皆でキャラ考えて『島京』で動かそう!なスレ
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0001名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/16(火) 21:49:22ID:6Wl+VC3Sそこで暮らすキャラを各自で作り、それぞれに動かして、時には絡めて、皆で一つの物語を作っていこう!
という企画
1.世界観みたいなもの
西暦2173年、第三次世界大戦勃発
その最中、日本に新型戦略兵器が投下され東京一帯が消滅
同都市所在地は海面下まで地盤が吹き飛び、東京湾から海水が大量に流入。水没して海と化す
西暦2175年、海外にも名を轟かせる国内企業数社が結託し、日本政府から東京跡地を買収
企業連は様々な技術の研究開発を目的とした大型研究施設建造計画を進め、同地に巨大な人工浮島を建造
この新造島は複数企業の合同保有地として、部外者侵入の一切が禁止された
外界と隔絶された領域内にて、各企業の技術研究が秘密性を保持したまま公然と行われる
西暦2180年、世界大戦終結
同年、企業連は新造島の研究施設上層に街を作り、大々的にこれを開放。日本各地から人々が集まり、都市は更に成長していく
西暦2183年、新造島は多層構造を持つ巨大海上都市『島京』として完成
◇
この物語は西暦2233年の島京が舞台
2233年の世界では、国の姿や領土等、今と大差ない
しかし大戦期に技術躍進が起こり、科学面は大幅に進歩している
人間に極めて近い思考を持つAI、アンドロイド、環境の修復改善や医療方面に特化したナノマシン技術、欠損した人体を補う精巧な模擬躯体等が一般化
また兵器利用目的から魔法や超能力といった神秘力の研究が進み、これらの復活が成された(こちらは裏社会等で半ば常識的に認知されるが、表の社会では一般化していない)
ヒトゲノムの解析進行からクローン培養や遺伝子操作も難しくなくなったが、戦争終了と共に国際法で利用が禁止された
空間上に表示されるホログラムモニター等の立体映像投射技術が高まり、ディスプレイ形式の物理的映像表示媒体は絶滅
フロートシステムと呼ばれる機関が開発され、車両関係は地面から少しだけ浮き上がって移動する
0008名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/17(水) 19:23:06ID:HZd46SmN0009名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/17(水) 21:54:08ID:8ANkfPUN街の指導者は大統領みたいな感じにして、住民の投票で決まるとかさ
街の一番下には研究所を統括してたマザーコンピューターがあって、そいつが今も動いてるとか
マザコンは戦争時代に作られて、ずっと兵器の開発とか研究してたから今も戦争脳状態
だからそれぞれの研究所跡を動かして人類抹殺兵器?を作り続けてるとか
これは上に住んでる人達は誰も知らないんだ。で、下からエレベーターか何か使って兵器が出てきてパニックになる
市長だか大統領だかが原因究明の為に調査団を組織して、街の下へ送り込む
って流れの方が……いいような、そうでもないような
0010名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/17(水) 22:02:23ID:oEyGGlMB確かに越佐大橋だな、これ
0011名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/18(木) 08:52:09ID:IL0BPF00戦闘員の訓練校とか、そんな感じの学園物風に
街の地下から暴走兵器が湧いてくるから、それを迎え撃って街を護る為の戦士を育ててると
0012名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/19(金) 23:13:36ID:T8YJqcXE島京へ出たら〜銭ば貯めて
.,,_ _,,=-、
'、  ̄_ _.,! __ .r-,. _ r −、
_/ _!」 .└ 、( `┐ .,,=! └, !、 .ヽ ヽ 丿
.(. ┌-'( ヽ~ ,.-┐ `┐ .r' r.、''" r' ./
゛,フ .,. | `j .`" .,/ .r'" ヽ | .l '、ヽ、
,,-.' , 〈.| | i' .__i'" .( .、i .{,_ノ ヽ ヽ \
、_ニ-一''~ ヽ | \_`i 丶,,,,、 } ヽ_丿
ヽ__,/ ~''''''''''''″
0013島京の意思
2008/09/22(月) 20:12:32ID:+sE9H2OK……いや、やっぱり答えなくて良いさ。
八百万の神々が住んでて、その上死んだ奴を全員仏だとか軍神だとか呼んで祭っちまう
国だもんな。
“俺みたいな奴”が居たって、何にも不思議じゃない……だろ?
長い付き合いに成るだろうからなぁ。よろしく頼むぜ。
“俺”は拒まないから。
殺人鬼もレイプ魔も放火魔もクリスチャンもエホバの商人もイスラムも仏教もヒンドゥ
ーも富者も平民も浮浪者も白人も黒人も黄色人種も混血も勝者も敗者も……此処では皆、
横一線だ。
ぼーっとしてていいのか?ライバル達はとっくに行っちまったぜ?
そう、そうだ。焦った方がいい。もう始まっているんだ。
“俺の中”へようこそ!
あんたが俺を生かす内臓になるか消化されてクソになるかはまだ決まっていない!
我が名は島京!
独立国家島京!
意思を持ち思考し進化し深化する生命体!
Welcome home!!!!
