の放送を迎えられて嬉しいよ』



「!コイツはっ」
「ギラーミン……もう放送の時間か」


 2人とも当然この声の主は知っている。ギラーミン。こんな場所に自分達を放り込んだ張本人だ。その声が聞こえる。つまり、今放送の時間を迎えた事になる。


『諸君もこの放送を聞けば生き残っている実感を得られるだろう?その感覚を忘れないでくれたまえ。
 当たり前の話だが死んでしまえばもう何も感じることはできなくなる。』


 その言葉にカズマは不快感を味わいながらも、浮かぶものがあった。
 死んでしまえば――もし、自分が死んでしまったら――


『カズくん!』



「うあああああああああああああああああああ!!」
「なっ!」


 放送の声をバックにカズマが猛り、叫んだ。天高く、叫び、左肩の羽が消えていく。その様に、グラハムも放送を聞く耳を止め、剣とレンチを手に構えた。
 放送を聞きながら、勝てる相手ではなさそうだ。


「撃滅のぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 カズマの右肩の車輪が回り、ヘリコプターのように宙に浮かび、グラハム目掛けて突っ込んでくる。
 小細工などない。ただ、突っ込んで拳をぶつける、それだけの一撃。

 もっともグラハムにそれを真正面から受ける義理はない。
 足に力を込め、当たる寸前に避ける。やけに体が軽い今なら充分できる芸当。グラハムにはその確信があった。
0160創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:13:46ID:ESbZgy57
 
0161CIRCLE RHYTHM 〜ブレイス・オブ・ピリオド〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:14:52ID:sed2xOFE



 力を入れた足から、突然力が抜けなければ。



「あ……?」


 疑問を思う暇もない。
 疑問を考える暇などない。
 目の前には、カズマが急接近してきている。うなりを上げ、あたりの瓦礫を散らし、突っ込んでくる敵意の弾丸。


 瓦礫の直撃によるダメージ。それをグラハムは――読み違えた。
 それだけの、話。


「セカンドブリットォオオオオオオオオオオオオオオオ!!」




 轟音と共に、グラハムの体がピンポンダマのように弾けとんだ。ガスッ、ゴスッ、という音ともに地面をバウンドし――露店のガラス窓に突っ込んだ。


 ガシャァアン、というけたたましい音。それが、終焉を告げるドラの音だった。




       ♪ ♪ ♪
     『―Same Time―』


【聖譚曲(オラトリオ) 〜レッド〜】



「そんなっ……ちく、しょう!」


 空。ただ広がる青空。信じられない話だけど、俺はそこを飛んでいた。まあ、プテに掴まれて飛んだことはあったけどさ、自分の意志でこんな自在に動くのは初めてだ。
 俺は早く劇場に着かなくちゃいけない。だから、できるだけ急いだ。放送までには間に合いたかった、けど、流石に距離が遠すぎたみたいでそれは無理だった。劇場に
着く前に放送になってしまったんだ。


 そして俺は、俺が間に合わなかった事を知った。
 聞いてしまった。衛宮って人の名前を。名簿を見ても、そんな名前の人は他にいない。

「ごめん、ごめん……!」

 まただ。また、手が届かない。
 イエローにも、魅音さんにも、衛宮さんにも、手が届かない。伸ばしても、伸ばしているはずなのに、届かない。
 俺は……無力、なのか?


「っ!! いや、まだだ! まだ……!」
0162CIRCLE RHYTHM 〜ブレイス・オブ・ピリオド〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:16:24ID:sed2xOFE

 チョッパーも、レナも、グラハムさんも、もちろんイスカンダルのおじさんも、ハクオロさんも、まだみんな生きている!まだ、まだ手が届くんだ!

「あきらめるもんか!」

 このまま劇場へ向かおう。
 もし俺たちみたいにレナたちにも何か起こっていたら、助けられるかもしれない。どの道、到着が遅れたんだから連絡しないといけないしさ。



 5分くらいで目的の劇場が見えてきた。ガラス張りの入り口が見える。あそこにレナたちがいるはずだ!


「着いた!」


 そして俺は建物からいくらか離れた道でX-Wiをゆっくり降ろしていく。それで着地して、すぐに駆け込んでレナたちを捜すつもりだった。衛宮さんが死んでしまった以上、
イスカンダルのおじさんもこちらに向かってるはずだ。あの馬で、きっとハクオロさんと一緒に。だから、皆でおじさんを待つつもりだった。3人に何も起きてなければ、そ
うなるはずだった。



 でも、俺は忘れてた。
 それは、俺にも何もないこと、も条件だったんだって。


 ゴウッ、という音がした。突然何かが俺の上を掠めたんだ。
 その何かの起こした風で、まだ空中にいた俺の姿勢が僅かに崩れた。
 一体、何だ、と俺がそれの行方を見ようとした瞬間――


 轟音と共に、爆発が起こった。それは、目の前の劇場から起こっていて――


 間もなく、爆風が俺を容赦なく地面に叩き落した。


「うああああっ!!」


 金属音と一緒に、俺は地面に叩きつけられて転がった。転がった時に見えた破片、多分X-Wiが落ちた衝撃で壊れたんだ。少なくとも、羽は完全に折れてる。
 俺はなんとか手を突いて立ち上がろうとする。

 何が、起こったんだ? 突然、劇場が爆発して、凄い風と熱が襲ってきて、姿勢を完全に崩してしまったんだ。
 その疑問の答えは、すぐにやってきたんだ。

 大きな、大きな声と一緒に。


「ひゃっははははははは! どうだぁガキィ!! 安全地帯から地獄へ戻ってきた気分はよぉお!! おかえりなさい地上へ、ってなぁ!」



       ♪ ♪ ♪
       『←Past―』


【小夜曲(セレナード) 〜グラハム・スペクター〜】
0163CIRCLE RHYTHM 〜ブレイス・オブ・ピリオド〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:16:51ID:sed2xOFE


「っ……くっ」


 少し、気を失っていたかもしれん。
 気がつけば上に重いものが載っている。
 ああ、物だ。人じゃあない。おそらく俺が突っ込んだ時に落ちてきた瓦礫だ。


 なら、問題ない。


 俺は派手に瓦礫を、持っていた剣で打ち砕いた。斬ったりなんかしない。俺にはやはり、斬るのはなんか性に合わない。
 瓦礫が飛び散るのも待たず、俺は立ち上がり、店の外向けて走った。パチパチ、とガラスを踏むのも無視した。

 アイツは、いない。
 俺が死んだと思って命の恩人達を追って行ったのか。くそ!


