年金運用、主役去って議論尻すぼみ 長妻・原口氏

 公的年金の運用のあり方を議論していた厚生労働省の検討会が17日、報告書をまとめ、終了した。この検討会は、
債券主体で安定志向の運用方針を見直すかどうかを巡って長妻昭前厚生労働相と原口一博前総務相が対立して注目を
集めたが、報告書は明確な方向を示さずじまい。長妻氏と原口氏という主役2人が閣外に去り、議論も尻すぼみに
なった。
 「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運営のあり方に関する検討会」が発足したのは政権交代後の
2009年末。約128兆円の年金積立金を巡って、当時総務相だった原口氏は資金を高成長が続くアジアなど新興国の
株式などに振り向けるよう主張。厚労相だった長妻氏は「国民は投資のために年金保険料を払っているわけでは
ない」と慎重論を唱えていた。
 この日の報告書はGPIFの意思決定過程の透明性向上を求めるなど統治のあり方に一定の方向性を示しただけで、
運用方針については双方の考え方を併記するにとどめた。このため今後の運用方針を大きく転換することは難しい
とみられる。
 原口氏と長妻氏は在任中、しばしば検討会に参加したが、後任の片山善博総務相や細川律夫厚労相が検討会に
出席することはなかった。

http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819481E3E5E2E6998DE3E5E3E0E0E2E3E29797E3E2E2E2;at=ALL