……どうか、我が家のようにくつろいでいってくれ。
0014名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/28(日) 12:29:28ID:fsZhxtGlこれは予想外
0015名無しさん@お腹いっぱい。
2008/09/28(日) 18:06:31ID:EOFeluKx0016名無しさん@お腹いっぱい。
2008/10/02(木) 20:04:12ID:lyio+uel踏まれるのが大好きなMの橋とかそういうのですね、わかります
0017〜ロシアより弾を込めて〜
2008/10/04(土) 02:04:56ID:aIHsSsUF薄ぼんやりとした意識が部品を組み込まれる内に徐々にはっきりしてゆき、マガジンを
装填された頃、私は自分の存在を自覚しました。
私は薬品臭いビニールの梱包材に包まれ、木箱に納められ、長い間船に揺られました。
暇を持て余した私がまどろみの時を過ごしている内、何度かの移送のための振動が私を
起こし、長い移動が私をまたまどろみにさそい、そんなことを繰り返すうち、私はついに
木箱から解き放たれました。
「すっげ……チャカなんて初めて見た」
「おい、んなもん早く隠しとけ。縁起でもねぇ」
「うす」
私はどこか東洋のマフィア──後に知ったのだけど、“やくざ”と言うらしい──の事
務所のロッカーに隠されました。
ロッカーの扉越しに、彼らの話声が聞こえて来ます。
「討ち入りがあるとしたら週末だ……用心してしすぎることはねぇ」
「抗争なんてVシネの話だと思ってましたよ」
「はっ、俺だってそうだよ」
──ガチャ
不意に、どこかの扉が開く音。
彼らの会話は訪問者によって中断を余儀なくされました……永遠に。
乾いた銃声/湿った怒声。
怒号/静寂。
走り去る足音。
血の香り……静寂。
初めての戦場は、私を置去りにして通り過ぎてしまいました。
私は使われることもなくこの国の官憲に永遠に保管される未来が透けて見えた気がしま
した。絶望しかかった私に、一筋の光明……天啓?が訪れました。
荒い呼吸。
引き摺る音。
──ガパン
ロッカーの扉が開く音。
金髪/金のネックレス/和柄の開襟シャツ/……足りない指。
彼は私を掴み上げ、腰のベルトに差しました。
銃の扱いに慣れていない様子の彼は、私が暴発しないのかしばらく不安がっていました
が、やがて携帯電話を取り出しました。
「俺だ。ついに討ち入りがあったぜ。……おじきは死んだ。俺か?足だけだ」
『…………!』
携帯電話から男性の声が聞こえますが、内容は聞き取れません。
「もう組は終わりだ……じゃあな」
彼は携帯を壁に投げ付けました。
「組織の鉄砲玉が流れつくとこっつったらあそこしかねぇ……ゼッテェぶっ殺す……」
彼は私の位置をただしながら、どこかへ向かって移動を始めました。
私は生まれて始めて感じる高揚感をマズルに集め、いまにも鉛の塊を撃ちだす気分で、
彼の腹筋を感じていた。
0018名無しさん@お腹いっぱい。
2008/10/04(土) 02:11:16ID:aIHsSsUF今後は日本刀と爆弾とバールのようなものを出す予定。
0019名無しさん@お腹いっぱい。
2008/10/04(土) 13:38:31ID:s/ztwotIやっぱこの路線で続くのかw
バールのようなもの大期待
0020名無しさん@お腹いっぱい。
2008/10/04(土) 16:53:25ID:YbWsIW9s0021名無しさん@お腹いっぱい。
2008/10/04(土) 18:08:36ID:aIHsSsUF>>1さんも建てたからには何かネタ暖めてんでしょう?
書きましょ?
0022名無しさん@お腹いっぱい。
2008/10/04(土) 22:01:52ID:jwmCgq4R0023名無しさん@お腹いっぱい。
2008/10/05(日) 01:00:25ID:/9Kim7xQ俺も賑わってるとこで書きたい
0024名無しさん@お腹いっぱい。
2008/10/05(日) 01:16:35ID:/9Kim7xQここで欠くメリット無いし、適当に遊んで飽きたらホーチしとく
凶器視点ってラノベ板の昔考えた厨設定スレで曝した設定なんだけど、どっかで使ってみたかったんだ
0025名無しさん@お腹いっぱい。
2008/10/05(日) 01:25:51ID:/9Kim7xQ0026名無しさん@お腹いっぱい。
2008/10/18(土) 15:22:04ID:UaiFONNq0027 ◆AdmkHHXPLc
2009/01/05(月) 13:07:14ID:A3A3pXqa0029創る名無しに見る名無し
2009/01/05(月) 20:14:40ID:LVTmjaKI0031創る名無しに見る名無し
2009/01/05(月) 20:29:27ID:LVTmjaKI0032創る名無しに見る名無し
2009/01/05(月) 21:25:54ID:OJJfbgKyそのままフォルネウス倒しに行くんだよな?
0033創る名無しに見る名無し
2009/01/05(月) 21:28:23ID:LVTmjaKI0034創る名無しに見る名無し
2009/01/06(火) 00:46:09ID:oV0Ng5li0035創る名無しに見る名無し
2009/01/06(火) 00:54:18ID:a3bXyhZM0036創る名無しに見る名無し
2009/01/06(火) 11:21:30ID:PHJ8CfyO0037創る名無しに見る名無し
2009/01/06(火) 15:54:47ID:JjXOhNYdクェーカーとして任務にあたる人間が付き合って
地下と地上で生きる人間の葛藤とか
0038創る名無しに見る名無し
2009/01/06(火) 17:48:54ID:7332b/4S0039創る名無しに見る名無し
2009/01/06(火) 20:11:00ID:vpedPcxVこの島で育った、そして今日15才になった
15才になるのは僕だけじゃない妹のナナクサ・ムツキの誕生日でもある
僕らは同じ日にここ軍人養育施設イズモに捨てられていたらしい