 奴の攻撃が決まる瞬間、俺は何とかコイツで奴の拳を受けた。だが、それでも勢いは殺しきれず店に吹っ飛んでしまった。それでも普通なら流石の俺もしんでいたかもしれ
ないが……たしかこの剣は『使う奴の能力を1ランク上げる』とあった。1ランクというのはよくわからないが、もしその中に丈夫さとかが入っていたならおそらくそれも強
化され、そのお陰で俺は助かったのだろう。これをくれた命の恩人Aにはもう、枕を向けては寝られない。……む?しかし足を向ける方が失礼じゃないか? いや、しかし―

 と、俺は我に返った。しまった!こんなことをしている場合じゃあない!奴を早く追って、命の恩人たちを救わねば!
 俺はすぐに店から飛び出し、あのツンツン頭を追おうとした。



 次の瞬間、俺の足から……完全に力が抜けた。


 な、ま、また、か? なんでだ――そもそも、さっきだって――!?

 そこで俺はもう一つ思い出した。
 剣の説明の、『使う奴の能力を1ランク上げる』。この前の文。


 『使用者の体力を消費して』。


 そう、か――俺は、戦っている間に――どんどん体力を、失っていたのか――なんて、こった――
 説明を忘れて、自爆だと――なんだんだ、俺は――

 地面が近づいてくる。ああ、俺はこんな所で倒れていられないってのに。


 滅多にないことなんだぞ? 破壊しか能がない俺が、ラッドの兄貴とシャフトその他大勢やジャグジーたちくらいしか付き合う相手がいなかった俺が。


 誰かに命を救われて、その恩を返せる機会が来るなんて――


 俺は、それすらできないのか――
0164CIRCLE RHYTHM 〜ブレイス・オブ・ピリオド〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:17:26ID:sed2xOFE







 く、そ――――





        ♪ ♪ ♪
       『―Same Time―』




【狂想曲(カブリッチオ) 〜四重奏・U〜】



「どうだいどうだい! 天使や悪魔じゃなさそうなのは少しばかり残念だが別にいい! いや、でもお前背中から出たあの羽何よ? なぁ、なんか武器で出でたのか? それ
ともおまえ自身が出してたのか? なあ、どっちなんだよ? やってみせろよ、おらあ!!」
「ぐあああああ!!」
「ああ、できるわけねえか……俺が今踏みつけちまってるんだからなぁ、ヒャハハハハハハハ! こいつぁすまねえなぁ無理言ってよぉ!」

 自分勝手にそう叫ぶ狂人ラッドはレッドの足を踏みつけながら言った。踏まれた足は無残に捻れ、歪な方向を向いている。折れているのは明らかだった。その箇所を、
踏み砕いた時そのままのラッドの足が容赦なく力を入れて苦痛を与える。
 それは圧倒的な蹂躙だった。地に落ちたレッドを逃がさず、ラッドが与えた苦痛。それによりレッドを苦しみ、ラッドは嗤う。殺人鬼は、嗤う。


「ヒャッハハハハハハハ!
 …………ここまでして、諦めねえのかてめえは」

 今まで高テンションだったラッドのテンションが一気に下がった。その原因は、レッドの眼だ。
 苦痛に歪んでも、絶望を与えられても、レッドは諦めていない。その目から光が失われない。
 だが、それよりもラッドが気になることは。


「なんでお前、俺を恨まねえ」


 普通、足を折られ、ここまで罵倒されれば、敵意はおろか憎悪を抱かれるのが普通だ。だが、レッドは苦しみこそすれ、ラッドを見るその目に憎む色は見られない。
 生粋のマゾ野郎なのか、とラッドが更に罵倒してやろうと口を開いた。


「確かに、痛いよ。それに、俺は死ぬわけには行かないから、だからラッドさんを全く憎んでないわけじゃない」
「ハッ。なるほどなあ。死なないと思ってるんじゃなくて、死ぬわけには行かない、ってか。そりゃあ俺の勘違いだったな。ま、それでもここまでやったんだ。今更やめるな
んざ――」


 そこでラッドの口が止まる。
 おいまて、今こいつなんて言った。


「お前、なんで俺の名前を」
「だって……聞いたとおりなんだ。自分が死なない、って思ってる人を殺したいなんて――」
0165CIRCLE RHYTHM 〜ブレイス・オブ・ピリオド〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:17:49ID:sed2xOFE


「グラハムさんが言ったとおりの人なんだ。だから、俺はグラハムさんが信じている人を……悪い人だって、どうしても思えない」


 仲間である、グラハムへの信頼。そのグラハムが信じる、ラッドへの――


「てめ……なんでグラハム坊やの事を」


 その言葉にラッドは僅かに動揺した。自分の弟分であるグラハム、それを知る目の前の少年、しかも自分に対して信頼を向け続けるおかしな少年に。





 そのわずかな隙を、『彼』は見逃さなかった。




 銃声、そして刹那。



 ラッドの胸に穴が開き、そこから血が噴出した。
0166 ◆Wott.eaRjU 2009/07/12(日) 22:18:09ID:ESbZgy57
 
0167CIRCLE RHYTHM 〜光の空のクオリア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:18:49ID:sed2xOFE
 *****



 スーツの男がぐらっと倒れ、一部が破壊された劇場前の丘の向こうへ転がり落ちていく。
 そんな光景を、古手梨花は隣に居る、まさに男を射撃した当人、ウルフウッドを共に見ていた。その顔は、人を助けた割にはあまり明るくは見えない。それも仕方ない。
なにせ、同行者が人を殺したその瞬間を見てしまったのだから。

「ニコ、ラス……」
「どう見たかて、加害者はアイツや。アイツは、ワイのよー見た面しとった。アレは、狂っておって、かつ人殺しが楽しい顔や」

 対してウルフウッドは冷静に、冷徹な表情を変えずにデザートイーグルの銃口を下ろした。

「さ、あの坊主、助けるんやろ?」
「え…ええ……もしかしたら、レナを見たかもしれないし」

 梨花は何とか気丈に答え、ウルフウッドと共に丘を駆け上がっていった。


 2人がここに着いたのは少し前。
 赤コートの女とレナがいるはずのここに来た時、響き渡ったのは爆音だった。その方向に行くと、ガラス張りが無残にも崩壊し、ガラス片を待ち切らし、一部が爆弾を
放りなげたのかというくらい吹っ飛んでいるロビー、そしてその近くでバズーカを抱えた男と、そいつに踏み潰されている少年の姿だった。
 しばらく物陰で様子を見た後、ウルフウッドはすかさず銃口を向け、引いた。梨花には何も言わなかった。あの男が梨花の知り合いである可能性はないのだから。



「おい、大丈夫か坊主」
「お、お兄さんと……君が助けてくれたの?」
「みぃ、僕は何もしてないのです」
「この期に及んでキャラ作りかいな…………こらあかんな。完全に折れとる」


 梨花が少年の相手をしている間に、ウルフウッドは屈んで少年の足を見てみた。ズボンをまくり、足を見る。歪んだ足、欝血、完全に折れてしまっている。
(仕方あらへん。その辺で松葉杖代わりになるもんでも捜したるか。ったくめんどい)

