コードギアス反逆のルルーシュLOST COLORS SSスレ37
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0001創る名無しに見る名無し
2009/02/24(火) 23:43:06ID:eaiT05oZ感想等もこちらで。このゲームについて気になる人はギャルゲー板のゲーム本スレにもお越しください。
基本sage進行で。煽り・荒し・sageなし等はスルーするか専ブラでNG登録して下さい。
(投稿前に読んでください >>2-)
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■関連スレ
コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS 21 (本スレ)
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コードギアス ロスカラのライ 強くて優しい真の7(ナ)イト(主人公スレ)
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【PSP】コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS
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コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS 攻略スレ4
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0201創る名無しに見る名無し
2009/03/01(日) 03:37:22ID:dtQvlL/A更なる激動、それと共に未知なる存在であるナイトオブツーの参戦。
X.X.の目的、そしてライ達が向かう先。
続きが気になる次回の投下も楽しみにしております、GJでした!
0202POPPO
2009/03/01(日) 03:38:01ID:+ZWAjzRR197
ユーフェミアが無くなって→ユーフェミアが亡くなって
訂正お願いします!
0203創る名無しに見る名無し
2009/03/01(日) 10:30:25ID:gekdeDt/POPPO卿、GJでした!
オリジナルが増えてきましたね。
しかし、このX.X.の言葉は……
リリーシャどうなっちゃうんでしょう。
戦争が、始まる、のか?
むぅ、ドキワクだね。
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
0204創る名無しに見る名無し
2009/03/01(日) 21:54:15ID:dtQvlL/A前書き・本文・後書き合わせて12レスです
0205創る名無しに見る名無し
2009/03/01(日) 22:00:49ID:BE9a/SNt0206ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
2009/03/01(日) 22:10:02ID:dtQvlL/A今回は前日譚の第2話ですよ〜
【タイトル】コードギアス 反逆のルルーシュR2 RADIANT WORLD
【ジャンル】シリアス(長編)
【警告】ギアス篇&黒の騎士団篇の合いの子ルートの
ギアス篇ENDからスタートしています
R2の豪快なifルート&オリジナルのキャラ&メカが
登場しますので苦手な方は御注意下さい
0207ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
2009/03/01(日) 22:11:35ID:dtQvlL/A空虚な想いを重ねながら描いた様々な欠片。
それを必死で拾い集め彷徨っても掌から綺麗にまた落ちていく。
築き上げた日々はもう帰ってはこない。
そうして喪う事にも慣れていくのは心が閉じていくからなのだろうか―――――
UNDERGROUND SIDE
『―ORDER:円卓の騎士』
シャルルとV.V.との密約から数週間。
ライはある女性の下に身を寄せている。
ナイトオブラウンズ、神聖ブリタニア帝国が誇る最強の十二の騎士。
その最高位の称号の九番目の席を預かる女性、ノネット・エニアグラム。
それが彼を預かる女性の身分だ、そして彼女は辺境ながらも領地を持っている。
ラウンズの中には名門貴族が何人かはいるが領地を持っているとなると話は別だ。
彼女以外では今現在のナイトオブワンたるビスマルクしか持っていない。
歴史を紐解いてもこの様な異例は稀だった。
その彼女が預かる領地はブリタニアの辺境にある、その領地内にある屋敷の庭で彼はラジオに耳を傾けながら剣を振るっていた。
『続いてのニュースはテロ組織、黒の騎士団に関する情報です。逃亡を続けている―――――』
(これで主要の構成員はほぼ捕まったか……出資者は見せしめに処刑、やはり手慣れているな)
彼は逐一情報収集しながら状況の整理をはじめていく。
C.C.を捕獲したいというシャルルとV.V.の言葉にライは黒の騎士団の存続を主張した。
それ自体については滞りなく通ったのだが、出資者である桐原爺含むキョウト六家を処断するのは止められなかった。
幸いにも皇神楽耶は存命した様だが、資金源等を失ったのは痛手でもある。
それでも、その中でシャルルとの契約の折に随分と融通が通った事が彼にとっては意外でもあった。
『C.C.の捕獲は一任しよう、好きにするがよい』
(何を考えているのやら……)
訓練用の木剣を一陣の風の様に舞わしてからの横薙ぎ一閃。
その剣先に出ているのは恐れ、迷い、不安。
剣は心を映す鏡、そんな言葉が彼の脳裏を掠めた。
昔日の彼に剣技を教えた者の言葉。
その言葉を知る彼女は窓から見える彼の光景を気だるげに見つめていた。
「おはようございます、今日もお早いですな」
「ああ……あいつはいつもあれをしているのか?」
「毎朝仕事が済めばしておりますな。いやはや、若いながらにしっかりしておられますぞ?」
「そうか……」
特に興味がないわけでもない、ただ億劫な気分で彼女は答えている。
起きてから終わるまでガウンのままでただ眺めているだけ。
ここ最近の彼女の日課はこれだけだった。
後はただ椅子に腰掛けて日々を過ごす、そんな事の繰り返し。
ビスマルクはそんな彼女を諌めたがおいそれとも変わることはない。
彼女にとって親友であり尊敬する人物である女性はついぞ最近行方を晦ましたからだ。
そして、その彼女が大切にしていた妹はこの世界にはもういない。
『エニアグラム卿、世話をして貰いながらすまないと思っている』
「復讐、か……その相手はもういないのではないのですか、コーネリア様」
「ふぅ……少しは本調子になってきたな」
体のストレッチをしながらライは自分の予定を組み立てていく。
今日は帝都ペンドラゴンに出向く日、勿論ノネットの付き添いという名目。
しかしそれが果たされた日は今のところ一度もない。
(今日も一人だろうな、動き易くて助かるが……)
0208ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
2009/03/01(日) 22:13:02ID:dtQvlL/A数週間の間、食事時以外で会話の一つもない関係。
(団員達が苦労をしているかと思えばこちらはVIP待遇か、因果なものだな……)
ストレッチを終えてタオルで汗を拭き取っている彼の耳にゆっくりと近づく足音が聞こえてくる。
「終わりになられましたかな?」
「ええ、ジョンさんも終わりになられたんですか?」
少々しわがれた声ながらも優しげに彼へ話しかけてきた老人、ジョン・ウエストウッド。
代々エニアグラム家に仕えている家系らしく彼も同じ道を選んだそうだ。
彼の仕事は執事、所謂バトラーであり屋敷の事柄を切り盛りしている。
「本日は出庁されるとの事、送迎は任せますぞ?」
「それは構いませんが……」
そしてライの苦手な人でもある、それは忘れている記憶の影響なのか。
彼にとって温和な老人というのがはじめてのタイプなのだろう。
それもあってか彼の老獪からくる口八丁手八丁に翻弄されるのが今の悩みだ。
その事をガレージに停めてある車を玄関前に移動させながら、同時にライは幾つかの悩みを思い浮かべる。
悩みの一つにはここに食客としている以上は人間関係を円滑に運ぶかどうかだった。
だが、彼は今もエリア11と呼ばれる日本の復権を願って戦いに身を投じた立場である。
そして今もそれは変わらない、だからこその悩みだ。
その考えも久々に袖を通したであろうスタイルに合わせて作られた純白のスーツを着用している女性によって阻まれる。
「待たせたな、帝都に向かってくれ」
「イエス、マイロード」
「ああ、それからその返事は止めろ。お前は客だろ、そういう細かい事は気にするな」
「はぁ……わかりました」
言葉を発したのはそれっきりでノネットは目的地に到着するまで黙って車窓の景色を眺め続けてた。
反応するのも時折通り過ぎていく領地内に居住している住人に手を振って応える程度に留めている。
その彼女の領地から帝都ペンドラゴンまでは車で約四時間という所だ。
車中での会話は目的地である特務庁に到着するまで一度もなかった、かといって空気が重たかったわけでもない。
お互いに話をする気分ではないというのもあるだろう。
同時に話題がなかったともいえる、それは互いに知らない事が多いからだろう。
「用が済めば連絡する、それまでは好きにしていいぞ」
「わかりました」
彼女が手に持っていた紫色のマントを羽織り特務庁へと入っていくのを見届けてから彼も行動をはじめる。
背中を突き刺す様に感じる気配、それを感じながら特務庁の駐車場に車を預けて向かう先。
ブリタニアのバイオニクス関連において一翼を担う研究機関へと向かう―――――
自分を待っていたであろう特務総監が執務室に自分を通してソファーに腰を掛けるように促す。
極々普通な対応かもしれない。しかし、ノネットにとってそれは些か腹立たしい対応だった。
勧めに反して彼女はデスクの前まで進み憮然と腕を後ろに回して、まるで新兵の様な構えを取って総監である女性を見据えた。
ベアトリス・ファランクス、ブリタニア皇帝の主席秘書官にして特務総監。
特務庁の仕事、要は皇帝や皇族近辺の警護担当であり付随してナイトオブラウンズを預かっている立場とも言える。
それを踏まえて、ノネットはここに呼ばれた理由について理解はしている。
電話一本『特務庁に来なさい』のみ、しかし腹立たしい理由はもっと別の事だ。
「呼ばれた理由はわかっているわね、ナイトオブナイン」
「ああ、わかっているさ」
「結構。ではKMFの改修案を近日中に提出して頂きましょうか、各機構の新規案についてのデータは―――――」
事務的な対応に苛立ちよりも呆れにも似た諦めの感情がノネットの神経を静かに逆撫でしていく。
だが、我慢する以外の術はない。いや、言うだけ無駄というのが正しいのだろう。
それがこみ上げてくる怒りを抑えるには至らないだけだ。
「その他の詳しい事は派遣される特派の技術者に。以上です」
「他に言う事は?」
「ありませんが」
「……本当にないのか?」
「ええ、それがなにか?」
0209ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
2009/03/01(日) 22:15:00ID:dtQvlL/Aそれを聞いて控えていた秘書達は即座に執務室へと入ったが、それ以上の侵入はベアトリスによる手のみで制された。
ただ両手を机の上に乗せたままベアトリスを見続けるノネット。
その胸倉を今にも掴みかかりそうな気迫を放っている背中に不安を覚えながらも秘書達は踵を返していく。
この二人になにかを言える人間はこの場にいない。しかし、仮にこの二人を制する事ができるであろう人物は皇帝だけだ。
つまり秘書達の選択は正しい、この二人の関係は上司と部下という言葉で括る事が出来ない事も含めて。
その二人だけの空間に漂う沈黙、殺気にも似た感情を眼に宿らせてベアトリスを見据えるノネットの貌。
彼女もわかっている、なぜそこまで問い詰めてくるのかを。
だからこそ応えない、応えられる事が出来ないから。
「……ブリタニアは世界の全てに対して今も戦争をしている、わかっているでしょうナイトオブナイン」
「ああ、だからユーフェミア様は死んだ。あれだけの事をすればナンバーズに討たれるのも当然の事だろうさ」
「その物言い、まるで私達が殺したとでも言いたそうですね」
「違うとでも言う気か? 笑わせるなよファランクス特務総監、ユーフェミア殿下はな―――――」
「ナイトオブナイン、貴方がそんな事では困ります。今も尚ブリタニアと世界情勢、そして国民感情も冷えてはいない」
「ちっ……心底呆れたよ」
ノネットが発した落胆の言葉、それは本意ではない。
彼女とてわかっている、ここでブリタニアが退けば遺恨を残し続けるだろうと。
同時に今のバランスを覆せば被害を被るのは富裕層ではない国民達だ。
軍事需要や貿易、各エリアとの物流で潤っているのは利権を持つ貴族のみ。
一般市民はその余りで生活している、この状態はブリタニアの歴史を振り返れば十分でもあった。
以前より続いていた平定されない国内情勢に疲弊した状況を一変させた功績。
それが現政権への絶対たる忠誠心を生んでいる。だが、その代償には他国が蹂躙される結果だ。
しかし、現ブリタニア皇帝であるシャルルが掲げた国是。それに付随する利益。
隙あらば我が物にしようとしていた他国、主に中華連邦とEUによる虎視眈々と狙われていた状況の打破。
結局のところ、ブリタニアには選ぶ道がこれしかなかったのだ。
だからこそどうしようもなかった皇族に絶対忠誠を誓う軍部の体制、それと共に行なわれるナンバーズとの区別。
その末路にユーフェミアの死、コーネリアの失踪が絡んでいる。
だが、情報の統制と操作によって歪んだこの事実は国民の感情を煽り更なる世界制覇へと進めさせられていく。
自国の民か、いずれ起きるであろう悲劇か。
ノネットの選ぶ道もまた、自国を護る方向以外にはない。
その幾つもの考えに自分を沈め、彼女は執務室を後にしようとするが―――――
「……エニアグラム卿」