この国では捨て子は国家が責任を持って育てる
僕らは育ててくれたお礼としてこの国を15才から五年間守る義務が生じる
その後は五年分の給金で除隊して学校行こうが転職しようが自由だ
僕的にはフェアな制度だと思ってるけどムツキは気に入らないらしい
0040創る名無しに見る名無し
2009/01/06(火) 21:05:53ID:Swe0630dとうどの鳥が 日本の国へ
渡らぬ先に まとめてばったばった
0041創る名無しに見る名無し
2009/01/08(木) 05:39:06ID:u3DMRvLx「なんだよ!!」
人にバカにされるのは慣れてるがさすがに面と向かってバカ呼ばわりされるとムッとする
ましてや実の妹だ
「私さ今日脱走するから」
「はい?」
「うん、いきなり消えるのも悪いかなって、一応たった二人きりの兄妹だから挨拶はしとこうと思ってさ」
数時間後
「おいバカ兄貴」
「なんだよ!!」
「なんでついてくるんだよ!!」
こうして僕たちは15才にして国家に追われる身となった
0042創る名無しに見る名無し
2009/01/08(木) 17:49:29ID:7exLg0Bp0043島京物語 ◆NN1orQGDus
2009/01/08(木) 19:21:05ID:2M8veYrh煙草の紫煙が、吐いた煙が風にさらわれると雲間からぼんやりと澱んだ太陽が顔を覗かせた。
曖昧な輪郭の影が、細く長く伸びる。その向こうから、ゆっくりと若い男、言うならば少年と青年と境目で立ち竦んでいる感じの男が歩いてきた。
「タバコはあるかい?」
「安物ならな」
「シケてんだな、アンタ」
「若いクセにタバコの味に拘るのか?」
言葉を短くして交わし、ポケットからタバコを取り出し、男に渡す。が、投げ返される。
「どうした?」
「最後の一本を貰うのは気が引ける。今アンタが吸っているヤツをくれ」
「――変わってるな」
「アンタ程じゃない」
短くなったタバコを渡すと男は上手そうに吸う。見ていて見惚れる程だ。
「で、お前はこんな辺鄙な所にタバコを吸いに来たのか?」
「まさか。アンタに会いに来たのさ。何でも屋のΞだろ?」
男は笑いながら答える。たが、その瞳は決して笑ってはいない。
どちらかと言えば、俺を値踏みするような眼だ。
「ああ、その通りだ。で、誰に俺の事を聞いた?」
俺がクェーカー、つまり企業に雇われる傭兵――と言うよりは仕事屋である事を知っている人間はは少ない。
目の前のコイツはちょっと悪ぶった感が強いが、どう見ても一般人にしか見えない。
要するに、誰かが俺の事をこの男に教えたという訳だ。
クェーカーである事を他言されるのは今後の仕事に差し支えがあるから、おしゃべりな奴には口にチャックをして貰う必要がある。
「あ、ああ……。ゼロゼロっていう情報屋だ。女だったぜ」
「――心当たりはないな」
懐に手を入れて銃に手を掛けると、男は顔を歪めた。
「嘘じゃない! 本当だ!0が二つでゼロゼロだ」
ゼロが二つで00。それなら心当たりはある。
「若いの、そいつはゼロゼロじゃなくてラブラブ――タチの悪い情報屋だ」
懐から手を話すと、固まっていた男の相好が崩れる。
0044島京物語 ◆NN1orQGDus
2009/01/08(木) 19:23:53ID:2M8veYrhタバコに火を着けて一息吸い込むと、口の中に合成ニコチンの味と、添加物の甘い香りが広がる。
「俺には記憶が無いんだ。記憶を取り戻して欲しいんだ!」
「成る程。面白くもキナ臭い依頼だ」
止まない風に揺らぐ紫煙は、儚く散っていく。同じタバコ飲みの依頼なら断る訳にはいかないだろう。
やれやれと肩を竦めて仰ぐ空は、相も変わらずに曇ったままで、行き先を暗示しているのかも知れない。
――To be continued on the next time?
0045島京物語 ◆NN1orQGDus
2009/01/08(木) 19:24:24ID:2M8veYrh0046創る名無しに見る名無し
2009/01/08(木) 19:25:30ID:mnes2C430048創る名無しに見る名無し
2009/01/08(木) 20:19:25ID:ErVEJVS60049携帯 ◆4c4pP9RpKE
2009/01/09(金) 17:54:04ID:aNtj8lgn俺も無機物達の続き書こうかなぁ
0050創る名無しに見る名無し
2009/01/11(日) 20:56:35ID:hq6eSt+b誰にでも使えるの?
勝手に考えて物語作れないからさ
一応俺的に考えたのがアカシックレコードにアクセスできて
そこから情報を読み取るのが上手い人間が魔術やら魔法やらの超能力が使えるみたいな
でもネットで料理レシピ検索しても誰もが上手い料理作れないようにセンスや練習が必要みたいな感じ
アカシックレコードは膨大な情報量で普通の訓練受けてない人間はアクセスしてもスペックオーバーで壊れる
一昔前の精神異常者は実はアクセスのコツを教えて貰えないまま自然にアクセスした人間
こんな感じダメかな
0052創る名無しに見る名無し
2009/01/11(日) 22:27:53ID:hq6eSt+bじゃあ、とりあえずこれですすめるよ
0053創る名無しに見る名無し
2009/01/11(日) 23:11:29ID:hq6eSt+bタケトリ准尉は僕の言葉に鉄のような笑みを浮かべた
「別におまえ等の意志なんてどうでもいいんだ」
無造作にタケトリ准尉は動き始めていた
僕が気づいた時にはタケトリ准尉は間合いに入っていた
足!?左のミドル、避けられない
僕は右手でブロックしつつ左に周り同時に肋骨の隙間に貫手を入れる
が、その前に左のミドルで吹っ飛ばされた
体勢と力点をずらしてもこれか、なんて威力だ
「さすが徒手格闘術特級、奇襲もあまり効かないか」
そうなんだ、一応軍事学校の格闘練では超優等生だった
でも冗談じゃない、いまので右腕は二分は死んでる
この人相手に二分は致命的だ
0054創る名無しに見る名無し
2009/01/12(月) 00:21:42ID:IFbtTJjJドォーンンッッ!