 一方、梨花の姿を見た少年、レッドは何やらはっとした顔をした。

「『みぃ』に、『僕』……それに、長い髪の女の子?」
「!?」

 梨花の反応は速かった。すぐにレッドに近づいて詰め寄る。

「だ、誰から、誰から僕のことを聞いたのです!?」
「レ、レナだよ。レナの友達の古手梨花、でいいんだよね?」
「そ、そうです! そうなのです!」

 梨花は嬉しくて何度も頷いてしまった。
 やはりレナはここにいる。しかもこの少年とはかなり深い情報を交換しているらしい。そして、この少年は見るからに危害を加えそうな人格には見えない。つまり、その少
年と親密そうなレナもまた、人に危害を加える方針ではないことだ。少しだけ、ほんの少しだけ雛見沢症候群を危惧していた梨花にとってそれは希望に満ちた推測だった。


「で、レナは!? レナはどこにいるのです!?」
「レナは……多分劇場の――!?」


 と、突然レッドが顔をしかめた。
 何なんだ、と梨花は思ったが、次の瞬間、とてつもない異臭を鼻に感じた。おそらくこれにレッドはいち早く気づいたのだ。
0168創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:18:51ID:ESbZgy57
ミス……orz 支援
0169創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:19:32ID:Jcxy6qeU
0170創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:19:34ID:15+bx3RI
 
0171創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:20:05ID:D+13Rkh5
しえん
0172CIRCLE RHYTHM 〜光の空のクオリア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:20:06ID:sed2xOFE


「な、何この匂い!」
「なんやこの腐った卵のよーな匂いは!……まさかっ」

 ウルフウッドも同様のようで顔を顰めて鼻をつまんでいたが、何かに気づいたような顔をした。


 だが、その反応は――遅かった。



「うああああああ!!」



 突然、何かが2人に突っ込んできた。
 梨花はおろか、ウルフウッドに対抗できる手段はない。なにせ、その何かが近すぎた。目の前の相手が。
 背中の機械を輝かせ、自分たち目掛けて猛スピードで突っ込んできたその何かが。

「ぼ、坊主!?」
「あ、あなたっ!?」

 まさか騙しうちだったのか、そう2人は思った。




 だが、彼らに何かが突き刺さったり、危害が加えられることは、なかった。


 その何か、レッドがしたのは、たった一つ。


 2人を、思いっきり突き飛ばしたことだけ。手元の自分のデイパックを押し付けて。


 レッドよりも小さな体躯の梨花は当然だが、大柄なウルフウッドまでその力に耐え切れなかったのは、飛行は出来ずとも光を力に変換したX-Wiの推力と、膝を突いた不安定
な体勢と、レッドの渾身の力によるもの。
 かくして、2人は後ろに倒れ、丘から転げ落ちていく。



 2人は見た。転げ落ちながら、自分達に攻撃を起こしたのかと疑った少年を。



 すまなそうに、でも、しょうがない、とでも言いたげな苦笑い。そんな顔をしながら、手をこちらへ伸ばしたまま、わずかに滞空した少年を――




 そして
0173CIRCLE RHYTHM 〜光の空のクオリア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:20:47ID:sed2xOFE



 その姿は、閃光の中へ消えた。




 *****




『庇われた奴は、一度死ぬ』



 フィーロさんに言われた言葉だ。



 なら、俺はあの2人を殺しちゃった、のかな?



 でも――他に何も考えられなかった。少し顔を傾けたらラッドって人がバズーカを2人に向けてるのが見えたら。



 馬鹿だよなぁ。自分の命を守る、って決めたのに。




 やっぱり、俺、そういうの似合わなかったみたいだ――ごめん、イエロー。



 レナ、チョッパー、グラハムさん、そして――イスカンダルのおじさん。ごめん。俺はもう、ここまでみたいだ。



 でも、皆は頑張ってくれ。ギラーミンなんかに、負けないでくれ。



 ピカ、フッシー、ニョロ、ゴン、プテ、ギャラ、ブイ――お前らは、どうしてるんだろうな? マサラタウンにいるのかな? それとも、ここにいるのか? こっちだと、
いやだなあ。



 でも、どっちでも――ごめん。俺、お前らのトレーナーなのに――



 もし、お前たちを大事にしてくれる人と、お前たちが出会えたら――任せられるんだけど、な――
0174創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:21:31ID:15+bx3RI
 
0175CIRCLE RHYTHM 〜光の空のクオリア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:21:32ID:sed2xOFE









 いたら、いいなあ――――そんな、人が――――







 *****






「あ、ああああああっ!」



 一瞬で、とてつもない光が丘の向こうから迸った。丘の一部を抉り、光と熱を周囲に放出する光の帯。
 それが、一瞬で、レッドの全身を呑みこんだ。小さな獲物を喰らう大蛇のように。


 梨花とウルフウッドが転がり落ちるのが止まり、二人がすぐに立ち上がったときには、もう何もできることはなかった。


 ごろ、ごろと梨花の目の前に何かが丘を転げ落ちてきた。まるで蓮根か大根が2本分のように見える、なにか。


「あ、うう、ああああ!」


 それを見て、梨花は目を見開き、口を手で抑えた。もれそうな何かを必死でとどめようとして。


 それは、レッドの両腕だった。
 突き出していたせいで光の飲み込まれなかった肘から先。右腕の手首には包帯が巻かれ、手にはグローブが巻かれた生々しい腕。切断面は焦げており、嫌なにおいが漂って
きた。


「っっっ!!」


 梨花が両腕に目を放せない間に、ウルフウッドは丘を見上げた。
 丘の頂点は抉れ、周辺の生えていた草の一部は無残に黒焦げになっている。
 そして、その抉れたところの縁に……黒焦げの人形みたいなものが1つ、倒れ伏せていた。


 それがレッドの成れの果てであると、ウルフウッドは理解した。滞空していたそれが地に落ちて、そのショックで炭化した腕が脆くも砕け、両腕が落ちてきたのだと。
 ぎり、と歯がぎしりなる。
 誰だ、誰が――
0176CIRCLE RHYTHM 〜光の空のクオリア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:21:58ID:sed2xOFE



「おいおいおい……このガキにはグラハム坊やの事を聞きたかったんだぜ? 俺が狙ったのはそこの黒スーツだってえのによお」



「なんや、と」


 それは完全に胸を射抜いたはずの男の声だった。防弾チョッキだったはずがない。間違いなく血も確認した。そのはずなのに。
 だが、そんなウルフウッドに『間違い』という答えを突きつけるかのように、抉れた丘に、丘の向こうからそれは姿を現した。


「まあ、やっちまった物は仕方ねえ。グラハム坊やに関しては後回しだ。さっきはよくもやってくれたなあ、黒スーツ野郎!」


 白いスーツに大きなバズーカを抱えた、狂気の形相を浮かべた男。それが、平然と立っていた。
 彼が持つバズーカからは煙が上がっている。ガス入りの風貝を装填する事でそれを相手向けて噴射してそのガスに炎を引火させ相手を焼きつくす”燃焼砲(バーンバズーカ”
。それがラッドが先ほど放ち、レッドの命を奪った一撃だった。
 そこまでの理屈はウルフウッドも知らない。だが、ラッドが撃った一撃がレッドを殺した。それだけは彼の言葉からも確実な事だ。