「ふぅ……なんだ、ベアトリス」
「先程も言ったとおり情勢は現在ですら先の見えない状況、貴方がそんな事では国民も不安がります」
「わかっているさ、ナイトオブラウンズの名がただの飾りじゃない事も含めてな」
「それに私とて人の子です、痛まないはずがありません……」
「だが、いずれは向き合わねばならない事柄だろう? 政治は得意ではないが、いつかは必ず露呈するぞ」
「仮にそうだったとして、解決できる人間は一生出てこないでしょう。それを可能とするのは―――――」
「人ではないだろうな。それも当然か、世界の全てを巻き込んで戦争を起こすなんて事をするのは」
その言葉を最後にノネットが執務室を後にしてすぐにベアトリスは肩を下ろした。
彼女もわかっている、こんな事を続けていればいずれ破綻する。
退く道がないところにいるのは追い詰められていくナンバーズだけだとは限らないのだと。
「これで大丈夫なのか?」
「肉体面の問題は全てクリアしてあります、後はどうとも言えない状況でして……」
「そうか」
投薬と検査を終えて体の動きを軽くチェックしているライを不安な表情のままで見つめるバトレー。
自分が誰を肉体改造したのか、その事実に震えながら彼は少年を見続けた。
「脳はどうだったんだ?」
「一部に謎の腫瘍があります、CODE-Rの物と酷似しておりますが未知の腫瘍ですので……」
「摘出はできないのか?」
「何分脳の中心部ですので……今の医療技術では不可能です……」
0210創る名無しに見る名無し
2009/03/01(日) 22:16:16ID:fQPmbK6p0211ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
2009/03/01(日) 22:17:02ID:dtQvlL/A問題はこれがどれだけのリスクを生むかどうかだ。
「……ところで」
「はっ、なんでしょうか?」
「その話し方はどうにかならないのか? 以前はそんな口調で僕に話しかけなかっただろう?」
「そ、それは……」
「僕が皇族の血筋だからか? その人間の体を好き勝手に弄った事を咎められるのが怖いのか?」
「うう……」
「余計な心配だな、僕自身にはもうわだかまりはない。だからもう少し楽にしてくれ、これじゃ聞きたい事も聞き辛い」
わだかまりはない、少なくともライ自身はもう解消している。
腹立たしくはないと言うのは嘘になるかもしれないが、少なくとも済んだ事をいつまで言い続けるのは趣味ではないのもあるだろう。
そして、そんな事に執心していられるほどの余裕もない。
腫瘍に関する事の簡易的な説明を受けてからライはそのまま駐車してある車の元へと戻ってきていた。
(データと比べて以前より大きくなっている、か。となればいずれは―――――)
死亡、もしくはそれに近い事が体に起こる。
それがバトレーの見解と医学的見地を合わせた診断結果だった。
目覚める前に見たC.C.の記憶、そこで出会ったはずであろう人物。
(なぜ思い出せないんだ……なにかを聞いたはずなんだが……それされわかれば―――――)
「おい、こんなところでなにをしている」
「ん? ここで待っているだけだが」
「見かけない顔だな、それにお前―――――」
「貴様ハーフだな、ハーフが特務庁になんの用だ!」
(まったく……教育が行き届いているのは結構だが少し横暴過ぎるだろう、これは)
数人のブリタニア軍人、それもKMFのパイロットであろう士官の服装。
揉め事を避けたいライはあれこれと言葉を続けるが相手に聞く耳はない。
そのまま胸倉を?まれる形になったのだが―――――
「あら? エニアグラム卿、お久しぶりですね」
「モニカか? お前も呼ばれていたのか」
「ええ、KMFの改修案を出して頂けるかしらってファランクス総監に」
ノネットはモニカが声をかけるまで見ていたであろう窓の外に視線を向けると、自分の運転手が軍人に絡まれている姿を見つける。
モニカが男性に興味があった事にノネットは驚いたが、それ以上に次に飛び込んできた光景に彼女は驚愕した。
ライの胸倉を掴んだ軍人が空に舞い背中から地面へと落ちて、その二呼吸遅れて飛び掛ってきた軍人全てを薙ぎ倒す光景。
拳、蹴り、投げ、言葉で表現すればありふれた物だ。しかし、その体の動かし方は―――――
「珍しい、と言うよりは変わり者のようですね」
「あ、ああ……あんな演舞用の武術を実戦で使う奴がいるとはな……」
「本当です。しかもフィアナ流といえば演舞者自体も少ないというのに」
流れる様に体を動かし、時に相手の力を飲み込んで返す。西洋剣術と体術の流れを汲むブリタニアでは珍しいどころか目にかかれない技術。
ノネットとモニカ、この二人ですら士官学科での映像教材でしか見た事がないものだ。
倒された軍人達は事態を飲み込まず、再度攻撃しようと立ち上がりライへと向かおうとする。
しかし、間に割って入っていく栗色の髪の少女を見て二人は茶番はもう終わりだなと結論付けた。
「さて、これ以上の騒ぎは御免だな。止めに行くか」
「エニアグラム卿の知人だったのですか? それでしたら面白そうですわね」
「興味があるなら話してみるか? 私もちゃんと話した事がないから丁度いい機会だ」
「お止めなさい! 貴方達もブリタニア軍人なら毅然と―――――」
「なんだ、グラウサム・ヴァルキリエ隊か? その割に見慣れない顔だな」
「新人だろ? おい、新人が俺達に文句を言おうってのか!?」
「ううっ……し、新人は新人ですが、それでも同じ軍人としてですね!」
「すまない、止めてくれた事は感謝するが……君が割って入ったから話が余計に面倒になっていると思うぞ?」
「えええええっ!?」
0212創る名無しに見る名無し
2009/03/01(日) 22:18:17ID:fQPmbK6p0213ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
2009/03/01(日) 22:19:02ID:dtQvlL/A状況をややこしくした事もあるが、同時に少し懐かしい事もあった。
アッシュフォード学園にいた時に親しくしてくれた少女と似て明るく誠実なところに。
「戯れはそこまでにしておけ。そいつは私の預かっている者だ、なにか問題があるか?」
「ナイトオブナイン!? それにナイトオブトゥエルブまで!?」
「お、おい行こうぜ……し、失礼しましたっ!」
一応の敬礼だけをして去っていく軍人を眺めながらライはラウンズという名の重さをようやく理解した。
同時に疑問もあった、なぜエリア11で起きた黒の騎士団によるテロの際にすら出撃しなかったのかを。
「やれやれ。で、お前はルキアーノのところの新人か?」
「は、はいっ! マリーカ・ソレイシィですっナイトオブナイン!」
「はっはっはっ、ルキアーノの部隊員の割には元気だな」
「ええ、ヴァルキリエ隊は淑女が多いですから」
ノネットの後ろからついてきていた見覚えのない女性にライは疑問よりも警戒をしてしまう。
その身に着ているのはノネットと同じ純白のスーツに黄緑色の外套。
それだけで十分にわかる事実、彼女もまたナイトオブラウンズの一員なのだと。
「マリーカ、なにをしているの? もうすぐミーティングの時間よ、急ぎましょう」
「はい、リーライナさん。それでは、失礼します」
マリーカの先輩らしき金髪の女性に呼ばれて去っていく二人の姿をライは見届ける。
あくまで見届けているだけだったのだが―――――
「なんだ、惚れたのか?」
「それはありません」
「面白味のない奴だなぁ、そこで冗談の一つでも言ったらどうだ?」
「はぁ……彼女達はどこかの特殊部隊の所属なんですか?」
「ふふっ、特殊部隊ではなくてラウンズ直属よ。それもブリタニアの吸血鬼の、ね」
吸血鬼、というのが比喩か誇張された表現なのか。
些か似合わない異名に疑問を抱きながらもライは二人の言葉を待った。
できる事なら早く帰りたいというのが本音だからだ。
「そういえば自己紹介がまだでしたわね。私はモニカ・クルシェフスキー、ナイトオブラウンズのトゥエルブよ」
「ライです」
「その続きは? そういえば、お前の家名はなんなんだ?」
「聞かない方がいいですよ、色々と」
「面白い返答ですね、武術は誰に教わったのです?」
「その質問の意図を聞きたいですね、別段珍しくもなかったでしょう?」
ライの返答に二人はきょとんとして目を合わせて、その一呼吸遅れてノネットが大笑いした。
モニカもモニカで面白いのか、くすくすと笑っている。
「あれだけの事をしておいて珍しくもない、か。お前、面白いな」
「……僕は面白くないです」
「失礼。エニアグラム卿、どうやら陛下の客人は余程の人物みたいですよ」
「みたいだな」
そのままモニカは一礼して去ろうとするのだが、振り返り様に派手につんのめるのを見て慌ててライは受け止めた。
モニカが照れ笑いしながら礼を述べるのを見ながら彼の脳裏に一つの答えが出る。
ナイトオブラウンズは変わり者の集まりなのだろうと。
「ジョン、戻ったぞ」
「おかえりなさいませ。して、いかがされますかな?」
「とりあえず帝都のKMF工廠へ運搬させよう、オーバーホールも一度必要だろうからな」
「かしこまりました。ライ殿も務め、御苦労様でしたぞ」
「はぁ……ありがとうございます」
邸宅に帰宅してジョンによる出迎え。
変わらなかった日常に現れた変化、それはノネットが帝都に出向いただけでは終わらない。
この日を境に彼女はライとの肉弾戦・KMF模擬戦をしていく事になる。
一日も間を空ける事もなく、毎日毎日。
時には夜になっても止まる事もなく―――――
そんなある日、彼はジョンと話す機会があった。
0214創る名無しに見る名無し
2009/03/01(日) 22:19:36ID:XE6ST8bf0215ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
2009/03/01(日) 22:21:02ID:dtQvlL/A「き、聞かないで下さい……見ればわかるでしょう……?」
「ほっほっ、随分と疲れ果てておりますな」
なにが入っているのかはわからない水筒を手渡され、彼は一瞬躊躇したが飲まないのも失礼だと考えた。
それに時間は既に幾らか経っているのに今更始末されるとも考えられないなと。
「当家のスタミナ飲料はよく効きますぞ。時にライ殿はまだ成人されていらっしゃらないようですな」
「それがなにか?」
「なに、老爺の戯言です。今は良いでしょうが将来の事を考えておられては?」
「未来について、か……自分の事に関してなら特には」
「それはそれは。ふむ、あまり急く事もないでしょうに」
「はぁ……」
「一度ノネット様に軍に入られた時の事を聞かれるが良いでしょう」
「そこはジョンさんが、とは言わないんですね」
「所詮は老いた執事、若人に説く言葉は知れども騎士たる者に説く言葉は知りえてはおりませんからな」
その言葉の意味、真意。幾らかの言葉を交わしてもライはこの老人がやはり苦手だった。
だが、言いたかった事を理解できないわけでもない。
実にシンプルなものだ、もう少し幸福を求めてもいいのではないかという問い。
しかしライにしてみれば失笑する他に術を知らない。
今更幸福を求めるなどと―――――
『―――――イ……生き……るのよ……』
「珍しいな、お前でも読書はするのか?」
「失礼ですね、僕でも本は読みますよ」
「そうか、それは悪かったな」
ライは食事を済ませた後、書斎で本を物色していた。
その手には一冊の本が収まっている。
彼は寝る前に読書をする、ここでの生活において日課になっている事の一つだ。
「ロマン・ロランか。父も母もよく読んでいたな、それは」
「そうなんですか。それにしても随分と節操のない蔵書ですね、ここは」
「私もそう思うよ。種類を問わずに集めていたみたいでな、私はたまにしか読まないからよくわからないんだが」
そう言いながら彼女も一冊の本を棚から引き抜く。
題名からしてブリタニアの戦記を記した書籍なのだろう。
それを訝しい顔で見つめたまま、その本を彼女は彼の方向へ向けて軽く振って見せた。
「……そういえばジョンさんに言われたんですが」
「ん〜なんだ?」
「ノネットさんが軍に入った時の話を聞けと」
ライの言葉にノネットああ〜などと言いながら頭を軽く掻いた。
少々の沈黙の後、彼を手招いて食堂にまで足を運び紅茶をジョンへ要求する。
その流れに彼は余程重苦しい話なのだろうと思わずにはいられなかった。
テーブルを挟んだだけの僅かな空白、少なくともそれは二人の距離の証明でもあるのだろう。
「知っているとは思うがブリタニアは随分と国内情勢が安定しなくてな―――――」
思い出すように彼女は言葉を続けていく。
ブリタニアが安定しない事、その中で現皇帝のシャルルが即位した時は荒れに荒れた事。
即位以降ではナイトオブラウンズの造反、その結果はラウンズの二人を残して事実上の崩壊。
その暗く重い時代の中で民衆の支えとなるマリアンヌという騎士の栄転と実力の草子。
「当時の私は子供でな、その話を聞いて……」
「それでどうしたんですか?」
「勢い余って士官学校に入った」
「……はっ?」
先程までの重苦しい声とは違い明るいトーンになったのを彼は思わず呆け面で受け止めてしまう。
しかもどこがどうなればそういう話になるのかも理解できなかったからだ。
0216創る名無しに見る名無し
2009/03/01(日) 22:22:06ID:fQPmbK6p0217創る名無しに見る名無し
2009/03/01(日) 22:22:47ID:XE6ST8bf0218ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
2009/03/01(日) 22:23:02ID:dtQvlL/A「あれはもう大変でしたぞ、先代のあの慌て様は未だかつてありませんでしたからな」
「当然でしょう……跡継ぎが急に軍へ入るなんて言い出せば……」
「それもそうなんだがな。だが、私はそれが嫌だったんだよ」
旧体制にも似た家名の存続を優先するよりも彼女は国を重んじた。
自分は辺境とはいえ貴族、民衆から這い上がり代表的存在になったマリアンヌが国に尽くしているのに自分は家を護るだけ。
その現状を彼女は認められなかった。
「私にとって世界なんてものは目に見える範囲の事だったからな、だからマリアンヌ様の話は驚いたよ」