その瞬間その場所に雷鉾が突き刺さる
信じらんない、ムツキは俺も一緒に殺そうとした
いや、それ以前に人を殺すのに何の躊躇いを感じてない‥
准尉だって僕らを殺す気なんて全くなかったろうに
いつの間にかムツキは500メートルは離れたとこにいた
接近戦に魔術は不利、さすがイシュタルと通り名される程の魔術練の超優等生だ心得てる
ここは第2階層のある食品メーカーの倉庫、僕らはここで教官だったタケトリ准尉に発見されてしまった
「准尉、いまのは警告」
「いや、殺す気だったろ!!」
僕らは同時に叫んでいた
0055創る名無しに見る名無し
2009/01/12(月) 14:31:48ID:IFbtTJjJ准尉は腰に差した脇差しを抜いた
「乱心藤悟‥」
僕は呟く、施設ヤクモが蔵してる霊剣だ
確か今から400年前に造られた脇差し
あらゆる鉱物は天然のハードディスクだ
アカシックレコードの入口にアクセスできるくらいのメトリー力があるなら
そこら辺に落ちてる石を拾ってみても内容は解らなくても驚く程の情報が記憶されてるのは解る
だから古い武器は危険だましてや力のある鍛治に鍛えられた武器は意志を持つ百年、二百年と純粋に勝つ事ばかり考え情報をインプットしていく、
そこまで純粋な意志は力になる霊剣の誕生だ、半端な魔術なんて効かない
「ムツキ撤退だ!」
僕らはコンテナの群れに逃げ込んだ
0056創る名無しに見る名無し
2009/01/12(月) 16:04:46ID:IFbtTJjJ「了解」
「五年後必ず会いに行くよ、その時ムツキが何をやりたかったか教えてくれ」
「ありがと」
ムツキは僕にしばらく頬をくっつけてじってしていた
それから僕の顔を見上げかすかに微笑む
「またなバカ兄貴」
ムツキはコンテナの向こうに消えていった
騒ぎを聞きつけて他の捜索メンバーも集まってきた
そして全員一斉にコンテナ群に突入してきた
僕は携帯配置操作版を使ってコンテナ群を霍乱するように動かす
「ナナクサ二等陸士もういいだろ」
准尉の面倒臭そうな声が響く
あと四手、コンテナを動かし続ける
……できた!
「兵闘臨者皆陣列前在」
九字を切る
粛−
そして空間が歪む
八門遁甲の陣が完成する「5年は長いや‥」
そして僕は30分後投降した
0058創る名無しに見る名無し
2009/01/12(月) 22:16:52ID:hxl6DgcbΣ(゚Д゚;エーッ!! ここで何してるの!?
0061創る名無しに見る名無し
2009/01/12(月) 22:18:10ID:HiDLaZy70062創る名無しに見る名無し
2009/01/13(火) 02:20:26ID:jEE3MfXj国家じゃなく企業が管理してる島だった
軍隊も私設だった
いまから修正可能だろうか
妹も一人で生きていくの無理ぽいな
0063創る名無しに見る名無し
2009/01/15(木) 19:54:23ID:a0dIVVAgこれが僕に対する軍が課した罰だった
人材だけは豊富な我が国得意戦略、文字通り[布石]
とりあえず役に立つか立たない懸案に対して人材だけは配置しておく
配置された人間は命令があるまでその場所で独力で好きなように人生を送る
こうして僕は今、日本国島京で住み込みの新聞配達員をしている
雨の日や寒い日はつらい‥
0064創る名無しに見る名無し
2009/01/28(水) 01:43:07ID:8boibD9E0065創る名無しに見る名無し
2009/02/19(木) 12:13:16ID:/epJk7Ueこの島には“ありえないことがありえない”。
全てが資本という実力に捩じ曲げられた歪な島。
その歪曲した栄華の象徴である超高層ビル群のVIPルームに、ありえない格好の人物がいた。
いや、それは人物というよりもプリンであった。
がっちりとした体躯はマネキンのようにツルリとしていて、
着込んだスーツが嫌味なくらいフィットしている。
腰の位置が高く、本当にマネキンのような体型だ。
その完成された肉体美の頂点には……プリン。
彼が動くたびにぷるぷると震えるプリンは、今にも皿から零れそうでいて、なのに不思議と零れない。
プリンには目鼻立ちのはっきりした凛々しい顔が浮かんでいる。
やけにスマイルの似合う顔立ちだ。
「ふふふ、ここ(島京)は良い所だね」
プリンの独り言のような囁きに、秘書の女性が答える。
「ええ、社長が自らデザインされただけはあります。洗練されたデザイン、私も大好きです」
「ふふ、社長だなんて……よしてくれ」
プリンは頭のカラメルを自分の人差指に取り、秘書の口に滑り込ませた。
一瞬たじろいだ秘書は、すぐに甘えるようにその指をしゃぶり始める。
舌を絡ませ、口を窄め、ときおり内頬に擦り付けるようにして。
因美な水音がVIPルームの遠い壁に反響する。
「甘くて苦いだろう。ふふふ……そうさ、この島もスウィートの底にビターが感じられるから……だから美しいのさ」
プリンはとりあげるように秘書の口から指を抜いた。
「すまない。私はまだ仕事が残っているんだ。君の底にあるビターはまた今度頂くとするよ。ふふふ」
潤んだまなざしの秘書を残し、プリンはVIPルームをあとにした。
0066創る名無しに見る名無し
2009/02/20(金) 23:08:49ID:JereSOdYしかも社長ってww
0067創る名無しに見る名無し
2009/02/21(土) 03:31:32ID:R9hICLZr彼の造物主たるジャービル・イブン・ハイヤーン──ゲベルスの意志に関するところが大きい。
西暦810年の頃、医術者であり錬金術師だったゲベルスは人体の脳にある物質を発見した。
彼が見つけた物は後の研究でジョウント効果と呼ばれる、
精神感応移動(テレポーテーション)の鍵とされる虎斑(タイグロイド)であった。
彼はたくさんの人体解剖を繰り返し、一人からほんの少ししか採取できない虎斑を大量に集めた。
ゲベルスは集めた虎斑を精製し、自らの頭蓋に孔を開け、少しずつ滴下した。
ゲベルスはいつしか未来が見えるようになった。