 そして、ラッドの風貌で気になる点がもう一つ。
 ラッドの容貌は、胸のスーツこそ穴が開いているものの、そこから見える肌にはふさがりかけた傷しか見えず、噴出して服についたはずの血すら見当たらない。

 いままで数多くの戦場を経験してきたウルフウッドも、その様子には驚愕するしかなかった。

(どういうことや……まさか、コイツもあの……いや、それじゃあ血まで消えてることの説明がつかん)

 再生については思い当たる節もある。だが、それだけでは説明しきれない。



 だが、一つだけ確かな事があるならば。
0177創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:22:32ID:15+bx3RI
  
0178CIRCLE RHYTHM 〜光の空のクオリア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:22:51ID:sed2xOFE



「…………やっちまった物は仕方ねえ、か。……随分軽く言えるもんやな」

 激怒はしない。激情はぶつけない。
 ただ、静かに懐のデザートイーグルを握った。
 それで、ウルフウッドの意志表明は充分だった。

 それを見て、ラッドは笑みを更に深くする。嬉しそうで、楽しそうで、狂った顔を。


「いいぜぇ、来いよ」


 ウルフウッドの銃口が自分に向かれる前に、彼は口を開く。


 言いたいことを言い尽くし、そして、狂いのままに殺していく為に。



        ♪ ♪ ♪
        『←Past―』


【幻想曲(ファンタジア) 〜カズマ〜】



 前へ。ただ、前へ進むだけだ。



 グラハムを再起不能と判断した俺は、残りの2人を追って走り出した。
 だが、あの鹿だかなんだかよくわからない奴はかなり足が速かった。ただ追っただけじゃ追いつけねえ。ラストブリットで飛んでも、距離は高が知れてる。
 なら、諦めんのか? んなわけに行くかよ。
 腹が痛む? 左肩が痛む? だからどうした。俺は、こんなところで潰れてるわけにはいかねえんだよ。


 俺はデイパックを取り出した。本当なら、こんな道具になんざ頼りたくねえ。ましてや、こんな……兄貴に思い切り嫌味を言われそうな道具を。
 ……いや、もうそんなことはねえか。
 兄貴はもう……死んだ。金髪野郎を殴りぬいた後に聞いた放送で、もうそれは聞いていた。


 お前には速さが足りない……か。
 ならよ、こんな道具で速さを補う俺は、きっとアンタからすりゃ最低なんだろうな。
 でもな、今はそんなの聞いてられねえ。


 俺は、デイパックから取り出した『チータローション』とか言うのを足に塗ると、まだ中身の残った容器をそこらへんの林にぶん投げた。
 あんなもん、2回も使ってたまるかよ。今回きりだ。


 そして、俺は走り出した。とてつもない速さで。


 アンタの速さは、こんな借りもんじゃあなかったよな。
 ちっ、これですら届いてないなんざ、アンタはどんだけ速かったんだ。どんな風に周りを見てたんだ。
0179創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:23:16ID:15+bx3RI
 
0180CIRCLE RHYTHM 〜光の空のクオリア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:23:51ID:sed2xOFE





 速すぎて、周りが何も見えやしねえ。





 しばらく走り続けると、建物が見えてきた。3階建てくらいはありそうな建物。


 その前に、奴らがいた。間違いねえ。鹿みてえな奴と、白服の女!なぜか鹿はちっちゃくなっててその鹿は死んだみてえに力を失って、それを白服女が必死に引っ張って
いるみたいだ。
 放送で誰か大事な奴でも死んだか? あのグラハムは呼ばれてなかった(もっとも放送と同じくらいに死んだかもしれねえからわかんねえけど)から、別の奴か。


 わりぃな。手前らの都合には付き合ってられねえんだよ。


 チータローションの効果が切れたらしく、一気に勢いが弱まった。だが、もうここまでくれば充分だった。


「抹殺のぉおおおおおおお!!」


 シェルブリットと共に、宙に浮かぶ奴ら向けて突撃する。
 白服の女が俺の姿を見て、驚いた顔をしたが、すかさず鹿を抱えて横に跳んだ。


 別に構いやしねえ。これは……単に、怒りが収まらねえだけだ。借り物の力を使っちまった、俺自身に。



「ラストブリットォオオオオオオ!!」


 拳は、奴らの背後にあった、建物のガラスも突き破り、その内部の壁に、直撃した。


 ドオッ、という爆音。
 壁がへこみ、ひび割れ、辺りにあったテーブルやらソファーやらが衝撃で宙を舞い、バラバラになった。


 俺はそんなもんに目もくれず、床に足を着くと、建物の中から奴らを見やった。
 2人とも、その目は信じられないものでも見ている様子だ。そりゃそうだよな。俺が居るなら、グラハムはどうなったんだ、って話だ。

 だが、俺は答えるつもりはねえ。

 ただ、言いたいことは言っておく。



        ♪ ♪ ♪
       『―Same Time―』


【交響曲(コンチェルト) 〜そして全ては劇場と○へ〜】
0181創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:24:16ID:15+bx3RI
  
0182CIRCLE RHYTHM 〜光の空のクオリア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:24:23ID:sed2xOFE





                              劇場のロビーは酷い有様だった。


北劇場は爆発によりガラスが全て割れ、今だ煙が上がっている。


                                      南劇場はシェルブリットによりロビー中の物が余波を受け、壁には酷い皹が広がっている。




                               その劇場に、1人男が居る。


男はバズーカを抱え、白いスーツに身を包み狂笑を浮かべていた。


                                                      男は新たに右腕に鎧を形成し、敵意を瞳に宿していた。


                               男の前には、2人の人影がある。
                               それぞれ男女の組み合わせだった。


長い髪の少女は両腕を前に恐怖に震え、
黒スーツの男は何も言わず白スーツの男に銃口を向けた。

 
                                                   男であるトナカイは放送による影響を抱えたまま敵を見据え、
                                                       白服の少女は目の前の敵にあらゆる思考を巡らせた。



                                殺意を向ける男は、口を開いた。



「そのガキがグラハム坊やを知っていようが」


                                                          「てめえらが脱出したくて集まっていようが」


                              「「俺にとってはどうでもいいことだ」」


「俺がやることはたった一つなんだからよぉ!」

                                                               「俺がやることは何もかわらねえ」
0183CIRCLE RHYTHM 〜光の空のクオリア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:24:57ID:sed2xOFE



                                   「「単純に」」



「殺す!!」
男はバズーカを敵に向けた。


                                                                   「目の前の壁をぶっ壊す」
                                                                    男は右腕を敵に向けた。