「世界は果てしなく広い、といったところですか」
「そうだな、そういう表現が一番かもしれないな」
「この辺りの農夫方も先代の説得に参られましてな。いやはや、あの日は最高でしたぞ」
「最高、か。確かに最高の日だったな」
そう言って彼女は窓の外に視線を向けて邸宅の先に広がる領民の家を見た。
彼も続いて見た先では家には明かりが灯っており家族の団欒の時間なのだろうと見て取れる。
「ああ、本当に最高だったよ。エニアグラムの娘じゃなく、ノネット・エニアグラムとして生きられるという事がな」
「まるで子供が自立をしたみたいな言い方ですね、それ」
「そうだな。だが、世界はどこまで続いていると知ればそうも思うさ」
「無限の可能性を知った様な表現をしますね」
「そういう事だろう? 私はどこまでも進める、なんでもできるんだとな」
跡継ぎとして、結婚をして、子を生して、家督を譲って、そして老いていく人生。
そんな人生が嫌だったわけではない、ただそれ以外の道を知ってしまったのだと。
彼女は言いたかった、それは彼にとっては他人事にも等しい事柄でもあった。
「結果として世界を巻き込んだ戦争に加担してしまったのは後悔しているがな」
「辞めようと思えば辞められるでしょう」
「私にも誇りはある。それに自分で選んだ道だ、後悔はしても責任は取るさ」
窓へと向けた視線を彼に戻して真剣な眼差しで見た。
彼はまだ窓の景色に執心している、それを意に介さず彼女は言葉を発する。
「まぁ、要は誰にでも可能性はあるという事だ。勿論お前にもな」
「そう思うのはノネットさんだけですよ」
「その言葉を言った事、いつの日か後悔するぞ〜?」
「しませんよ、絶対に」
視線を変えず窓の外の景色を見続ける彼にこれ以上の言葉はない。
後は本人の意思だろう、そう思い彼女は席を離れた。
しかし、彼女は言葉の続きが腹の中にある。
今のまま強くなり続けても限界はいつかくる。
だが、もしその先を知った時―――――
「あいつ、マリアンヌ様よりも強くなれるかもな」
ライと帝都に出向いた日からノネットは少しずつ変わっていった。
塞ぎこむのを辞めて外に出てはライとの模擬戦にKMFの改修と精力的に活動している。
それにつき合わさせられているライは急なハードワークで最初は疲弊したが最近は慣れたものだ。
目覚めてから一ヵ月、彼は成長をし続けているが世界情勢に変化はない。
「いい加減、少しは動いてみるか……」
特務庁の駐車場でいつもの様にノネットを待ちながら彼は幾つかの行動を考えた。
手に入る情報は表面上の情報だけだ、つまりギアスに関する事は自身の身体についてしか知りえていない。
「こんなところで待っていたらまた問題が起きますよ?」
「ん? ああ、マリーカさんか。こんにちわ」
「こんにちわ〜ってそうじゃないです!」
相変わらず元気な子だなと思いながら彼は頭の中の考えを止めない。
ノネットと共に帝都に来てから感じる視線、その視線に対してアクションを起こすか。
それともV.V.の元に行きギアスに関する事の探りを入れるかだ。
0219創る名無しに見る名無し
2009/03/01(日) 22:24:10ID:XE6ST8bf0220創る名無しに見る名無し
2009/03/01(日) 22:24:15ID:fQPmbK6p0221ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
2009/03/01(日) 22:25:02ID:dtQvlL/A「はい、ナイトオブテンのKMFの改修案についての認印を貰いに来ました」
「直属部隊も大変そうだな」
「そうなんですよ〜それに新任のラウンズの資料も貰ってこいとか馬上試合の事も聞いてこいとか」
「そこまでくるとただの小間使いだな」
「ひ、酷いですっ!」
そのまま他愛のない話だけして別れたが、その間にライはアクションの一つを選んていた。
会話の間だけ強く感じた視線、自分を見ているという他者の意識。
見えないなにかを探るよりまずは身近な事柄を処理しようと―――――
「ちょろちょろ動いて……子供じゃないんだから」
少女は少年を追いかけた。
最初は高層ビルの屋上から見届けていただけだったが、そうも言っていられなくなった。
高層ビル群の中へと進まれて見失うの愚かしい。
そう思い人込みに紛れて少年を追い続けた。
その少年がビルの間に入り込んだのを見て追従したのだが―――――
「いない!?―――――」
「上にいるぞ―――――」
背後からの不意な衝撃と首と手を固められた勢いで彼女は地面に寝そべる形になってしまう。
両手は固められている、首もしっかりと極められている。
つまり彼女は完全に拘束され生殺与奪の権利を追跡していた少年に与えてしまったのだ。
「尾行をしていた割には無用心だな、路地裏に入っただけでなにもしないとでも思ったのか?」
「ど、どうやって……」
「簡単な事だ、追跡者が誰かわかっているならタイミングを見計らって視界から一瞬だけ消えてやればいい」
「路地裏に入ったのも……」
「ただの目晦ましだよ、本命は君だ」
ライは尾行している人間を特定してから路地裏に入った。
しかしただ入れば捕まえられるとも思わなかったのだ。
自分を尾行する可能性がある組織、ないしは人間。
それがギアスに関係する者だった場合、対策をしなければならない。
「ロロの能力、自分の能力、それを考慮すればこれがベストだろう?」
「だからって普通する……あんな台の上から飛んで……背後に回るなんて……」
「できるならする、可能だったら実行する、基本だろう?」
「あんたって……もしかして体力馬鹿……?」
既に力関係は明確だが、それでも悪態を続ける彼女に彼は呆れた。
だが敵対関係になるなら話は別だ。
「答えてもらうぞ、色々とな」
「その質問はナンセンスでしょ、私みたいな下っ端が知っていると思う?」
「期待はしていないさ、ギアスは持っているのか?」
「……ええ、持っているわよ。無理矢理与えられたのをね」
「無理矢理……だと?」
ライは予想の中になかった答えに対して困惑した。
自分の意志で望んだのではなく、他人の意志によって与えられたのだと。
「ロロもそう……誰が好き好んでこんな力なんか……」
「与えたのはV.V.か?」
「そうよ……勝手に与えておいて人を失敗作呼ばわり……」
「ちっ、よりにもよって……」
ライは少女の返答に苛立ちと怒りを覚えた。
自分で望んだのなら代償があるのは当然だろう。
しかしこの少女は無理矢理与えられ、更には危険を孕んだ代価まで払わされたのだ。
その返答に質問を続けるの止めて彼は拘束を解いた。
少女に対してこれ以上の行動ができる筈はないと。
0222ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
2009/03/01(日) 22:27:02ID:dtQvlL/A「……本気なの? 不利になっても知らないわよ」
「生憎と君達に怨みはない、それにこれ以上の行動はプライドが許さないからな」
「なにそれ?」
「V.V.が嫌いって事だ」
彼の返答に少女はきょとんとしてから思わず笑いそうになってしまう。
自分の行動と指示をした人間を嫌悪しているとその手下にわざわざ漏らしたのだ。
それは自殺行為にも等しい、それをさらりとしてしまった事があまりにも可笑しかったのだ。
「面白い事するんだ」
「そうか、僕は面白くはないんだがな」
「面白いわよ、それもすっごく」
「はぁ……まったく……それで名前は?」
「名前? アリスだけど」
「アリスか、覚えておくよ」
そのまま彼はアリスに追跡について色々と付け加えた。
自分を尾行をするなら隠れずに普通についてこいと。
それから自分を失敗作だと思うなと。
「細かい事はいずれ言う、とりあえずは以上だ」
「V.V.様に言うなとは言わないんだ」
「好きにすればいい。こっちもリターンはそれなりにあったからな、リスクは背負うさ」
そう言ってそのまま街の雑踏へと戻っていく彼をアリスは黙って見送った。
本当ならば追うべきだろう。
だが、彼の行動と言葉が発したか不思議な魔力は彼女を躊躇と共にこのままでもいいのだろう思ってしまう。
それはギアス嚮団という特殊な環境において存在しなかったものだからだろうか。
「世界には面白い人がいるんだね、ねえ―――――」
彼女は思わず空へ想いを伝えてしまう、懐かしい名前と共に―――――
特務庁の駐車場に戻ったライはノネットの姿を探したがまだ戻ってきていなかった。
随分と時間が経った筈なのだがと思いながら、彼は視線を右往左往させた時。
そこで場違いとも思える少女の姿を見つける。
しかし出で立ちはここにいて当然という姿だった。
カスタマイズされたであろう純白のスーツに桃色の外套。
(ナイトオブラウンズか、見たところナナリーと同じ年頃みたいだが……)
携帯を弄るのに忙しいのか、彼の視線に気付かず彼の前を通り過ぎようとする少女。
その懐から落ちた書類にも気付かず歩いていくのを見て彼は少女を呼び止めた。
書類を拾い少女に手渡そうとした時―――――
「書類、落としましたよ」
「……ありがと」
『っ!?』
彼の目の前にはフラッシュバックが起きて、少女は虚ろな瞳になっていく。
感じ慣れない意識の流入、感じ慣れた意識の遮断。
『僕達の計画は無かった事になってしまう―――――』
(ぶ、い……つ……)
『相も変わらず嘘吐きばかりよな、このブリタニアという国は。のう、マリアンヌ?』
(こ……う、て……いま……で……)
不意を疲れた衝撃に手に持っていた書類を落として彼は膝をついてしまう。
頭の中で鐘をがん、がん、と鳴らされたような痛みの中で見上げた少女の顔。
最初は虚ろな表情だったのだが、次に浮かべた表情は微笑だった。
0223創る名無しに見る名無し
2009/03/01(日) 22:27:15ID:XE6ST8bf0224創る名無しに見る名無し
2009/03/01(日) 22:30:15ID:fQPmbK6p0225ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
2009/03/01(日) 22:30:44ID:lIVAuCX5「こんなところでユーザーに会うなんてね。しかも、陛下に勝るとも劣らない程の力」
「なっ……ギアスを知っているのか!」
「知っているわよ、それも貴方よりも深くね。はじめまして、私の名はマリアンヌ・ヴィ・ブリタニア。聞いた事位はあるでしょう?」
「マリアンヌ、だと……!?」
砕けたガラス絵は元には戻らない。
願い続けなければ想いは色づかない。
王が繰り返すのは罪と罰。
それでも全てを背負わねばならない。
指の隙間から全てが堕ちていこうとも―――――
0226ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
2009/03/01(日) 22:31:17ID:lIVAuCX5まさかのマリアンヌ様早期登場に自分でビックリです
幸せに興味がなそうなライはどこまでも捻くれているのはよろしくないですね
アリスと絡んだりマリーカと絡んだりもして大忙しなブリタニアでの生活
その過程で何を知って何を決断するのか
その決断は本編でどう成って変化するのかが楽しみですね
では、次回の12話でまたお会いしましょう。失礼しました
0227創る名無しに見る名無し
2009/03/01(日) 22:33:14ID:jro5dovc0228創る名無しに見る名無し
2009/03/01(日) 22:33:28ID:jro5dovc0229創る名無しに見る名無し
2009/03/01(日) 22:42:15ID:Cb8SWG3tマリーカやアリス、執事さんが今後ライにどんな影響を与えるのか、彼の体が抱える問題とは…気になります。
そしてこれが現在にどうつながるのか、次回を楽しみにしています。
0230創る名無しに見る名無し
2009/03/01(日) 23:54:28ID:gekdeDt/ぷにぷに卿、GJでした!
ブリタニアで多くの人と出会っていくライ。
色々なことが起こっていきますねぇ。
そしてマリアンヌ……この邂逅、どうなるのか……
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
0231創る名無しに見る名無し
2009/03/02(月) 01:59:37ID:u+AFTNqd面白かった!!
オレンジが生きていることを知っている読者としては
リリーシャの動機の「弱さ」は少し気になっていたところだったのですが
こうもきっちりひっくり返してくれるなんて。
スザクがどう動くか、ルルーシュの行末も気になる……
どう転ぶかわからないギアスらしさを持った作品、本当に楽しみにしています。
ぷにぷにさん
面白かったです。細部まで作りこまれていて読み応えがすごい。
ギアス編からのライが、自分で定めた分を守りながらも
ノネットと交流を重ねていく過程が良いなあと。
執事さんも素敵だ。マリーカやアリスたちとの絡み方も自然で、
あちこちにきっちりネットワークがつながっていく感じ。
続きを読める日を楽しみにお待ちしています。
あー面白かった。
0232創る名無しに見る名無し
2009/03/02(月) 19:48:08ID:nq3kzQl/それにしても、今回もそうだが、古参(?)の職人は投下タイミングが似てる気がwバイオリズムが似てるのかな?w
ということは、そろそろあの人とかあの人の投下もあるかもってことかw
0233創る名無しに見る名無し
2009/03/02(月) 21:08:40ID:wV7syBfm俺もその意見を信じてそろそろ投下されると信じている
0234創る名無しに見る名無し
2009/03/02(月) 21:22:40ID:SPLGR4DZ俺もそう信じて全裸で待っているところだ
主に青さんとか
0235創る名無しに見る名無し
2009/03/02(月) 21:44:39ID:cXQ4jo81ライのこれまでがわかっていっそう物語が深くなりましたね
もう一度今までの話を見てみたくなりました続きが楽しみです
0236創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 09:45:04ID:ZTLYmf4w激しく同意!!
