怒られるかと思ったが予想外の言葉に少しキョトンとしてしまう。
「そうか、列車の旅は好きかな?」
優しい笑顔でそう言う男はその大きな手をジンの肩をそっと掴む
「うん、大好き!!」
「そうか・・・ふふふふふふふふ」
ジンの答えに満足したのか男は立ち上がり笑いだした
「ぶははははははははははは少年よ!!!ならば楽しむがいい、私の自慢の鉄道
がきっと楽しませてくれるだろう!!!」
と大声で話す男にびっくりするも笑顔で頷くジン。


この男こそ、かの超一流大企業「ブリタニア」会長にして「ヨーロッパの鉄道王」
シャルル・ブリタニアその人でありこの大声は毎日ここで発せられているため
今となっては名物の一つとなってしまっている。
「あなた、おまたせしました」
「おおマリアンヌ、忘れ物は無いか?」
シャルルの後ろから声をかけたトランクを引く女性はマリアンヌ・ブリタニア
シャルルの妻でまだ社長だった時の秘書だったとても美しい女性、その美貌は
ミス・フランスと言う最高の賞を獲得したほど。
「はい、参りましょう」
「うん、またな少年よ!!旅を存分に楽しむのだぞ」
「うん!!行こうママ」
笑顔で礼をシャルルにしたジルの母親はジルの手を引き改札口へと吸い込まれていった
その後姿をマリアンヌは優しく見守っていた。
「まったく子供好きにも困ったものねぇあなた」
「ふ、解っておろう?そんな事は」
大きな荷物を持ち2人も改札口へと向かった、シャルルとマリアンヌは今回
結婚記念日を祝して旅行に行く事にしている。
「これはシャルル会長、マリアンヌ婦人!ご旅行ですか?」
「ええ、イタリアまで長旅を」
「良いですなぁ、イタリア行きは5番線です!楽しいご旅行を」
「うむ、行って来る!!」


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