                                  そして、男は告げる。
                                  容赦なく、慈悲もなく。






「だからよぉ!」


                                                                     「さあ、いくぜ……」





                              「始めようぜ!殺し合いを!」
                                    「始めるぜ……覚悟決めろ!」












                                       かくして
                                      戦いは始まる。

北で。
                                                                            南で。
0184創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:25:07ID:15+bx3RI
  
0185CIRCLE RHYTHM 〜光の空のクオリア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:25:24ID:sed2xOFE



                                       役者は


ラッド・ルッソ。
ニコラス・D・ウルフウッド。
古手梨花。


                                                                           カズマ。
                                                                          竜宮レナ。
                                                                  トニートニー・チョッパー。




                                    そして、残る役者は――。





        ♪ ♪ ♪
         『???』





【神曲(ディビーナコメイディア) 〜アーチャー(ギルガメッシュ)〜】




「さて――いつ始まるか」
0186CIRCLE RHYTHM 〜光の空のクオリア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:25:46ID:sed2xOFE



 
 我は中央劇場音楽ホールの座席、1番見取りの良い座席に陣取っていた。
 見下ろす先には、舞台、その奥に巨大なパイプオルガンがある。
 ほほう、中々に良い代物のようだ。音も確認しておきたいが、おそらくはかなり良好な調律を施されていると見える。一曲旋じてみるのもまた面白い。

 まあ、それを行うのは……事態次第だがな。


 我の隣に従者圭一は居らん。先の放送のあと、小便と行って出て行った。ククッ、わかりやすい奴だ。ミオンとかいう女が呼ばれていたな。いや、あるいは……まあいい、
そこは今は考えないでおいてやろう。
 そういえばあのクーガーという男も死んだか。奴も我を楽しませてくれると思ったが……いや、むしろ無傷だったあの男が4時間程度で死に至ったというその経過もまた知
りたいものだな。

 今頃は何をしているのか。仲間を失った悲哀に暮れているか、レナという仲間を捜しているか、我を恐れてどこにも行けずにいるのか。


 我はどれでも構わん。なぜなら、圭一はどう転んだとて、『何か』に巻き込まれるに違いないのだ。
 防音設備如きでサーヴァントである我の聴覚を遮れるものか。全く阻害されぬわけではないが、壁に触れていれば振動等は充分感知可能だ。
 北の劇場で爆発、南の劇場で衝撃、か。面白そうな連中が集まってきているようだな。あの下女がどちらにいるか、いないか……それも面白い。

 そして、この様な状況で圭一がどう動くか――それこそが我の目撃したき事よ。

 たしかに我は奴とその仲間を脱出させることに吝かではない。だが、それは奴が我の認めるに足る存在であった場合だ。
 奴の『人を信じる力』、それが果たしてどれ程のものか、どれ程までに耐え切れるのか、どれほどまでに強いのか、それを我は見たいのだ。
 小便如きに荷物をほとんど持たせたままやったのもそれ故だ。誰かに奪われたとて構わん。その後そいつを処断してから取り戻せば良いだけのことだ。


 我を頼りここへと戻るか?
 全てに怯え隠れ潜むか?
 仲間を捜して劇場内を走るか?
 暴れまわる無法者に立ち向かうか?
 全てを放棄し逃げ去るか?


 どれでも構わん。ああ、どれでも構わん!
 さあ、見せてみよ圭一! お前が従者で、凡愚な雑種で終わるかどうか!
 我を楽しませよ。我を享楽させよ。我にその力を見せてみよ!
 我は待とうぞ。お前が動くその時まで。



 さあ……観劇を、始めよう。
0187創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:26:05ID:4MIRzbgT
0188創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:26:05ID:15+bx3RI
 
0189CIRCLE RHYTHM 〜光の空のクオリア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:26:11ID:sed2xOFE





        ♪ ♪ ♪



【最終楽章(フィナーレ)     ???】




    奏でるのは   誰?






【レッド@ポケットモンスターSPECIAL  死亡】
【残り33人】


0190CIRCLE RHYTHM 〜光の空のクオリア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:26:39ID:sed2xOFE
【E-3道路/1日目 日中】

【グラハム・スペクター@BACCANO!】
[状態]:疲労(大) ダメージ(中) 青いツナギ姿(いくらか傷) 腕に○印  気絶?
[装備]:無毀なる湖光@Fate/Zero 包帯 小型レンチ
[道具]:支給品一式、(一食分、水1/10消費。うち磁石は破損)、スペアポケット@ドラえもん、かぁいい服
海楼石の網@ONEPIECE
[思考・状況]
1:レナ・チョッパーを助けるため、カズマを追う。
2:ウソップを殺した者を壊す。
3:イスカンダルに敵意。
4:殺し合い自体壊す
5:ラッドの兄貴と合流、兄貴がギラーミンを決定的に壊す!
6:イスカンダルの勧誘は断固拒否。
※レッドたちがクレアを信用していることを知りません。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
※疲労により倒れましたが、気絶したのか意識がまだあるのかはわかりません。


【E-5劇場・北劇場北口前/1日目 日中】

【ラッド・ルッソ@BACCANO!】
[状態]:全身裂傷(小)、腹部に傷(中)、胸に銃創、全て再生中 不死者化
[装備]:ワイパーのバズーカ@ワンピース、風貝(装填中)@ワンピース
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
 1:黒スーツの男(ウルフウッド)を殺す。子供(梨花)は…?
 2:あのギラーミンとかいう糞野郎をぶっ殺す。
 3:そのためにこの会場にいるやつを全員殺す。とにかく殺す。
 4:クーガー、ラズロ、御坂は殺す。
 5:ギラーミンが言っていた『決して死ぬ事のない不死の身体を持つ者』(不死者)は絶対に殺す。
 6:宇宙人(ミュウツー)は出来れば最後の最後で殺す。
 7:左腕が刀になる女(ブレンヒルト)も見付けたら殺す。 詩音はまあどうでもいい。
 8:ギラーミンが言っていた『人間台風の異名を持つ者』、『幻想殺しの能力を持つ者』、『概念という名の武装を施し戦闘力に変える者』、『三刀流という独特な構えで
世界一の剣豪を目指す者』に興味あり。
 9:グラハムについて少し気になる。
【備考】
 ※麦わらの男(ルフィ)、獣耳の少女(エルルゥ)、火傷顔の女(バラライカ)を殺したと思っています。
 ※自分の身体の異変に気づきましたが、不死者化していることには気付いてません。