また古参の方々の投下が復活し、このスレがさらに活気づくことを願っています。
0237創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 15:08:41ID:w9M0UQ2I0238創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 17:58:52ID:MOz3pE2b0239創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 18:43:20ID:w9M0UQ2I九州でのネリ殿下のデレはいつ見ても驚愕しますなw
0240創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 19:09:23ID:3mfgIDPW0241創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 19:45:23ID:qFt9o5+a0242創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 19:46:34ID:qFt9o5+a「ユーフェミア副総督、何ともったいなき…………」
「ほむーっ!」
「いや、ユフィ。……ありがとう」
「初めからそう言えばよいのです! さあ、あちらに――」
などという微笑ましい二人の光景を、執務室の窓から見ていたライはふと、左の方を向いた。
そちらには今ライの前にある窓と同様の物があり、
「…………」
エリア11総督、コーネリア・リ・ブリタニアが自分と同じように窓の外を覗いていた。
(ん……?)
ライはそこでコーネリアの様子がおかしい事に気付く。
そもそも厳格なコーネリアが執務の手を止めている事自体が珍しい。
今、彼女はユーフェミアとスザクが仲良く庭園で昼食をとっている姿をじっと見つめ、立ち尽くしていた。
(お腹が空いたのか……?)
まず最初に思い浮かんだのがそれ。だがライは自分の考えを即座に否定した。
まだ彼女の補佐に就いて日も浅いが、空腹に我を忘れる人物でない事くらいは理解できる。
ならば、ここまで彼女があの二人の姿に心奪われている理由は何だろうか。
(あ、)
そして、ライは一つの心当たりに思い至った。恐らく理由はこれだろう。
「コーネリア総督」
「ん!? な、なんだライ。ああ、仕事の途中だったないかんいかん……」
ライはあたふたと自身の机に戻ろうとするコーネリアに向かって、
「ユーフェミア副総督ならば、コーネリア総督が行かれても迷惑などと思われないと思いますよ」
そう頷きながら言った。
しかし、
「…………ライ、お前は何を言っている?」
コーネリアはきょとんとした様子で首をかしげた。
「え、コーネリア総督がスザク達を見て何やら考え事をしていらしたので、てっきり……」
「ば、馬鹿者! そんな訳ないだろう! 大体、確かにあの枢木という男はあまり気にいらないが、二人の昼食に割って入るなどと無粋な事が出来るか!」
まくしたてるようなコーネリアの言葉にライは思わず一歩退きながら、内心疑問に溢れていた。
(あれ、違ったかな……)
以前彼女がユーフェミアと語らっている時間があまり取れていないと愚痴を零していたので、てっきりそれが理由なのかと思ったのだが。
コーネリアは頬を軽く蒸気させながら懸命に否定している。
照れくさくてそうしているのかとも思ったが、本当に違うらしい。
0243創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 19:48:46ID:qFt9o5+a「お主は私を馬鹿にしているのか!?」
「で、ですよね……」
流石にそれはないかと納得しつつ、
「では、どうされたのですか? 総督にしては珍しく呆けていらしたので……」
「む!? そ、それはだな……」
そこでコーネリアは荒げていた声をいっそう弱め、もごもごと口ごもった。
(よっぽど言いたくない理由なのかな?)
ならば彼女のためにも、この話題は変えるべきか。
そう思った頃、コーネリアが重い口を開いた。
手を腰の後ろで組み、顔を真っ赤に染めながら、
「いや……少しな、ライ……お主“と”……お弁当などを……」
「え、僕“の”弁当ですか?」
この時、ライはコーネリアの眉尻がぴくりと下がった事には気付かなかった。
ライはただただ一人で納得して、
「分かりました。ユーフェミア副総督のように凝った物ではありませんが……総督の言うように致します!」
「ちょ、ちょっと待てライ……少し誤解があるぞ……」
うろたえるコーネリアを両手で制し、ライは深く頷いて答える。
「コーネリア総督、遠慮なさらずに。庶民の味に興味を持たれた事は大変嬉しいです」
「いや……だからな……」
「今すぐ取ってきます。では!」
ライはぴしっと敬礼、そして自分の弁当を取りに勢いよく部屋を飛び出して行った。
・・・・・
部屋に一人残されたコーネリアは、
「あの脆弱者め……! いつ私がお前の弁当が欲しいと言ったのだ! まったく、いつもいつもあやつは先走りおって!」
一息、
「……まあ、悪くはないかもしれんな」
と、顔を赤らめつつライの帰りを待っていた。
今日も政庁は平和である――
0244創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 19:50:35ID:qFt9o5+aさて、次はヒロインカレンを書くか
0245創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 20:00:57ID:LfB2FqG2GJでした!
なんだこのネリ様は!
可愛いぞ!
30分でこれか……素晴らしい!
貴公の次の投下も全力で期待しています!
0246創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 20:20:35ID:vFn48eh5私も……頑張ろう
0247創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 20:38:48ID:qFt9o5+a0248創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 20:40:45ID:qFt9o5+a格納庫で紅蓮の整備をしていたカレンは、突然の背後からの声に振り返った。
神妙な面持ちでカレンの後ろにいたのは、
「ライ? どうし――きゃっ!」
思わず悲鳴を上げてしまった。
いきなりライがこちらの腕を掴んできたのだ。
動揺、混乱、そして少しの期待。
色んな思惑を孕んだカレンが次に出した言葉は、しかし、
「痛っ……」
ライに掴まれた手首から刺すような痛みが走った。
「やっぱり……」
そう言ったライの声色は低く、少し怒っているようだった。
「今日の動きが変だったから気になってたんだけど、これが原因だね。なぜ黙っていたんだ」
「う……こんなの、すぐ治るわよ!」
カレンは強気に腕を振り払おうとした。
確かに、今日の作戦前に手首を軽く捻っていたのは事実だ。だが操縦に支障は無かった……と思っていたのだが。
誰も、ましてや自分でも気付かなかった微かなタイミングのズレに、ライだけが気付いてくれた。
とても嬉しい事なのに、素直になりきれず、つい彼の優しさに反発しようとしてしまった。
だが、
「いいから医務室に行くよ」
「ええ!? ちょ、ちょっと!」
「文句は治ってから聞くよ。後、ゼロに言って明日の作戦からカレンを外してもらう」
「そ、そんな!」
カレンは絶望に打ちひしがれた気持ちになった。
腕を捻って作戦に支障をきたすなどとゼロに知られては、自分の評価が著しく下がってしまう。
「駄目よ、そんなの!」
強引にライの腕を振り払う。今度は成功した。
「私は、こんな事で立ち止まったりしたくないの。ゼロの期待に応えたい……そして日本を取り戻したいの!」
「カレン……」
「だからお願い、ライ。怪我なんてすぐ治るからゼロには……」
「…………」
こちらの懸命な願いを聞き届けてくれる気になったのか、ライはすっと目を閉じて黙ってしまった。
長い長い沈黙の後、ライはおもむろに携帯電話を取り出して、
「…………ああ、ゼロ。ライだ」
「え……?」
一瞬カレンの理解が遅れた。
その隙を見逃すまいと、まくし立てるようにライは電話に話し掛けた。
「カレンが怪我をしてね。ああ、大した怪我じゃない。ただ明日の作戦には外して構わないね。ああ、前衛は僕が……ああ、頼むよ」
「ええーーっ!」
カレンの抗議の声も時既に遅し。
ライは満足そうに頷いてゼロとの通話を終わらせた。
0249創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 20:44:19ID:qFt9o5+a「カレン」
こちらの声を遮って、ライは真っ直ぐな視線と共に言った。
「確かに君の言う事も分かる。君が作戦に参加するのとしないのとでは成功確率に大きく差が出来るし、皆の志気も下がる」
「だ、だったら……」
ライは両目を閉じ、左右に首を振って、
「でも、無理して戦場に出られたらこっちも困る。そして……その怪我のせいで君まで失ってしまったら……」
「ライ……」
今度は優しく、ライはカレンの腕を掴んだ。
「頼む。こんな事で君への信頼は揺らいだりはしないさ。だから僕の言うことを聞いてくれ」
「…………うん、わかった。ごめんなさい」
しゅん、とカレンはうなだれながら言った。
ライは少しだけばつが悪そうに、
「カレン……」
「いいのよライ。だけど、そう言ったからには、私の分まで頑張ってよね」
「ああ、任せてくれ」
そうして二人は手を取り合って医務室へと足を運んでいったのである――
・・・・・・・
「なーんてこと、無いわよね……」
「どうしたんだ、カレン?」
「ひゃーーっ!!」
背後から掛かった声に、カレンは思わず飛び上がって距離をとった。
その反応に逆に驚いたライは、
「ど、どうしたのさ……」
「いいいいや何でもないの。そう、何でもないの。ちょっと腕を捻っちゃって…………あ」
「ほう……詳しく聞こうかカレン」
「ちょ、ちょっと待ってライ。落ち着いて、私は大丈夫だから――」
「ああ、丁度いいゼロ。カレンが話があるそうだぞ」
『なんだ?』
「ええー! 話が違うー!」
今日も黒の騎士団は平和(?)だ
0250創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 20:46:33ID:qFt9o5+a0251創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 20:47:38ID:CzafXINE0252創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 20:49:51ID:LfB2FqG2速いぃぃぃぃぃ!
だがGJ。
まさかの妄想オチに全俺が吹いたw
何だこのクオリティはッ!
素晴らしいの一言に尽きる!
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!
0253創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 21:01:09ID:ZTLYmf4w俺もロスカラの騎士団カレンルートをプレイしてから脳内でライカレが公式カップルになった!!
0254創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 21:01:52ID:ZTLYmf4w俺もロスカラの騎士団カレンルートをプレイしてから脳内でライカレが公式カップルになった!!
0255創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 21:32:07ID:XQeGOmiyすごいですね。
両方とも短い時間に書き上げたにもかかわらず、完成度の高さ、面白さはすばらしいの一言。
GJです。
0256創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 21:44:03ID:J6OeY1fM行きたいと思います。KYと言われようが行きます!!
「英雄 一章 」
ライの過去話です
10レス位かかります、支援の方どなたかお願いします
0257テリー
2009/03/03(火) 21:46:28ID:J6OeY1fM初めに教科書に記載されている事を話そう。
それによれば、この時期のブリタニアは周辺諸国とは友好関係にあったとされている
それは当時の皇帝の力と政治家達の必死の交渉、強大な軍事力と有能な人材etc
国力、軍事力共に歴代1とも言われているその強大な“力”で周囲に圧力を
また友好関係を築き後の国定に大きな影響を与えまた当時は戦争をする理由を
相手に与えなかった、つまり隙が全く無かったのだ。
しかし
とある北方領土「ヘレナ」の王がした過ちで遂に戦闘へと突入してしまい
あわやヘレナのみならずブリタニア全土を巻き込む全面戦争へと発展しそうな
所を「ヘレナ」と「北の蛮族」の壊滅と引き換えに回避する事が出来た。
この「ヘレナ」こそライが王として治めていた領地、そしてギアスの魔力
で壊滅した地であった・・・・・・
さらに教科書にはヘレナ壊滅は時の王の所行による物であるとし、ブリタニア一族
の恥さらしとされ永遠の汚名を着せられている、しかも明確にハッキリと。現に今日
の歴史家も満場一致の結論なのだ。
それはライの事か?
その真実とは―――――
「英雄」
0258テリー
2009/03/03(火) 21:47:51ID:J6OeY1fMここは剣の交わる訓練場、何百という兵士達が日々鍛練を積む神聖なる場所と軍内部
での暗黙の了解となっている。どんな人物も、例え市民でも貴族でも、ブリタニア皇族
でも例外では無い。そこに身分は関係ないのだが
「も、もうこれ以上はできぬ・・・・・」
「最早ですか!?まだ30分程度ですぞ!!」
「それでも無理なものは無理なのだ!!休ませてもらうぞ!!!!」
そう吐き捨て訓練場を後にするのは皇族の一人、ドレイク・サン・ブリタニア
極度にして重度の臆病者にして怠け者。この訓練も中途半端にしかやらない
皇族の面汚し的存在でしかない。
「まったくドレイク様は」
「言うな、バルト様に聞こえる」
バルト・サン・ブリタニア、ここヘレナの王。詳しい事は後にするとして――――
ドレイクに呆れている兵士達、彼は今では28にもなると言うのに政治には無関心
特に何かすると言うわけでもないグータラ野郎として軍、住民、領民の評判は
それはひどいものが有った。
「兄があれなら弟もどっこいだな」
「ああ、兄弟そろって・・・・・なぁ」
ドレイク実の弟、クルーガー・サン・ブリタニアも同じ様な者で親の七光と言われる
始末でとても手に負えない位の悪評価。それでもこのヘレナは北方と本国及び各
領地とを結ぶ主要交通の要と位置図けられているため産業、商業が盛んで重要地と
されているので一定の援助がある。それが無ければここは荒地になっていただろう
「あの兄弟とは天と地の差だな、あのお二人は」
「そうとも!ライエル様方が居なければここはどうなっていた事か」
「妹のフレイ様の影響力にエレナ様の統率力は見事なものだ」
その訓練所の側では
「はっ!!いやぁ!!」
「まだ筋が甘い!!隙を見せれば一瞬ですぞ!!!」
訓練場で剣の鍛練を積む青年こそライエル・エス・ブリタニア、ライだ。汗を大量に
流しながら必死に鍛練を積んでいる、努力こそ人間を成長させるというライの母
エレナ・皇・ブリタニアの教えを信じて。ここヘレナの統治全てを取り仕切る女傑
0259テリー
2009/03/03(火) 21:49:26ID:J6OeY1fMのおかげなのだ。その娘でライの妹、フレイ・皇・ブリタニアは一言で言えば
格闘家だが漂う雰囲気が尋常ではない、後の歴史書にはシャルルにも負けじ劣らず
だったと記されている。
ガキィィィィィン!!!!
