現代数学の系譜11 ガロア理論を読む8
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0559132人目の素数さん
2014/05/31(土) 17:19:24.10http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/~hashimot/index.html
橋本 義武 Yoshitake Hashimoto
http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/~hashimot/newessays.html
新雑文集
http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/~hashimot/md2.html
Milnor と Donaldson(続)
そして Donaldson の論文だが,Milnor につづく多様体のトポロジーの華々しい成果に重ね重ね賛辞を捧げた上で敢えてお叱りを恐れずに言うと,
それらがトリビアルに思えてしまうほどの(もちろんそういうわけではないのだが)衝撃である.何と言っても結果が文句なく強く,なおかつ方法が革新的であった.
方法の革新性については既に多くのことが語られているように思うので,ここでは端折る.
非線形偏微分方程式の解空間から多様体の交叉形式を知ることができる,という知らせによって,トポロジストの前に無限次元への扉が開いたというお話だが,
そもそも接/法ベクトル束以外のベクトル束を多様体のトポロジーに応用したことすら,はじめてだったんじゃないだろうか.
Donaldson の理論には,それまでのトポロジーにあまり似たものがない.ゲージ理論の応用と言うので物理から多くを学んだのかと思うとそうでもない.
(むしろ物理学者の方が Donaldson の理論に学び,約10年経って Seiberg-Witten 理論を生む.
これは,物理の方での,従来の対象や問題について全くわかっていなかったことがわかった,というタイプの結果であって,
弦理論に批判的な,あるいは物理に現代数学を導入することに批判的な保守派物理学者たちにも有無を言わせないものがあった.)
Donaldson の理論が似ているのは,むしろ小平邦彦の仕事である.調和積分論,Riemann-Roch の高次元化,消滅定理,変形理論,複素曲面論(特にK3),いずれにも深い関わりがある.
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