【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康 レッドの死にショック
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2、インデックスの修道服@とある魔術の禁書目録、ミッドバレイのサクソフォン(内蔵銃残弾100%)@トライガン・マキシマム、
    蓮の杖@とある魔術の禁書目録、二重牙@トライガン・マキシマム、レッドの両腕(包帯と○印あり)、絶縁グローブ(軽く焦げ)@ポケットモンスターSPECIAL
[思考・状況]
 1:そんな…
 2:必ず生き残る。
 3:圭一達を見つける。
 4:安全な場所に行きたい。
 ※王の財宝の使い方(発動のさせ方)を分かっていません。(説明書もありません)
 ※ウルフウッドを信頼、けどちょっとむかつく。
 ※電車に誰か(橘あすか)が乗っているのに気づきました真紅に気づいたかどうかは不明です。
 ※サクソフォンの内蔵銃に気付いていません。
 ※スタープラチナに適正を持っています。僅かな時間ですが時止めも可能です。
 ※スタープラチナを使えないことに気付きました。落としたことには気付いてません。
 ※ルフィと情報交換しました。
 ※レナが劇場にいるという情報を得ました。
 ※レッドのデイパックを持っています。まだ中身は確認していません。
0191創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:26:46ID:4MIRzbgT
0192創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:27:14ID:15+bx3RI
  
0193CIRCLE RHYTHM 〜光の空のクオリア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:27:23ID:sed2xOFE

【ニコラス・D・ウルフウッド@トライガン・マキシマム】
[状態]:強い怒りと悲しみ
[装備]:デザートイーグル50AE(7/8 予備弾30)
[道具]:基本支給品(地図と名簿は二つずつ)、SPAS12(使用不能)チーゴの実×3@ポケットモンスターSPECIAL
    シェンホアのグルカナイフ@BLACK LAGOON、○印のコイン
[思考・状況]
 1:目の前の男を殺す。
 2:古手梨花を守る。
 3:ヴァッシュとの合流、リヴィオとの接触。
 4:ジュンを殺害した者を突き止め、状況次第で殺す。
 5:武器を手に入れる、出来ればパ二ッシャー
 ※ルフィと情報交換しました。
 ※自身が梨花の事を名前で読んでる事に気づいていません。
 ※○印のコインの意味は不明です。使い道があるのかもしれませんし、ないのかもしれません。
 ※ラッドの再生がミカエルの眼の改造技術に起因するものではないかと推測を立てています。




【E-5劇場・南劇場南口ロビー/1日目 日中】

【カズマ@スクライド】
【状態】:COOL 疲労(大) 全身に負傷 砂鉄まみれ 右腕に痛みと痺れ 右目の瞼が上がらない 右頬に小さな裂傷(アルターで応急処置済み)
     腹部と頬に打撃ダメージ、脇腹(打撃痕も)と左肩に銃創 シェルブリット発動中
【装備】:桐生水守のペンダント(チェーンのみ)、スタンドDISC『サバイバー』@ジョジョの奇妙な冒険
【道具】:基本支給品一式×4(食料を3食分、水を1/3消費したペットボトル×2、)、不明支給品(0〜4)、聖剣グラム@終わりのクロニクル
    モンスターボール(ピカ)@ポケットモンスターSPECIAL、君島邦彦の拳銃@スクライド
【思考・状況】
1:ロストグラウンドに戻り、かなみを助ける。そのために優勝する
2:目の前の2人を倒す。
3:ギラーミンを殴り飛ばす
4:ムカつく連中をぶん殴る。(ゼロ:誰かはよく分かっていない、仗助:死亡を知らない、クレア、レヴィ)
5:次に新庄、伊波と出会ったら……
6:メカポッポが言っていた、レッド、佐山、小鳥遊に興味。
※ループには気付いていません
※参戦次期原作20話直後。
※相手の部位が光ったり濁ったりすることについて疑問を抱きました。


【チーム名:○同盟(レナ組)】
1:主催者の打倒。
2:二チームに分かれ、それぞれで『ノルマ』(仲間集め、殺し合いに乗った者の討伐を、計三人以上行う)を達成する。
3:出会い、信用した相手に印のこと(腕に○の印を描き、その上に包帯等を巻く)を教える。
4:劇場にいるはずの仲間の捜索
5:サングラスにスーツの男(無常)、クロコダイル、サカキ、アーチャー、ミュウツー、片目の男(カズマ)を警戒。クレアという女性を信用(グラハム以外)
6:ラッドについては微妙(グラハムの兄貴分という情報はあります)。
0194創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:27:36ID:ESbZgy57
 
0195創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:27:49ID:4MIRzbgT
0196CIRCLE RHYTHM 〜光の空のクオリア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:28:10ID:sed2xOFE


【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康 私服 右腕に○印 
[装備]: 包帯 二重牙@トライガン・マキシマム
[道具]:支給品一式(一食分、水1/10消費)、ドライヤー
[思考・状況]
0:???
1:目の前のカズマに対応する
2:レッド、イスカンダルを捜す。
3:グラハム
4:部活メンバーと合流したい(ただし、積極的に探すかは保留)
5:何とかして首輪を外したい
6:イスカンダルの勧誘は保留。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
※第2回放送を聞いたことによる具体的な影響は後続の書き手に任せます。


【トニートニー・チョッパー@ONE PIECE】
[状態]:健康 腕に○印 深い悲しみ 疲労(小)
[装備]:なし 包帯
[道具]:支給品一式(一食分、水1/10消費) タケコプター@ドラえもん、 タオル、救急箱
[思考・状況]
1:???
2:ルフィ……?
3:目の前のカズマに対応
4:レッド、イスカンダルを捜す?
5:仲間と会いたい
6:グラハムの様子を見る。(別れている為現在実行不能)
7:ギラーミンを倒し、脱出する。
8:イスカンダルの臣下になるかはとりあえず拒否。
※レナからはあまり情報を受けていません。圭一たちについての情報は知りません。
※参戦時期はCP9編以降。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
※第2回放送を聞いたことによる具体的な影響は後続の書き手に任せます。




【E-5劇場・中央劇場内音楽ホール3階席/1日目 日中】
0197創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:28:34ID:4MIRzbgT
0198CIRCLE RHYTHM 〜光の空のクオリア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:28:55ID:sed2xOFE

【ギルガメッシュ@Fate/Zero】
[状態]:肩と腹に刺し傷(小・回復中)、不死(不完全)
[装備]:王の財宝(の鍵剣)、黒のライダースーツ、劇場のパンフレット
[道具]:必滅の黄薔薇@Fate/Zero(王の財宝内)
[思考・状況]
 基本行動方針:主催を滅ぼし、元の世界に帰還する。必要があれば他の参加者も殺す。
 0:圭一とその仲間を脱出させる。ただし、圭一の価値を認められた場合。
 1:騒乱を利用して圭一の価値を見定める。
 2:他の参加者をけしかけてバラライカを殺す。可能ならレナ達も。
 3:自分を楽しませ得る参加者を見定める。
 4:ゾロ、佐山に興味。梨花とウルフウッドについては当面様子見。
 5:圭一が自分のクラスを知っていた事に関しては・・・?
 6:宝具は見つけ次第我が物にする。天地乖離す開闢の星、天の鎖があれば特に優先する。
[備考]
 ※不死の酒を残らず飲み干しましたが、完全な不死は得られませんでした。
  具体的には、再生能力等が全て1/3程度。また、首か心臓部に致命傷を受ければ死にます。
 ※会場が自然にループしていることを把握しました。
 ※悪魔の実能力者がカナヅチという弱点を知っています。
 ※本編での経験から、螺湮城教本を手に入れる気にはならなかったようです。
 ※クーガーには強い印象を受けていますが、橘あすかのことは忘れました。
 ※文中台詞の"山猫"とはクーガーのことです。
 ※圭一の仲間が劇場に向かうということを聞きました。
 ※銃火器にはもう対処できます。