移動先を意識すれば瞬間移動が出来る事を指してジョウント効果と呼ぶが、
ゲベルスは、どの位先か、を意識すると、その未来に意識だけが飛べるようになっていた。
ゲベルスは未来の世界では何ものにも知覚されなかった。
幽体離脱したゴーストのように、誰にも知覚されず、影響も与えられない。
だが見ること、聞くことは出来る。
ゲベルスは未来で様々な知識を得た。
そして世界の終わりを知った。
そして自分の終わり(寿命)を知った。
ゲベルスは死ぬ前に、宇宙の法則や人類の未来をも揺がす、壮大なイタズラを思い付いた。
未来の技術を使って、世界の終わりを変えてやろう、と。
ゲベルスは世界の終わり間近の未来で、途方もなく奇異な、
だが未来を変えうる可能性を孕んだ技術を見つけ、これを持ち帰った。
そうして生まれたのが、プリンだった。
「ふふふ……」
プリンは不敵に微笑を零す。
ゲベルス、あなたが生み出したパラドクス──つまり私が、特異点になってみせるよ。
あなたの見た未来との、ね。
プリンはただ静かに微笑む。
世界の終わりの近きを知りつつ。
0068創る名無しに見る名無し
2009/02/21(土) 22:08:49ID:GNuwsaAWてかジャービル・イブン・ハイヤーンって誰だ
0069創る名無しに見る名無し
2009/02/24(火) 21:34:51ID:zPdX5RGR0070創る名無しに見る名無し
2009/02/24(火) 22:11:02ID:siKmdKKG0071創る名無しに見る名無し
2009/02/24(火) 22:41:50ID:zPdX5RGR0072創る名無しに見る名無し
2009/02/25(水) 02:28:58ID:/q4cb5MH0073創る名無しに見る名無し
2009/03/11(水) 01:05:03ID:pi3uS8fE0074創る名無しに見る名無し
2009/03/11(水) 18:59:57ID:2dE0EFlQ0075創る名無しに見る名無し
2009/03/17(火) 12:12:45ID:+zlZEyg/0076創る名無しに見る名無し
2009/03/22(日) 12:32:43ID:3/egBzdCちょっと考えてるがあまり想像ができんなあ
0077創る名無しに見る名無し
2009/04/01(水) 21:59:16ID:GnHcpYvIうーんうんうん結局何が自分は何を書いてみたいんだろう
0078創る名無しに見る名無し
2009/05/07(木) 03:13:44ID:ZrUeym94「おはよう」
廊下で隣室の新聞配達マシンに声をかけられる
このマシンを見るたびにいつも3つほど疑問がわく
なぜマシンなのに部屋住みなのか
なぜレイン社製局地戦汎用機SDX5が新聞配達をしてるのか
所長はこれをどこで手に入れ世間はなぜ気づかないのか
ムツキ‥島京は怖いところです
0079創る名無しに見る名無し
2009/06/28(日) 01:38:51ID:8ohTYAVP0080「恒星都市」 ◆LV2BMtMVK6
2009/07/28(火) 22:43:58ID:egxww3/F聞くからに陳腐ではあるが、それゆえに一層、人口に膾炙されたこの比喩。
今や23世紀を迎え、その異名は知らぬ人とておらぬ。
しかしながら、その都市は名実ともにそれを凌駕していた。
むしろ、陳腐な比喩そのものが言語の限界を持って示していたのだ。
まさしくそれは、ダイヤモンドであった。
青い星に翡翠の色合いを見せて横たわる秋津島、日本列島の中央に浮かべた、
なめらかな金属と珪素の織りなす天衝く結晶。
昼は陽光を反射して閃き、夜は内より眩しく白く、輝きは水平から地平に至るまであまねく照らす。
さながらアーク光にも似た、光輝の都市国家島京。
至高の人造宝石は今、自らの歴史を新たにしようとしていた。
とはいえ、登場人物が揃うには、なお半世紀を待たねばならなかったのだが。
いつも演者の知らぬところで幕は上がるものだが、このときも例外ではなかった。
幕を引いたのは一つの偶然。
とはいえ、ひとつの偶然が決して必然ではない、と言い得る者がどこにいよう。
なんとなれば、喜劇には、そしてもちろん悲劇にも、脚本家がいるではないか。
登場人物であり観客でもある木偶たちのあずかり知らぬ場所に――。
0081「恒星都市」 ◆LV2BMtMVK6
2009/07/28(火) 22:44:59ID:egxww3/Fそう、この年九月下旬、島京を台風、通称、三三島京台風が襲ったのだった。
日本へ上陸した台風の中では最低気圧、最高風速を同時に記録した台風になるのだが、
人ならぬこの俳優は発生当初はそれほど警戒されていなかった。
フィリピン東方に生を受けた彼女(そう、女なのだ)は、
通常の台風とほぼ同じ経路をたどって北上。
初期には中心気圧990hPaと特に見るものはなかった。
勢力が強まったのは沖縄南方海上でのことだった。
他に類を見ない超弩級の成長速度と規模が確認されている。
ここで中心気圧840hPaを記録、瞬間最大風速は134m/s、優に480km/hを越すと推定されている。
この年、海水温が平年より高かったことからある程度の成長は予測されていたのだが、
世界史上最強レベルの風速に日本と島京は色めき立った。
参考までに、21世紀にその名をとどろかせたハリケーン、
「ザ」カトリーナの瞬間最大風速は78m/s、280km/hに過ぎなかったことは付記しておきたい。
日本国中が彼女に備えた。大戦後道州制を採用してからこのかた、
これほどの一体感がこの国に見られたことはなかっただろう。
各道、州においては買い占め騒動が相次いだ。
人間たちの騒ぎを余所に台風はゆっくりと勢力を弱めながら沖縄東方を北上、転向する。
このときの移動速度は時速10kmと、台風としては遅い部類であった。
同月27日には平均風速96m/sと――これは時速340km/hほどだ――勢力は弱まるが、
この時点でも史上最強の低気圧であることに間違いはなかった。