ライの持つ剣が弾かれ床を滑りライはその場に片膝をつけてしまいライと訓練を共にしていた将校に剣の切っ先を突き付けられる。
「もうへばりましたか、ライエル殿?」
「ま・・・・まだ・・・・まだ・・・・クッ!!」
ライは立ち上がろうとしても足はフラフラで剣を持とうにも腕は鉄の様に重かった
それも無理は無い事、何しろ日の出と共に訓練を始めかれこれ6時間以上も剣を
振り続けていたのだから。
「しかしお見事ですライエル様。その勇気と諦めの悪さに負けず嫌い、素晴らしきもの」
「ハァ、ハァ、お世辞・・・・か?それとも・・・・嫌味・・・・か?」
「滅相もありません!褒めですよ」
その言葉にその場に居合わせている兵士が笑い、ライも苦笑いを浮かべる。
ここの守備隊はライの努力と力を認めている、ライも兵士達の努力と勇気を解っている
だからこそ身分を超えた友情が生まれこの様な憎まれ?口をたたかれても気にも留めないのだ・・・・・・・・でも
「こらーーーーーーーーーーー!!!!ダグラスーーーーーーーーーー!!!!」
と猛烈な勢いで飛び蹴りをさっきまでライに特訓をしていたヘレナ守備隊部隊長
騎士ダグラスにくらわすも
「単調すぎますよフレイ様」
と難なくかわされるライの妹フレイはカンカンに怒っていた
「兄様にこんな無茶をさせるとは何事ですか!!!?」
「毎度毎度言ってますがライ様が自ら望んでの特訓ですけど」
「それが何です!!!だいたい貴方は何時も―――」
と、ながーーーーーーーーーーいお説教?が始まった。
0260テリー
2009/03/03(火) 21:50:52ID:J6OeY1fM(また始まった・・・・・)
ライの事となるとフレイはもう親馬鹿以上の過保護になる、その長いお説教の
犠牲になった将校は数知れず。
「聞いてるんですか!!?ダグラスさん!!!」
このお説教を止められるのは
「フレイ、そのへんにしないか!私が望んだ事なんだから」
「はい、解りました!!兄様」
ライが来た途端に頬を赤く染め可愛い妹に戻るフレイ、訓練時や公務の時は戦士の
表情を見せるも母やライ、友人の前では何時も笑顔を見せている。そのせいか一部の
兵士から二重人格者か?と言われている。
「ライエル、フレイ!ここに居ましたか」
「「母上!!」」
2人の母、エレナは数人の重臣を従え訓練場に来た。その表情や漂うその気はとても
優しいものがある。
「エレナ様!」
ダグラス以下その場に居合わせた兵達は皆跪き彼女を称える姿勢を取る
「皆私の息子、娘が厄介になっています。このエレナ、感謝いたしますよ」
「勿体なきお言葉、ありがたく思います」
「それよりどうなされたのです?この様な所へ」
エレナも剣の鍛練の為にここを訪れる事はあるが今は公務の最中のはず
「そうでした!ライ、フレイ、お友達が来てますよ」
「本当ですか!?」
「皆待ってますよ、行っておやりなさい」
「はい!!行こうフレイ!!」
とても嬉しそうに笑ってライとフレイは訓練で疲れているはずなのに駆け出して行った
それをいとおしむ様に見つめるエレナの表情は幸せそのものだった。
「元気ですなぁ羨ましい」
「ええ、この平和が仮初に成らなければいいのですが・・・・・」
「バルト様の事ですか?」
その言葉に重臣達もエレナも顔をしかめる
「・・・・何とかしなければなりませんが・・・・私にはどうする事も」
エレナは確かに人気も高いし臣下達や住民の支持も高いがいかんせん日本から嫁いできた
身の上に女と言う事もあり立場が低い。これが本国なら強力な発言力を持っているが
ヘレナの政権下では男の立場は非常に高い(政権内に限って)
0261テリー
2009/03/03(火) 21:52:01ID:J6OeY1fM「おや、揃いも揃っていかがなさいましたかな?」
エレナ達の所に現れたのはそれはそれは脂ぎった顔をしている中年男達
彼等はバルトの重臣達で無能+おべんちゃんの美味い人間ばかり。自分の
私利私欲の事しか頭にないクズどもなのだ
「いえ、ただの散歩ですわ」
冷たい目で睨みつけるエレナや将軍、兵士達。
「左様ですか、あまり出しゃばった事はお控えなさる事をお勧めしましょう」
「その通り!長生きしたければな」
とゲラゲラ笑いその場を後にする彼等を睨みつけながら送る
「腐れどもが!!」
「国の恥さらしだわ!!」
「お止めなさい!何を言っても駄目です、今は耐えるのです。必ず時は来ます」
重臣達を宥めるエレナも悔しさを隠し通せないでいる。
バルトは中年男達の言葉を重要しエレナ達真に国や民を想う臣下達の言葉を重要しない
でいる。そのためバルトよりもエレナの言葉を信じついて来た民はほぼ全員と言っても
過言ではない。
それに飽き足らずさらに酷いのは王宮その物だ
酒池肉林
聞いた事のある人は多いはず。広大な王宮内部では男女達が裸で池や林を追いかけっこ
しながら何日も宴を催していると言う有るまじき所と化している。何万tもの酒に
何万tもの肉、そこで毎日遊び呆ける後宮の女性達。更にはライの腹違いの兄達も
その中にいると言う始末。
それを目の当たりにしているエレナ達は此処に絶対に近ずこうとしない。
その為に民の税金がいくら使われている事か・・・・・止めようにもエレナ一派の
勢力は力が弱く軍隊も全てライの元に集中しているから何ともできないのだ・・・・
逆らえば命は無い・・・・と言うことなのだ
0262テリー
2009/03/03(火) 21:53:50ID:J6OeY1fMこの町の名前は「アルウス」エレナ首都で後ろを険しい山脈で守られている天然の
要塞としても結構名高く町は高さ約15mはある城壁で囲まれている。ここに行くには
北方からは正面を流れる大河「ウイントシュト―ス」から港がある拠点「スピリッツ」まで船で渡るしかない。
平坦な道を通っては本国など西方向にある領地からしか行けず周りはやはり険しい山脈
が連なっているため通る事は出来ない。
そんな所でも力強く人々は生きている、そんな町並みを全速力で駆け抜けていく
ライとフレイの先には20人位の友達が待っている
「ライーーーーーーー!!フレイちゃーーーーーーーーん!!」
「遊びに来たぜ!!」
「寂しくなかったかしら?フローラお姉さんが会いに来てあげましたよーー」
「もうフローラちゃんたら!」
ライを皇族と知っていてもこうして友達は結構多い、駆けて来たライとフレイをみて
挨拶するのは
メリッサ、ライの彼女で周りが引くほどのバカップル(メリッサの一方的な)で町では
世継ぎが楽しみだと騒がれている、ちなみに髪はオレンジに近く眼は緑。両親は全国を
回る商業団の一人でブリタニア全土を何度も回っている。
コルト、ブリタニア本国軍の騎士を父に持つ騎士見習い。馬に乗るのが大好きで
その乗りこなしは結構上手くここで乗馬を楽しんでいたライと出会い友達となった悪友?
リンダ、ライよりも年上の姉的存在、だがフレイから強烈なまでの敵対心を燃やされている。困ってる人をほおっつておけない性格の黄色の髪をした美人さん。
ソフィア、リンダと同い年で彼女の親友。両親が鍛冶屋のためか物作りが得意で
しょっちゅうフレイが折る剣を直したりしている、少し男性恐怖症があるのがキズと
言われるカワイ子ちゃん。
他にもたくさんの友達がライとフレイにはいるも皆帝都に住んでいるため滅多に会えないでいる。
「皆久し振りだね!!元気にしてた?」
「それにしてもよく来れたわね、学校休みなの?」
「ええ、今夏休みのまっさい中でね!!それにライが寂しくしてるかなーーーーー
って思って」
と悪戯っぽく微笑むリンダにメリッサとフレイが笑顔で
「そんな事はありません、リンダさん」
「そうそう、寂しさを紛わせられるのは私だけだから」
と目を笑わさず語り、三人の間には目に見えない火花がちっていた
「このモテモテが・・・」
0263テリー
2009/03/03(火) 21:55:26ID:J6OeY1fM「このフラグ建築士が・・・・」
憎悪の黒いオーラをしのばせるのは男の方々
「あ、あは、あははははははは。」
と冷や汗を流すライでした。この後、夜遅くまで乗馬や格闘妓大会に合戦
日向ぼっこなどすごく楽しい一日を過ごした。
その帰り道で
「やあライエル君、フレイちゃん、ご機嫌いかがかな?」
「あ、これは遠路はるばるようこそゴドウさん!」
ゴドウとは北の蛮族出身のこれまた商人でライやメリッサら子供達に自分の旅の話や
自分の一族の話を話してくれる心優しいおじさん。
「どうしたんです?やけに暗い感じですけど」
「うん、なんか怒ってるように見えるよ?」
顔は笑顔だが雰囲気がどことなくピリピリしていたし彼の仲間は露骨なまでに
不機嫌な顔をしている者さえ見える。
「君達の親父さんさ、我々北の蛮族を下賤な輩だと罵ったんだ。私達は自分の
生まれに誇りを持っているし皇帝陛下もブリタニアもそれを尊重してくださっている。
にも拘らずだ」
「ごめんなさい、私達の親が酷い事を」
しゅんとなるフレイの頭を優しく撫でゴドウは言う
「謝る事は無いよフレイちゃん、言ってやったさ!貴様らの様に国に恩も感じず
ただ悪戯にメシばかり食いロクに動かない豚には我ら下賤な者の誇りすら解らんだろう
そう!!豚には真珠の様な高貴な魂など解る事も出来ぬ、何時かライエルの内に秘める
炎に焼かれ丸焼けとなり消え去るであろう!!貴様らがいくら束となろうとも百万の軍
を従えようともライエルにはかなう事は永久に無い!!とな」
「「・・・・・・・・・」」
周りからは拍手が起こっていた、いつの間にか声が大きくなり町中に聞こえるくらいの
大きな声となっていたらしい。
0264テリー
2009/03/03(火) 21:57:15ID:J6OeY1fM「ほっとけ!!」
現代
「・・・・・・・・・」
「何頬膨らませてるの?」
ぷぅと不機嫌になっているシャーリーに?が飛び交うライ。君は乙女心をよく理解
しなさいライ君
「ライを好きなのは私だけだったのになんか悔しい!」
「そうは言ってもなぁ、本気で好きなのは後にも先にもシャーリーだけなんだけど」
と困った顔をするライの目は真剣
「・・・・も、もう・・・・ライに免じて許してあげるけどこの後しっかりと
証明してもらうからね!!・・・・身体で」
と真っ赤になるシャーリーにライも赤くなり
「お手柔らかに」
と言うしかない。こんな所でニヤニヤしたらどうなるか
「それで、その後はどうなったの?」
「うん。あの3人はとんでもない事を考えていたんだ――――」
再び過去に・・・・・・・その夜
「あの下賤め!!蛮族のくせに生意気な事を言ってくれる」
怒りに震えるバルトは今や国中の笑い者となり下がってしまった、と言うより
今ようやく気付いただけだけど
「ライエルも気に入らん!!年下のくせに頭に乗り過ぎだ」
「フレイも言う事すら聞かない、あんな奴らなんか!!」
2人の兄妹もこの通りだ、大人気ない事この上ない奴らばかりで呆れる
と言うより毎晩この二人はフレイに夜這いを掛けようとしている不届き者
0265テリー
2009/03/03(火) 21:58:42ID:J6OeY1fM「だがそれも此処までよ・・・・まもなく此処は火の海となる。愚か者共の
町などようは無い。それに此処の生活にも飽き飽きしてきたしな」
「素晴らしい父上!!こいつ等が居なくなればその分の食べ物や酒が入る!!」
「若い女だけでも連れて行き奴隷にするのも良いかもな!!」
暗がりの部屋の中では狂喜がはびこっていたのをこの時には勉学に励むライも・・・・
スヤスヤと眠る町の誰も知らない・・・・・
(それにこれで騒ぎが大きくなればあの若僧皇帝も失脚させる事が出来る
あんな小僧が皇帝で私がこんな辺境な地の王など似合わない。私こそが皇帝
に相応しいのだ!!クハハハハハハハハハハハハ!!!)