【E-5劇場・中央劇場?/1日目 日中】

【前原圭一@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:疲労(小)、頭部にたんこぶ×2、頬に痛み、右足に銃創(止血済み)
[装備]:デザートイーグル(残弾数2/6)
[道具]:双眼鏡(支給品はすべて確認済)、不死の酒(完全版)(空)、基本支給品×2、ゾロの地図、黄金の鎧@Fate/Zero(上半身部分大破)、ヤマハV-MAX@Fate/zero
[思考・状況]
 基本行動方針:仲間を助けて脱出したい
 1:???
 2:切嗣についてアーチャーには漏らさないようにする?
 3:切嗣、佐山のグループと早く合流したい?(切嗣のことをそれなりに信用してます)
 4:万が一のときに覚悟が必要だ
 5:魔法使い……?
[備考]
 ※時系列では本編終了時点です
 ※アーチャーの真名を知りません。
 ※クロコの名前、カナヅチという弱点を知りました。
 ※橘あすかと真紅と簡単に情報交換し、
  新たに彼らの仲間等(翠星石、クーガー、チョッパー、ハクオロ、アルルゥ、カルラ、ルフィ)と、
  要注意人物(カズマ、水銀燈、バラライカ、ラッド)の情報を得ました。
  また、ゾロと蒼星石が彼らの(間接的、直接的な)知人であることを知りました。
 ※切嗣の推測とあすか達との情報交換から、会場のループについては把握しています。
 ※バラライカの姿を確認しました。名前は知りません。
 ※バラライカからレッド、グラハム、チョッパーの名前を聞きました。
 ※第2回放送を聞いたことによる具体的な影響は後続の書き手に任せます。
 ※圭一の具体的な居場所は後続の書き手に任せます。中央劇場以外の場所にいる可能性もあります。
0199CIRCLE RHYTHM 〜光の空のクオリア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:29:18ID:sed2xOFE



 ※劇場の構成は以下の通り。
  『北劇場、中央劇場、南劇場の3つの劇場館で構成されている。
   それぞれ円形で、劇場自体の大きさは、中央>北>南の順に大きい。
   劇場及びホールにはそれぞれ四方向に出入り口が存在する。
   北劇場南口と中央劇場北口、中央劇場南口と南劇場北口は連絡通路で繋がっている。
   劇場及びホールには防音設備が備わっており、よほどの轟音でない限り、各劇場で起こった音は他の劇場には聞こえない。
   ホールの外には簡易的な売店や休憩所、ロビーが存在する。
   ホールの内訳は、北劇場が演劇ホール、中央劇場が音楽ホール、南劇場が和風舞台』



※E-3にチータローション(使用可能回数残り1回)@ドラえもんが放置されています。
 ※E-4北劇場北口の一部がバズーカの直撃を受けました。ガラスの破片が散在しており、煙も上がっています。
 ※E-4南劇場南口のロビーがシェルブリットにより破壊されました。劇場自体への影響は不明です。

【チータローション@ドラえもん】
ジョルノ・ジョバァーナに支給。
足に塗る事で脚力を高め、人に見えないほどの速度を出すことが出来る。
ロワ内では制限されており、脚力がいくらか増強される程度で見えないほどではない。走った分の疲労は軽減される。使用可能回数は2回のみ。
0200創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:31:20ID:ESbZgy57
 
0201CIRCLE RHYTHM 〜光の空のクオリア〜 ◆YhwgnUsKHs 2009/07/12(日) 22:32:19ID:sed2xOFE
投下終了です。多数のご支援どうもありがとうございました。
情報量が多いため、私の頭では処理しきれないところがあるかもしれませんので、
指摘、感想、特に状態表へのツッコミなどは大歓迎で、お待ちしています。
タイトル及び途中のパートのタイトル名は、ワンピースの空島編エピソード『SHANDIA RHYTHM』
及び、空島編同名タイトルたちより。
タイトルの副題は、DSひぐらしのなく頃に絆、1〜3巻のOPより
0202創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:49:34ID:RcU57Pmm
投下乙!この大人数をよくw燃える展開でした あぁレッドが…

ちなみにラッドは放送をどの辺から聞けたんでしょうか
とりあえずクーガーに触れていないのと、状態表にも殺す候補で残ってますが
0203創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:52:59ID:R7p77n9H
レッドお前はいい男だった・・・
赤くていい男だったよ・・・
0204創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 22:59:41ID:Xwet5Fmr
サカキに続いて今度はレッドか
何なの?
何かポケスペに恨みでもあんの?
殺すならもっとどうでもいい、チョンピとかのキャラにしろよ
だいたい、チョンピのキャラ最近全然死んでないじゃん
どんなキャラも平等に扱うのがロワじゃないの?
贔屓もいい加減にしろよ
活躍してるのだってチョンピの武器やらタイトルやらばっかだし
人気もないくせに毎回毎回でしゃばってきてうざいんだよ
ここはチョンピ厨しかいないのか?
0205創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 23:02:14ID:ESbZgy57
投下乙!
放送後10人ってどういう風に捌くんだろうと思ったらこう来たかー!
10人分の一人称が違和感ない時点で凄いなぁ。構成を良く考えないとこんな風に出来ないような感じが。
そしてレッドーーー!フィーロの台詞が出てきたあたりで切なさが……。
グラハムとカズマのバトルも熱い!ラッドと同じような思考に陥った時は思わず笑いがwやはりこいつらは似た者同士だw
劇場の詳細が明らかにされたけどどう考えてもヤバい雰囲気しかしないぜ……高見の見物のアーチャー自重w
放送後の反応が不明なキャラ達も楽しみ。
0206創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 23:04:13ID:llo1anFR
大人数での投下乙
ラッド会心フラグかと思ったが、やはりラッドはこうでないとな
カズマとウルフウッド、二人の超常の戦闘力有する人外相手に
不死効果と強力な武装で張り合うラッド。さてこれはどうなるかな。
グラハムがどうなったかも気になるが
0207創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 23:04:21ID:WGPCnpjr
投下乙
この混迷の状態に、更にバラライカや無常、イスカンダルもブケファラスがあるからすぐ来れるんだよなぁ
一体どうなるんだ
0208創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 23:06:21ID:R7p77n9H
>>204
平等?
お前がルールを作るなよ芋野郎
0209創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 23:07:43ID:R7p77n9H
ごめんつい荒らしに食いついてしまった
スルーしてー
0210創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 23:10:06ID:Xwet5Fmr
何勝手に人を荒らし扱いしてんだよカス
0211創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 23:10:51ID:uGGKm0pJ
投下乙!
混沌とした劇場周りをここまで整理するとは見事。
仲間を庇ったレッドとグラハム、直後に勃発する南北の戦い。中央で静観を決め込むギルガメッシュ。
自由に動ける圭一がどちらに向かうかで展開も変わりそうだ。
劇場での第一幕としても、第二幕への繋ぎとしても面白い作品でした!