28日正午過ぎ、広大な暴風域に潮岬、洲崎が飲み込まれる。
29日未明、ついに三三島京台風が、かつて大島があった場所を通過して島京湾へ真正面から上陸。
長い惨劇の始まりだった。
0082「恒星都市」 ◆LV2BMtMVK6
2009/07/28(火) 22:46:18ID:egxww3/F島京1300万と一般に言われるが、この中に狭山霧一は含まれていたかどうか、定かではない。
というのも彼は日本よりの密入国者――それ自体非常な困難を意味するのだが――であって、
戸籍を島京に置いていなかったのである。
彼は、否、霧一と呼ぼう、霧一は島京の摩天楼群の底に、二匹の猫とともに生活していた。
猫の名は朝霧、夕霧という。
底と言っても、海抜高度は80m。地上換算にして20階余である。
もちろん遥か上方へと建物群は絡み合い、
カーボンとガラス繊維の道路網をまとわりつかせつつ登っているのだが、
この高さでも十分に島京湾は見渡せた。
外郭を成す建物群の窓から故郷を眺めるたびに、霧一は複雑な気分に襲われるのを感じた。
もちろんその気になれば文字通り結晶構造をもって作られた、
海抜高度1036mの島京塔の頂上へ登ることもできたのだが、彼はそんな気にはなれなかった。
それはひとつに、高いところへ登りたがるのは馬鹿と猫だけだという、
古い故郷のことわざのせいだったのかもしれない。
猫達も彼と同じ主義と見えて、むやみやたらと出歩いたりはしたがらなかった。
意気があったというべきか、類は友を呼ぶと言えば言いすぎか、
ともかく、一人と二匹は調和して生活していたのである。
0083「恒星都市」 ◆LV2BMtMVK6
2009/07/28(火) 22:47:48ID:egxww3/F女性のバストアップ。流れだす音声。
「島京統治政府気象委員会です……」
無表情に朝霧を撫で、霧一はニュースに注意する。
「……温帯低気圧はフィリピンの東120kmの海上にあって、非常に速い速度で成長しています。
日本の気象庁提供のデータによると、今後さらに成長が予想されるとのことであり、厳重な警戒が必要とされています」
「台風だとよ、お前ら」
キャスターの立体映像を消す。
猫たちはどこ吹く風といった風情だ。
二匹は目をつぶって横たわっていたが、寝入っているわけではないことを彼は知っていた。
整えられた抽斗からカードを取り出し、卓のリーダーへ乗せる。
キンと震えるような音がして、卓上には海底から頂点までの島京の全体像が浮かび上がった。
こうしてみると、島京というのは紡錘を突き立てたような形をしている、と霧一は考える。
構造的にも外乱に影響されにくくはあるのだが、いかな紡錘形とはいえ、水面下に相当な重量がなくては安定しない。
釣りの浮きを想像すればわかるだろう。
むろんこの島は浮いているわけではなく、海底700mに突き刺さっている。
とはいえ、不安定な構造の弱点が解決しているとは言いがたい。
指を動かすと、表示されている立体コンソールをちょんと叩く。
外壁部が消え、骨組構造が、蛍光色のラインで宙に浮かぶ。
長ハニカム系の構造。I型材の鉄筋構造部とH型材の海面地上境界層構造、そしてそこから天へと伸びる流線形の建物群。
そのさまはカイロウドウケツを想わせた。
1000mを越す深海に生活する海綿である。それはこの都市と同様のガラス繊維の複雑な構造を生まれながらに持っている。
低温での硝子繊維形成を、人類はこの海綿から学んだのだった。
閑話旧題。
0084創る名無しに見る名無し
2009/07/28(火) 22:48:08ID:FUnp1/if0085「恒星都市」 ◆LV2BMtMVK6
2009/07/28(火) 22:49:17ID:egxww3/F霧一は抽斗からもう一枚取り出し、乗せ換えた。
今度は異なるフォーマットで、立体映像が浮かび上がる。
三行にわたって文字が記されていて、
それぞれ「島京可動化プラン」「潜水型パターン」「浮遊型パターン」と読めた。
もう幾度となく目を通してきた資料を、彼はまた丹念に見返す。
どれも、今でも机上の空論とみなされているものだ。
だが、一部トップレベルの研究者の中には、全精力をつぎ込んでいる者もいることを彼は知っていた。
第七層に鍵がある、というのだが、資料が残っていない以上、どうしようもなかった。
調査しようにも、有人層として稼働できるのは第二層のみとあって、
その先がどうなっているかは今では知る由もないのだ。
霧一はシステムを閉じた。
彼の頭の中には、これまでに出たパターンとは全く異なる可動都市が浮かんでいた。
それは海面地上境界層から分離する浮遊案でもなければ、潜水型都市でもなかった。
そもそも、潜水艦化するには島京は少し巨大すぎた。
卓の上にある、別の物体を手に取る。
平たい長方体をした緑色のそれは、今では高値でコレクターたちがやり取りするようなメディア――。
紙の本だった。
もっとも、この本の場合はその中身自体も、普通の本とは比べ物にならなかったが。
これこそ、霧一の作成しようとしている計画の裏付けとなる、たった一つの希望だったのである。
島京の設計者たちが、そしてその裏で企業たちが目指した真の島京の姿、それは恐るべき計画であった。
その時が近づいていることを知っている人間はごく限られていることだろう。
予兆は既に地下で起きていたが、大半の人間は無関係で平和な生活を送っているのだから。
夕霧が甘えた声で鳴いた。
食事をねだっているのだった。
例のキャスターが語っている。
「非常に大型で強い台風16号は、勢いをさらに増し加えながら北北東へ……」
0086創る名無しに見る名無し
2009/07/28(火) 22:50:10ID:egxww3/F支援ありがとう
とりあえず一章分投下終了です
0087創る名無しに見る名無し
2009/07/28(火) 22:52:20ID:TNaFv5sm0088創る名無しに見る名無し
2009/07/28(火) 22:55:14ID:/sBZB/Woこれは災害脱出劇になるのかな?
とりあえずwktk
0089創る名無しに見る名無し
2009/07/28(火) 23:09:41ID:TNaFv5sm続きに期待
0090創る名無しに見る名無し
2009/07/28(火) 23:37:42ID:ZPxoi5Xe0091 ◆LV2BMtMVK6
2009/07/29(水) 23:56:20ID:GeiUMr0v通勤者たちが続々と乗りこんでいく、工業区行きエレベータへ入る。
主に海抜150mまでは低所得層の居住区であることもあって、大きなエレベータは既に労働者でいっぱいだった。
かすかに甘い合成鉱物油の香りと、きな臭いようなオゾン臭が辺りに漂っている。
この都市はどこでも非常に明るかったが、エレベータですらこの例にもれなかった。
熱を発さない白色光源が、このガラスの箱を硬い色合いの光で包みこんでいる。
本来ならば、ほとんどここで会話が聞かれることはない。
だが、今日は違った。
「日本直撃は確実なコースだと言っとりますね」
「既にハリケーンで言うとカテゴリー5に入ってまだ成長を続けてるらしい、悠長にしてもいられないよ」
ざわつきはそこかしこに波紋を立てている。
それらの会話のうちの一つが、霧一の耳に引っかかった。
「最近おかしなことばかりだからなあ。発電区あたりも挙動が怪しいって聞いたし、台風までいかれてるっていうのか」
「なあに、島京だぜ?この辺じゃ強い地震なんて珍しくもないし、台風なんか毎年来てるだろう」
「今度のは桁違いだって言うぞ」
とはいえ、楽観的な見方が空気の大勢を成しているように思われた。
島京民には己の街への信頼と誇りを持っているものが多く、それは所得の高低とは関わりなく見られるものであったから、
それも自然な事といえただろう。
かつて大英帝国は世界に広がる領土を持って日の沈まぬ帝国を標榜したが、
「島京、ただの一都市にしてなお陽、沈まず」
とは、程度の差こそあれこの輝ける不夜城の住人たちが一様に抱いていた感慨の表明に違いなかった。
背後にいぶかしむような視線も感じたが、気にとめない。
ジャンクメタルのタイルが敷き詰められた、無人の道を歩く。
「風が強いな」
ひとりごちた。
確かに、安定した強さで吹いてくる潮風からは、上層部のそれとは異なる湿度と圧迫感が伝わる。
未だ姿を見せない、沖縄はるか南方海上の台風が、あたかも降伏を促すかのように自らの威力を誇示しているのだった。
通常であれば、日本領海にも入らない台風の影響が島京湾周辺で見られることなどあり得ない。
事実、隔壁の向こうでは、打ち寄せる三角波の砕ける音が響いていた。
「波高は……」
ポケットから取りだした携帯端末スティックに触れると、メインメニューがドーム状に浮かんだ。
その一つに触れて表示されたデータに、彼は驚かされることになった。
2.5から3.5mだと?波防帯と同じ高さじゃないか。
天を見上げる。超超高層ビル――公式にこう呼ぶのだ――の先端は雲の上に消えていた。
流線形が特徴的な建物群はなお昂然と、来るべき敵を待ち受けているかに見えた。
とはいえ、彼は特に台風のためにこの階、海面地上境界層まで降りてきたわけではない。
いつの時代にも、光があれば影があるものである。
光、ことさらに輝けば、より一層闇も暗く蠢く。
島京の場合も例外ではない。
ここでも比喩的な意味で、海面下部分が影、海上部分が光となって相互に補完し合っていた。
光と闇はせめぎ合う。一見無人のこの層で。
そこは居住区最下層部の、外見からは想像もつかないが確かに存在する半スラム部とも違っていた。
半スラム部は治安が若干悪いとはいえ、人間の住む場所なのだ。
だが、ここはそうではない。地上一階分だけの、無機質な光沢を放つゴーストタウンだった。
植物の姿すらちらほらとしかない。
無人のはずのここだが、最近頻繁に不審な動きが見られていたのだ。
霧一とて興味本位の行動ではなかった。
トップ企業連の手のかかったクェーカーが保っている秩序は、
地下にある何かを守るためのものに他ならなかったのだが、
最近、ことに奇妙な事態が続々と起きていることを情報は示していたのだ。
外部からの特殊部隊の関与も示唆されていたため、
民間人が――それも密入国者だ――公に嗅ぎまわるのは得策ではなかった。
だが、外側勢力が行動を起こすとしたら、台風や地震、その他の災害は好機になるのではないか。
そんな考えから、水際に特徴を読み取ろうとした霧一の行動だったのだが――。
「無駄に広いんだよ」
この人工都市の断面積がもっとも広くなるのは海抜0m階であったから、それは無理からぬことではあった。
彼は自分のバイク――フローティングシステムが開発されてすぐの時期に開発されたものだが、今でも十分通用する程度にチューンされていた――
に乗ってくるべきだったかとも思えたが、すぐにその考えを打ち消した。
有人層ならともかく、無人層で目立つべきではなかった。
この都市は基本的に統治機構の監視下にあるのだ。
企業連盟の手は故郷の官憲よりも速く長いことを、彼は知らぬわけではなかった。
霧一がビルの先を曲がったその時だった。
彼は細い路地の先に動く影を認めて、そばの壁に張り付いた。
0095創る名無しに見る名無し
2009/07/30(木) 00:35:16ID:+6CYG825サイバーパンクってよく分からないけど
0096創る名無しに見る名無し
2009/07/30(木) 20:26:06ID:apNILQPp次の投下を待ってるぜ!
0097恒星都市 ◆LV2BMtMVK6
2009/08/02(日) 00:18:17ID:wdUn2A8v重装備に身を包んだ五人ほどが通って行く。各々の荷物はおそらく偽装された武装だろう 。
霧一は動きを止めた。夜間ではないから赤外線暗視スコープなどは入れていまい。
動きさえしなければ発見は免れるはずだ。
携帯端末スティックを逆探知でもされない限り、十分な彼我距離は確保できていた。
足早に歩きすぎる姿を彼はじっと見送り、不審部隊の目的を考えた。
奇妙な点は多かった。
どう行動すべきだろうか。
このまま帰って出直す?
そんな選択肢はない。
行き先と行動を確認するのが妥当だろうと判断、陰から足をゆっくり外した瞬間。
また人陰が横切った。
どうやら先行した者たちについて動いているらしい。
作業服を着た、やや小柄ですらりとした影だが。
「尾行にしちゃ下手くそすぎる」
霧一が呟いた通りだった。
雑な動きは、取り残された子供が慌てて遊び仲間に従うかのようにすら見えた。
しかし、この道化の出現で追尾行動は困難になった。
首輪に鈴のついた猫が鼠を狙うようなものである。
彼は鈴を鳴らさずにネズミの向かう餌場へ到達しなくてはならなかった。
一人目の追尾には気付いているだろうが、霧一の存在には気付かれては困るのだ。
0098恒星都市 ◆LV2BMtMVK6
2009/08/02(日) 00:19:23ID:wdUn2A8v可能性は低いものの、更に他の尾行者がいる状況をも想定しなくてはならなかった。
その様子を想像して霧一は思わず笑うところだった。間抜けな図ではないか。
先行する数人は広場から左へ折れた。
広場は美しかったが、やはり無機的で殺風景だ。
中央、滑らかなカーブを組み合わせて作られたオブジェは艶と輝きを失ってはいなかったが、
広場の隅々には塵芥がたまっていた。
追って広場に入ろうとして、霧一は足を止めた。 丁度上空に、鏡面が被う道路の高架が横切っている箇所。
歩きながら先ほど感じた不審を整理する。
そもそも、どんな勢力の手先なのか。
外部からのものではないように思える。
この時間帯を選んだ理由は?
工作員は普通、夜陰に乗じて動くものだ。
それに、工作員ですと言わんばかりの装い。
一番目の尾行者のように、作業員のかたちをとることすらしていない。
0099恒星都市 ◆LV2BMtMVK6
2009/08/02(日) 00:25:21ID:wdUn2A8vだが、そもそも陽動が必要というのはどういう事態だ。
島京は少なくとも表面上は、どこかと敵対してはいないし、各企業連に関してもそれは同じだ。
地下の不穏な情勢にしても、一階で陽動して利点がありそうな存在は思い当たらなかった。
ここは平和な自治国家であったし、企業連の自警機構も機能している。
恐らく彼らは無人システムに現在進行形で監視されているだろう。
それに、彼らは自警機構よりずっと高機動な手段をも擁しているはずだった。
陽動でないとなれば、よほど切羽詰まった状況であることになる。
それも、企業連そのものが。
思い当たる節があり、霧一は足を早めた。
一行は西へ向かっていた。
霧一の思惑が正しければ、そこは発電区から電源が上がってくる西南区画ではなく、
富士山に面した、生産物エレベータのはずだった。
ちょうど、霧一たちの住居の方へ円を描いていることになる。
この軌跡に意味はあるのか考える彼の前で、
最初の尾行者の作業帽がぴょこぴょこ揺れていた。
全ては硝子の絶壁の下。
ネズミは終点に近づいている、と彼は思い、なんとか鈴が鳴らなければいいが、と余計なことまで考えた。
はるか天上では、摩天楼が彼らを見下ろしていた。
0101創る名無しに見る名無し
2009/08/02(日) 00:33:15ID:K7EBoCcK続き楽しみにしてるぜ
0102創る名無しに見る名無し
2009/08/02(日) 01:07:33ID:NkKc8Qup0103恒星都市 ◆LV2BMtMVK6
2009/08/03(月) 01:01:59ID:P9+Mj9h0ここまでは霧一の予想の範囲だったが、ここで初めて選択を迫られることになる。
ビル群の密林から、比較的開けた地区へ出た。
周辺には平屋の大きな倉庫が並ぶ。
振り返れば、今朝後にしてきたガラス張りのビルが、朝霧と夕霧の待つ部屋が、
この結晶の形をした都市の、威圧感を具現したかのような壁面が望まれた。
男たちは互いに何事か言い交わしている。
だが荷物を下ろしていないことから見て、ここが最終目的地ではないことは明らかだった。
さらに気がかりでならないのは、男たちではなく、作業服の人間だった。
一応見えない位置にはいるのだが、一々場所どりも悪ければ、注意も散漫。
まして霧一の存在など、端から考えもつかないといったふうである。
風の様子は変化していた。
先ほどまでのビル風めいた強弱がある風は、今では安定した強さで横から吹く風になっている。
台風は未だにずっと南にあるとは思えない強さで、辺りには甲高く笛を吹くような音が響いていた。
島京が、啼いていたのだ。
0104恒星都市 ◆LV2BMtMVK6
2009/08/03(月) 01:04:38ID:P9+Mj9h0短く会話した後、彼らは二手に別れた。
なぜ最初から別れていなかったのかが気になるが、
今はどちらを監視するか定めなくてはならなかった。
そうだ、あいつはどうする?
作業服も判断しかねているように見えた。
これではまず参考にはできないと判断して動きを見る。
未熟な人間には同じ方向に動かれない方がいい。
幸いにも、作業服は南へ向かう方を追うことにしたようだ。
まあ、ここまで一緒に行動したからにはさほど離れることはなかろう。
合流点があるとすれは、発見されることだけは避けなくてはならないが。
目的地を確認できるだけでも上出来なのだ。
霧一が追った片割れはさほど移動しなかった。
倉庫群のはずれ、打ち捨てられた工場のようにも見える建物へ、彼らは入っていく。
建物とそれに空き地をはさんでつながる大きめの小屋。
潮風に腐食した壁が歴史を感じさせる。
この超現代の都市には植物と名のつくものはほとんどなかったが、ここにはそれがあった。
といっても、黄色い花を頂いたセイタカアワダチソウを始めとした雑草だったが。
近辺にはあちこちに明かり取りの低い煙突が地に生えている。
低電消費の半地下稼働区だったのだろう。
流石に中へ入ることはしない霧一。一ブロック手前で様子を伺う。
すぐに身を隠せる場所だ。
そろそろ引き上げる潮時でもあった。
風にしなうセイタカアワダチソウの花冠は、雲をまとう島京そのもののように見える、と彼は考えた――。
0105 ◆LV2BMtMVK6
2009/08/03(月) 01:05:19ID:P9+Mj9h0追尾パート終了。
0106創る名無しに見る名無し
2009/08/03(月) 01:08:17ID:Ge6jj+S2描写が来いから島京の具体的なビジョンが見えてくるなー
0107創る名無しに見る名無し
2009/08/03(月) 01:11:43ID:yHBqUpMAwktk
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