その北約500kmにある城、名を「サイサリス」北の蛮族の首都が置かれている城
その外見はまるで暗黒に包まれているかのように黒い。
その城門は開かれ次々と兵達が進軍を開始していたその列は100kmにもおよび
さながら蛇の中でも最大の大きさを持つ大蛇「ヨルムンガルド」の様
その列は・・・・・・・・・・まだ途切れる事を知らないでいる
0266創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 22:00:27ID:LfB2FqG20267テリー
2009/03/03(火) 22:01:01ID:J6OeY1fMが入っています。とまた15分ほど開けませんでした事を深くお詫びいたします。
ではまた。
0268創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 23:16:49ID:LfB2FqG2テリー卿、乙でした。
なんというか、ぶっちゃけ読みづらい。
長音や感嘆符が多いことと文章の切れ方が半端な事が原因かな、と思いました。
話の流れはそんなに悪くは無いと思います。
貴方の次の投下を待っています。
0269創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 23:29:08ID:mpygJECZあまり風呂敷を広げずに頑張ってください
0270創る名無しに見る名無し
2009/03/03(火) 23:47:13ID:XQeGOmiy途中、念のためですが、支援を数回入れてもらえると助かります。
よろしくお願いいたします。
0271創る名無しに見る名無し
2009/03/04(水) 00:00:47ID:sw8BWsOD時間ですので投下いたします。
えー、以前から少しずつ書き進めていたやつです。
タイトル 賭け 前編
カップリング ライ×アーニャ
ジャンル 未定(笑
設定は、ゲームで言うと行政特区日本設立後になります。
なお、今回は前編となります。
楽しんでいただければ幸いです。
0272あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
2009/03/04(水) 00:02:00ID:sw8BWsODその後の関係も……。
そして、これはそんな中の一つの出会いと関係の話…・・・。
賭け 前編
「では、ライ、視察の皆様のご案内をよろしくお願いしますね」
ユーフェミア様は、にこやかにそういうとスザクを連れ立って部屋から出て行った。
出て行く間際に、スザクがごめんって感じで手で合図をしていたのだが、僕はよくわからず呆気に取られていた。
なんで…僕が……。
その時はそう思ったが、後からスザクから理由を聞いて納得した。
どうやら、本国でも特区日本を守護する二人の白騎士はかなり有名になっているという話だ。
それに元イレブンであり、ユーフェミア皇女殿下の婚約者であるスザクよりも一応ブリタニア人の僕の方が皇族や女性受けがいいのが選抜の理由ということらしい。
スザクはそう説明した後、小声で付け加えた。
どうやら視察団うちの一人の女性の指名というのが本当のところとか……。
確かに女性に興味がないわけではないが、どうも皇族というと親戚というイメージが先行して恋愛対象と思わない感じがするんだよなぁ。
それに、皇族や本国の貴族連中はガチガチのナンバーズ嫌いばかりだし…。
だから、いくら慕われてもねぇ…。
本当に頭が痛いよ……。
そんな風に思っていた。
だから、そこそこ相手をして、誤魔化すしかないか……。
そんな事を考えていたし、その通り実行した。
そして、視察最終日の夜……。
僕は、パーティ会場の離れたベランダで一人たたずんでいた。
ふぅ……。
口から溜息が出る。
やっと開放される。
そう思ったら、自然と出ていた。
おおむね皆さん満足されたみたいだし、問題なく終了したみたいだ。
もっとも、僕に御執心と思われる皇族の女性からのベッドへのエスコートはお断りしたので、その女性にしてみれば不満かもしれないが……。
ともかく、一気に肩の重しが落ちた気がする。
すごく気が楽になった。
0273あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
2009/03/04(水) 00:03:58ID:sw8BWsOD確か、クラブの改修が終わったって話だったし…。
そんな事を考えていたら、後ろから声を掛けられた。
「いい?」
そこには、ドレスを着たピンク色の髪の少女が立っていた。
確か…彼女は……。
僕は、慌てて直立不動の姿勢をとる。
そう、彼女の名は、アーニャ・アールストレイム。
ラウンズの一人であり、今回の視察団の一人としてここに来ていた。
そう言えば、よく見られていたな…。
それに写真も撮られていたような…。
もっとも、迫ってくる女性をかわすことを優先していたので気にはしなかったけど。
ふとそんな事が頭に浮かぶ。
ともかく、ここは無難に返答しておこう。
「はっ、どうぞ」
だが、そんな僕の対応に、何を思ったのか無表情のままじーっと顔を覗き込まれる。
今の溜息……聞かれたかっ……。
すーっと汗が背中を濡らす。
やばいなぁ……。
油断しすぎたっ。
そんな事を考えていたら、無表情のまま彼女は言った。
「軍務以外の時もそう対応するの?」
その予想外の言葉に僕は「はぁ?」と何気なく答えてしまう。
ますますじーっと覗き込む彼女。
何か言い訳を言った方がいいのかもしれない。
そう思って口を開こうとしたが、その前に彼女の方が反応した。
「ふーんっ…」
それだけ言うと何を納得したのか、そのまま彼女は踵を返してパーティ会場に戻って行った。
何だったんだよ、今のは……。
次の日の朝早く、僕はスザクに起こされた。
だが別に一緒に住んでいるわけではない。
ドアを叩く音で叩き起こされたというのが正しい。
「どうしたんだよ…、こんな朝早くにぃ…」
欠伸まじりの文句をドアを開けてスザクに言う。
今日は、僕は非番のはずだけどなぁ…。
なんか重大な事でも起こったのだろうか…。
でも、そういう時は、電話とかで連絡してくるし…。
瞼をこすりながらそんな事を考えていた。
「ごめん…ライ。非番なのはわかってるけどね」
苦笑してそう言った後、スザクはきりっと真剣な表情になった。
「アールストレイム卿が、模擬戦の相手に君をご指名だよ。すぐ出かける支度をしてくれ」
その言葉に僕は驚いた。
「そんな予定なかったんじゃ…」
「うん。なかったよ」
すばやくそう返される。
「じゃあ…なんでまた…」
そう答えると、スザクは僕の肩をポンと叩いて言った。
「ライ、言ったよね…。今回の件で女性の指名があったって……」
「ああ、聞いたよ。だから、問題ない程度には相手をしたけど……」
まぁ、ベッドへのエスコートは断ったがきちんと対応したし、問題にはならないと思うのだが…。
それにパーティが終わる頃には大変満足そうだったけどな。
僕の表情から、それを読み取ったらしい。
「いや、ご不満らしいんだ。だからだよ…」
スザクがすぐにそう説明する。
0274あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
2009/03/04(水) 00:05:30ID:sw8BWsODちょっと待て。
スザク、今、なんと言った?
ご不満だと?
それが模擬戦とどう関係するんだ…。
そこまで考えて、昨日の夜の事を思い出す。
「まさか…」
「そう、そのまさかだよ」
スザクは、呆れたような表情を見せた。
「僕に御執心の女性っていうのは……もしかして……アールストレイム卿のことかっ」
スザクは、こくりと頷く。
「言ってなかったっけ?」
真顔でそんな事を聞いてくる。
「聞いてないぞっ」
僕は、ちょっとイラっとしてそう答える。
するとスザクのやつは、にこやかな笑顔で言い切った。
「あ、ごめんね」
「ごめんですむかっ」
思わず、そう答えた。
眠気が一気に覚める。
「でも、相手を勘違いしたのは、ライだからなぁ」
そんな事を言い出しているスザクに、僕は、今、初めて殺意を覚えた。
こういう天然なのはわかっていたが、ここまでとは…。
しかし、今更何を言っても始まらない。
「わかったよ、どうすればいい?」
結局、前向きに行動するしかない。
「大丈夫、車を手配しているから、すぐに着替えて出かける準備をしてくれればいいよ」
そう説明するスザクを感謝する気にはならなかった。
こうなったのもスザクが悪いんじゃないかっ。
そう思っていたから…。
だから、さっさと彼を部屋から追い出すと身支度を素早く整える事にしたのだった。
30分後、僕は模擬戦の行われる場所に着いた。
車から降りるとロイドさんとセシルさんが僕を見つけて、手を振って呼んでいる。
改装されたクラブの説明の為だろう。
「しかし、君も大変な人に気に入られちゃったねぇ。むふふふふ」
説明しながらロイドさんがニタリとそんな事を言ってくる。
それを慌てて別の話題を振って誤魔化そうとするセシルさん。
いや、大丈夫ですよ、セシルさん。
もう慣れましたから…。
苦笑し、ロイドさんに言い返す。
「そのおかけで面白いデータが取れるんじゃないですか。終わったら何かおごってくださいよ」
軽く冗談ぽく言ってみる。
これ位言っても罰は当たるまい。
「そうだよねぇ。うん、君の言うとおりだよ。よしっ、今夜の夕食は僕がおごるよ」
ご機嫌にそう答えるロイドさん。
ナイトオブラウンズとの模擬戦は、それほど楽しみなのだろう。
いやぁ、言ってみるものだ。
そんなやり取りを呆れて見ているセシルさん。
多分、「ああ、ライくんもすっかりロイドさんに染められちゃったのね」みたいな事を考えているのだろう。
表情がそう語っている。
0275あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
2009/03/04(水) 00:07:43ID:sw8BWsOD「で、アールストレイム卿のナイトメアのデータありますか?」
僕がそう言うと、情報末端からデータをディスプレに映し出してくれる。
彼女専用のナイトメア「モルドレッド」。
その詳細なデータがずらずらと映し出される中、そのデータを確認して僕は苦笑した。
「すごいですね…。まさに動く砲台って感じだ」
「そうだねぇ。彼女のナイトメアは、火力と防御力重視だからねぇ。かなり硬いよぉ〜」
ロイドさんが面白そうにそう解説する。
「だけと、その分、機動力と格闘戦には不向きな感じですね」
その解説にディスプレを凝視して僕はそう答える。
「だけど、接近戦だとしてもMVSでもなかなか突破は無理だし、長距離だとクラブの火力では、貫けないわよ」
僕の言葉にセシルさんがそう切り返す。
「でも、シールドが硬いとしても全方位展開じゃありませんよね」
「そうね。ランスロットと同じ様な感じかしら」
セシルさんのその言葉に僕はニヤリとしてみせた。
「提案してあった改修がされているようだったら、何とかなりますよ」
そんな僕の言葉にロイドさんは、ますます楽しそうな表情をした。
「もちろんだよぉ。ご注文どおりにやっといたから…」
ロイドさんがここまではっきりと言い切ったのなら問題はないだろう。
「でも、かなり繊細だから大変だと思うわよ。仮想データだけでしかやってないから……」
心配そうに僕の顔を覗き込むような感じで見ているセシルさん。
まぁ、ぶっつけ本番っていうのは確かにきついかもしれない。
でも、まぁ、なんとかなるかなという自信はあった。
だから、そんなセシルさんに自信ありげに微笑み返す。
「大丈夫ですよ。ある程度の仮想データがあるだけでも助かりますし、予想通りならうまくいくと思います」
そして、気になった事を切り出す。
「ところで判定の方法はどうするんですか?」
そうなのだ。
火力重視のモルドレッドで模擬戦の場合、その点が気になっていたのだ。
「まぁ、予想してたと思うけど、模擬弾とコンピューター処理判定がメインだね。後、格闘戦は、寸止めでお願いするからねぇ」
気楽に言うロイドさん。
いやぁ・・・あの重装甲に寸止めって・・・。
まぁ、とやかく言うまい。
ともかくやってやろうじやないか…。
それにやる以上は、勝ちたい。
ナイトオブラウンズと模擬戦なんてめったに出来ることではないからなぁ。
そういえば確か……ナイトオブラウンズとの模擬戦なんてノネットさんとやったとき以来だ。
でも、ノネットさんの時はスザクと僕の2対1だったし、それにノネットさんは専用機でもなかった。
そんな条件でも圧倒されたっけ…。
ふとそんな事を思い出し、苦笑してしまう。
たが、あの時とは大きく違う。
あれから1年以上が過ぎて僕の腕も上達したと思うし、何より僕自身もクラブという専用機を手に入れている。
負けられない。
そういう思いが、沸々と湧き上がってくる。
アドレナリンが全身を駆け回っているような感覚だ。
僕は、ゆっくりとディスプレから目を離すとクラブの方に目をやった。
頼むぜ、相棒。
僕は、心の中でクラブにそう声をかけていた。
0276あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
2009/03/04(水) 00:10:25ID:sw8BWsODポワーーッ……。
キュルルルッ・・・・・。
コックピット内が独特の起動音とディスプレの光に満たされる。
OSが立ち上がり、各部のチェックを始める。
「すべて問題なしっ。こっちはいつでもいけますよ、セシルさん」
各部のチェックが終わるとサブモニターの隅っこに小さく写るセシルさんを見て報告する。
「こっちでもチェック終わりました。ランスロット・クラブ、発進どうぞっ」
僕はスティックを握りなおすと深呼吸をした。
「ランスロット・クラブっ……。行きますっ!!!」
その声と同時にクラブを発進させた。
一気に急なGが身体を襲う。
だが、それは僕にとって身が引き締まる様に感じられて気持ちが良かった。
さぁ、やってやるっ。
模擬戦地域では、すでにモルドレッドが僕を待っていた。
「すみません。お待たせしました、アールストレイム卿」
僕はそう無線で話しかけた。
「そうね。少し待った…」
短くそう答えるアールストレイム卿。
相変わらずの無表情な顔がサブディスプレに映し出される。
その言葉と態度に少しカチンときた。
急に言い出したのはそっちだろう。
そう言い返したかったが、相手は皇帝陛下直属の騎士だ。
言い返せるはずもない。
「すみません」
短く、そう返事をする。
なんだよ、この女はっ…・…。
だから、本国にいる貴族とか皇族っていうのは嫌いなんだよ。
表情には出さず、そう心の中で不満をぶちまけている時だった。
「賭け……する…。いい?」
へ?
賭け?
いきなり、なんでそうなる…。
僕がアールストレイム卿の急な提案に驚いて何も返事出来ないでいるとそれを承諾と認識したのだろう。
そのまま話を進めていく。
「私が勝ったら1ついう事をきいて」
「え?!」
言葉に詰まる。
どういう事だよ…それは……。
だが、そんな混乱しかけた僕にお構いなく言葉を続ける。
「貴方が勝ったら……」
そこまで言った後、サブモニターの彼女の姿が消えて一気にモルドレッドが攻撃を開始した。
「くそっ。なんなんだっ…」
そのおかげで混乱しかかった頭ははっきりしたが、それどころではないほどの火線が幾重にも迫ってくる。
「くっ…」
一気に出力を上げ機体を加速させると火線の間を曲芸のようにくるくると避けていく。
コックピットのスピーカーが危険を知らせるブザー音をがなりたて、「すごいっすごいっ」というロイドさんの声、「不謹慎ですっ」というセシルさんの声がそれに続く。
ギリギリと身体をGが締め上げ、それに耐えるため歯を食いしばる。
身体は、その激しい動きに悲鳴を上げていたが、頭の中は別だった。
勝つためにするべきことが頭の中を駆け抜けていき、それに合わせてスティックを小刻みに動かして避けていく。
思ったよりも激しいじゃないかっ。
だが…それ以上じゃないっ…。
僕は、少しずつ距離を詰めていき、一瞬火線が弱まった瞬間を狙って突っ込んだ。
0277創る名無しに見る名無し
2009/03/04(水) 00:12:12ID:eb7dM8hu0278あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
2009/03/04(水) 00:12:28ID:sw8BWsODそう思った瞬間、待ち構えたようにハドロン砲が発射された。
反応するままに回避運動を行い、シールドを展開する。
多分、完全に回避しきれない。
そう判断したためだが、それは間違っていなかった。
モニターに被弾の表示が一瞬点滅する。
かわしきれず、シールドに掠めたのだろう。
もっとも、今の攻撃と回避行動をコンピューターは、被害なしと提示した。
それでもシールドエネルギーの消耗が激しい。
すごい威力だ…。
こりゃ、何度もは無理だな。
出来て後2回ってとこか……。
再度激しくなった攻撃を回避しながらデータを修正していく。
思った以上にモルドレッドの反応が早い。
見せてもらった機体データ以上だ。
さすがナイトオブラウンズと言ったところか。
相手の出方を伺うため回避に専念していると再び火線が弱くなる。
誘っている…な。
脳裏に無表情の彼女の顔が浮かぶ。
いいさっ、やってやるっ…。
僕は、コントロールスティックを握りなおすと火線の中に突っ込んでいった。
「うーん…。なんか今日のライくんの動き、強引過ぎませんか?」
空中で行われる戦いをモニターしながらセシルが呟く。
模擬戦がスタートしてすでに5分が経過していた。
火線が弱くなると突撃を繰り返し、その度にハドロン砲で攻撃され回避して距離をとる。
それが何度も繰り返されていた。
「そうだねぇ。なんかそういう感じするねぇ。彼らしくないっていうか……」
ロイドが歯切れが悪そうに同意する。
だが、一人スザクだけは別意見のようだった。
「さすがだと思いますよ、ライは……」
彼は空中で激しく動きあう2つのナイトメアを見上げてそう答えた。
「え?!」
思わぬ意見にセシルがモニターから目を離し、空を見上げた。
ロイドは、興味深そうにスザクを見ると聞き返す。
「その根拠はなんだい?スザクくん」
その顔には笑みが浮かび実に楽しそうだ。
空を見上げてナイトメアの動きを目で追いながらスザクが答えた。
「数字だけだと同じことの繰り返しの様ですけど、動きを見てたらわかります。少しずつ軌道を修正してますよ。
だから、1回目は回避しきれずにハドロン砲をシールドで受け流したけど、それ以降はかすってもいません」
そんなスザクの言葉にうなづくロイド。
「確かに…。数字だけではわからないねぇ、それは……。で…スザクくんの考えとしては、彼は勝てそうかい?」
ロイドだけでなく、セシルも視線をスザクに移すと彼の答えを待っている。
「わかりません。ですけどそろそろライが仕掛けると思いますよ」
拳をぎゅっと握り締め、2機の動きを目で追い続けるスザク。
そして、スザクの言葉に誘われるかのようにロイドとセシルも2機の動きを目で追い始めた。
0279あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
2009/03/04(水) 00:13:44ID:sw8BWsODつまんない……。
何度も繰り返される単調な攻撃にアーニャはうんざりしていた。
これなら、模擬戦しなくてもよかった。
ふとそんな事が頭に浮かぶ。
そして、幻滅し、悲しい気持ちになる自分がいた。
ノネットの嘘つき……。
話してくれたこととまったく違う。
彼女が話してくれたライは、すごくかっこよくて、優しくて、そして強いはずだった。
それなのに……。
ああ…、こんなことなら、来なければよかった。
会わなければ、こんなに幻滅する事も悲しくなる事もなかったのに……。
もう……いいや……。
終わらせよう。
そう決断すると、アーニャはわざと攻撃を弱めた。
そう、ライを誘い込むために。
ほんと……つまんなかった。
そう思いながら・・・・・・。
攻撃が一瞬弱まる。
よしっ、そろそろ仕掛けるか。
シールド強度のゲージを最大まで上げる。
シールドエネルギーのほとんどを消費するが、これであのハドロン砲の直撃を1回だけだが完全に受け流せるはず……。
だがさっきまでとモルドレッドの攻撃してくるタイミングが違う。
つまり、彼女も仕掛けてくるということだ。
くそっ、なんでわくわくするんだっ、僕はっ。
そんな事が思い浮かんだが、今はその思いを胸の中に押し込めた。
くるくると機体に回避運動をさせながらモルドレッドに接近していく。
多分、ハドロン砲を牽制に使って、こっちの回避方向に火力を集めて攻撃してくるに違いない。
その為に、何度も単調と思えるような攻撃を繰り返してきたのだ。
うまくかかってくれればよし、かかってくれない時は、強引に懐に割り込むだけさ。
そう決心し、スロットルを一気に踏み込む。
「勝負だっ!!!」
つづく
0280創る名無しに見る名無し
2009/03/04(水) 00:15:38ID:sw8BWsODまぁ、早めに後半投下する予定ですので、読んで気に入った方はお楽しみに。
それと、支援、ありがとうございました。
0281創る名無しに見る名無し
2009/03/04(水) 00:43:45ID:JHkrJfDaへへ… 続きが気になるぜ…
0282創る名無しに見る名無し
2009/03/04(水) 00:49:06ID:eb7dM8huあしっど・れいん卿、GJでした!
というか相手をした女性は誰なんだw
ノリノリなロイドさんがらしいなぁ、と思えますね。
相手の動きを見つつ、勝負にかかる……ところで「つづく」の文字が。
さてさて、どうなることやら……
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
0283創る名無しに見る名無し
2009/03/04(水) 14:51:58ID:xZlwbMuZライアニャはかなり好きなカップリングなので、
これからアーニャがライにどう惹かれていくかがすごく楽しみです。
続き期待しております!
0284創る名無しに見る名無し
2009/03/04(水) 21:42:07ID:BTYjPBJCあいつこのままいなくなればいいのにww
0285創る名無しに見る名無し
2009/03/04(水) 22:09:34ID:h3rG6tSq0286創る名無しに見る名無し
2009/03/04(水) 22:11:04ID:h3rG6tSqそれがモニカの日課であり、趣味だ。
「うん、美味しいね」
「でしょう?」
目の前でモニカと同じようにカップを傾ける少年、ライの賛辞の言葉にモニカは表情をほころばせた。
やはり自分の趣味が理解されるというのは嬉しい。
ラウンズは貴族出身が多いというのに、貴族らしい貴族という者があまりいない。いつもモニカは一人寂しく日課をこなしていたのだ。
「アーニャは紅茶よりもジュースだし、ジノやノネットなんて論外。ヴァルトシュタイン卿とお茶なんて出来ないし……」
「はは、確かに」
「でも、ライって本当に貴族出身じゃないの? 作法も完璧だし……」
そう言うと、ライは珍しく動揺を見せた。
「そ、そうかな? 僕は僕ほどがさつな人間はいないと思うよ」
「ふふっなにそれ」
あまりに稚拙な誤魔化しに、思わず笑みが零れてしまう。ライ本人はそれではぐらかしているつもりなのだろうが。
それにしても、
(出身を聞かれるのが困るのかしら……ま、これ以上はいっか)
人が隠している物をわざわざ暴きたいとも思わない。興味はあるが、本当に大切な事ならいずれ彼の方から話してくれるだろう。
それくらいには親しくありたいと思う。そういう相手だ。
「あ、」
と、何かに気付いたライが声を上げた。
首だけ振り返って見る。見た瞬間、モニカは嫌そうな表情を、隠す素振りも見せずに表に出した。
「ルキアーノ・ブラッドリー……何の用?」
「ほう、これはこれはクルシェフスキー卿。私に向かって何の用とは、無礼極まりないな」
そういうのいいから、帰って。そんな無言の要求を視線で送る。
しかしルキアーノは気にした様子もなく、
「まあいい。私が用があるのはこちらの男だ――ライ・ランペルージ」
「へ? 僕ですか?」
ライは心底意外そうに首をかしげた。
ルキアーノは続ける。
「就任の儀以来、挨拶をしていなかったからな。それでこのルキアーノ様が直々に来てやったという訳だ」
なにを、いちいち偉そうに。モニカは忌々しげにルキアーノを睨んだ。
こんな男を相手にする必要はないと言いたかったが、ライは真面目にルキアーノの言葉を受け取ったようだ。
0287創る名無しに見る名無し
2009/03/04(水) 22:12:21ID:h3rG6tSq「わざわざありがとうございます、ブラッドリー卿。新たにナイト・オブ・イレブンに就任したライ・ランペルージです。以後お見知りおきを」
「ああ」
ルキアーノは一度頷いて、
「ところで……貴様の大切な物は何だ?」
これにはライも質問の意図が理解出来なかったのか、
「大切な物……ですか? それはどういう意味でしょう」
と、これまた真摯に答えた。
ルキアーノはふん、と鼻を鳴らし高らかに宣言する。
「なに、個人的な興味だ」
「はぁ……」
納得出来ない様子のまま、ライはすっと両目を閉じて思考に入った。
それを見たモニカは、昔同じ事を問われた時の自分を思い起こしていた。
(私は何て答えたっけ?)
確か、適当にあしらった記憶がある。
(大切な物……)
ルキアーノは命という答えを持っている。だが、自分はどうだろうか。
大切な物と言われても、明確な答えをそう持ち合わせてはいない。だからこそ自分ははぐらかしたのだ。
(ライは、何て答えるんだろう)
普段なら追い払っているルキアーノを放置したのは、彼に対する微かな期待があったからだ。
ライならば、きっと自分の出せない答えを持っている気がした。それを聞きたい。
「そうですね……」
やがて、ライはゆっくりと口を開いた。
真っ直ぐな視線をルキアーノに向けて、
「僕の大切な物。――それは、僕が今まで経験した出来事、そして出会ってきた全ての人々との思い出です」
他の誰かが言ったなら、気恥ずかしくなるような台詞を、ライは誠実な表情で語った。
「ふん……変な男だ」
ルキアーノはそれだけ言い残して去っていく。
ただ、モニカの感想はルキアーノの物と同じだった。ルキアーノがいなくなったのを確認した後、
「本当、変よね。ライって」
「ええっ」
少しショックだったらしい。ライは悲しげな表情を紅茶のカップで隠す。
そんなライを微笑ましく思いながら、モニカも紅茶を一口飲んで、ふと、考え付いた質問をしてみた。
「ねぇ、ライ」
「ん?」
「さっき言ってた大切な物に、私も入ってるの?」
ライは一瞬驚いたように目をまんまるに見開いた後、すぐに笑顔を浮かべて頷いた。
――もちろん。
0288創る名無しに見る名無し
2009/03/04(水) 22:13:06ID:h3rG6tSq0289創る名無しに見る名無し
2009/03/04(水) 22:55:58ID:JHkrJfDaライはサラッと恥ずかしい事を言いますね!
GJでした!
0290Mrスケアクロウ
2009/03/05(木) 00:02:07ID:UDEtnOjt20スレぐらい予定しています。
0291創る名無しに見る名無し
2009/03/05(木) 00:07:49ID:imDfnNht0292Mrスケアクロウ
2009/03/05(木) 00:08:27ID:UDEtnOjtAnother Lost Colors 色とりどりの世界を君に
第三話
アニメともゲームとも違うパラレルワールドと思ってください。
話の展開上オリジナルキャラ、オリジナル設定、オリジナル展開多数です、
そういうのが苦手な方はスルーしてください。
一応ライが主人公ですが設定がかなり違います。
0293Mrスケアクロウ
2009/03/05(木) 00:10:02ID:UDEtnOjtヘリポートにライはコーネリアを迎えていた。
後にはアルもついている。
「ライエルか、モスクワをおとしたそうだな」
「いえ、あれは兵達や部下達ががんばった結果です、私は何もしてません」
「ふん、相変わらずその自信に裏打ちされた謙虚さ、変わってないな。
それよりそのしまりのない顔何とかならんのか」
「いえ、この顔は生まれつきですから・・」
ライは多少苦笑した。
確かにライの顔は軍人にしては柔和過ぎるというかあまり威厳がない。
「まあいい、それよりそっちの話は・・」
コーネリアはもう1人いたエリア11の官僚に顔を向ける。
「はい、総督閣下の歓迎パーティー・・」
その話を聞いてライは眉をひそめる。
(パーティー?今このエリアはそれどころかじゃないはずだ)
案の定コーネリアはその官僚に銃を突きつける。
「ぬけている、ほうけている、堕落している、ゼロだ、早く私のもとへゼロを差し出せ」
「まあまあ、総督閣下、銃をお納めください、君、後で正副総督執務室にゼロに関する
資料とこのエリアに関する資料を後でまとめて持ってきてくれないか」
「え?それはいつまでにございますか」
「いつまで?今日中か遅くても明日までに、ってもしかして用意してないの」
ライはすでにそうゆう資料はすべてまとめて用意されているものと思っていた。
「いえ、その、事前に命令がございませんでしたので・・」
官僚の言い訳がましい言葉を聞いて呆れた。
(普通命令がなくても事前に用意しておくものでだろう、コーネリアの言うとおり
ほんとにほうけてるとしか思えない)
「総督閣下、副総督閣下、すでにそれらの資料はまとめてありますので今日中に
提出いたします」
官僚に代わって答えたのはアルだった。
0294Mrスケアクロウ
2009/03/05(木) 00:13:37ID:UDEtnOjt執務室のドアには統帥府直属帝立特務遊撃師団暫定司令部と書かれた手書きの紙が張られている。
特撃はその性質上一箇所に留まることはなく、司令部は司令のライがいる場所におかれることがある。
現在特撃は政庁基地に駐留し、一部は政庁を間借りしており司令部は執務室におかれることになった。
「こちらが資料になります」
アルが持ってきた資料をライは目を通す。
「ゼロに関する資料はこれだけしかないのか」
「はい、警察もほとんどゼロに関する情報はつかめてないようです」
「これじゃあ、雑誌に書いてた内容とほとんど代わらないな」
「それとゼロが映っている唯一の映像をTV局から借りてきました。
パソコンの中にすでに送ってありますのでご覧ください」
ライはパソコンの中から映像データのアイコンをクリックした。
パソコンと執務室のテレビにその画像が映った。
枢木一等兵強奪事件の映像である。
(これがゼロ、それにしても大胆不敵だな、クロヴィスの専用車に模した車で
正面から現われるとは)
映像ではジェレミアとゼロの掛け合いが始まっている。
『言うぞ、オレンジだ』
『何、何のことだ、えーいこやつをひっとらえよ』
『全力で私を見逃せ』
「!!」
この瞬間、ライは驚愕した。
「ちょ、今の!?」
「どうされました」
ライはすばやくパソコンのキーボードを打ち、先ほどの映像をまき戻し再生した。
0295Mrスケアクロウ
2009/03/05(木) 00:14:39ID:UDEtnOjt『全力で彼らを見逃すのだ』
ジェレミアの顔を拡大し映像をクリアにしていく。
「ジェレミア卿の目が赤くなっている、ゼロはギアスを使ったんだ」
「!!ゼロも司令と同じギアスユーザーということですか」
ライは書類をひっくり返してある書類をみつけた。
「前幕僚長バトレー将軍、クロヴィスの護衛を勤めていた親衛隊も
クロヴィスの殺害された時間の記憶がないと証言している。
ジェレミア卿はこの時のことをなんと言っている」
「確か記憶に無いと・・」
「やはりな、前後の記憶が混濁するのはギアスの後遺症だ。
ゼロは私と同じ絶対遵守のギアスユーザーだ」
ライはパソコンを先ほどの映像からシンジュク事変のデータに
切り替えた。
パソコンではシンジュク事変のナイトメアの動きが出ている。
「この時からレジスタンスの動きが格段に良くなっている」
「恐らくゼロが指揮したのでしょう」
「まるでナイトメアをチェスの駒の様に扱ってるな。
これがゼロの指揮だとしたらゼロは相当な用兵家だな」
ライは一旦書類とパソコンから目を離し考えた。
「アル、戦略研究班に言ってゼロを徹底的に分析させろ。
情報部にはゼロに関する情報収集、どんな些細な情報も私に報告するように言え。
ギアス解析班にはゼロのギアスの解析を頼む」
「イエス、ユアハイネス」
(ゼロ、もしかしたら僕にとって最大の敵になるかもしれない
いや、もしかしたら味方以上に必要な敵かもしれないな)
ライは再び書類に目を通した。
「ん?」
「どうしました」
「いや、これなんだがこのお金の流れ、うまくごまかしているけどどう見ても不自然なんだよ」
アルはライから渡された書類を見る。
「確かに、科学技術向上のための研究費となってますが金額が大きすぎます」
「アル、すまないがこれについても調べておいてくれないか」
「わかりました、もしこれが本当だとしたらクロヴィス前総督は相当な予算を
流用したことになります」
「死人に鞭打つまねはしたくないけどね、何か気になるんだよ」
0296Mrスケアクロウ
2009/03/05(木) 00:16:13ID:UDEtnOjt政庁奥にあるクロヴィスの私邸
ライはここに訪れクロヴィスの書いた絵を見ていた。
「これを全部、クロヴィス前総督が」
「はい」
クロヴィスの執事だった男が言った。
ライは沈痛な面持ちでその絵を見た。
(素人の僕にもわかるほど良い絵だ。
クロヴィス、皇族にさえ生まれてなければ
芸術家として大成してたかもしれないのに
哀れだ)
ライは下を向いて少し涙をこぼした。
ふとある絵に気づいた。
「この絵は?」
「亡きマリアンヌ様とそのお子様達の肖像画でございます」
(マリアンヌ様のご子息にご息女、確かこのエリア11で亡くなったと聞いたが
ユフィが言ってたな、確か名前はルルーシュにナナリー)
この事が後で重大な意味を持つことになるとはこの時のライは気づいてなかった。
0297Mrスケアクロウ
2009/03/05(木) 00:18:20ID:UDEtnOjt再び副総督執務室に戻ったライは政務に勤しんでいた。
コンコン
扉をノックする音にライは返事をする。
「はい、どうぞ」
「失礼します、副総督閣下」
入ってきたのはスザクだった。
「突然お呼び出しして申し訳ない、枢木一等兵・・いえ、准尉になられるんでしたっけ」
「まだ、正式な辞令は出てませんがその予定です」
「そうですか、では枢木一等兵でよろしいですね、おかけください。
今お茶をいれてもらいますんで」
執務室のソファーに座らせ、お付のメイドにお茶を入れるように頼んだ。
「いえ、そのお構いなく・・」
「遠慮することはありません、本当はスザクと呼びたいし、ライと私のことは呼んでほしいのですが
今は公務中なので勘弁してもらいたい」
「いえ」
メイドがお茶を入れてライとスザクの前に出した。
「あの、この人は・・・」
「ええ、日本人ですよ、小百合さんっていうです。彼女の入れる紅茶は絶品です」
「恐縮です、ライエル様、今日は良いアールグレイが手に入りました。
スザク様もぜひお召し上がりください」
「はい・・」
スザクは少し戸惑っているようだった。
日本がブリタニアに占領されてから、ブリタニア人からは名誉と差別され
同じ日本人からは裏切り者と呼ばれた。
それは仕方ないことだと思いつつ、悲しかった。
目の前にいるライはブリタニア人の中でもさらに支配者階級の皇族である。
本来なら自分を最も差別するべき立場にもかかわらずライはスザクに対して
礼を尽くしている。
「今日貴方を呼んだのは他でもありません、貴方に聞きたいことがあるからです」
「聞きたいこと?」
スザクは首をかしげた。
「ええ、ゼロについてです」
「ゼロ!?そのことでしたら取り調べのとき何度も・・」
「調書なら穴が開くほど読みました、ただ肝心なことが書かれてないんです」
「肝心なこと?」
「貴方はゼロについてどういう印象を持ったかということです」
「僕がゼロについてですか」
「ええ、話していただけますか」
「・・わかりました」
スザクはしばらく考えた後、口を開いた。
0298Mrスケアクロウ
2009/03/05(木) 00:19:18ID:UDEtnOjt「ほう、貴方は彼によって助けられたと調書には書かれていますが・・」
「そのことについては感謝しています、でもあんなやり方じゃあだめです。
間違ったやり方じゃ意味なんて無いと思うんです」
「ふんふん」
ライは頷きながらメモを取っている。
しばらくスザクの話に相槌を打っていたライだったが
「なるほど、つまり貴方はゼロに対して否定的ということですか」
「はい」
「わかりました、もう結構です、いろいろ参考になりました、ありがとうございました」
(ゼロについてだけではなくスザクの性格も読めてきたな)
「お役に立てたなら嬉しいです」
そう言ってスザクは執務室から出て行こうとするが
「あ、ちょっと待ってください、肝心なことを伝えるの忘れていた、枢木一等兵
貴方学校へ行く気あります」
「学校ですか」
「ええ、普通貴方の年齢だったら学生やってるほうが自然ですから
学校通ってみませんか、もちろん強制はしませんが」
「僕もできれば学校に通いたいと思いますが・・」
「そうですか、ならこれ・・」
そう言ってライが机の中から取り出したのはアッシュファード学園の入学案内と願書だった。
「特派がある大学から一番近いのはこちらですから何かと都合が良いでしょう。
学費はこちらが持つんで安心してください」
「いえ、そんな、そこまでしていただくなんて」
ライはフッと笑った。
「安心してくれ、これは私の、いや僕の自己満足、権力者の道楽とでも思ってくれれば良い
だから遠慮することはないさ、君みたいなタイプの人間はほっとけないし、親戚には
優しくするのは当然だろう」
「親戚!?」
その言葉にスザクは目を見開いた。
「僕の正式な名前はライエル・スメラギ・ブリタニアって言うんだ、従兄弟殿」
「スメラギ!?」
「そうスメラギ、僕の母はキョウト六家筆頭皇家の出身、君とは従兄弟にあたるんだ」
そう言ってライはメモに何かを走り書きしてスザクに渡した。
「僕のプライベートナンバー、何かあったら電話して力になるよ」
0299Mrスケアクロウ
2009/03/05(木) 00:20:13ID:UDEtnOjt釈放されたジェレミアは廊下を歩いていた。
「だからオレンジではないというのに・・」
なにやらブツブツ呟いている。
「おい、オレンジ」
「だからオレンジではないと!!何度も・・キューエル卿か何の用だ」
「副総督がお呼びだぞ」
「副総督が私に?」
「ああ、この間のことかもしれないな、あの副総督は改革派のリーダーだ。
ナンバーズと共生と融和などと言う戯言を唱えている連中で、純血派とは対立する派閥だ。
たださえ厄介なのに今回の件を理由に私達を処分する気かもしれん。
貴様がどこぞの最前線にとばされようともかまわんが、私達まで巻き込まれたら
いい迷惑だ」
「何だと!先日の件は貴様のせいだろう、あの件に関しても私が覚えていないと何度言ったら・・」
「また、その言い訳か、それより早く行け、これ以上心証を悪くさせるな」
0300Mrスケアクロウ
2009/03/05(木) 00:21:32ID:UDEtnOjtコンコン
「はい、開いてますよ」
「失礼いたします、ライエル副総督閣下、ジェレミア・ゴッドバルト、
ライエル様の命によりただいまはせ参じました」
(テンション高い人だな)
「急にお呼び出しして申し訳ありません、ジェレミア卿」
「ライエル様の命でしたらいつでもはせ参じる所存であります」
「ジェレミア卿、私のことはライエル卿、もしくは略してライ卿で
結構ですよ、皇族といっても殿下とはつかないんですからわざわざ様なんて
つけなくてもよろしいです」
「いえ、しかし、皇族相手にその様な口のきき方は・・」
「いいですね、ジェレミア卿」
やんわりとした口調だが妙な威厳があるライの声にジェレミアは
「イエス、ユア、ハイネス」
と返事してしまった。
「先日は災難でしたね、無事釈放されたそうで、今回貴公をお呼び出ししたのはその件にも
関わりあることです」
ジェレミアは息をのんだ。
「信じてください、決して私は帝国を裏切るようなまねをしておりません。
オレンジなどというのはゼロのでっち上げです、私は本当に覚えが・・」
「わかりました、信じます」
「信じられないのも無理はありません、ですが私の皇族に対する忠義は・・っと今何と仰いましたか!!」
「信じますって言ったんですよ、ジェレミア卿」
ジェレミア卿は信じられない者を見るような目でライを見た。
今まで同じ純血派の仲間にすら信じてもらえないのをライは立った一回会っただけで信じるといったのだ。
「あの、ですが、しかし・・」
ジェレミアは逆に動揺し言葉に詰まる。
「なんですか、もしかして本当は疑惑どおり不正を働いたとでも・・」
「いえ!!決してそのようなことは!!」
「フフ、すいません、私は一目見ればその人が嘘をついてるかどうかはわかります。
貴公は嘘をつける人ではないとわかります」
「あ、ありがとうございます」
ジェレミアは頭を90度下げた。
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