バラライカ&無常も劇場に来るし、リヴィオも近くに居るんだよな。更なる混沌の予感ww
0212創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 23:29:13ID:jTRCMxtw
間違いなく中盤の山場だよなぁw
次も楽しみだw
0213創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 23:31:07ID:Jcxy6qeU
大人数投下乙!
これだけの大人数を上手い具合にばらけさせるなんてすごいな。
南北では大規模な戦闘が始まりそうだけど、そこには色々と乱入者が現れる予感……。
ギルガメッシュも圭一の行動次第でこれからの行動方針が変わりそうだね。
マーダーになるか、対主催になるか……圭一の動きが楽しみすぎる。
グラハムも何とか生き残ったか、だけど動けないなんて……
早く回復しないとそこは危ないぞ!
……そしてレッド、ちょっと目頭が熱くなったよ。
お前は良く頑張った、イエローだって怒らないさ、優しく迎えてくれるよ。

南には徘徊中のマーダーが居るけど、北には一応真紅と社長が居るよね。
この付近を調査中の唯一の対主催だけど……。
ヤバイな、中央部の火薬に本格的に火がつき始めてる!
0214創る名無しに見る名無し2009/07/12(日) 23:42:27ID:9RXy0bh3
投下乙!
放送前後の時間軸を行き来しつつの面白い構成、楽しませてもらいました
どのパートも非常に面白く、終盤の劇場北、南に分かれての表現は見てて分かりやすく、また対比にもなってて特に面白かったです
しかもよく見たら各パート前の音楽に関わる副題、出だしの劇場の話にかかっていたのも良かったです
また、南北に分かれたことで一度に書く人数を分割したのもYh氏の狙いなのか、続きを書きやすくなってて全体的にすばらしい構成だったと思います
それにしてもグラハムやっと活躍できたか、ラッドとのダブりは自分も笑わせてもらいました
そしてレッドは殺人モードだったラッドを止めれそうな雰囲気があったが、運命のいたずら、ニコラスの援護から始まる悲劇によってここでリタイアか
ここまで来てまさかのポケスペ勢残り1人か、サカキと同じく出会った相手またはタイミングが悪かったとしか言えんな
最後に圭一は無事レナと出会え、無事生き残れるのか?すごく先が気になります
なにはともあれ本当に大作乙です
0215創る名無しに見る名無し2009/07/13(月) 00:04:30ID:P/2B5xGC
てかさあ
ワンピースって人気ないんでしょ?
なんで殺さないの?
扱い平等にしなきゃとかそういうこと気にしてるの?
だったらもっと自由にやりたいようにやっていいと思うけど
書き手あっての企画なわけだし
読み手が文句言っても無視していいんじゃないの?
0216創る名無しに見る名無し2009/07/13(月) 00:10:26ID:iMiosN6Z
いや熱いな。wktkさせる上手さだ
しかし周りも結構込み入ってるなぁw本当に賑やかになってきた。火薬庫だぜ
これからにも話が広がる展開 乙です
0217創る名無しに見る名無し2009/07/13(月) 00:14:08ID:ThzPqidy
次の予約が来ている……だと!?
そういえばもう放送後の参加者全員の描写は終わってるんだね、早いなぁ。

ブレンヒルトとビリビリか……どうなるのか、特にビリビリは……
0218創る名無しに見る名無し2009/07/13(月) 00:27:05ID:9jfTOCgf
しかしマーダーが強いな。
戦闘能力持ちの対主催はグラハム、クリス、ニコ兄、イスカンダル、社長、真紅、ヴァッシュ、ゾロ位か。
対するマーダーは……
ラッド、クレア、水銀燈、無常、美琴、ミュウツー
ロベルタ、バラライカ、リヴィオ、ブレン、ゼロ

何と言うボスラッシュ。ギル、レヴィ辺りがどう動くかが分かれ目か?
0219創る名無しに見る名無し2009/07/13(月) 00:33:12ID:jpVf0kX7
次の予約も楽しみだなーw

>>218
マーダーが凄いメンツ!これは対主催涙目だなぁw
0220創る名無しに見る名無し2009/07/13(月) 00:33:36ID:ClFDoLhO
投下きてる〜!!乙です。
10人全員視点で展開を描写して、尚且つここまでまとめるとは…素晴らしい。

足を折られた時点で覚悟してたが、レッドはやっぱりレッドらしい死に方だったな…。
ニコ兄と梨花は以前ルフィにも庇われて命救われたっけか。…赤繋がり?
運が良いのか悪いのか…梨花の精神状態が心配。

グラハムは自身の変化を覚醒と勘違いする辺りで吹いたw死にはしなかったもののしばらくは動けそうにないな。
カズマはレナ&チョッパーコンビに追いついちゃったし、この二人は放送の影響も描写されてないからどうなるか楽しみ。
二人とも今の状態じゃまともに戦えないだろうから今一番危険か?

そして最後。
南と北、カズマとラッドの対比が上手い。
それに挟まれた圭一。
圭一がどう動くかで劇場周辺組と我様の行動に大きく影響しそうだな。
北と南、どちらにも圭一にとって大切な人がいるからなぁ。
圭一頑張れ。

10人と言う大人数をこんなに上手くまとめるとはホントにお見事。
まだまだ劇場周辺に向かっている参加者も多いし
この火薬庫、どういった結末になるか…これからが楽しみ過ぎる。
改めて投下乙でした。
0221創る名無しに見る名無し2009/07/13(月) 03:53:31ID:Q2ZjEOX9
>>218
マーダー能力的に特にヤバイのが
ミュウツー、ゼロ、リヴィオ、無常、カズマ、ARMSのブレンだな
特にミュウツーは色々急がないアレだし。
ブレンは完全体になったらそれ以上になったらそれ以上にヤバイが
他にもヤツも支給品やらで底上げしてるし
対主催はトンでもなヤツラは
ゾロ、牧師、台風、征服。個々の能力はトンでもだが数が少なすぎる
キツいな。他の脱出組がどう動いてくれるか
0222創る名無しに見る名無し2009/07/13(月) 04:02:23ID:9jfTOCgf
バッカーノやブララグ連中は強いと言っても常人だし、美琴も攻撃力は高いがか弱い女子だしな。
しかし社長もそこに入って然るべきなんだが……ww
0223創る名無しに見る名無し2009/07/13(月) 04:10:42ID:Q2ZjEOX9
あ、社長忘れてた
あんまし目立たないのでwww
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています